とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

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第二十七話

 第二回イベントが終了してログアウトすると既に午後11時になっている。予習復習はイベント前に終わっているので後は寝るだけ。

 ベッドに入ったが普段ならすぐ寝むれるのに今は眠れる気がしなかった。結局、夢の世界に旅立てたのは午前12時を回った時だった。

 

「ふわぁ~眠…」

 

 翌日。いつもより遅く家を出た雄介は欠伸をしながら教室に入ると本条楓(メイプル)白峯理沙(サリー)が話し合っていた。

 

「本条に白峯、おはよう」

 

「おはよう、武蔵君」

 

「おはよう、武蔵。第二回イベントお疲れ」

 

 二人に挨拶をしたら理沙から第二回イベントの件で労われた。

 

「そうそう、二人とも気を付けた方がいいよ」

 

 彼女から気を付けろという言葉に対して雄介と楓は首を傾げた。

 

「楓も武蔵も長時間ログインしっぱなしの経験なんてないでしょ?だからリアルでゲーム内の癖が出ちゃうかもしれないから気を付けてって事」

 

「マジか。それは気を付けないと駄目だな」

 

 ゲーム内の癖が現実世界でやってしまえば恥ずかしい事この上ない。雄介はやらかさないために心から気を付けようと思った。

 

 

 

 

 一限目。真ん中よりやや後ろの窓側に近い席で雄介は真面目に授業を受けている。

 板書の内容をノートに纏めている手を止めて窓側に近いため陽射しの心地良さに負けて熟睡している楓に対して半眼になっている。

 

「むにゃむにゃ……」

 

 堂々と寝ている楓に教師は珍しく思い、肩を揺らして楓を起こしにかかった。

 

「あれ?もう見張りの交代?」

 

「(あらら……気持ちよく寝ているな…)」

 

 寝惚けた楓は教師から『見張りの交代ではなく授業の時間ですよ』と注意された。

 

「(こいつは重症だな。俺も気を付けないといけないな)」

 

 楓が受けた注意をされないためにも気を引き締めて授業に取り組んだ。

 

 

 

 

 放課後。

 元気の塊みたいな楓が重い空気を纏って帰路についている様子を見ていた雄介は彼女の隣にいた理沙に話しかけた。

 

「白峯。本条の奴、やらかしたのか?」

 

「うん。午後の体育の授業で…ね」

 

「何となく察しは付いた」

 

 午後は男女別で女子は体育館でドッジボールをしていた際にゲーム内の動きをしてしまい、恥ずかしい思いをしたそうだ。因みに男子はグラウンドでサッカーであった。

 

「そう言えば武蔵はこれと言った失敗はなかったよね?」

 

「総合格闘技の大会の時に色々な場所へ行く事があったし多少は慣れている。それに……今の俺はこれがあるからな」

 

 雄介はそう言って制服の左袖(・・)をめくり上げると痛々しい痕があった。それは以前、彼が交通事故で負った傷痕だ。右脚にも怪我を負っているが左腕より軽傷なので傷跡が残るくらいくらいで済んだ。

 

「ゲーム内では消えているが現実だと残っているからそれでどうにかなった」

 

「そっか……なんかゴメン」

 

「気にすんな。もう過ぎた事だ」

 

 一時は抜け殻のような生活を送っていたが時が経つに連れて前向きになるようになり、今ではNWOと言うVRMMOでこれまでの出来なかった事をやれて満足している。

 

「って事は、本条は暫くゲームを休むのか?」

 

「うん、そこで武蔵にお願いがあるの」

 

「お願い?」

 

 理沙の話では運営から新要素のギルド機能の事だ。ギルドについては設立自体出来るが今回追加される機能としてギルドホームがある。ギルドホームを購入するとギルドメンバーはステータスアップの恩恵が得られるのだ。そのギルドホームを購入するためには専用のアイテム『光虫(こうちゅう)の証』と相応のゴールドが必要となる。そのため、楓が戻って来るまでの間、光虫の証の確保とギルドホーム購入の資金調達を手伝って欲しいとの事だ。

 

「そう言う事なら俺は問題ないぜ」

 

 そう言う雄介の脳裏にはあるプレイヤーが浮かんでいた。

 

「(俺としては二人の作ったギルドに入りたいがミィさん達が勧誘しないとも限らないからな。もしあったら丁重に断るか)」

 

 ミィの他にミザリー、マルクス、シンは事情を話せば納得するだろうが他のメンバーは別だ。因みにムサシ丸(雄介)はミィ達とはフレンド登録し忘れて以降していないのだ。

 

「(あの人達に限ってしないと思うがもし、実力行使をしてこようもんなら俺もそれ相応の対応するつもりだがな)」

 

 ミィ達には恨みはないが強引な勧誘は受け付けないと決めた。もし、しようとするなら実力行使で応えようと考えている。

 

 

 

 

 帰宅し夜の予定を終えた雄介はNOWにログインすると理沙(サリー)が噴水の広場にいた。

 

「オッス!」

 

「あっ、ムサシ丸。今回はよろしく」

 

 今日の狩場について話し合っているととあるプレイヤーが話しかけて来た。

 

「あれ?雄ちゃん?」

 

「此処ではムサシ丸だよ…」

 

 そのプレイヤーは初期装備に黒色の弩を装備した女性プレイヤー―――ムサシ丸の従姉のアジタートが話しかけてきた。

 

「ムサシ丸、知り合いなの?」

 

「知り合い……と言うか従姉だよ」

 

「従姉!?」

 

「さく……アジタート姉さん、この人はサリー。俺の友達だよ」

 

「そっか。よろしくね、サリーちゃん」

 

「よ、よろしく…」

 

 ムサシ丸の友人と聞いてアジタートは笑顔で握手しようとしている。サリーも応じたが内心では警戒していた。服装は初心者のそれだが黒い弩はかなりの高性能であると分かるしアジタートから感じる空気はムサシ丸同様、纏う空気が獲物を狩る捕食者と似ていた。

 

「(イメージで言うならムサシ丸が狼でアジタートが鷹って感じか。戦う事になったら面倒な事になるな)」

 

 実際に彼女と戦った訳ではないがムサシ丸と同じ雰囲気を持っているためサリーは直感的に危険と感じた。

 

「ところでアジタート姉さんはどうしたの?」

 

「ギルド機能が追加されたじゃん。折角だから知り合いとギルドを組もうかなと思って声をかけたの」

 

 どうやらアジタートはギルドを作ろうとムサシ丸に声をかけたのだ。

 

「別に俺は構わないけど、サリーはどうする?」

 

「(私もメイプルもムサシ丸も前衛だから全体的にバランスが悪い。後衛が一人いた方が良いかも。)今日、来ていませんがメイプル……私の友人がいますが良いですか?」

 

「あぁ~あの子か。第一回イベントでかなり噂になっていたな。私は面白そうだから問題ないよ」

 

 こうしてギルドの件にアジタートが加わる話と相成ったのであった。

ムサシ丸のテイムモンスターは

  • メカっぽいオルトロス
  • 悪魔チックなTレックス
  • 空飛ぶ鯨
  • その他
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