とりあえず格闘家で戦いたいと思います。   作:アズライルン

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第九話

 目を開けるとムサシ丸は森の中にいた。隣にいたはずのメイプルがいない事からプレイヤーはランダムに飛ばされたのだと推測する。

 

「かなり広いな。木々も多いし上からの攻撃も注意しないとイカンな」

 

 周囲に敵意は感じないためいきなり戦闘と言う事はないので助かったが高いが木が転々と存在しているので弓使い等の遠距離攻撃が得意なプレイヤーにとっては良いポジショニングは取れるだろう。

 狙撃を警戒しながら歩いていると二人のプレイヤーを発見した。

 

「来ますわよ」

 

「ええ、お姉様」

 

 ムサシ丸は手始めに槍使いの女性プレイヤーに狙いを定めてスタートを切る。

 

「っ!疾風突き!」

 

 相手は槍の一撃が決まると思った瞬間、視界からムサシ丸の姿が消えた。何があったのか、これはスキルなのかと考えていると顔面に衝撃が走った。その一撃は重く、あっという間にHPが0となった。光の粒子になる直前に見たのは低い姿勢から蹴りを放っているムサシ丸の姿であった。

 

「(躰道の卍蹴り……このゲームでも有効打になりそうだな)」

 

 次は剣を持った女性プレイヤーに標的を変えると剣の一閃を避けて背後を取るとそのままバックドロップでそのプレイヤーを倒した。

 

「打撃だけだと思っているとこんな手に引っかかるぜ。…ってか、格闘王って便利だな」

 

 自分の戦闘スタイルとスキルが上手く当て嵌まったからこそ強さであると思っていると向かって来る敵意を感じた。咄嗟に腕を振ると半分に折れた矢であった。

 

「やっぱ、飛び道具とは相性悪いな」

 

 飛んでくる軌道とタイミングさえ分かれば対処はできるが如何せん遠距離の攻撃手段がないのではたき落す事しかできない。

 

「(無いものねだりしても仕方がないか)」

 

 第一回イベントが終わったら探してみようと思いながら敵を探す。

 

「いたぞ!」

 

「ラッキー!不遇装備の格闘家だ」

 

「あれ?あいつは……」

 

 そう思っていると短刀使いと弓使いと斧使いがムサシ丸を見て襲い掛かる。弓使いだけ違った反応をしていたがムサシ丸は気にせずに落ち着いてスキルを発動させる。

 

「暴獣拳・魔の型!」

 

 ムサシ丸はスキルを発動させると虎と北極熊と蠍の幻影が出現しては腕に吸収されると炎の球を投げて弓使いを焼き払う。次は冷気で斧使いと短刀使いの行動を封じると左腕に纏ったオーラが蠍の尾の形状をし、左腕を伸ばすと同時に蠍の尾が伸びて二人を刺し貫き、倒した。

 

「暴獣拳の中である程度距離があっても届くのがこれなんだよな。まぁ、徐々に戦い方も慣れてきたし………狩るか」

 

 VR空間での戦い方に慣れてきたムサシ丸は次なる敵を求めて森の中を走り回る。そして敵プレイヤーを見つけ出しては殴り、蹴り、投げる姿は獲物を狩る狂暴な獣のそれだった。

 

 

 

 

 一方で観客席では二人のプレイヤーに注目していた。

 

「おいおい、あいつの大楯どうなっているんだ?」

 

「いやそれ抜きでも硬すぎる……もはや要塞じゃない!?」

 

「もう一人もヤバぇぞ!動きが人間止めている!」

 

「不遇装備の代表格である格闘家だから如実に現れているな。……にしてもあの姿は狂戦士(バーサーカー)って言われても可笑しくないな」

 

「俺、VRゲームをそこそこ嗜んでいるけど…普通に柔道技やプロレス技を多用するプレイヤー見た事ないや」

 

 映し出された映像には何でも飲み込む盾と毒竜(ヒドラ)で敵を殲滅するメイプルと一本背負いで後ろにいた敵諸共倒したり、スキルの性なのか隼やら鮫やら虎の幻影を呼び出して倒すムサシ丸が映されていた。

 

「メイプルと違って足速いし極振りって訳じゃないだろう。けど、可笑しいのはあいつのプレイヤースキルだよ。何で後ろにいるプレイヤーの動きまで分かるの!?」

 

「気配を察知できるスキルはあるけどあそこまで精度は高くないぞ。まさかとは思うが……あいつ相手がどう行動するか先読みして行動していないか?」

 

「辻褄は合うがメイプルとは違った意味で化物だろ、あれ」

 

 右薙ぎの大剣を踏み台にしてシャイニングウィザードを叩き込むムサシ丸の姿に多くの観戦客は引いている。

 

 

 

 

 大剣使いのプレイヤーを倒して一息ついてまた敵を探そうとするがマスコットキャラのドラぞうが目の前に現れた。

 

『さぁ、残りは一時間!現在一位はペインさん、二位はドレッドさん、三位はメイプルさんとムサシ丸さんドラ~!因みに三位が二名なのは同じ時間で同じポイント数のためランクインしているドラ~』

 

「メイプルと同じ三位か」

 

 初心者の滑り出しとしては上々と思ったがそれは瞬き一つで雲散霧消し、どうすれば一位になるかを考える。

 

『これからは上位四名を倒した際になんと得点の3割が譲り渡されるよ。四人の位置はマップに表示されるドラ!』

 

 つまり、自分と残り三名はこのイベントが終わるまで常に他のプレイヤーに狙われ続ける事になる。

 

「はっ、それは面白れぇじゃねぇか。とどのつまり、狩り放題って事だろ?」

 

 事故で総合格闘技を引退したため強者との戦いや戦いへの渇望がムサシ丸の中にあった。けれど、現実では叶わない欲望がムサシ丸の胸の中にあった。

 そう思うや否や複数のプレイヤーがやってきた。

 

「良いね、面白くなってきた!」

 

 ムサシ丸は嬉しそうな笑みを浮かべながら向かって来るプレイヤーを持ち前の格闘技で倒し続ける。しかし、その笑みはあまりにも凶悪な物なので一部のプレイヤーから恐れられているのは彼は全く知らない。

 

「ひっ!」

 

「に、逃げろ!あんな化物に勝てる訳ねぇ!!」

 

「逃がすかよ。暴獣拳・迅の型!」

 

 大雀蜂、チーター、隼の幻影が現れるとムサシ丸の体に入ると彼が右腕を振ると同時に電気を帯びた針が飛んできて二名のプレイヤーの動きを牽制すると凄まじい速度で接近すると連続蹴りを浴びせて倒すとほぼ同時に隼の片翼がムサシ丸の背中から生え、上空へ飛ぶともう一人のプレイヤーの頭上からキックを叩き込み、光の粒子に変えた。

 

『ガオ~!終~了~!!』

 

 暴獣拳・迅の型で二名のプレイヤーを倒したのを最後にイベントは終了した。

 

『結果~、一位から三位までの順位変動はなかったドラ!』

 

「あれだけ倒しても変動はなしか……一位になるにはまだまだ遠いな」

 

 ムサシ丸は空を仰いで息を吐いた。上位に入れた嬉しさよりも一位になれなかった事への悔しさの割合が大きいようだ。

 

『それでは三位から順にインタビューをしていくよ。まずはムサシ丸さん。振り返ってみてどうだったドラ?』

 

「上位に入り込めたのは素直に嬉しいですけどまだまだ上がいるんだなと思いました」

 

 今の自分の気持ちを伝えた後、メイプルの番となったのだが此処でちょっとしたトラブルがあった。

 

「えっと……その………いっぱい耐えれてよかったでしゅっ!」

 

 緊張のあまり噛んでしまったためメイプルは赤面してしまいこれにはムサシ丸も苦笑してしまう。

 こうして、第一回イベントが終了した。

ムサシ丸のテイムモンスターは

  • メカっぽいオルトロス
  • 悪魔チックなTレックス
  • 空飛ぶ鯨
  • その他
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