ありふれない解放者は世界どこでも最凶   作:マイティージャック

14 / 16
大変遅れてしまい、申し訳ありません<(_ _)>〈 ゴン!〕
引っ越しと配属の関係で更新する暇が………
そんな訳で更新です。


七代迷宮【氷雪洞窟】中編2

 

 

コツ、コツ、コツ

 

上空を覆う雪煙を除けば無限回廊と呼ぶに相応しい迷路を、二人は足音を反響させながら進んでいく。

 

 

「……吸い込まれてしまいそうね」

 

 

ミフネの呟きを反音させながら先へと進んでいくと、暫くして不意に侑李が立ち止まって周りをキョロキョロと見回し始めた。

 

 

「どうしたのユーリ?」

 

 

「いや、急に誰かの声が囁くように聞こえてきてな……」

 

 

「や、やめてよね。そ、そういうの」

 

 

そう言うのが苦手なのか、軽くビビりながら侑李に言うミフネ。侑李は見聞色で反応を探ろうとするが、全くと言っていいほど反応がなく、困り果てていた。

 

 

「確かに聞こえたんだが…………………」

 

 

「ちょっと張り詰めすぎなんじゃいの?」

 

 

「……そうかもな」

 

 

ミフネの気遣いに、侑李は納得いかない表情を浮かべながらも同意の意を示す。それから順調に幾度かの分岐点を迷わずに進んでいくと、再び侑李が立ち止まった。

 

 

「……また聞こえた。やっぱり気のせいじゃねぇ」

 

 

「ユ、ユーリ?」

 

 

「今度ははっきり聞こえたぞ。『また、失ってもいいのか?』って!くそっ!誰だっ!どこに隠れてやがる!?」

 

 

自分だけにしか聞こえていない事実に、侑李は怒りに駆られて虚空に向かって怒声を上げ始める。少しして侑李は何とか落ち着き再び攻略をしようとした直後

 

 

「またかよ……」

 

 

侑李の耳にまた何か聞こえたのか、うんざりとした顔をし、先程のように取り乱しはしなかった。

そして、どこかで聞いた覚えがある声に気づき、首を傾げた直後、今度はミフネの顔が強張った。

 

 

「……ミフネ?」

 

 

「……私にも聞こえたわ。女の声で『また、頼るのかしら?』って聞こえたわ」

 

 

「……俺はさっき、男の声で『わかってるんだろう?』だった」

 

 

どうやら、聞く人によって声の質も内容も違うようである。侑李とミフネが互いに顔を見合わせている。

 

 

「……随分抽象的だな。惑わすにしては間接的過ぎる気もするな……」

 

 

直接、対象を惑わせる言葉でないことに侑李は疑問に感じ、その上、ミフネが声に聞き覚えがあるという報告に首を傾げながらも出口を目指して迷路を進んでいく。

やがて……

 

 

───無様に生き残ったお前が彼奴ら(・・・)に受け入れられると思っているのか?

 

 

───化け物なのに中途半端だな

 

 

───本当は憎んでいるくせに

 

 

───本当はどうでもいいくせに

 

 

侑李の耳に新たな囁きが聞こえてきた。内容も抽象的ともとれる内容を囁いていることに侑李は眉を顰める。そしてミフネがある事に気が付いた

 

 

「…………これ、自分の声ね」

 

 

ミフネが声の正体に気付く。侑李も耳を澄ませ注意深く聞くと

 

 

「……確かに自分の声っぽいな。だとしたらこの声は全部己の内にある不安や恐怖、嫉妬……そういった直視したくないもんを突き付けようとしているってところか」

 

 

「侑李の推測通りと見て間違いないね。囁く内容は、どれも心当たりがあるわ。相当な悪趣味ね。心の中を土足で踏み荒らしているのと同じだもの」

 

 

侑李はミフネの言葉に頷く。でも内心では有難いと思っていた。侑李が未だに腹を括りきれてない事がわかったからである。一族の全滅やクソったれに敗北した事など、その他にもちょっとした事が積み重なり、負の側面として侑李に囁いてきている。侑李はミフネが苦しんでいると思いミフネの方に視線を向けるとケロッとしていた。侑李が囁きが気にならないのかと聞くと

 

 

「私は既に腹くくってわよ。私が『盗賊として生きる』って決めた時からね。確かに過去、今囁かれている事とかで悩んだりしたわ。でも私なりに克服したの」

 

 

「………ミフネは強ぇな」

 

 

侑李は少し嬉しそうな感じで答える。それからも囁きは止むことはなく攻略を進めていく。何度か小休憩を挟みながら着実に奥に進む二人。すると通路の先に巨大な空間を発見した。部屋の奥には窪みない、相変わらずの意匠が凝っている巨大な門がある。

 

 

「ふぅ、ようやくゴールか。だが……」

 

 

「絶対、何かあるね……」

 

 

そして、案の定、部屋の中央まで進んだ時にそれは起こった。

 

 

「あ?……太陽だと?」

 

 

突如、頭上に光が降り注ぎ、頭上を見上げてみれば、確かに“太陽”と呼んでいい光の塊がある。同時にしゅういの全てが煌めいている。いわゆる、ダイヤモンドダストだ。だが……

 

 

「こいつは……」

 

 

明らかに自然界のダイヤモンドダストに比べると様子がおかしかった。過去に使徒(ポンコツ)共の攻撃を飽きる程見てきたからこそ、あれは魔力砲撃(レーザー)の前兆だと感づく。そして、それを見た侑李は武装のしモチを十個ほど展開した瞬間に証明された。

 

 

ビッーーーーーーーーー!!

 

 

そんな音と共に、放たれた閃光が縦横無尽に駆け巡っていく。宙に浮く氷片から放たれる閃光の軌跡は、完全にランダム仕様のようで、氷片の回転と移動に合わせて氷壁や地面にその軌跡を描いていく。それだけでなく、頭上の雪煙まで二人のいる空間に降り始めていく。如何に見聞色でランダムに繰り出される攻撃を感知しながら防いでいるとはいえ、視界が閉ざされてしまうのも相当不利となる。故に二人は強行突破を決断し、新たに展開した武装のしモチに守られながら出口の門まで進もうとするも───

 

 

ズドーーーーンッ!!

 

 

やはり、そう甘くはなく、上空の雪煙から大型自動車くらいはある氷塊が複数落ちてきた。ご丁寧に、氷塊の中には赤黒い結晶がある。

 

 

「チッ、本命か」

 

 

侑李が舌打ちした直後、それに呼応するかのように氷塊は一気に形を変え、体長五メートル、片手にバトルアックス、もう片手には如何にもギミックがありますよ満載のタワーシールドを持った人型の存在となった。その数、全部で十二体。

 

 

「さっさと蹴散らすぞ」

 

 

侑李はそう言って、アイスゴーレムの一体に向かって、無双ドーナツで力餅を放とうとする。

 

 

───妬ましい

 

 

再び聞こえてきた囁き声に、侑李は嫌な予感を覚え、すぐさま見聞色の極致である未来予知を発動する。未来予知して見えたのは、魔法具を此方に向けている困惑したミフネと無双ドーナツをミフネに向けている侑李の姿だった。

 

 

「チッ────!」

 

 

自身がミフネを攻撃しそうになったことに侑李は舌打ちしながら、全神経を集中させて攻撃をアイスゴーレムに修正する。直後、アイスゴーレムに向かって放たれる力餅。その巨大な拳は複数のアイスゴーレムが構えたタワーシールドで受け止められ、深々と打撃痕を刻みながらもその拳は防がれてしまった。ミフネも同様にアイスゴーレムに攻撃しようと魔法具を構えて攻撃を放つ。アイスゴーレムではなく侑李に。

 

 

「……え?」

 

 

見聞色で未来予知していた侑李は難なく躱す。ミフネが、何故?、みたいな困惑した表情でこちらを見ている。侑李はミフネに質問する。

 

 

「声は聞こえたか?」

 

 

「えぇ。ずるいわよね、って」

 

 

「………おそらくだが。攻撃の瞬間に囁き声が聞こえて、おそらく妬んでいる相手に誘導されたんだろう」

 

 

「……だとしたら厄介ね。無意識領域に干渉されると抵抗も解除も難しいわ」

 

 

「………兎も角。今は目の前にいる敵を倒すぞ」

 

 

「わかったわ!」

 

 

それから数十分後

 

 

ビッーーーーーーーー!!

 

 

雪煙を切り裂いて幾条もの魔力砲撃(レーザー)が撫でるように迫って来る。雪煙の中でも威力が全く減衰せず、寸前まで視認できなくなっている魔力砲撃(レーザー)は厄介さを増しているが、侑李には通じない。侑李は見聞色を駆使し、こちらに迫って来ているアイスゴーレムに牽制しながら最低限の動きで回避していく。見聞色の未来予知発動状態なら、楽々回避出来るので、魔力砲撃(レーザー)の回避も容易かった。魔力砲撃(レーザー)を回避し終えた侑李は、そのまま流れるように砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)を放つ。放たれた砂の斬撃は、振り下ろされていた透明に近い氷のハルバート諸共アイスゴーレムを両断する。別のアイスゴーレムは両腕から魔力砲撃(レーザー)を放とうとするも────

 

 

「遅ぇ」

 

 

侑李はそう呟くと同時にアイスゴーレムの両腕から魔力砲撃(レーザー)が放たれるが、侑李は軽く上体を逸らし全て回避する。侑李は構えた拳からの武装丸モチを放ち、魔石ごとアイスゴーレムの体を圧殺した。ミフネも糸による攻撃で的確にアイスゴーレムの魔石をを破壊していく。そこから十分後………

 

 

「これでラスト!」

 

 

糸ノコと言う技でアイスゴーレムを魔石ごと真っ二つにし、一先ず戦闘が終了した。その後、侑李の眼前の雪煙が渦を巻き始めていく。その突然の光景に二人で警戒していると、その渦は竜巻のように螺旋を描いて一直線に伸び、ゴールの扉までのトンネルとなって二人の前に現れた。螺旋の中心には氷片が一つもなく、魔力砲撃(レーザー)も通っていない。二人は警戒したまま、雪煙のトンネルを通過していく。トンネルを通ってゴールの扉に辿り着くと、頭上で輝いていた太陽が消え、雪煙も再び天に昇っていく。そして、出口であろう扉はクリアを示すように輝き出し、光の膜を形成し始めていく。それを見た二人は警戒を解いた。

 

 

「確認だが、怪我は?」

 

 

「問題ないわよ。でも、少し休みたいわね」

 

 

ミフネの提案に侑李は頷き、セーフエリアを展開し、中に入る。暖かい飲み物を飲みながら長めの休憩を取った二人は、

 

 

「ねぇ?この迷宮のコンセプトって『自分自身の内にある負の感情に打ち勝つ』がコンセプトなんでしょ?」

 

 

「そうだが。今更それを聞くのか?」

 

 

「確認よ。確認」

 

 

それから他愛もない話を続け、休憩を切り上げた。装備を整えミフネと相互に確認し、ある程度終わったタイミングで二人は光の門へと飛び込むのであった。

 




【氷雪洞窟】の表現って結構大変です。先達者の皆さんと被らないようしてますが………

完結に向けて頑張っていきます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。