とりあえず格闘家で戦いたいと思います。 作:アズライルン
イズさんが経営している工房を後にした俺は西の森でレベル上げに勤しんでいた。
ただ、少しレベルが上がりにくくなっている。
「狩場を変えるべきか?しかし、他の狩場なんて知らんし東へ行くには遠いな」
ある程度狩ってクロムさんかイズさんに訊いてみようと思い、目の前にいる蜂型のモンスターを殴って倒した。
「ソロもいいけどパーティー組んで戦ってみたいな…」
そろそろ誰かとパーティーを組んで戦いたくなったが、格闘家と言う不遇装備なので組んでくれる人がいるか否かだ。フレンドに登録しているクロムさんやメイプルなら快諾してくれるだろうが前衛に偏っている気がする。
「弓とか魔法とか遠距離が主体の人とかいないかな…」
まだNWOを始めて一週間も経っていないから交友関係も少ない。この問題に関しては少しずつ解決しよう。
「もう少しモンスターを狩って場所を変えるか」
そう考えた俺はさらに奥へと踏み込もうとした矢先の事だった。
本当はあるはずだった地面が突然消えてしまったのだ。
「うぉぉぉぉ!?」
いきなりのことで穴の縁と掴んで落ちることを防ぐ事もできずにそのまま穴の底へと落ちて行った。
体感時間としては一分ぐらいだろうか。落下していると認識し受け止めた俺は着地する事に成功した。
「これ、ゲームでなけりゃ死んでいたかも」
命の危機に陥るのはあの交通事故だけで十分だ。
上を見上げると穴の深さは最低でも10m以上はある。跳躍と言うスキルはあるらしいが生憎俺は取得していないし取得しても登り切れる自信はない。
マップを確認すると『
「ダンジョンかよ……予定が狂うんだけどな」
本当はもう少しレベル上げてから挑戦するつもりであったが入ってしまったからにはどうする事も出来ない。
周囲を警戒しながら探索してみたが可笑しな事にモンスターもトラップもなく、ボスが待ち構えている部屋まで辿り着いてしまった。
「何もない……新発見のダンジョンか?けど、初心者用の狩場なら見つかっても可笑しくないはずなんだけどな」
あれやこれやと考えたがゲーム事情に疎い俺では答えはでなかった。
「まぁ、良い装備が貰えれば御の字か。仮に倒されても街に帰還できるか」
覚えたスキルは少ないしレベルは低い。はっきり言って勝ち目なんてほとんどない。だけど、やらずに逃げるのは後味が悪い。やるからには全力で戦う。手持ちのポーションにHP、MPを確認した俺はボスが待ち構えている部屋に入った。
入ると闘技場と思わせる造りの部屋で篝火が暗い部屋を照らしている。目の前には5m以上の背丈はある青い毛並の人狼が挑戦者を待っているかのように立っていた。
あれこそがこのダンジョンのボスである
「このプレッシャー………初心者が戦っていいもんじゃねぇだろ」
逃げるつもりはさらさらない。
戦闘態勢に入る俺を見て暴獣は雄叫びを上げると俺に襲い掛かってきた。
AGIは俺よりも速いだろうが
俺は暴獣の爪を避けるとボディに二発殴る。その攻撃で暴獣のHPは8mmは削れた。上級プレイヤーならかなり削られるだろいうが仕方がない。幸い、暴獣の動きは単調なため避けるのは容易だ。
暴獣の攻撃を避けては攻撃し、また暴獣の攻撃を避けるの繰り返しをしながら確実にダメージを与えていく。
暴獣のHPが6割くらいになったところか暴獣に変化が現れた。腕の部分がゴリラのように太くなったかと思えば脚もチーターの後足になり、尻尾も鮫の尾びれみたいに変化した。
引っ掻き攻撃から打撃重視の攻撃になり、更には噛みつき攻撃まで増えた。さらに恐ろしい上がったAGIに物を言わせたラリアットが追加された直撃を免れ、掠ったがHPを五分の一削られた。
「運営はプレイヤーを殺す気かよ」
運営の絶対に攻略なんてさせないと言わんばかりの悪意に舌打ちしつつも回避に専念する。
暴獣が俺に攻撃をするのに対して俺はそれらを避けたり手甲で防ぐ等してやり過ごす。そうして攻撃パターンが分かった俺は攻撃を回避しながら攻撃する。
己のHPの残量が8割なのを確認しがら暴獣のHPを確認する。暴獣の残り三割になっていた。このままいけば倒せると思った俺であったがそんな甘い考えは儚く崩れた。
今の暴獣は人狼をベースにゴリラの腕、チーターの脚、鮫の尾であったが今は恐ろしい事に首は虎と北極熊らしき生物の頭部に増えただけでなく、背中には隼やオオスズメバチの羽、肩にはマンモスの牙、尻尾に関してはサソリの尻尾まで追加された。
「これ以上攻撃パターンが増えて欲しくないんだがな!?」
運営の悪意に舌打ちしつつも俺は回避に専念した。
暴獣のモチーフはあのライダーです