とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

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第八話

 破壊者の流儀と言うスキルを取得してから明後日の事。ムサシ丸は今日も今日とてレベル上げに勤しもうとログインするとメイプルと出会った。

 只、お互い違う点を挙げるなら身に着けている装備が初心者用装備から別の物だったと言う所だろう。

 

「うわぁ~ムサシ丸君格好いい!」

 

「メイプルも様になっているな」

 

 黒い鎧に身を包んだメイプルを見てムサシ丸は彼女の成長速度に舌を巻いている。

 

「そう言えば、ムサシ丸君はイベントの話聞いた?」

 

「いや、知らないな。何分ゲームは疎くてな」

 

 今の今までゲームとかしていなかったからゲーム内のイベント情報については全く知らなかったのだ。

 メイプルの話だと第一回イベントはバトルロイヤル形式で上位十名には記念品が貰えるそうだ。

 

「面白そうだな。俺も参加しよう」

 

「そっか!私も負けないぞ~」

 

 ムサシ丸君は少し考えてから参加する旨を伝える。対戦格闘はしていたが武器を持った相手と戦った事はない。しかし、ゲーム内でなら多種多様な武器と戦えるので良い経験になる。

 勿論、やるからには上位を目指す。

 

 

 

 

 メイプルと別れた後、ムサシ丸は第一回イベントに向けて何をすべきか考えている。レベル上げは勿論必須だが他にも幾つかスキルを取得するべきだろう。

 

「やっぱり使えるスキルを多く持っていた方が戦闘では有利になるが……MPの管理が大変だな」

 

ムサシ丸

 

 Lv29

 

 

 

 HP 640/640

 

 

 

 MP 110/110

 

 

 

 【STR 80<+30>】

 

 

 

 【VIT 30 <+40>】

 

 

 

 【AGI 75】

 

 

 

 【DEX 5<+10>】

 

 

 

 【INT 12】

 

 

 ステータスを見ながら頭を捻っている。レベルが上がった事によってステータスポイントが貯まっていたのである程度MPやINTに振ったが心許ない。モンスターの素材を換金していたためゴールドの蓄えは十分ある。

 

「とりあえずヒールは買っておくか。持っていても損はないだろう」

 

 購入できるスキルを買って後はレベリングと今日の予定を立てるとムサシ丸は早速スキルが購入できる店に足を運んだ。

 スキルショップから出ると少々ご機嫌な様子のムサシ丸がいた。

 

「ヒールの他にもMP強化やMPカットがあったのはありがたいな」

 

 MPが10増えるし何よりも暴獣拳を使用する際に消費するMPを抑えられたのは大きい。暴獣拳はここぞと言う場面で使うためなるべくMPの消費は抑えておきたい。

 

「まだ行っていない所でレベル上げするか…そうなると北か。新しいスキルが手に入れば御の字と思ってやるか」

 

 ムサシ丸は今日の目的通りにレベル上げに向かった。

 

 

 

 

 北の森に到着した頃には既に暗くなっており、そこに出没するモンスターはゴーストやゾンビがうろうろしている。

 

「此処は幽霊が出るんだな。攻撃してもちゃんと感触はあるのか」

 

 特にホラーが苦手ではないムサシ丸は淡々と倒して行く。ゴーストを拳と足技で蹴散らすかと思えば、大きい物はなんとノーザンライト・スープレックスで倒していた。

 

「思ったほど強くないが結構多いし休憩するか」

 

 ある程度のモンスターを狩ったので休憩場所を探しているとボロボロの家を発見した。入ってみると外と同じくらいボロボロだった。

 

「この家にはモンスターは入れないのか。丁度いいや、少しの間だけ使わせて貰おう」

 

 10分くらい経ったらまたモンスターを狩ろうと思っていたらと『ウオォォ…』と呻き声がした。

 

「ん?何かあるのか?」

 

 声の発生源を探していると丁度家の中部に地下へと続く通路を発見した。入っていると地面に置かれた蝋燭で照らされた部屋に血まみれになった椅子に括り付けられた人物がいた。

 

「NPC…って奴か?にしてもかなりリアルだな」

 

 ムサシ丸はNWOの完成度に驚きつつも『痛い、痛い』と譫言のように言っている。

 

「痛いか……なら、ヒール!」

 

 緑色の粒子が男性NPCを包むと傷が少しだけ治ったがそれでも男性NPCは痛いと叫ぶためムサシ丸は何回もヒールを使った。

 

「これで最後のヒール!」

 

 MPポーションが使ってヒールを使うと男性NPCの傷は全て治った。すると、男性NPCは穏やかな表情で「あり…がとう……」と呟いて昇天した。男性NPCが座っていた椅子の上には巻物が置かれていた。

 

『スキル「超加速」を取得しました』

 

「おっ、新しいスキルか。名前的にAGI関係のスキルだな」

 

 どうやらスキル取得のクエストだったらしい。新たなスキルを手に入れたムサシ丸はレベル上げのためにゴーストやゾンビを狩りながら街へと戻った。

 

 

 

 

【とんでもないプレイヤーを見た】

 

10名前:名無しの弓使い

 

北の森で衝撃的なプレイヤーを見た

 

 

11名前:名無しの短刀使い

 

どんなプレイヤーだ?少なくともメイプルと同等なプレイヤーか?

 

 

12名前:名無しの魔法使い

 

>11 その通りだ。メイプルまでとはいかないが傍から見れば余りにも可笑しいプレイヤーを見つけた。

 

第一回イベントのために北の森でレベル上げしていたらゾンビ相手にプロレス技を決めるプレイヤーを見つけた。そいつは紺青の道着を着ていた

 

 

13名前:名無しの槍使い

 

そのプレイヤーは格闘家か?

 

 

14名前:名無しの大剣使い

 

話を聞くにそうっぽいな。けど、不遇装備の格闘家でそんな動きは……該当しそうなのがいたわ

 

 

 ムサシ丸がエネミーを狩っている姿は他のプレイヤーにとってそれは奇行染みた行動のようで、それが原因で掲示板は大いに騒いでいた。

 

 

 

 

 そしてレベリングしながらムサシ丸は第一回イベントの日を迎えた。集合場所である噴水広場でムサシ丸はこれまでの事を思い出して気合を入れる。

 

「お~い、ムサシ丸君」

 

 大勢の参加者をかき分けながらメイプルが話しかけてきた。

 

「おっす、メイプル。先日ぶりだな」

 

「やっぱりムサシ丸君も参加するんだね。因みに私の目標は上位入賞だよ!」

 

 高らかに目標を発表するメイプルにムサシ丸は逡巡する。メイプルはあくまでも上位入賞。俺も目指そうかなと思ったけどそれだと低く感じてしまう。

 

「俺は勿論、『目指せ、一位』。リアルの関係上モチベーションのためにも目標は高いくらいがちょうどいい」

 

 総合格闘技をやっていた手前、目標のハードルが高いと俄然燃えると言う物だ。

 

『ガオ~!それではニューワールドオンライン第一回イベントを開始するドラ!』

 

 目標を語り合っているとこのゲームのマスコットキャラクターであろうデフォルメされたドラゴンっぽいのが噴水広場に現れた。

 

『制限時間は3時間。ステージはイベント専用マップ。因みに僕はこのゲームのマスコットのドラぞう!初めての人は以後よろしくドラ!』

 

 つまり、バトルロワイアル形式で制限時間内になるべく手傷を負わすに多くの相手を倒さなければ上位は狙えない。

 

「(今まで決められた範囲でしか戦って来なかった。けど、この戦いは一対多、しかも広大なリングで立体的な動きも求められる……)良いぜ、()ってやろうじゃねぇか」

 

「ムサシ丸君、かなり怖い笑顔をしているよ」

 

 これまで体験した事がなかった戦いにムサシ丸は自分でも分からないくらい位戦闘意欲を燃やしている事に気付けなかった。それこそメイプルが指摘されるまでに。

 

『それではカウントダウン。3…』

 

「ムサシ丸君、戦う時は負けないからね」

 

『2…』

 

「俺も負けるつもりはないよ。尤もその時はお手柔らかにってな」

 

『1……0!』

 

 

 メイプルに好戦的な笑みを浮かべたムサシ丸は光の粒子になって消えていった。

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