ありふれない解放者は世界どこでも最凶 作:マイティージャック
2020/9/24 誤脱字修正と一部戦闘シーンの修正と加筆
『覇王色』の衝突。保有者の実力により、程度は変わるが、今二人が衝突したのは、規模が比較的小さい部類である。最大規模となると、天が割れ、辺りの天候が急変するレベルの災害級の規模である。
「覇王色ですか。まさか持っているならまだしも、これ程強力とは思いませんでした。」
そう評価する使徒とは対象に、侑李はイラついていた。
「…てめぇがなんで、覇王色をいや、覇気を持っている」
「我が主が授けてくれました。少々威圧するだけで、雑魚は気絶する覇王色。力を込めれば強度が増し、攻守両方共に優れた武装色。気配探知は勿論、魔力探知や人の感情まで感知できる見聞色。中々便利な力です。それに………」
使徒は言葉を溜めて、無表情ながらも嬉しそうに
「我等は主によって創造された。つまり、選ばれた者なのです。故に覇気を持っていて当然なのです。……貴方のように、たまたま持って生まれたのとは、格が違うんです」
そう言い、使徒が再び攻めてくる。使徒の剣戟をガードしながらも、侑李は怒りを増していく。
「(巫山戯やがってぇ!百歩譲って見聞色や武装色はいい。あれはその気になれば、殆どの奴が習得ができる。だが!)」
覇王色は違う。あれは極端な話、生まれる前から持つものであり、その者の王の資質である。断じて別の何かから、与えられる覇気ではない!侑李は片手で大剣を難なく掴み────
「ふん!」
大剣を
「なっ!」
「覇気の基本の『基』の字しか知らねぇ、ど素人が。格が違う?そうだな。俺とお前じゃあ格が違う」
「……そうです。私が上で貴方がし「違うな」たで……はい?」
「確かにステータスはてめぇが上だが、覇気に関しては違う。俺が上で、てめぇが下だ。意志のない覇気に、俺が負ける道理はねぇ。それに大剣を砕いた正体が分からんようじゃ、俺には勝てんさ。一生な」
使徒は、銀翼を展開し、大剣に固有魔法である『分解』乗っけて攻撃するが、同じ様に砕かれる。
「ッ!だったら………これで!!」
そう言って使徒は、大量の魔法陣を展開。魔法攻撃をするが、目をつぶった侑李に、悉く避けられ接近される。
「ッ!何故、此方の攻撃が通じないのですか!見聞色でも避けきれない数なのに!」
悲鳴じみた叫びで、侑李に問う。侑李は無言で避けながらも接近し、武装硬化した拳を叩き込む。使徒も応戦の為、武装硬化した拳をぶつけて対抗するが、侑李はそのまま押し込むように、上から捻り潰す。
「ぁぁああ!」
どうやら使徒の腕が逝ったらしい。顔が苦痛で歪みながらも、反撃しようと、右足で蹴ろうとするが、その前に侑李が
「ッ、何故!」
「さぁ?なんでだろうなッ!」
使徒は逃げようとするが、侑李は逃さないし
「上には上がいることを………知れ!」
武装硬化した両腕によるラッシュ攻撃を行い使徒を顔を中心に、タコ殴りにしていく。五分ほど経って、攻撃を止めると、使徒は『分解』や覇気を使い、辛うじて生きていた。そして……
「わらひうぉ、たほぉしへも、らいに、らいしゃんの、わらひが、あふぁたふぉ、たほぉs……」
侑李は最後まで聞かずに、空間魔法で奴の心臓を抉りとり、手で握り潰した。
「
侑李は叫びながら宣言し、戦いとも呼べぬ、一方的な暴力が終わった。
使徒が死んで魔法が解除され、元の空間に戻ってきた侑李は、使徒の死体を餅で作った棺桶にいれ、空間魔法で作った収納スペースにしまう。すると祭壇の上に来た時にはなかった魔法陣が存在し、侑李はその上に乗った。転移魔法のようで、【神山】の本当の最奥部に転移した。
本来ならそこで【神山】で獲得出来る、魂魄魔法を手に入れられるのだが、侑李の2m正面に、再び魔法陣が展開し、騎士型の
「…ラウスの野郎の構えか。なんのつもりだ?」
「……………!!」
ゴーレムが突撃してくる。侑李は武装色でガードしながら、砂で両断しようと攻撃するが、
「何!?」
砂がゴーレムに吸収させていく。今度は水分を奪おうとゴーレムに触れるが、手応えがない。その後も、砂での攻撃が全く効かず、攻めあぐねていると、ゴーレムが驚きの行動をした。それは────
「覇気…だと?!どうなってやがる!!」
ゴーレムが剣を武装硬化し、剣戟をお見舞してくる。そして剣戟だけでなく───
「魂魄魔法まで使えんのかよッ!クッソ腹立つ!益々、野郎にそっくりだな!!」
戦闘スタイルを『砂』から『餅』に切り替え、攻撃する。しばらく攻撃をしていると、ある事に気付く
「(やはり、砂の攻撃パターンは完璧に対処出来ていたが、餅の攻撃パターンだと、対処が杜撰だな。なら倒すだけなら容易だが、多分それじゃダメだな。何かある筈だ)」
侑李はそう考え、検証に入った。
ゴーレムとの戦闘が始まり二時間が経過しようとしていた。侑李は、攻略の糸口が見えず、膠着状態が続いていた。そして、そこから更に一時間が経ち、侑李はある事に気が付いた。
「(俺が砂を使うと、何かを再現しようとしている?…………再現?それはなんだ?!思い出せ!奴は何を再現したい?恐らく、俺とラウスの戦いだろうが、それは何時のだ?)」
侑李はラウスとの戦いを思い出そうとするが、如何せん前世含め二十年以上前の事なので、中々思い出せない。更に一時間が経ち、そろそろ夜明けが近い。あの
「もう、再現なんぞどうでもいい!無双ドーナツ!!」
侑李は無数に作り出したドーナツから武装硬化した巨大な角モチを生成する。そして───
「餅吟着!!」
一斉射出し、降り注ぐ雨の如く奴に拳を浴びせる。一分ほど続け、無双ドーナツを消す。そこにはスクラップと成ったゴーレムがあった。
「ハァハァハァハァ…………やっちまった」
遂、怒りに任せて殴りゴーレムを倒してしまった侑李。攻略失敗と思っていた矢先に、奥にある精緻で複雑な魔法陣が輝き出す。侑李は何故攻略できた理由が分からず、訳の分からない状態で取り敢えず魔法陣に乗る。そして三度目となる頭痛と攻略の出来事。
「グッ!……馴れない痛みだ」
侑李が文句を垂れていると魔法陣が再び輝きだし、ラウスが現れた。
『…どうやら、攻略できたようだな。一応、おめでとう、と言っておこう』
「一々、鼻につく言い方の野郎だ」
『どうせ"鼻につく言い方だ"、と言っているだろうが、これは記録映像だ。会話のキャッチボールは出来ない。貴様が死んでからの情報は俺の手記に纏めてある。魔法陣の近くにある筈だ。持っていくなり、読むなり好きにしろ。………………そうそう、あのゴーレムはどうだった?』
「……どうもこうも、クソ以外の何物でもなかったぜ」
『あれは俺の監修の元、オスカーに作らせた、対ユリウス用ゴーレムだ。いい出来だっただろ?ゴーレムの素材には世にも珍しい『
『
『
『倒せたという事は、砂以外の攻撃方法を手に入れたという事だな。俺は、前からお前に、攻撃に使える手札を増やせ、と言ってきた。あのゴーレムは、それがあるかどうかの確認の意味もあった。』
その後も野郎はグチグチと前世でも、腐るほど聞いた説教じみた内容の話をする。そして、時間がやってきた。
『………時間だな。最後にユリウス、奴を倒しお互いまっさらの状態になったら、酒を酌み交わそう。………お前のこれからに自由の意志と、清廉なる救いがあらん事を切に願う』
野郎は…ラウスは似合わない笑顔を浮かべながら、泡沫のように消えた。
「……似合わない笑顔しやがって」
そう言った侑李の頬には、一筋の雫が、零れ落ちていった。
その後、侑李はスクラップになったゴーレムを回収し、空間魔法で宿に戻る。部屋に酒樽を一つ出し、半分ほど飲み干したあと倒れるように寝た。次に目覚めたのが夕方で、早めの夕飯を食べ再び部屋に戻ろうとするが、酒場にいる客の言葉を聞いていた侑李は驚いた。
「明日は、勇者様が予定通り帰って来るってさ!」
「そりゃめでたい!みんなで乾杯だー」
「「「「かんぱーーーーい!!!」」」」
大勢の客が勇者の帰還に騒いでいる傍で侑李は
「(はぁ?明日帰ってくるだァ?)」
侑李は店員に聞いた
「あら、お兄さん。ようやく起きたのかしら?」
「あぁ、すまない」
「本当に大丈夫?
「は?……嘘だろ?」
「嘘じゃないわよ。なんだったら、今日の日付は………」
そう言って、店員は日付を言う。それにより、侑李はマジで一日爆睡していた事を自覚する。
「………すまない。迷惑をかけた。旅の疲れが思っていた以上に溜まっていたらしい」
「次からは、こまめに休憩を取ることね」
「……そうする。つかぬ事を聞くが、勇者……様が明日のいつ頃戻られるか、知っていたりしないか?」
「予定では、明日のお昼頃らしいわ。何でも今回戻ってくる訳は、どうも帝国から使者が来るらしいの。その顔見せのために戻ってくるらしいわよ」
「………随分と詳しく知っているな」
「宿屋兼酒場の店主を舐めちゃダメよ?あなたの情報も言った方がいいかしら?」
「………いや、いい。情報提供感謝する」
侑李はそう言って、カウンターに金貨を十枚ほど置き部屋に戻る。金貨を回収した店主は金貨の一枚を手に取り、キスをする。そして一言、
「毎度♡」
侑李が上がっていった、階段にウインクをした。
──────その頃の奈落───────
「こんな感じか?」
腕を硬化させ、迫り来る魔物を殴りつける。
「成功率六割って所か。精度が低いな。でもやっぱ───」
ドパンッ!
銃を構える少年、その銃から銃撃音を鳴らす。銃口の先を見ると額に風穴を空け絶命している魔物がいた。
「こっちの方が便利だな」
そう言って、少年は先に進む。吸血姫との出会いは、直ぐそこだ。
そろそろストックがなくなりそう。次は勇者と帝国使者との対面を影からこっそり見る侑李です。
宿屋兼酒場の店主のキャライメージは峰不二子(CV沢城みゆき)です。最近、PERT4とPERT5見ていて、出したくなっちゃいました。