「かっ飛ばせー、じゅ、う、だーい!」
「アニキー、頼んますよー!」
「おー!任せとけ!」
今日の体育は野球で、ラーイエローとオシリスレッドの試合だ。今九回表のツーアウト、3対0でオシリスレッドがリードしている。2塁には僕が、そしてバッターは十代だ。十代は三振か本塁打しか打ってない。葉っぱ咥えたら似合いそうだ。ちなみに僕は1番のショート。4打席2安打1盗塁と中々の好成績だ。まあ、僕がヒット打つと十代は空振り三振して終わるんだけどね、毎回。
「おーい、その試合ちょっと待ってくれー!」
慌てた様子で三沢っちが駆けつけて来た。あー、そういえばいなかったなあ…
「行けるか?三沢」
「はい。任せて下さい」
どうやら向こうのピッチャーが三沢っちのに変わったらしい。三沢っちがミットとボールを受け取り、マウンドに上がる。
「来たな三沢!お前の球もあそこに叩き込んでやる!」
「いや、君に俺の球は打てない。なぜなら君の攻略法は既に計算済みだからだ!」
宣言通り、三沢っちは十代を完璧に押さえ込んだ。
「だー!ちっきしょー!」
「ムキになってボール球にまで手を出すからっすよ…」
「ま、終わったもんはしょうがないさ。次の回守り切れば勝ちなんだからさ」
「そうっすよ、頼みますよ、アニキ」
「おう、任せとけ!」
「ボールフォア!」
「ボールフォア!」
「ボールフォア!」
「タイム!」
始まるやいなや、いきなり十代が三連続フォアボールを出したため、翔くんが慌ててタイムをかけた。
「えー!じゃあ三沢くんと勝負するためにわざと三人歩かせたんすか!?」
「おう!やっぱ借りは返さねえとな!」
「いや、だからって塁埋めることは無かったんじゃ…」
別に2アウトとって一人歩かせればよかったんじゃ?
「ここで打ち取った方が盛り上がるだろ?」
「「そんな理由(っすか)!?」」
もう…やな予感しかしないんだけど…
「行くぜ2番!さっきの借りを返してやる!」
「さあ来い!1番!」
「どおりゃああああ!」
十代の投げた渾身のストレートは…
「ふっ!」
アッサリと三沢っちに打ち返された。打球はフェンスを越えていった。
「言ったはずだぞ。君の攻略法は既に計算済みだと」
ヤバイ、三沢っちが輝いている!
三沢っちがホームに帰ると、何やら慌てた様子で十代と翔くんが外野に走って行った。気になったので、審判にタイムかけて三沢っちと一緒に見に行くと、右目にボール型のアザをつけたクロノス教諭がいた。どうやら三沢っちの打った球が運悪く当たってしまったらしい。その後、クロノス先生が三沢っちだけ引き止めて何やら話をしていた。
道具の片付け中に、三沢っちからさっきの話を聞いた。
「へー、じゃあ三沢くんとうとうオベリスクブルーに昇格なんすね」
「さすがラーイエローの首席だぜ」
「本当にね。なにわともあれおめでとー!」
「あ、ああ、ありがとう…」
?歯切れ悪いけど、何か思うところがあるのかな?
その後、勝負に負けた僕らは三沢っちの部屋のビッグバン…様するにペンキの塗り替えを行うことになった。
「うわ!何すかこの部屋!?」
「すげー、これ全部数式か?」
「前来た時より増えてるね」
「まあな、あの辺がアボガドロ分子説、アレはシュレディンガーの猫、あっちのは風が吹けば桶屋が儲かる確立式が書かれている」
「桶屋って…それどうなったの?」
「限りなく、というかほぼ0だった」
ですよね〜。
そんなこんなでペンキの塗り替えが始まったのだが…まあ案の定十代がふざけ出して、ペンキのかけ合いが始まり、みんなペンキまみれになってた。ちなみに僕はというと…
「何で連夜君だけカッパ着てるんすか…」
「知ってたから」
「教えて下さいっすよ〜」
「ごめん、ついうっかり」
1人だけカッパ着てたため無事だったりする。というか、なんで三沢っちまでカッパ用意してないのさ。
三沢っちの部屋はペンキがまだ乾かないので、僕の部屋に泊まりに来た。
「そういえば連夜は1人部屋だったんだな」
「そうなんだよね。隣の十代達は3人なのに、ここは1人部屋なんだよね。まあ、ここって元々転入生用の部屋らしいけど」
「成る程な。デュエルアカデミアは転入生はレッドからだからな」
そのためか、ベッドは一つだし、テレビと1人用意のソファー、小さいけど冷蔵庫まである。うん。ラッキーだ。
「ま、気兼ね無く泊まってよ」
「そうさせてもらおう。さて、早速で悪いが俺のデッキの調整を手伝ってくれ」
「いいよー、って多!?何で六つもデッキあるのさ!?」
「毎度毎度違うデッキ使う君が言うのか?」
「僕も普段は二つしか持ち歩かないよ…」
「む、そうか。まあいいさ、取り敢えず見てくれ」
「じゃ失礼してっと、へえ、属性ごとに分けてるんだ。で、状況に合わせて使うデッキを決めると」
「まあそういうことだ。取り敢えずこのデッキから…」
「ふむ…流石優等生、キチンとまとまってるね。でもこのデッキならこういうカードが…」
「成る程、ならこっちはどうだ?」
「それは変えなくてもいいと思う。それよりこっちのカードは…」
「それなら…」
僕らのデッキ調整は遅くまで続いた。
次の朝、あくびを噛み殺しながら朝食を食べてると、トメさんから連絡があった。
連絡にあった海岸に行くと、そこには無数のカードか散らばっていた。
「ねえ、このカードって…」
「ああ、俺のだ。このデッキは外に出しておいた机にしまってあったからな」
「そんな!デッキが無きゃデュエル出来ないっすよ!」
「どうすんだよ三沢!」
十代達はああ言ってるが、三沢っちのデッキは別にある。だから三沢っちからは慌てた様子は見られない。だけどその目には静かな怒りが浮かんでいた。
その後僕らは今回の試験会場のデュエルフィールドに向かった。そこでは既に対戦相手の万丈目か待っていた。
「逃げださずに来たことは褒めてやる。だがただデュエルするだけではつまらん。そこでだ、このデュエル、負けた方はこの学園を去るというのはどうだろう?最も、デッキがあればの話だが」
「万丈目!お前…」
何か言おうとした十代を三沢っちが手で制した。
「いいだろう。その勝負受けて立つ!そして俺のデッキは…ココにある!」
三沢っちが制服の上着を広げると、そこには六つのデッキがあった。
「風、疾きこと風の如く。水、静かなること林の如し。火、侵略すること火の如く。地、動かざること山の如し。悪の闇に光差す!」
「ふん!そんなもの俺の地獄の業火で焼き尽くしてくれる!」
「ふ、決まったぞ!お前を打ち倒すためのデッキが!」
「「デュエル!!」」
「先攻は俺だ!ドロー!『ヘル・ドラゴン』を攻撃表示で召喚!ターンエンドだ!」
「俺のターン!魔法カード『トレード・イン』を発動!手札のレベル8のモンスター『ウォーター・ドラゴン』を捨て、2枚ドロー!更に手札の『瀑征竜 タイダル』の効果発動!このカードと『ハイドロゲドン』を墓地に送り、デッキから『オキシゲドン』を墓地に送る!」
「さっきからモンスターを捨ててばかりじゃ無いか!お前のデッキには捨てるモンスターしかいないのか!」
「いや、これは途中式にすぎないさ。『グリズリー・マザー』を守備表示で召喚してターンエンドだ」
「俺のターン!『
「グリズリーマザーの効果発動!戦闘で破壊され、墓地に送られた時デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスターを特殊召喚できる!再びグリズリーマザーを召喚!」
「ならばヘルドラゴンで攻撃!『ヘル・ブレス』!」
「グリズリーマザーの効果発動!『シー・ランサー』を特殊召喚!」
「ちっ、次から次へと鬱陶しい!俺はカードを2枚伏せる。エンドフェイズ時、ヘルドラゴンの効果でヘルソルジャーを生け贄に捧げる。ターンエンドだ」
三沢LP 4000→3400
「俺のターン!魔法カード『おろかな埋葬』を発動!デッキから『ハイドロゲドン』を墓地に送る」
「またデッキから墓地に…!いい加減まともなモンスターを出したらどうだ!」
「ならば見せてやる!墓地のタイダルの効果発動!墓地の水属性またはドラゴン族モンスターを除外し、このカードを特殊召喚できる!ウォータードラゴンとグリズリーマザーを除外し、墓地からタイダルを特殊召喚!ただし、この効果で特殊召喚したタイダルは次のお前のエンドフェイズ時に手札に戻るがな」
「ちっ!」
「まだだ、シーランサーの効果発動!ゲームから除外されている魚、海竜、水族モンスターを装備出来る!ウォータードラゴンを装備!そしてこの効果でモンスターを装備している時、攻撃力を1000アップさせる!」
「な!?くそッ!リバースカードオープン!『リビングデッドの呼び声』!ヘルソルジャーを蘇生させる!」
「タイダルでヘルドラゴンを、シーランサーでヘルソルジャーを攻撃だ!」
万丈目LP 4000→2100
「くっ、だがヘルソルジャーの効果でお前にも戦闘ダメージを与える」
三沢LP 3400→2300
「この程度は必要経費さ。カードを1枚伏せターンエンド」
「俺のターン!リバースカードオープン!『強化蘇生』!墓地のヘルドラゴンを特殊召喚する!更にカードを1枚伏せ、ヘルドラゴンと手札全てを生け贄に、『火炎魔人 ヘル・バーナー』を特殊召喚!更に先程伏せたカード発動!『死者蘇生』!墓地の『ヘルカイザー・ドラゴン』を特殊召喚!そしてヘルカイザードラゴンを二重召喚!これによりヘルカイザードラゴンは2回攻撃ができる!バトルだ!ヘルカイザードラゴンでシーランサーを攻撃!『フレイム・オブ・ヘル』!」
三沢LP 2300→2200
「シーランサーの効果発動!このカードが破壊される代わりに装備カードを破壊出来る!ウォータードラゴンを破壊する!」
「ええい!だがヘルカイザードラゴンは2回攻撃が可能だ!そんなモンスターすぐに消し去ってやる!」
「残念だがそれは出来ない。なぜならお前を倒す方程式はたった今完成したからだ!」
「何を戯言を!」
「ならば証明してやる!破壊されたウォータードラゴンの効果発動!このカードが破壊され墓地へ送られた時、墓地のハイドロゲドン2体とオキシゲドンを特殊召喚できる!蘇れ、ハイドロゲドン、オキシゲドン!」
「墓地にモンスターを溜めていたのはこのためか…だが今更そんなザコを並べた所で何も変わらん!やれ!ヘルカイザードラゴン!」
「おっと、させない!リバースカードオープン!『アモルファス・バリア』!自分フィールドにモンスターが3体以上いる場合に相手が攻撃して来た時、その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる。その後相手は自分のモンスターを1体生け贄に捧げる」
「くっ、ヘルカイザードラゴンを生け贄に捧げる。だがこれで貴様のドラゴンは手札に戻る!そして俺の伏せたカードは『ビッグバン・シュート』!これで貴様がモンスターを守備表示にしても俺の勝ちだ!」
「言ったはずだ、既にお前を倒す方程式は完成していると!俺のターン!俺は魔法カード『ポンディング -H2O-』を発動!フィールドのハイドロゲドン2体とオキシゲドンを生け贄に、ウォータードラゴンを特殊召喚する!来い!ウォータードラゴン!」
「だが俺のヘルバーナーの攻撃力は3200!そのモンスターでは倒せない!」
「それはどうかな?ウォータードラゴンの効果発動!フィールド上の炎族と炎属性モンスターの攻撃力を0にする!『ウォーター・ゲイン』!」
「バカなっ!?」
「バトル!ウォータードラゴンでヘルバーナーを攻撃!『アクア・パニッシャー』!」
「うわあぁぁぁぁぁ!!」
万丈目LP 2100→0
「万丈目!カードを大切にしない奴はデュエリストとして失格だぞ!」
「何の証拠があってそんな…」
「俺はあちこちに数式を書く癖があってな、こんな数式の書き込まれたカードはおそらく俺しかいないだろう」
「くそッ…俺は…っ!」
万丈目が悔しそうに床を殴りつける。
「それデーハ、シニョール三沢のオベリスクブルーへの編入を認めるのーネ」
「いえ、せっかくのお話しですが、それは断らせていただきます」
「何ですート!?何故なノーネ!?」
「俺がオベリスクブルーに入る時は、この学園で1番になった時と入学式で決めたんです。十代!それに連夜!お前達を倒すまで俺はオベリスクブルーには行かない!」
「よっしゃあ!」
「その挑戦!」
「「受けて立ーつ!!」」
十代と一緒に三沢っちと拳を突き合わせる。
「よっしゃ!じゃあ今すぐデュエルだ!」
「いや、それは出来ない」
「えー、なんでだよー」
「まだお前達に対抗できるデッキが完成してない。恐らくあの壁が再び数式で埋まる頃にはお前達を倒す7番目、8番目のデッキが完成するだろう」
「俺のHEROを倒すデッキだと!?おもしれえ!ならそん時が勝負だ!来い!2番!」
「ああ、行くぞ1番!」
「あれ?じゃあ僕は?」
「「「「…番外?」」」」
「皆そろってそれは無いよ…」
十代と三沢っちどころか、観戦してた明日香さんや翔くんまで…何この疎外感。トホホ…
どうも、図1のようになります。です。いやー、予想よりも随分遅れた更新になってしまいました。ウォータードラゴンをいかに現実的に出すか考えてたら、こんなデッキに…
それに伴い万丈目君のデッキも大幅変更…どうしてこうなったorz
今回のデッキはいかにウォータードラゴンを出すか、ということをコンセプトにし、かつなるべく原作に近い形でデュエルを再現してみようとしました。まあ、共通点がだいぶ薄れる結果になりましたが…万丈目君のデッキはまあお分かりの通り名前に地獄、またはヘルの付いたデッキですね。うん、組みにくい!そんだけです。
次回?未定です。でも頑張って一週間以内に更新します!