とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

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これにて第二回イベント終了です


第二十六話

 ムサシ丸とサリーは目標の枚数のメダルを集めたので今は洞窟にやってきたプレイヤーを倒している。そろそろ六日目が終盤に差し掛かった頃にカスミと出会った。

 彼女も第一イベントで入手した金のメダルを持ち帰りたいため身を隠す場所を探していたところに彼らのいる洞窟を発見した。カスミが此処に居ていいかと問うと二人は問題ないと言って承諾した。そしてカスミがいる事によって他のプレイヤーからモンスターと間違える事はないが逆に金のメダルの誘惑に負けて戦闘になる可能性があった。しかし、中ボス枠が二つから三つに増えて難易度が更に上がり洞窟に入ってきたプレイヤーを悉く倒していく。

 そうやって残りの三十分間をやり過ぎしていると後ろの通路からメイプルがやってきた。

 

「サリー、ムサシ丸君!三匹のレベル上がったよー!……あれ?カスミ!?」

 

「最終日が間近となって対人戦が横行していてな。少しの間身を隠そうとしてたんだ。無論、二人にも許可を得ている。……こちらも訊きたいのだがその三匹は何だ?」

 

 カスミはメイプルに事情を話すと今度はテイムモンスターについて訊いてきた。その話はムサシ丸とサリーが説明した。

 

「幻獣の卵か……私も多くのプレイヤーと出会ったが現状では三人しか持っていないのかもしれないな」

 

「入手する方法は私とメイプルが倒した怪鳥のような強力なボスモンスターを倒すか」

 

「見つけるのが困難な場所にあるか、だな」

 

 情報が少なく推測の域を出ていないがそのように考えるのが妥当であるとムサシ丸、サリー、カスミはそう結論付けた。

 サリーはメイプルのスキルが復活し、シロップ達の育成も出来たのでこの洞窟から出るかとメイプルに訊いたが、メイプルはメダルが集まっているので外に出たくないと返答した。

 そんなサリーはメイプルに出入口の通路を潰して欲しいと頼んだ。

 

毒竜(ヒドラ)!」

 

 メイプルの十八番と言うべき三つ首の毒竜が広間から外まで放たれた。その際に毒竜の餌食となったプレイヤーの悲鳴をムサシ丸は聞き逃さなかった。

 

「『ヴェノムカプセル』!」

 

 更にはダメ押しと言わんばかりに毒の塊を配置して奥の通路と同様に毒塗れとなった。

 

「おい、さっきの毒竜で何人かやられたぞ」

 

「どうせ私達も此処から出られないから良いんじゃない?」

 

「そうだな……信じているぞ?」

 

 心配そうに言うカスミだがメイプル達もムサシ丸も既に目標を達成しているので戦うメリットがないので全員、交代しながら休息を取る。

 尤も、ムサシ丸は女性同士の中に入るのが気恥ずかしいのか少し離れた場所で休息を取った。

 

 

 

 

 最終日となる七日目。

 今日一日此処でやり過ごすだけなので何をするかと話し合おうするが、サリーがある提案をする。

 

「メイプルが遊び道具持っているからそれで遊ぶ?」

 

「トランプとかオセロとか色々あるよ!」

 

 そう言ってメイプルがアイテムウィンドウから遊び道具を出す。オセロに将棋、トランプ、更にはけん玉まであった。

 

「本当に色々あるな。にしてもけん玉か…」

 

「やったことあるの?」

 

「総合格闘技をやっていた時に集中力を高めるトレーニングで一通りの技を習得しているし今でもやっている」

 

 そう言ってメイプルからけん玉を借りると基本的な大皿、中皿、小皿から始まり、とめけんに飛行機、もし亀、日本一周に世界一周と次々と難易度の高い技を成功させる。

 

「う、上手い…」

 

「ムサシ丸にそんな特技があったなんて知らなかった」

 

 意外な事実にメイプル達が目を丸くする。

 それからオセロでメイプル対サリーとの戦いでメイプルが圧勝したり、将棋ではムサシ丸とカスミが互角の勝負の末、カスミの勝利で終わる等つかの間の一時を過ごしているうちに第二回イベントの終了を告げるチャイム音が流れた。

 チャイム音が流れてから五分後にムサシ丸達は光の粒子となると第二層の広場に戻っていた。

 

『改めて皆様。第二回イベントお疲れ様でした!今から三十分後、スキルとメダルの交換所に該当する方を転送いたします。仲間の方とメダルの受け渡しがある場合は今のうちにお済ませください。尚、専用の部屋へは個別に案内するので取得のご相談は不可となりますのでご了承ください』

 

 サリーとメイプルがメダルの受け渡しをしているがムサシ丸はどんなスキルがあるのか楽しみにしている。

 そして該当するプレイヤーは専用の部屋へと向かった。

 

 

 

 

 光が収まるとスキルが会得できる専用ルームにムサシ丸はいた。

 

「(色々あるな……魔法系のスキルは除外として格闘家のスキルはあるにはあるがどれもパッとしないな)」

 

 運営側が用意されたスキルを見てみたがどれも物足りないと感じている。

 

「(他の装備のも見てみるか。……ん?)」

 

 大盾使いのスキル欄を見てみるとそこには『不屈の守護者』と言うスキルがあった。

 

「(一日一度だけ、どんな攻撃もHP1で耐えるというのはあれ(・・)との相性が良いな)」

 

 ムサシ丸の思うあれとはこのイベントで取得したスキル『復讐の一撃(ヴェンジェンス・ストライク)』の事でこのスキルはダメージを受ければ受けるほど攻撃力が上がるため『不屈の守護者』と組み合わせる事でかなりの火力を出せるのだ。

 

「(もう一つは……この『バトルヒーリング』も良いな。回復しながらダメージ値を稼げる)」

 

 ムサシ丸も一応ヒールは使えるが使う時にタイムラグが発生するので積極的に使う事がないためバトルヒーリングの存在はありがたい。

 金のメダル一枚と銀のメダル十枚を使用し『不屈の守護者』と『バトルヒーリング』を取得し専用ルームを後にした。

 

 

 

 

 スキルを選び終わり、広場に戻るとベンチでメイプルとサリーが何やら話し合っているのを見かけた。

 

「あっ、ムサシ丸君」

 

「二人とも、もうスキルは選び終わったのか?」

 

「まぁね。ムサシ丸も今終わったところ?」

 

「あぁ、第二回イベント内で獲得したスキルのシナジーを考えてパッシブスキルを二つな」

 

「ムサシ丸君も色々考えているんだ」

 

「いや、それが普通だから。自分でも使えるか分からないスキルは誰も取らないから」

 

 メイプルの発言にサリーが突っ込むのを見てまた突拍子もない発想でスキルを選んだのではないかとムサシ丸は直感した。

 此処では目立つと言う事で三人は人気のない砂漠エリアへ向かった。

 

 

 

 

 人気のない砂漠エリアへ行くとメイプルは闇夜ノ写をしまい、シロップを覚醒させた。

 

「よーし!まずはシロップ新スキルから。シロップ、『巨大化』」

 

 そう唱えると彼女の腕に抱えられるくらいの大きさしかなかったシロップが一気に倍以上の大きさになった。

 

「でっか…そのスキルって大きくなるだけ?」

 

「HPも二倍になるよ」

 

「巨大化か。メルヴィルも似たようなスキルを持っているな」

 

 巨大化のスキルの説明を聞いてムサシ丸もテイムモンスターのメルヴィルがあるスキルを取得した事を思い出してメルヴィルを覚醒させる。

 

「メルヴィル、『超巨大化』!」

 

 そう唱えると大型犬サイズのメルヴィルが巨大化したシロップの二倍以上の大きさになった。

 

「うわぁ~シロップより大きい」

 

「で、デカすぎでしょ」

 

「モチーフがクジラだしそりゃデカくなるわな」

 

 シロップよりも大きくなったメルヴィルに興奮するメイプルにあまりの巨体に言葉を失うサリー、モチーフがモチーフなので全く驚かないムサシ丸と三者三様のリアクションをする。

 

「でも、普段使いは出来そうにないな」

 

「どうして?」

 

「デカすぎて小回りが効かないのと洞窟とか閉鎖的な場所だと的にしかならない。精々、パーティーを運ぶくらいだろうな」

 

 HPが倍に増えても身動きがとれなければ意味がないと判断したムサシ丸はパーティー時に移動するための足として使うくらいしかこの超巨大化は使う事はないだろう。

 

「次はメダルスキルを試すのか?」

 

「うん!上手く行け~」

 

 深呼吸して獲得したメダルスキルを発動させた。

 

「『念力(サイコキネシス)』!」

 

 そう唱えるとシロップが段々宙に浮き始めた。

 

「上手くいった!!やったー!」

 

「モンスターを浮かせるスキルか?」

 

「うん、シロップと一緒に空を飛べると思ったから!ムサシ丸君のメルヴィルは『空中遊泳』ってスキル?のおかげで空を飛べたから」

 

 彼女の説明とそれを選んだ動機を聞いてサリーはメイプルらしいと思い頭を抱えた。貴重なメダルスキルなのだが相も変わらずメイプルの天然な行動には驚かされる。

 そうしている内にダンゴムシのモンスターが大群でやってきたがメイプルが『アシッドレイン』で駆逐された。

 

「うわぁ……」

 

「もはや空中要塞だな。メルヴィルの力で何とかなるか?」

 

 毒の雨を降らせるメイプルにますます頭を抱えるサリーとどうやって攻略しようかなと考えているムサシ丸であった。

 

 

 

 

運営サイド―――――――

 

「何でだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

「どこをどう考えたらそんな使い方に行き着くんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

 運営全員はメイプルが念力を使って巨大化したシロップを浮かせる映像を観て発狂していた。

酷い者はヘビメタのロックバンドの如くヘッドバンキングしている。

 

「変な使い方出来そうなスキルをこれでもかと確認したはずなのに!!」

 

「それが慢心なんだよ!?メイプルの普通は俺達の普通じゃない!」

 

 阿鼻叫喚地獄に陥っている最中、一人の運営人が呟いた。

 

「そう言えば、ムサシ丸はどんなスキルを選んだんだ?」

 

 その一言で運営全員が冷静になった。

 メイプルの事で忘れていたがムサシ丸もムサシ丸で十分化物である。しかし彼の場合は自分の技量で可能と判断すれば突飛な行動を取るがメイプルと違って理由が分かりやすいので頭を抱える事はあまりない。

 

「ちょっと待て………ムサシ丸が選んだのは『不屈の守護者』と『バトルヒーリング』だ。どちらも大盾使いがよく持っているスキルだな」

 

「意外と言えば意外だな」

 

 ムサシ丸の事だからてっきり攻撃系スキルを選んだと思っていたが実際には防御系のスキルを選んだことに驚いている。

 

「恐らくだが俺が作った黒騎士を倒して得た『復讐の一撃』の相性を考えて選んだのだと思う。あのスキルはダメージを負えば負う程火力が出るから」

 

「成程。そう考えると分かりやすいな」

 

 イベント内で取得したスキルのシナジーを考えて選んでくれた事に運営は安堵のため息を吐くのであった。

 

ムサシ丸のテイムモンスターは

  • メカっぽいオルトロス
  • 悪魔チックなTレックス
  • 空飛ぶ鯨
  • その他
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