とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

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第十五話

 光が収まるとムサシ丸が立っていて、そこは鬱蒼と生えた森の中だった。

 

「森か…前回と同様、飛ばされるのはランダムか」

 

 周囲に敵がいない事を確認すると近くにメダルを探してみたがやはりと言うべきか無かった。

 

「(広さは分からんがダンジョンや目立たない場所にメダルがあると仮定して逆に目立つ場所にあるならそれ罠の危険性があると考えて行動した方が良いな)敵が来たら真っ先に叩くか」

 

 粗方の目星をつけたムサシ丸は森の中を散策する。道中でメダルを狙うプレイヤーやゴブリンや狼のモンスターに遭遇したが犬○家の一族のようになっているか空高く殴り飛ばしたため問題はなかった。

 

「モンスターのAIが強化されても俺には関係ないな。貫通攻撃スキルは少しのタイムラグがあるから」

 

 自身も持っているので発動後に少しのタメがあるのは分かっている。それをどうやって克服するかを考えていると巨木のうろを見つけた。

 

「ダンジョンの入口っぽいな」

 

 とりあえず触れてみると魔法陣が出現しムサシ丸を飲み込んでしまった。

 飲み込まれた彼がいるのは先程の鬱蒼と生えた森ではなく木製の通路であった。

 

「まるで日本の城の中だな」

 

 探索してみると蜂や蟷螂のモンスターが襲い掛かってきたがムサシ丸は全て倒した。忍者がコンセプトなのか人型に近く、攻撃行動も奇襲が多かった。

 

「森の中で戦ったモンスターより速いけど対処できない程でもないな」

 

 ムサシ丸の死角を突いて来たが元々視野が広いのですぐさま対処ができた。モンスターを倒しながら通路を進むと漸くボスモンスターが待ち構えている扉まで来た。

 扉を開けると忍者装束を着たクワガタのボスモンスターがいた。手には自分の顎とよく似た近接戦闘用の得物が握られていた。

 ムサシ丸が戦闘態勢に入ると同時にボスは姿を消した。

 

「なんじゃ!?」

 

 いきなり姿を消した忍者ボスに目を丸くして動きを止めてしまったムサシ丸であったが自分がいる場所が危険を感じて離れると床にクナイが突き刺さっていた。投げられた先を見ると忍者ボスがいて、また姿を消した。

 

「素早さはあっちの方が上か」

 

 AGIに関しては忍者ボスの方が上ではあったが対処はできる。しかし、問題は攻撃時にしか姿を現さない事だ。また姿を現したのは近接戦闘用の得物の攻撃の時だった。

 ムサシ丸はそれを避け、ボディブローを入れてなんとかダメージエフェクトを発生させた。分が悪いとまた姿を消してクナイによる遠距離攻撃を仕掛けて来た。当然、ムサシ丸はそれに対応する。

 

「ちっ、鬱陶しい。移動中に姿が消すのは反則だろ」

 

 打撃での攻撃は時間がかかると判断したムサシ丸は忍者ボスの振り下ろしの一撃を紙一重で避けると大内刈りで地面に叩きつけた。幸いにもこのボスはVITもHPもそんなに高くないので投げの一撃で半分以上のダメージが入った。しかし、此処で逃してはいけないと思ったムサシ丸は更なる攻撃を仕掛けた。

 

「これでも食らってろ!」

 

 ムサシ丸が次にしかけたのはなんとキャメルクラッチ。もし、この場にサリーやクロムがいたらその行動にツッコミを入れていただろう。忍者ボスは腰部が二つに折れ、光の粒子となって消えた。

 

「ふぅ~、危なかった。姿を消しながら移動するとか対応できる奴いんのか?まぁ、メイプルならやれそうか。さてと、宝箱の中身は…」

 

 宝箱を開けると一枚の銀のメダルと巻物が入っていた。巻物の方はスキルを売っている店で見た代物のため報酬のスキルだと理解した。

 

「メダル一枚とスキルか。滑り出しとしては上々かな。スキルはどんな物だ?」

 

 スクロールを開けるとスキルを獲得したアナウンスが流れた。

 

『天網恢恢:3分間指定した相手の隠密系スキルを使用不能にし、STRとAGIに隠密系スキルの所持数×10%ダウン。一時間後に再び使用可能』

 

「これは一部のプレイヤーに対して強い敵意を感じるな」

 

 斥候や暗殺者のようなプレイをする人に対して天敵とも言えるスキルだ。指定された相手はスキルが使えなくなる上にデバフが付与される。

 不意打ちしてくるプレイヤーに対して有利が取れるのでこれはこれでありがたいと思った。

 

「この調子で新しいスキルを増やしていくか」

 

 第二回イベントならメダル以外でもスキル獲得が出来ると分かったムサシ丸は意気揚々と魔法陣を踏んで外に出た。

 

 

 

 

運営サイド

 

「マジか、忍者が倒された」

 

「あれって俺達の悪ふざけシリーズ程じゃないが上級者でもソロだと難しい奴だぞ。攻略したのはどこのパーティーだ?」

 

 ボスとしてはHPとVITは低いが高いAGIと移動中は姿が消えるためソロで挑むのであれば上位プレイヤーくらいの実力がないと倒せない。

 

「いや、攻略したのはソロだ。えっ……ムサシ丸?」

 

 倒したプレイヤーがムサシ丸だと知るや否やどうやって倒したのかと気になってしまう。急いでその時の映像を観る事となった。

 その映像には信じられない光景が映し出された。

 

「「「「きゃ、キャメルクラッチ!!?」」」」

 

 まさかのプロレス技でとどめを刺すムサシ丸に全員驚愕の声を上げた。

 

「幾ら、背格好がほぼ同じで格闘王があるからってこれは予想外すぎるぞ」

 

「まぁ、第一回イベントでプレイヤーをプロレス技で倒すのを何度か観たから驚かないけどよ。まさかボスモンスター相手にやるとは…」

 

「と言ってもムサシ丸がプロレス技や柔道技を使うのは特定の条件下の時だけだからあまり脅威ではないんだよな。今のも敵が移動中に姿を消すから投げからのプロレス技で仕留める方が良いと判断したんだろう」

 

 運営側もムサシ丸の行動には驚かされるがメイプルよりも脅威とは思っていない。彼が他のプレイヤーに対して脅威なのは相手の思考を読む能力と裏をかける手札の数だ。打撃かと思えば投げ技か関節技をしかけ、その二つに注視すれば打撃が飛んでくる。そのため彼と対峙したプレイヤーはその三択を直前まで考えなければならない故に脅威だ。

 しかし、モンスターが相手だとその脅威は低くなる。相手が倍以上に大きかったり形がスライムだったり四つ足の動物だとムサシ丸が取れる有効な選択肢は打撃に限られるため運営側としてもあまり問題視にしていない。

 

「忍者のようなダンジョンボスならさっきみたいな事が起こる事は分かった。次の階層のボスを作る事にも使えるからこの失敗は収穫だ」

 

「苦手とする形状が目に見えているからこっちとしてはやりやすいんだよな」

 

 奇想天外な行動で運営側を引っ掻き回すメイプルと明確なプレイスタイルに加えて少し考えれば誰でも出来るスキル使用をするムサシ丸なら後者の方がまだ対策がとれるのだ。

 

「後はどのスキルを選ぶかだな」

 

「ムサシ丸がスキルを使うのってここぞと言う時か補助の時だし。マジックリフレクターの件は少しだけ考えれば誰でも使えるからまだ胃に優しいよ」

 

 行動自体には驚くがメイプルよりも理由が分かれば簡単に納得できる。それが運営側からのムサシ丸の評価であった。

 

 

 

 

 一つのダンジョンを攻略したムサシ丸は当てもなく彷徨っていると海辺に出てしまった。

 

「綺麗な所だな。海辺だし潜ったらなんか見つかるかもな」

 

 一応『潜水』と『水泳』はⅥあるので多少の時間なら潜って探索できる。必要ないかもしれないが昔からの癖で準備運動をしていると敵意に近い視線を感じた。

 振り返ると桜色の着物と紫色の袴姿に腰には日本刀を差した女性プレイヤーがいた。

 

「やはり、気付かれてしまったか」

 

「確かアンタは前回のイベントで七位の…」

 

 そこには第一回イベントで第七位の『カスミ』がいた。

 

 

ムサシ丸のテイムモンスターは

  • メカっぽいオルトロス
  • 悪魔チックなTレックス
  • 空飛ぶ鯨
  • その他
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