とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

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第二十八話

 メイプルが現実(リアル)で失敗の連続でしてしまい、元の感覚を取り戻すためゲームを休む事となった。彼女がゲームを休んで三日目。現実でミスをしなくなったので漸くNWOにログインする事が出来た。

 ログインすると第二回イベント程ではないが賑わっている。何故そんなに賑わっているのか分からないメイプルはその様子を遠目で見ているとムサシ丸とサリーがやってきた。

 

「メイプル、三日ぶりだな」

 

「ごめん、待った?」

 

「ううん、全然待ってないよ。今日は何するの?」

 

「始めに訊くけどメイプルはこの三日間であった事はどれくらい知っている?」

 

 サリーの言葉にメイプルは全然知らないと言う意味を込めて首を縦に振った。何故なら現実で失敗しないためにもなるべくゲームの情報を見ないようにしていたからだ。

 メイプルはサリーから説明を受ける事にした。一つは貫通攻撃への対策スキルが実装された事とその取得方法が運営によって知らされる事が出来た点だ。

 

「良かった。これで皆を守れるよ」

 

「確かに貫通攻撃を防げるのはありがたいよな」

 

「あぁ……うん」

 

 メイプルに賛同するムサシ丸を見ていたサリーが思い出すのは貫通攻撃してくるモンスターの部位を関節技で破壊して一時的に使用不可にする彼の姿であった。

 

「(確かに破壊すれば攻撃は止むかもしれないけどその方法が関節技って……プレイヤー相手じゃできないけどモンスター相手なら問題ねぇだろって真顔で言っていたけど)」

 

 箇所によっては打撃で破壊する事もあったが翼やら脚とか部位は基本的に関節技で破壊して攻撃どころか行動不能にさせるムサシ丸に辟易する。

 

「それでもう一つが重要で『ギルドホーム』が追加されたの」

 

「ギルドホーム?」

 

 サリーからギルドについての説明を聞いてメイプルの表情には段々焦りの色が見え始めた。

 

「ど、どうしよう!?早くその光虫を捕まえないと…後500万ゴールドも集めなきゃ」

 

「それなら心配いらねぇぞ」

 

 慌てるメイプルにムサシ丸はケラケラと笑いながら問題ないと告げる。それを裏付けるかのようにサリーが笑顔でインベントリから光虫の証を取り出す。

 

「私とムサシ丸、そしてもう一人のプレイヤーのおかげで光虫の証と資金は既に確保済み」

 

「後は適当なギルドホームを見つけるだけだ」

 

「良かった……あれ?もう一人のプレイヤー?」

 

「ムサシ丸の知り合い。そろそろ来る頃だけど…」

 

 サリーが周囲を探していると初期装備で弩を携えている女性プレイヤー―――――アジタートがやって来た。

 

「おーい、ムッちゃんにサリーちゃん」

 

 アジタートのいうムッちゃんとはムサシ丸(雄介)のゲーム内での呼称である。呼ばれている本人は辞めてと懇願しているが無視されている。

 

「あの人がサリーの言っていたもう一人のプレイヤー?」

 

「そう、ムサシ丸の知り合いって言うか……」

 

「俺の従姉」

 

「い、従姉!?」

 

 アバターである程度の容姿を変えられるが現実(リアル)でも三白眼で目つきの鋭いムサシ丸と雰囲気的にも優しそうなアジタートでは全然似ていない。

 

「(まぁ、私もムサシ丸の説明で驚いたけど間近で見ると根っこがよく似ているんだよね。……主に敵を葬っている時は特に)」

 

 驚いているメイプルを見てサリーはこの三日間でアジタートと言うプレイヤーが本質的にムサシ丸と似ているのを痛感していた。

 

「貴女がメイプルちゃんね?私はアジタート、よろしく」

 

「は、はい。大楯使いのメイプルです!」

 

 まさかの知り合いの身内が目の前にいるためメイプルにしては珍しく緊張して声が上ずっている。

 

「そんなに畏まらなくていいの」

 

 にこやかに対応するアジタートにメイプルは安堵の息を吐いて彼女と握手する。

 

「それで今日はどうするの?」

 

「今日はギルドホームを見て回って良さそうな物を購入しようと思っている」

 

「その後はフレンド登録した人を誘ってみるか?どのギルドホームを選んでも俺らだけだと広すぎる」

 

「賛成!」

 

「私もそれで構わないわ」

 

 今日の方針を決めた四人は街中に存在するギルドホームを探し回る事にした。暫く散策してきたが良いと思ったギルドホームは全て誰かに買われた後だった。

 

「中々良いのが見つからないね」

 

「こういうのは早い者勝ちって言うしな」

 

 結構な数が埋まっている事に少しの焦りを見せる一行であったがあるギルドホームを見つけた。そのギルドホームの見た目が大樹に似ているため遠目ではギルドホームとは分からないため手付かずのままだった。

 

「外観が外観だし奥に隠れていたから全然気付かなかった」

 

「少し離れているけど空いているわね」

 

「一応、中も見てみるか?内装も合う合わないあるだろうし」

 

 ムサシ丸がそう言って中に入ると木目の綺麗な大広間があり個室もそこそこの広さがある。

 

「隠れ家って感じでいいね」

 

「悪くないな」

 

「メイプル、此処にする?」

 

「うん!とても良いよ」

 

 ムサシ丸もアジタートもこのギルドホームは高評価でメイプルもこのギルドホームを気に入った。

 サリーはアイテムウィンドウから光虫の証を取り出して扉の窪みに嵌め込むと光虫の証が光り出すと扉と同じ木製に変わった。

 

「ギルドホームは決まったし。フレンド登録してる人を誘うけどカスミとカナデってプレイヤーを誘うけどムサシ丸は?」

 

「俺はクロムさんかな。応えてくれるかは別として(タンク)役がもう一人してもいいと思う」

 

「そっか。私はカスミとカナデにメッセージを送るからムサシ丸はクロムさんにメッセージを送って」

 

「了解」

 

 早速フレンド登録した人達にムサシ丸とサリーは各々メッセージを送る。

 

 

 

 

 メッセージを送ってから数十分後。集まった広場ではカスミとカナデ、クロムが待機していた。

 

「二人とも来てくれてありがとう」

 

「メイプル達が作ったギルトにならこちらからお願いして入れて貰いたい所だ」

 

「僕も同意見だよ」

 

「それは良かった」

 

 ワイワイと話している四人と比べてムサシ丸とクロムは少し離れた場所で話していた。

 

「クロムさんも来てくれてありがとうございます」

 

「俺もフリーだったし特に問題ないからそう頭を下げないでくれ」

 

 メイプルから他のプレイヤーとパーティーを組んでいたがそのプレイヤー達は臨時で組んだため今はフリーである。

 

「俺としてはまさかイズも入るとは思わなかったぞ」

 

「あら?私もフリーだし生産職もギルドに加入するプレイヤーも結構いるわよ?」

 

 素材集めのためにクロムと一緒に行動していたイズが棚から牡丹餅と言うべきかギルドに入ると言うのだ。それを聞いたムサシ丸は目を丸くした。

 

「確かにアイテムを作れる人がいると助かる場面がありますね」

 

「でしょう?アイテムが必要な時は言ってね?私も素材が必要な時は言うから」

 

「分かりました」

 

 こうして第二回イベントで知り合ったカスミとカナデ、NWOを始めた時にお世話になったクロムとイズがギルドに入る事となった。

 先程購入したギルドホームで登録を済ませるとギルドマスターとなったメイプルが自己紹介をしてムサシ丸の番となった。

 

「ムサシ丸です。ある特定の条件で耐性や無効化スキルを無視する事が出来ます」

 

「所謂、耐性貫通持ちか」

 

「条件付きではあるが頼もしいな」

 

 それぞれの得意分野があってムサシ丸は他の前線メンバーに中で走・攻・守のバランスが良く、ある条件下では耐性持ちに優位が取れるのだ。

 

「さてと、次はこのギルトの名前を決めないとね。そこはメイプルが決めて」

 

「えっ?私?」

 

「そりゃお前が此処のギルドマスターだからな」

 

「それが良いと思うよ」

 

「私も賛成だ」

 

 周囲に促される形でギルドの名前を決める事になったメイプル。暫く考えると納得のいく名前が浮かんだため口を開いた。

 

「楓の木、このギルドの名前を『楓の木』にします」

 

 こうしてギルド『楓の木』が結成された。

 のちにこの楓の木が『人外魔境』、『魔界』と称されるのはまだ先の話である。

ムサシ丸のテイムモンスターは

  • メカっぽいオルトロス
  • 悪魔チックなTレックス
  • 空飛ぶ鯨
  • その他
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