とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

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第二十二話

 女性の弓使いプレイヤーアジタート。その正体は雄介(ムサシ丸)の従姉であった。

 

「まさかNWOで身内に会うとはね…」

 

「俺だって驚いているよ」

 

 現実世界で頻繁に連絡しているので両者の関係は良好である。

 

「NWOをプレイするきっかけは何?後、腕と足の具合は?」

 

「腕は月に一回かないかくらい感覚でちょっと痺れるけど問題はないよ。総合格闘技が出来なくなった矢先に抽選で当たった。そっちは?」

 

「希望していた会社に入社は出来たもののサバゲーが出来る場所が無くてね…」

 

 アジタートの趣味はサバイバルゲームなのだができる場所が近所にないためVRMMO内で発散しようと思って購入しプレイしている。魔法使いではなく弓使いを選んだのは祖父から弓道を教え込まれたためである。

 

「最初は普通の弓で戦ってきたんだけど…さっき潜ったダンジョンで壊れちゃったんだけど報酬でこれを貰ったから問題ないけど」

 

 ムサシ丸に見せたのは漆黒の弩。

 

「弩か?というかこのゲームだと弩は弓扱いなのか」

 

「そう、名前は『魔導弩(まどうど)・アルカンシェル』。今の私のメインウエポン」

 

 アルカンシェルは虹と言う意味だ。それに関するスキルではないかとムサシ丸は考えている。

 

「これの能力は…って招かねざる客が来た」

 

 その台詞に応じてムサシ丸は敵意を感じて振り返ると大剣使いと短剣使いが姿を現した。ムサシ丸もアジタートも姿を現した二人よりも他の方角に目を向けている。

 

「(この感じ、姿は見えないけど遠距離攻撃が得意な魔法使いか弓使いがいるな。前に出て位置を割り出すか?)」

 

 もう一人の存在にはムサシ丸は感じ取っていた。しかし、どこにいるかまでは掴めていない。フェイントで釣りだそうかと思って行動に移す前に後方から得物を狩る猛獣のような視線を感じた。

 

「『色付与(カラーエンチャント)(オレンジ)』」

 

 アジタートがアルカンシェルを明後日の方向に向けるとオレンジ色のオーラを纏った矢が放たれた。すると頭に矢を生やした弓扱いが地面に堕ちた。

 

「私に不意打ちなんて100年早い」

 

 アルカンシェルを構え不敵に笑うアジタート。

 

「(相変わらず、櫻姉の共感覚(・・・)は恐ろしいな…)」

 

 彼女をよく知るムサシ丸はその特異性を知っている。アジタートは所謂共感覚持ちで自分に向けられた他人の意識や感情、その人の印象を音として捉える事が出来るのだ。ムサシ丸を見た時に『メタルのような凶悪さ』と言っていたのは彼女が持つ共感覚が原因である。

 普段の生活ならこの特異性は嘘を見抜くくらいしか役に立たないがVRMMO空間や趣味であるサバゲーだと有利に働く。何故なら不意打ちにしてくる人間を予見し対処できるのだ。不意打ちの対処ならムサシ丸もできるが持ち前の空間認識能力と格闘技経験によって培われた物だが姿を消すスキルとは相性が悪い。しかし、アジタートは共感覚によるものなのでスキルでの隠蔽効果は意味をなさないのだ。

 遠距離からの不意打ちが効かないと思っていなかったのか他のプレイヤー等に動揺が走っている中でムサシ丸は大剣使いにボディブローを叩き込み、ひるんだ所に首筋に回し蹴りを入れて光の粒子に変えた。

 

「なら接近戦で!」

 

 遠距離が駄目なら接近戦で倒さなければならないと踏んだ短剣使いはアジタートに短剣を向けるがムサシ丸からしたら自殺行為にしか見えなかった。

 何故なら襲ってきた短剣使いの顔面に鋭い蹴りが飛んできたのだから。

 

「んな雑な攻撃が効くか」

 

「(うわぁエグイ蹴りも健在だな…)」

 

 祖父から武術を教わった二人だがムサシ丸は満遍なく教わったのに対してアジタートは打撃、特に足技を重点的に教わったのだ。彼女が学生時代の時に強盗の頬骨を蹴りで砕いた話が親戚たちの集まりで聞いた。

 短剣使いはアジタートの行動に面喰ってしまいムサシ丸に意識が向いていなかったため容易く背後を取られバックドロップで倒された。

 

「ナイス、プロレス技」

 

「そっちも蹴りの鋭さは健在だな」

 

「健康と美容とダイエットのために毎日サバットの型を反復練習しているのからね」

 

「(ダイエットや健康は分かるけど美容に関係あるのか?…いや、口に出すのは野暮だな。死にたくないし)」

 

 アジタートが蹴りの素振りを見たムサシ丸は半眼になっている。それは以前、父が不用心な発言で母の地雷を踏んでしまい、阿修羅を軽く凌駕する存在となった母のプロレス技フルコースの餌食になった場面を見てしまった事からそれ以降女性に対して不用心な発言はしないよう気を付けている。

 

「さっきのオレンジの矢がその装備のスキル?」

 

「そう、色付与(カラーエンチャント)って言うスキル。オレンジは射程100mで10m事に威力が10アップするの。色によっては別の効果がある」

 

 つまり他にも六個もあると言う事になる。

 不意に足元を見ると銀色のメダルが散らばっている。

 

「メダルあるけど、どうする?」

 

「私はアルカンシェルがあるからメダルはいらない」

 

「分かった。なら全部貰うよ」

 

 一プレイヤーに付き、一枚なので全部で三枚。ムサシ丸は合計で五枚のメダルを獲得したことになる。

 

「あっ、フレンド登録しようか」

 

「良いぜ、それは俺も願ってもないことだ」

 

 アジタートとフレンド登録を終えたムサシ丸は彼女と別れた。

 

 

 

 

 従姉のアジタートと別れた後、ムサシ丸は再び火山地帯を目指す。

 

「(まさかの身内に会うとは世間は狭いな…あの人の動きを見るに敵対すると面倒な相手だな。手の内を知っている俺以外だとメイプル?いや、あいつは訳の分からない事してくるから不明だよな)」

 

 アジタートと戦った場合どうなるかを脳内でシミュレーションするが勝つには相当な苦労を強いられるだろう。メイプルだと何をしですか分からないためシミュレーションできない。

 色々と考えていると目の前に見知った集団がいた。

 

「あれ?ミィさん?」

 

「ん?ムサシ丸か」

 

 見知った集団とはミィ、ミザリー、マルクスともう一人は初めて会うプレイヤーだった。

 

「俺はアンタらと戦う気はないよ」

 

「それはこちらも同じ。お前の実力を知っている以上、我々もただでは済まない。ならば戦わないのが最善の手だ」

 

 降参を意味するポーズをとるムサシ丸を見てミィも彼の実力を知っている以上、お互い戦えば被害が出ると踏んでお互い戦闘行為には発展しなかった。

 

「所で貴方は此処に?」

 

「イベント中にダンジョンに関するヒントがある場所を見つけて目ぼしいダンジョンをピックアップしてここへ来たと言う訳です」

 

「そうなの?」

 

「尤もその場所は今あるか分かりませんがね」

 

 なんせ、その場所は図書館でありその場にあるクエストがカナデによって攻略したならばその場所はもう使えないだろうと思ったためそう言ったセリフを選んだ。

 

「成程。ヒントのある場所が存在していたと言う訳か」

 

「俺が見つけられたのは偶然ですがね」

 

 これは嘘ではないためその事を伝える。すると一人のプレイヤーがムサシ丸に話しかけてきた。

 

「お前がミィの言っていたムサシ丸か?」

 

「そっちがどんな話が広まっているか分からないが如何にも俺がムサシ丸だ。アンタは?」

 

「俺はシン(・・)。済まないが俺と戦ってくれないか?」

 

 まさかの戦闘の申し出にムサシ丸は面食らったのであった。

 

ムサシ丸のテイムモンスターは

  • メカっぽいオルトロス
  • 悪魔チックなTレックス
  • 空飛ぶ鯨
  • その他
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