…いろんな意味で………
三沢っちが万丈目君を負かした翌日。
「アニキ〜!連夜く〜ん!」
授業の始まる直前に翔くんが僕と十代の名前を叫びながら駆け寄って来た。
「どうしたんだよ翔?そんなに慌てて」
「もう授業始まるよ?」
「そ、それが…万丈目君がいなくなっちゃったんす!」
「「な、なんだってー!?」」
「そんなお約束なギャグやってる場合じゃないっすよ!」
「っと、そうだな!よし、探しに行こうぜ!」
「え!?授業は!?」
「サボる!!」
ですよね〜…
結局授業はサボることになりました。
学校を抜け出すと、そこには明日香さん達が待ち構えていた。
「な、なんだよ明日香。俺たちこれから万丈目の奴を探さなきゃいけないんだ。止められても行くぜ」
「何もあんた達を引き止めるために来たわけじゃないわよ。私達も手伝うわ」
「え、でも明日香さん達授業は?」
「ふん!アタシ達はあんた達とは違って一回くらい休んだって勉強についていけない何てことないのよ!」
「まあ十代なんか授業出てもどうせ寝てるしねえ…」
「連夜くんだって時々寝てるっすけど成績いいっすよね」
「まあね」
流石にデュエルの知識は一通りありますからね。…ノーマルカードのテキストは流石に暗記してないけど…
「そういうことなら構わねえぜ。早く探しに「ちょっと待った!」へ?」
声のした方に顔を向けると、さっき僕らが抜け出して来た穴から三沢っちが出て来た。
「俺も参加するぞ。元々俺とのデュエルが原因なんだ。このまま放ってはおけない」
制服に付いた土を払いながら三沢っちがこちらに合流した。結構な人数になったな…
「悪いのは万丈目君なんだからそんなに気にしなくてもいいとおもうけど?」
「そういうわけにもいかないさ。それに、最近のあいつは何処か思いつめた様子だったからな…」
確かに、最近の万丈目君は何かに悩んでいる様だったし、そればかりか同じオベリスクブルーの生徒からも避けられている感じがした。
「おーい!そんなことより早く探しに行こうぜ!」
三沢っちと話していると、十代が催促をかけてきた。
「ああ!今行く!」
「了解!」
万丈目君を探していると、僕らの前にやたらメカメカしい猿が現れた。皆万丈目君だと思ってた分、余計に驚いていた。その隙に猿がジュンコさんを攫って行ってしまった。
で、結果…
「コラー!待てー!ジュンコ置いてけー!」
「待ちなさーい!」
「…あれ?確か僕たち万丈目君を探しに来たんじゃ…」
「気にしたら負けだぞ、連夜」
「何でもいいから早く助けて〜!」
ようやく猿を崖まで追い詰めると、林の中から黒服の人達と小柄で白衣を着たお爺さんが出て来た。
「…ねえ、ホントなんでこんな事になったの?」
「…俺に聞くな」
博士(と呼ばれていた人)の話によると、あの猿はデュエルが出来るように調教された猿をらしく、猿に付けられた機械もそれをサポートするための物らしい。名前もSAL…まんまやん。
その後、黒服達が麻酔銃を打とうとするのを十代が止め、さらに猿を説得してデュエルすることになったのだが…
「十代、このデュエルは僕に譲ってくれない?」
「えー、なんでだよ?」
「あの機械が気になるっていうのが一つ、もう一つは…」
デュエルディスクにデッキをセットし、静かに構える。
「理由は何であれ僕の友人が連れ去られたんだ。その分のオシオキはきっちりしないとね」
「へ、そう言う理由ならしゃーねえな。今回は譲ってやるよ。けど…負けんなよ?」
「当然!さあ、始めようか」
「ウッキー!」
「「デュエル!」」
「僕のターン、ドロー。モンスターをセット。カードを1枚セットしてターンエンド」
「ワタシのターン!ドロー!ワタシは『
「セットモンスターは『電池メン-ボタン型』。ボタン型のリバース効果発動!デッキからボタン型以外のレベル4以下の電池メンを特殊召喚する!『電池メン-角型』を特殊召喚!さらにリバースしたボタン型が戦闘破壊された時、1枚ドロー、更に角型が特殊召喚した時、デッキから電池メンを1枚手札に加え、攻撃力と守備力を倍にする!『燃料電池メン』を手札に加える」
「ワタシはカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
「僕のターン、ドロー。『電池メン-単四型』を守備表示で召喚、単四型の効果発動。手札の単四型を特殊召喚。さらに『燃料電池メン』を特殊召喚。このカードは自分フィールドに電池メンが2体いる時特殊召喚できる。更に、単四型を生贄に燃料電池メンの効果発動。相手フィールドのカード1枚を手札にもどす。伏せカードを手札に」
「ウキッ!?」
「バトル。燃料電池メンでバーサークゴリラを攻撃。『ボルテック・エナジー』!」
「キッ!」
猿LP 4000→3900
「角形でダイレクトアタック」
「ウキッ!」
猿LP 3900→1900
「エンドフェイズ時に角形は自壊する。ターンエンド」
「ウキッ、ワタシのターン!ドロー!手札の『ボルテック・コング』を墓地に送り、『虚栄の大猿』を特殊召喚!効果によりレベルを4上げる!更に『マジシャンズ・エイプ』を召喚!手札の『ファイターズ・エイプ』を墓地に送り、マジシャンズエイプの効果発動!電池メン単四型のコントロールを得る!『カースド・ニードル』!」
マジシャンズエイプの杖の先から放たれた光が単四型に当たると、単四型はそのまま相手フィールドに移って行った。…あれ?これ5D’sネタじゃ…?
「更に魔法カード『二重召喚』発動!場の3体のモンスターを生贄に、『神獣王 バルバロス』を召喚!」
「嘘!?」
ここでバルバロス!?って、さっき伏せてたカード二重召喚かよ!?バウンスするんじゃなかった!
「バルバロスの効果発動!このカードが3体のモンスターを生贄にして召喚に成功した時、相手フィールドのカードを全て破壊する!『ゴッド・シェイパー』!」
バルバロスがゆっくりとその手の槍を振りがぶる。
「くっ、チェーンして『急速充電器』を発動!墓地の単四型2体を手札に加える!」
バルバロスの投げた槍が僕のフィールドを抉ると、フィールドが竜巻に覆われ、全てのカードが破壊された。
「バトル!バルバロスでダイレクトアタック!『トルネード・シェイパー』!」
バルバロスの槍から放たれた衝撃波が螺旋を描きながら僕の胸を貫く。
「ぐっ…」
連夜LP 4000→1000
「ウホホッ!ターンエンド!」
「連夜くん!大丈夫っすか!?」
「連夜!頑張れー!」
「あら、三沢君は彼を応援しないの?」
「ああ。この中ではおそらく俺が一番あいつの実力を知っている。だからこそ、あいつがこの程度で終わるはずは無いこともな」
「へえ、信頼してるのね」
「そんなんじゃないさ。あいつは…ただ純粋に強いんだ」
「僕のターン!ドロー!魔法カード『充電器』を発動!500ポイントライフを払い、墓地の角型を特殊召喚!角型の効果により『充電池メン』を手札にくわえる。」
連夜LP 1000→500
「そして角型を生贄に充電池メンを召喚!充電池メンが召喚に成功した時、手札かデッキから電池メン1体を特殊召喚出来る。デッキから『電池メン-単三型』を特殊召喚!そしてこの瞬間速攻魔法『地獄の暴走召喚』を発動!デッキから更に2体の単三型を特殊召喚!」
「ウキッ!ワタシはもう一体バルバロスを特殊召喚!ウホホーッ!」
「喜んでるとこ悪いけど、さっきやられた分のお返しだ!魔法カード『漏電』発動!このカードは自分の場に電池メンが3体以上いる時に発動出来る。相手フィールドのカードを全て破壊する!」
「ウキキッ!?」
電池メン達から漏れ出した電気がバルバロスを感電させる。強烈な電流に襲われたバルバロスはプスプスと黒い煙を吐きながら真っ黒コゲになっていた。気のせいか体の毛もチリチリになっている。
「トドメ!全員でダイレクトアタック!『エレクトロニック・リーク』!」
4体の電池メンから溢れ出した電気が一つになって猿に向かう。
「ウキキキキキィーッ!!」
…なんか一瞬骨が透けて見えた気がしたけどきっと気のせいだね。うん。
猿LP 1900→0
「やれやれ、なんとか勝てたや。さて、お猿さん、約束通りジュンコさんは返してもらうよ」
「ウキィ…」
猿はジュンコさんの所まで行くと、彼女を木から降ろしてくれた。
「うえ〜ん、明日香さま〜」
ホッとしたのか、ジュンコさんが明日香さんに抱きついて泣いてしまった。モモエさんと明日香さんが苦笑しながらなだめている。
「お疲れ様連夜。相変わらずすごいデュエルだったな」
「なー、あの猿すげえ強かったな。あー、俺もデュエルしてえ!」
「もー、アニキったら。それより、あの猿どうしてこんな事したんすかね…」
「ん、多分あれが理由じゃないか?」
三沢っちの指差した先には、あの猿の仲間と思われる猿達が林の仲間からこちらをうかがっていた。
「じゃあ、あの猿は仲間達の元に戻りたくて …」
「何か、可哀想っす…」
「でも、負けた時にあの猿がどうするかまでは言ってなかったから…」
と、僕らがしんみりしていると、
「ついでだ、あそこにいる猿どもも全て捕らえろ。実験材料は多いにこしたことはない」
「なっ!?いくらなんでもそれは…」
無いだろ!と言おうとしたところで…
「ニャーッ!」
「「「へっ?」」」
「う、うわ!なんだこの猫…ぐわっ!」
「「ファラオ!?」」
「おい、知ってる猫か?」
「う、うん。レッド寮の寮監の大徳寺先生の飼ってる…」
「ファラオですにゃ〜」
「「大徳寺先生!」」
「お手柄にゃ、ファラオ。さて、そちらのみなさんにちょっとお話しがあるんだにゃー」
そう言って大徳寺先生は黒服達の方に向き直った。
その後、大徳寺先生の説得、というか脅しによって、あの猿は解放されることになり、無事仲間達の元へと戻って行った。そして、すでに万丈目くんがこの島を離れたことを聞いた。
「そっか、万丈目のヤツ、もう行っちまったのか」
「大丈夫だよ。きっと帰ってくるって」
「そうだな。あいつはこんなとこで終わるタマじゃない」
「そうね、彼の事だからまた取り巻き引き連れて戻って来るかもしれないわ」
「あー、ありそうっすね」
「ホントにね。さて、万丈目くんの行方も分かった事だし、そろそろ戻ろっか。急げば2限目間に合うだろうし」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
学校に戻ろうと振り返った所でジュンコさんに呼び止められた。
「えっと、なに?」
「こ、今回は助けてもらったけど、だからってあの時言った事は取り消さないわよ!」
「え〜っと…?あの時のって?」
「あんたとデュエルした時よ!あんたは私が絶っっっ対ボッコボコにするって!」
「そ、そんな事言ってたっけ?」
「言ったわよ!覚悟しておきなさい!」
えっと、助けた女の子に突然宣戦布告されたんだけど、こういう時ってどんな顔すればいいんだ?
「了解、いつでもかかって来なよ (ニコッ)」
とりあえず某アニメの主人公の言うとおりに笑ってみた。
「〜っ!ふんっ!」
ジュンコさんの顔が赤くなったかと思うと、するってプイッとそっぽ向いてそのまま去って行った。
「あれ…?もしかして対応間違えた?」
「いや、ある意味正解なんじゃないか?」
「そっすね。ある意味正解っすね」
「ジュンコは素直じゃないから…」
「まあまあ、それがジュンコさんの可愛いとこでもまりますから」
「なあ、皆ニヤニヤしてるけど、一体どうしたんだ?」
「…僕に聞かないでよ。むしろこっちが聞きたいよ…」
結局誰も説明してくれなかった。
〜おまけ〜
その日の夜、僕はあの時のどさくさで持って来てしまったあの猿に付けられてた機械を調べていた。
「うーん。これ普通に凄い機械だよな。純粋に猿の言葉が分かるんだから」
そんな事を呟きながら機械をいじっていると、
コンッ
「ん?窓に何か当たったかな….」
気のせいか、と再び作業に戻ると
コンコンッ
「やっぱ何か当たってるな…」
何だ?と窓を開けると
「あれ、きみ、さっきの猿か?」
「キッ!」
窓の外にはあの猿がいた。その腕には幾つもの木の実が抱えられていた。
「キキッ!」
「?もしかしてこれ僕に?」
「ウキキー!」
「お礼なの?あはははっ、ありがとう!」
「ウキーッ!ウキ?」
ひとしきり喜ぶような仕草をとる猿だったが、僕の手にある機械を見ると不思議そうな顔をした。
「あ、これ?あの時持って来ちゃったんだけど…」
「ウキッキー!」
「もしかしてデュエルしたいの?」
「ウホホッ!」
こちらの言葉を肯定するように頷いた。
「そっか、じゃあまずはこのデッキから見ていこうか」
「ウキ?」
「きみのデッキだよ。デュエルディスクに取り付けられたままだったから。折角ならもっと強いデッキの方がいいでしょ?」
「ウホッ!ウキキー!」
取り敢えずは喜んでくれているようだ。
「よし、そうとなれば…」
PDFを取り出し、ある人物に電話をする。
「…あ、もしもし三沢っち?明日の放課後暇?…うん。またデッキについてちょっとね。…まだそこは秘密かな。じゃ、お願いね。…うん、了解、じゃーねー」
よし、助っ人確保。
「明日、僕の友達も交えてデッキ作ろうか。きみもそれでいい?」
「ウキッ!」
「うん。じゃあまた明日」
「ウキキー!」
そういえば途中から猿との会話普通にしていることに何の疑問も抱かなくなってたな…。
まあでも猿も納得してくれたようだし、これでいいか。いやー、猿のデッキ作るって言ったら三沢っちどんな顔するかなー。明日が楽しみだ。
どうも。図1のようになります。です。ところで…だれだ!!目標一週間とか言ったの!一ヶ月以上過ぎてるぞ!…はい、すみません。自分ですね。いやホント。反省してるんですよ。だから許してください…。もう、次回はいつまでに更新するなんて言わないようにしよう。うん。
さて、次回は今回の後日談…というかオマケの続きを書きたいと思います。もちろん猿のデッキも出て来ますよ!…猿自身の名前とかも考えとこうかな…それでは!