ありふれない解放者は世界どこでも最凶   作:マイティージャック

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そう言えばタグ追加した方がいいのかな?
そんなこんなで更新です。どうぞ!


七大迷宮【氷雪洞窟】中編

 

 

「行くわよ!降無頼糸(フルブライト)!!」

 

 

ミフネがアイスタートル目掛け、5本の糸を振りかざて放つ。その糸は一直線に駆け抜る。射線上にいた魔物達を刺殺し、アイスタートルの頭部へ突き刺さる。

 

 

グワァアアアンッ!!

 

 

頭部の一部を突き刺されたアイスタートルは怒りの咆哮を上げ、こちらへと向かってくるミフネに射殺すような視線を向ける。そして、口を大きく開き、少し溜めてから氷雪のブレスを吐き出した。

 

 

ゴォオオオオオオオオオッ!!

 

 

螺旋を描き、細かい氷片を紛らわせた竜巻のような砲撃。呑み込まれれば、一瞬にして凍てつくか、氷片に刻まれるかのどちらかとなる攻撃を───

 

 

「ッ!」

 

 

ミフネが迫り来る冷気に対して天井に糸を貼り付け緊急脱出をする。ミフネがいた場所は氷雪のブレスが辺りを薙ぎ払っており、降りるのは危険と判断したミフネは天井に貼り付いたまま作戦を練る。

 

 

「(魔石がある限り無限に再生できるなら時間はかけられない。まずは魔石を氷の中から引き摺り出す必要があるわね。それに、一撃であの巨体を砕かないと駄目だし持久戦になると圧倒的に不利ね)」

 

 

ミフネは侑李から視線を送られていた。あのアイスタートルの巨体を砕いて魔石を破壊するには相当の火力が必要であるのは明白だからである。だがミフネは侑李に助力を求める事はせず、眼下にいるアイスタートルに向ける。ミフネ自身、最高火力の攻撃を持っているがそれは魔道具が全壊と引き換えにする為、この(あと)の攻略を考えると放つことは出来ない。ミフネは決め手が欠けている状態で、どう勝利するか思案しているとアイスタートルはミフネに気付き再びブレスを放とうと溜めの体制にはいるが、ミフネが天井を蹴って急降下し、アイスタートルの目に

 

 

超火鞭糸(オーバーヒート)!!」

 

 

掌から出る数十本の糸を束ね勢い良く放つ。その際、摩擦熱による発火で糸の束に炎が纏わる。アイスタートルはあまりの攻撃スピードに対処できず、 超火鞭糸(オーバーヒート)が目に突き刺さるどころかそのまま首下まで貫通する。

 

 

ギャォオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

アイスタートルは目に 超火鞭糸(オーバーヒート)が貫通しあまりの痛みから絶叫をあげる。糸を収納し距離をとるミフネ

 

 

「くぅぅ!」

 

 

だが、その顔は苦悶に満ちていた。原因は腕に装着していた魔道具にあった。超火鞭糸(オーバーヒート)は攻撃速度、威力ともに優れているが幾つか欠点もあった。一つ目は射程が短くなること。糸を束ねる都合上射程距離が10mまで縮む。二つ目が発火だ。摩擦熱による発火で攻撃力が増すのだが、その熱が糸をつたい魔道具まで伝わり、装着してるミフネの手がその熱に襲われる。そして三つ目が

 

 

「………放てて、あと一発ね」

 

 

回数制限がある事である。時間を置けばさほど問題ないのだが、今回はミフネはソロで尚且つ敵は強敵である。最高火力の攻撃が使えない以上超火鞭糸(オーバーヒート)に頼ざる得ない。だがミフネはアイスタートルの攻略に兆しを見つけていた。

 

 

「(もう一度見れれば良いのだけどッ!)」

 

 

アイスタートルの甲羅から氷柱がミサイルの如く掃射され、直撃を回避続けるミフネ。しばらく互いに決定打が与えられない膠着状態が続いたその時、ミフネが待ち続けた攻撃がきた。それは──────

 

 

キィイイイイイイイ!!

 

 

ブレスの溜めであった。ミフネは発射される寸前までアイスタートルを観察し続けそれを発見する。するとミフネは全力で駆け出しアイスタートルの口元まで近づく。その距離は僅か10cmもない。だがそこまで近づく必要があった。そしてミフネは───

 

 

超火鞭糸(オーバーヒート)!!!」

 

 

渾身の一撃を御見舞する。それはアイスタートルの口の中を通り越し貫通していき─────あるものを砕く。それは核と成っている魔石だった。

 

 

「あなたはブレスを放とうとする時、必ず溜めなくてはいけない。そして溜める際、多分常に体の中を動き回っているだろう魔石は絶対に口の中の喉奥にいる。あとは簡単よ。ブレスを溜める瞬間を見逃さず接近して、魔石を破壊すればいいのだから」

 

 

簡単に言ってはいるが、タイミングはシビヤでしくじればミフネが至近距離でブレスを浴びる事になる酷い博打だったが、ミフネは博打に勝ち、そしてアイスタートルにも勝利した。

それを見ていた侑李は

 

 

「(地力はある。あとは経験と装備だな。それさえ揃えば相当化けそうだな。覇気の習得も容易だろう)」

 

 

無双ドーナツで殲滅していきながらミフネを評価していく。そして最後の一匹を砕きミフネに近づく。

 

 

「おめっとさん。大迷宮の魔物と問題なく戦えたようだな」

 

 

「相当疲れたし、これももうダメね」

 

 

そう言ってミフネは壊れた魔道具を指さす。魔道具は全体的にひび割れ掌の部分は少し融解していた。手も火傷したらしく痛々しい。それを見た侑李はすかさず

 

 

「絶象」

 

 

再生魔法を放ち魔道具と手を再生させる。それを見たミフネは目をパチクリさせ、侑李と魔道具たちを交互に見る。

 

 

「これで大丈夫だろ?」

 

 

「……ありがと」

 

 

驚いて反応が少し遅れたが感謝を述べるミフネ。そして

 

 

「そういえば、ユーリ。私は合格?」

 

 

「ギリだな。攻撃力が低いし、射程が短い。バリエーションのないのもマイナスだな。その辺は今後の課題だな」

 

 

侑李の辛口評価にげんなりするミフネ。だがそこは強かに

 

 

「必ず満点取ってみせるわ!」

 

 

と、侑李に宣言するミフネ。そして

 

 

「ここから先はまだ、【氷雪洞窟】の序盤だろう。気合い入れ過ぎで力尽きるなよ?」

 

 

侑李達のいる通路の出口から階下に繋がる階段がある。その階段を降りた先にはアーチ状の入口が設けられており、その先はとてつもなく広大なアスレチックパーク等でよく見る迷路作りの場所であった。

 

 

「……こんなにでかい迷路を通れっていうの?本当に拘ってるわね……」

 

 

ミフネが呆れながらアーチを通る。そんな訳で、漸く大迷路に挑むのだが……

 

 

「……壁を壊して一直線にゴールに向かう手も無理だな」

 

 

「……上空も何処かに転移させられるみたいね」

 

 

無双ドーナツで氷壁を破壊した侑李と、糸の塊を上空に投げて上空の防止機構を確認するミフネ。今度は見聞色を頼りに攻略を試みる。

その結果、迷うことなく進めていた。

 

 

「…………本当に見聞色は便利ね」

 

 

「因みに極めると数秒程度だが未来を見ることだってできるぞ」

 

 

「………ホントにずるいわね」

 

 

ミフネが呆れながらも見聞色を持つ侑李の先導で大迷路を進んでいく。

氷壁からのトラップや魔物の強襲を捌きながら進んでいると、通路のど真ん中で可愛らしいウリ坊達が身を寄せあったり、地面を転がったり、仰向けになっていたりと戯れていた。

 

 

「あら、可愛いわね」

 

 

ここが大迷宮であることを忘れて、ミフネは頬を綻ばせてウリ坊達を見つめる。そんなウリ坊の群れの一匹が侑李の足下に近寄って見上げ───

 

 

「消えろ、エセ坊」

 

 

容赦なく蹴り飛ばされた。

蹴り飛ばされたウリ坊達は氷片をばら蒔きながら地面を固い音を響かせてバウンドしていく。

 

 

「へ?」

 

 

まさかの暴挙にミフネが素っ頓狂な声がを上げるが侑李は当然の如く無視。あのウリ坊達は体が氷でできており、体毛に見えるのは霜だということを見抜いていた故での暴挙だが───侑李は無双ドーナツをウリ坊達の周囲に大量展開し

 

 

餅吟着(モチギンチャク)!!」

 

 

力餅を雨霰の如くウリ坊達に容赦なく浴びせその体諸共魔石を粉砕していく。ウリ坊を殲滅した後、未だに呆けるミフネをよそに侑李は先に進む。それに気付いたミフネは頭を振り急いで侑李の元に行く。その後も氷の槍が突き出すトラップや、氷壁そのものが倒れてくるといった迷宮らしい様々なトラップと奇襲を仕掛けてくるアイス系の魔物達を突破し、探索を続けて十時間は経過した。

 

 

「もう、結構歩いたと思うのだけど……ユーリ、距離的にどうかしら?」

 

 

幾ばくか疲労が滲んでいる声色でミフネが見聞色で探知できる侑李に尋ねる。体力的にはどうということはないが、気が抜けない上に変わり映えしない単調な景色で集中力が切れかかってきているようだ。

 

 

「迷路だから直線距離はあてにならないが入口から二キロくらいは来たみたいだな」

 

 

「そう……」

 

 

それからしばらく歩くと、二人は通路の先に大きな両開きの扉がある突き当たりに出くわした。芸術家(あいつ)らしく意匠が細やかな扉には四つほど大きな穴が円形で空いている。

 

 

「これはまたあいつらしい扉だな」

 

 

「……綺麗」

 

 

ミフネが扉に見入っている間に、侑李がその扉を渾身の力で押してみる。

 

 

「(この不自然な窪みに何かをはめれば扉は開くんだろうが……今日はこのまでだな)」

 

 

そう思った侑李はミフネを抱き寄せる。侑李の突然の行動に慌てふためくミフネ。顔を見る限り満更でもないようだが。侑李はそのまま部屋の中央まで行き空間魔法で直径3mのドーム型に空間を切り離しミフネを連れて中に入る。

 

 

「今日はここまでだ。飯食って寝ろ」

 

 

ぶっきらぼうに言う侑李だが、ミフネは初めての大迷宮の攻略に疲れたのか、文句ひとつも言わずパンや干し肉を食べて酒を飲み始める。その間にスープを作る侑李。十分後スープが完成しミフネを渡す。それからテントを建て寝床を用意する侑李。ミフネは食事をして少し元気になったのか侑李に

 

 

「……ごめんなさい。何から何まで準備させてしまって」

 

 

「初攻略だ、疲れるのも当然だろう。さっきも言ったが今日はもう寝ろ」

 

 

侑李の言葉に頷きテントの中に入り寝袋を被るミフネ。五分とかからず可愛らしい寝息が聞こえてきた。それを聞いた侑李は予め寝袋と床の間に入れて置いた砂を起動させ、寝袋を持ち上げる。砂を入れて置いた理由は砂にマットレスの機能をされるためと低体温症を発症されないためだ。

ミフネが寝ているのよそに侑李は焚き火の前で一人晩酌していた。それから七時間後ミフネが目覚める。

 

 

「おはよう、早いわね〜」

 

 

「体調はどうだ?」

 

 

「お陰様で絶好調よ♪」

 

 

ウインクをしながら侑李にお礼言うミフネ。侑李は、なら良かった、と短く返事をして暖かい飲み物と朝食を渡す。二人は朝食を済まし、荷物を片付けて空間魔法を解除し、攻略を再開する。

 

 

「さて、鍵を探すぞ」

 

 

「………どうせ見聞色を使うんでしょ?」

 

 

ミフネの呆れ言葉に頷きながら見聞色で探知をすると、直ぐに発見した。五分程歩くと黄色い宝珠があり手に取ろうとしたら、アイスオーガと呼ぶべき魔物が現れ暴れ始める。侑李は無言で無双ドーナツを展開し力餅で頭部を消し飛ばした。その間にミフネが宝珠を回収しその場を後にする。残りの三つもミフネと交代しながらアイスオーガを倒して宝珠を回収する。全て回収し、例の扉の前まで行き宝珠を嵌める。四つの宝珠が嵌め込まれて独りでに開いた両扉の先には、もう鏡と言って良いほどの反射率を持つ氷壁の通路が待ち構えていた。

 

 

「さて、行くか」

 

 

侑李とミフネは扉の向こう側へと踏み込んでいった。

【氷雪洞窟】の真の試練はようやく始まる…………






超火鞭糸は誤字ではなく、仕様です。誤字報告されても直しませんのであしからず。ミフネのバトルスタイルをドミンゴにした理由は作者にも不明です。ほんとになんでだろうね?
それではまた次回!
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