デュエルアカデミアには月一試験という制度が存在する。文字通り、月に一度、デュエルに関する筆記と実技のテストがあるのだが、これが中々バカに出来ない。この試験で良い成績を取ると、オシリスレッドならラーイエローに、ラーイエローならオベリスクブルーにという風に、一つ上のランクに上がることが出来る。で、その試験前日の今日、僕は何をしているかというと…
「…試験でロックバーンはマズイかな?」
何時もの様にデッキの制作をしていた。
「まあ、ロックバーンはやってる方は面白いけど、やられる側としてはアレだよなあ…うん、このデッキは非常用(?)にしとこう」
たった今作り上げたデッキをケースに仕舞い、調整中のデッキに手を伸ばす。
「…うん、このデッキなら問題無いな。試験はこのデッキでいこう」
ハマるとえげつない展開力だけどね
「でも誰かに相談したいな。…十代たちは勉強してるのかな?」
翔くんはともかく、十代は勉強とかしなさそうだなあ…とか考えながら、十代たちの部屋に向かう。
「お邪魔しまーす。ちょっと十代達に相談があるんだけど…」
部屋に入ると、机に向かって頭を下げてる翔くんがいた。
「お願いします、デュエルの神様。この月一試験の結果次第でこのオシリスレッドからラーイエローへと昇格出来ます。そう!これは正に『死者蘇生』!」
「…」
よく見たら、机の上の方に死者蘇生のカードが祀られているのが見える。取り敢えず何も見なかったことにした。そのまま回れ右をし、自分の部屋に戻ると、カードケースの中から5枚カードを取り出し、再び十代達の部屋に向かう。
「お願いします、お願いします、お願いします…」
部屋の扉を少し開け、今だに祈り続けてる翔くんに向かってさっき取って来たカードを投げつけ、素早くその場を離れる。
「お願いします、お願いし痛っ!な、何か背中にって、あれ?何すか、このカードは…ギャー!!な、何でこんな不吉なカードがここにあるっすかー!?」
僕が投げつけたカードは、『闇からの呼び声』『ミイラの呼び声』『リビングデッドの呼び声』『死神の呼び声』『墓場からの呼び声』の呼び声シリーズのカード達である。試験前にはあまり見たく無い類のカードであろう。リビングデッドは便利だから目にする事あるだろうけどね。
笑いながらレッド寮の階段を降りる。何か「もうお終いっす〜」って言う声が聞こえた気がしたけど、きっと気のせい。PDAでとある人物に「今からそっち行っていーい?」
というメールを送る。暫くすると、「多少散らかってても構わないなら歓迎する」と返事が来た。まあ、実はもう目の前まで来てるんだけどね。
「お邪魔しまーす。調子はどう?三沢くん」
「随分早いな。まあ、ぼちぼちといった所だ」
そう、僕が相談しようと思ったのは、困った時の三沢博士こと、三沢大地くんである。
「何だ、別に全然散らかって…るね。壁に字が」
「はは、俺は思い付いた数式なんかをその辺に書き残す癖があってな。いつかこの壁もペンキで塗り直さなければな」
「あはは、その時は是非呼んでよ。今日のお礼に手伝うからさ」
「それはありがたいな。で、今日は何しに来たんだ?まあ、大方明日の試験についてだろうがな」
「うん、その通り。ちょっとデッキについて相談がね」
デッキケースから、先程の調整中のデッキを出し、三沢くんに渡す。
「おいおい、俺が見ても良いのか?」
「見てくれないと相談になんないでしょ。別に見られて困るもんじゃないしね。対策立てようにも、いろんなデッキ使う僕には関係ないし」
「成る程な。どれどれ…ふむ、相変わらず面白いデッキを使うんだな。これはどうやって回すんだ?」
「ああ、それはね、基本的には…」
「成る程…なら、このカードよりこっちのカードの方が効率良くないか?いくらこのデッキでも、これは必要ないだろう」
「うーん、やっぱりそう思う?じゃあ…」
二人であーだこーだ言いながら、デッキを調整していく。
「よし、完成!」
「ああ、おめでとう。しかしなんだ、そんなデッキが組めて、プレイングも上手いのに、なんで君がオシリスレッドなんだ?君の実力なら、確実にラーイエローだろうに」
「あー、三沢くんには言って無かったっけ、実はまあ、カクカクシカジカで…」
「成る程な、試験番号呼ばれたのを無視したのか。ああ、だからあの時最後にデュエルしてたんだな」
「そーいうこと。多分、クロノス教諭に勝ったのに不合格、では向こうのメンツが立たないんでしょ」
主にクロノス教諭の
「それで救済措置としてオシリスレッドに、という訳か。納得したよ。まあ、君の実力なら次の試験でラーイエローへの昇格はほぼ確実だろう」
「あはは、だといいね」
「そうだ、話しは変わるんだが、ちょっと聞きたい事があるんだが」
「ん?何?」
「実はこの問題なんだが、少し複雑でな。君はどう思う?」
「あ、連夜でいいよ。で、どれどれ…ふむ[以下のカード効果の中で、『冥界の魔王 ハ・デス』が攻撃して破壊した場合、無効化されないものを記号で答えよ]?確かにこれは厄介だね」
ちなみに、ハ・デスとは
冥界の魔王ハ・デス
星6/闇属性/悪魔族/効果モンスター
攻2450 守1600
このカードは墓地からの特殊召喚は出来ない。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に存在する悪魔族モンスターが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。
こんなモンスターである。
「三沢くんは何選択したの?」
「ウとエとキとコだな」
「惜しい。そこにカも入るんだよね」
「カは…[カ、『デビルズ・サンクチュアリ』等のカード効果で特殊召喚されたトークンの効果]だな。だが、トークンもモンスターカードとして扱うはずだろ?ならば無効化されるんじゃないのか?」
「確かに、トークンはモンスターカードとして扱うけど、実はトークンはみんな通常モンスターとして扱うんだ」
「何?じゃあトークンの持つ効果はどうなるんだ?」
「そもそもトークン自体は効果を持って無いんだ。効果を持つのは、あくまでもそのトークンを生み出したカードなんだよね。だから、ハ・デスで通常モンスターであるトークンを破壊しても、そのトークンを生み出したカードの効果は無効化出来ないんだ」
「成る程、そういう事か…いや、助かったよ。これからも分からない所があったら話しを聞かせて貰えるか?」
「もちろん。こっちもいろいろと相談に乗ってもらうよ。あ、そうだ。はいこれ、今日のお礼」
そう言って調整カード用のデッキケースから3枚のカードを出して渡す。
「これは…ふ、成る程な。確かに俺好みのカードだ。ありがたいな。しかし、本当に貰ってもいいのか?なんとなくだが、お前もこの類のデッキはよく使うだろ?」
「いーのいーの。君の方が上手く使えそうだしね。それにあの時カード渡す約束だったしね」
「あの時…ああ、あの十代とのデュエルの時か。俺も含まれていたのか」
「まあ、十代と翔くんにあげて三沢くんにだけあげないのもなんだしね」
翔くんにあげたカードあんなんだけど…
「律儀な奴だな。あと、俺の事は大地でいいぞ」
「ん、じゃあそう呼ばせてもらうよ。改めて、これからもよろしく。三沢っち」
「…なぜそこで三沢っちになる」
「え、だって三沢大地だから縮めて三沢っちでしょ?」
「まあ、何でもいいが…こちらこそ、よろしく頼む。このデッキが完成したら、先ずはお前と戦わせてもらう」
「受けてたとー。じゃ、明日はお互い頑張ろうね」
「ああ、また明日な」
三沢っちと固い握手を交わし、僕は部屋を後にした。
…一方その頃十代達の部屋では…
「あはははは…神は僕を見放したんす。むしろ悪魔が呼んでるっす〜」
「お、おい。しっかりしろ!翔!」
「戻って来るんだなあ!翔!」
「僕はもうだめっす、お先真っ暗っす、明日の試験もろくな結果にならないっす〜…」
「あーもう!誰か翔を止めてくれー!!」
…中々のカオスっぷりだった
どうも。図1のようになります。です。今回アレやらソレやらコレやらと 、ぼかしまくったせいでちょっと分かりづらくなってしまいました。ごめんなさい。
主人公のデッキは次回明らかになります。で、三沢っちに渡したカードの方は…。ヒント、三兄弟。出て来るのは…言うとバレそうなんでやめときます。それではまた次回!
次はなるべく早く更新します。ホント不定期で申し訳ないです。