とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

11 / 38
第十一話

 俺がムサシ丸としてログインすると噴水広場に立っていた。時間的には少々早いかと思ったがほぼ同時刻に黒い鎧の少女と初心者特有の簡易衣装の少女が現れた。

 

「あっ、ムサシ丸君!」

 

「今朝ぶりだな、メイプルに…えっと」

 

「サリーよ。此処では名前で言うのはマナー違反ね」

 

「委細承知。俺も此処ではムサシ丸って呼んでくれ」

 

「分かった。けど、その名前の由来って……」

 

「あぁ、苗字を弄った。ドイツ語やらフランス語やら使って名前をつけるのは面倒だしよ。シンプルで良いんだよ、シンプルで」

 

 白峯理沙こと、サリーは自分の事をサリーと呼んで欲しく、俺もその意図を組んで彼女の事をサリーと呼ぶ事にした。

 サリーが名前について言及するとちゃんと答えた。そしてその答えに大雑把だなと思った。

 

「とりあえずフレンド登録だけでも済ませようか」

 

 サリーとのフレンド登録を済ませるたが彼女が渋い顔をしていた。サリーの視線を追うと自分の恰好と俺とメイプルの恰好を見比べていた。

 

「やっぱ、この恰好は浮いているよね?」

 

「始めたばかりとはいえ、確かに浮いているな」

 

 期間的には五十歩百歩と思うが俺の装備は(多分メイプルの装備も)ユニークシリーズだから見劣りする気持ちがあるのかもしれない。

 

「生産職から依頼するのも良いし、誰も発見されていないダンジョンから見つけるって言う手もあるから気長にやろうぜ。あっ、今度イズさんの工房を紹介しようか?」

 

 

「それもそうか。私とメイプルは新しい盾の素材が欲しくて地底湖に行くの」

 

「うん、新しいスキルを取りたくて」

 

「成程な。俺も何か新しいスキルは欲しい所だ」

 

 俺の言葉に納得してくれたのかサリーは気持ちを切り替えてメイプルと一緒に素材集めに専念すると言い、俺はそろそろ時間だと言って二人と別れた。

 

 

 

 

 メイプルとサリーと別れた後、ムサシ丸がイズの工房へ足を運ぶと丁度準備を終えたイズがいた。

 

「イズさん、遅くなりました」

 

「あら、ムサシ丸君。時間ピッタリだから何の問題はないわ」

 

 どうして遅くなったと言ったのかとムサシ丸は自分とメイプルの共有の知り合いが今日NWOに始めてプレイした事とフレンド登録した事を説明する。

 

「へぇ~これはまた賑やかになりそうね」

 

「彼女がもし装備を必要としたのならイズさんにお願いするように言いました。イズさんの装備は質が良いのと、正直に言って知り合いの生産職がイズさんしかいなかったので…」

 

「あらあら、それは嬉しい事を言ってくれるわね」

 

 自分の友好関係の少なさに苦笑するムサシ丸にイズは微笑んだ。

 

「今日はよろしく頼むわ」

 

「分かりました」

 

 気持ちを切り替えてムサシ丸はイズの護衛を集中する。目的地はメイプルとサリーとは逆の方角にある山岳地帯に付くと早速モンスターが現れた。

 

「『挑発』」

 

 ムサシ丸がスキルを赤いオーラを纏うとモンスターがムサシ丸にヘイトが向くと一斉に襲い掛かったがムサシ丸はダンゴムシに似たモンスターをアッパーで粉砕し、ゴーレムの一体を回し蹴りで倒した。最後の一体のゴーレムは後退するがムサシ丸はその隙を見逃さなかった。

 

「『超加速』!」

 

 二倍になったAGIでゴーレムの背後を取るとムサシ丸はジャーマンスープレックスで倒した。

 

「ムサシ丸君、挑発の他にも超加速を持っているのね。どういうコンセプトかしら?」

 

「まぁ、コンセプトは『第二の盾』ですね。盾役がいないと盾役になり、逆に盾役がいたらアタッカーになると言った具合です」

 

「(成程ね……でも動き方からして相手に合わせてカウンターしているようにしか見えないけど)」

 

 彼のコンセプトを聞いてイズは納得する。元々格闘家はSTRとVITが伸びやすく大楯使いと比べると攻撃寄りの性能をしている。超加速は攻撃に参加するための補助目的で獲得したのだろう。

 だが、彼女は知らない。ムサシ丸の動きは誰にも真似できないと言う事に。

 

 

 

 

 やがて目的の素材が採れる場所に辿り着くとイズは意気揚々とピッケルを振って採取している。

 DEXは0ではないが低いムサシ丸は邪魔にならないように周囲を警戒していると岩石で出来た蠍が出現した。すぐさま挑発を発動させて自分にヘイトを向くようにした。構造からして接近戦になるかと思ったら石の弾丸を飛ばして来たのだ。予想外の攻撃であったが何とか右手で弾いた。

 

「うおっ!こいつあの見た目で遠距離攻撃してくるのかよ」

 

 一人なら簡単に避けて攻撃出来るが今回はイズがいる。このままでは流れ弾が当たる可能性があるため攻撃を弾き飛ばして相手の動きを観察していく。

 

「(あいつの攻撃方法は石弾のみ。軌道とタイミングは読めが攻撃手段が少ないんだよな…レンジのある魔の型でもギリギリ届かない距離だしな)」

 

 どうしたものかと逡巡していると打開策を思い浮かんだ。ある種の賭け事ではあるがやってみる価値はある。蠍型のモンスターがまた石弾を飛ばす。それと同時にムサシ丸は攻撃の軌道から少しだけ逸らす。

 

「(軌道…タイミング…)此処だ!」

 

 ムサシ丸は石弾が通過するタイミングで石弾を右脚で蹴り返した(・・・・・)のだ。蹴り返された攻撃は蠍型のモンスターに当たりダメージエフェクトが発生した。

 

「ビンゴ!」

 

 敵の攻撃を返せた事で狂暴な笑みを浮かべるムサシ丸。また同じ攻撃をしてきたので逆の脚で蹴り返して蠍型のモンスターを倒した。

 

「この方法なら遠距離攻撃を捌けるな」

 

『スキル「マジックリフレクター」を取得しました』

 

 遠距離攻撃の対策法が出来たと思っていたらスキル習得のアナウンスが流れた。

 

『マジックリフレクター:魔法攻撃を半分の威力で反射する。方向は任意に変更できる 取得条件:相手の攻撃魔法を返して倒す』

 

「えっ?あれ魔法攻撃扱いなの?」

 

 取得条件を見て素っ頓狂な声を上げてしまったムサシ丸。あの蠍型のモンスターの攻撃が魔法攻撃だったとは思わなかったようだ。

 

「ムサシ丸君のおかげでお目当ての素材の採れた……どうしたの?」

 

「い、いえ…棚ぼたな出来事にちょっと固まっているだけです」

 

 目的の素材が採れてウキウキなイズが困惑しているムサシ丸に声をかけたが乾いた笑みが返ってきた。

ムサシ丸のテイムモンスターは

  • メカっぽいオルトロス
  • 悪魔チックなTレックス
  • 空飛ぶ鯨
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。