シンフォギア VS ウルトラ怪獣   作:Mak

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筆(もうキーボードと呼んだ方が良いのでは)がノッタので。
殆ど原作そのままなのは 太田愛先生の脚本が素晴らしすぎるからと言い訳。


遠い町・ウクバール  守護獣 ルクー登場

ウクバール永田。人は彼をそう呼ぶ。

彼は25年間ずっと帰り道を探していた。

「宇宙人、だとぉっ?」

次回 戦姫絶唱シンフォギア 遠い町・ウクバール

「だめだよウクバールなんて夢みたいなこと言ってちゃ!」

 

 

 

東京都武蔵野市にあるとある廃屋に風鳴弦十郎は訪れていた。

(あの、永田と言う名の男はこの世に生まれたからずっと、長い長い夢を見ていたのだろうか? それとも、永田の言っていたことは全て本当の事だったのだろうか。)

 

 

それは3日前の事だった。

「だいたいゲンちゃんはね、滅多に陸に上がってこないんだから、 痛ええなおい、このやろうてめえ、真っ赤な顔しやがってこのやろうめぇ」

「ポストだよポストだよ。」

「おう、そこの姉ちゃん!俺の幼馴染のゲンちゃんはね、公務員で公安のリーダーなんだぜ、 そんでもって潜水艦転がしてるんだぜ、」

「すいません、こいつ酔っ払ってるもんで、いい加減にしろよ、たく」

 

S.O.N.G司令である風鳴弦十郎は久々に幼馴染である庄司に呼び出され陸でのひと時を楽しんでいた。すでに数件ハシゴしたあとであり庄司はベロンベロンに酔っていたのである。

そういう弦十郎も普段の部下たちには見せられないほど酔っており、千鳥足で行きつけである屋台のおでん屋を目指していた。

 

 

 

「おやじ、大根とがんもを頼む。 おい、おまえ、あれだろう?またオーディションに落っこちたんだろう?それであれだろう?落ち込んでんだろう?」

「なぁ、おれは役者の卵だょお。そんくらいで落ち込むかよバカヤロウ。」

「でもよぉ~、なんかあったんだろう?」

「あった」

「いえ、言えよ。正直に言っちまいなよ。」

「分かったわかった言うよ。 実はよぉ、俺今日一日トラックに乗ってたんだよ、宇宙人と。」

「・・宇宙人、だとぉっ?」

「今日、おれ宅配便のバイト始めたんだけどさぁ~、」

 

 

 

「おはようございます!今日から働くことになりました。庄司ですけど!」

「おう、新人か!元気いいな! えっとね、そいじゃあ君は永田と一緒に廻ってもらおうか!」

 

そう、責任者が告げると事務所の空気が一瞬凍りつく。 庄司は何事かとあたりを見渡すが、責任者はそれを無視するかのように説明を続ける。

 

「永田は配達一筋25年のベテランだからね、心配いらないよ。 黒星さんユニフォームを。じゃっ!これに着替えてね!」

「アタシシリマセンカラ。」

「え、えっと永田さんですよね?」

「う、うんうん。そう、心配いらないからね。」

 

 

「おはようございます!新人の庄司です! 永田さんすか?」

「いや、おれ清水。」

「おれは関。」

「えっと、永田さんは?」

「永田? いたっけ?そんなやつ?」

「おっかしいな、配送25年のベテランて聞いたんですけど、」

「あ~、ウクバールか、ウクバール永田。」

「ウクバールナガタ? え、外国の人すか?」

「甘いね。外国なんてもんじゃあないよ。 宇宙! 宇宙の人。」

「まさか。」

「ほら、あそこにいるぞ~。 あいつはな、自分は宇宙のどっかにある、ウクバールって町から来たって思いこんでるんだよ。」

 

そう指さす方へ眼を向けると人の好さそうな笑みを浮かべ、空を眺めながらパンを片手に牛乳を飲んでいた男がいた。

 

「ま、覚悟するんだな。お前も今日一日中聞かされるぜ、ウクバールの話をさ。」

 

配達中、永田がする話は噂どおりウクバールの話ばかりだった。

 

「ウクバールという町ではね、いつも風が吹いているんだ。空には大きな塔や小さな塔がいくつも浮かんでいる。そしてその塔の天辺にはな、黄色い風車がカラカラ音をたてて回っているんだよ。」

「ウクバールの町にはね階段というものがないんだよ。でもたくさんの塔が空に浮かんでるだろう?だから塔の天辺に上るにはね長い梯子をかけないとならないんだよ。」

「ていうわけでね、ウクバールは時々大きな雲の中に入ってしまうときがあるんだよ。」

「そのうえウクバールの町には楽団もあるんだよ、太鼓やね笛がね、」

「そして、ウクバールの町にね、西風が吹くとね、サーカスがやってくるんだよ。このサーカスがすごくてね。」

 

最初は興味深そうに聞いていた庄司も繰り返し聞かされる空想話に付き合え切れなくなり、時間が経つに連れて反応もおざなりになってしまう。

 

「いや~すげーぜおっちゃん!俺もう足や肩や腰や色んなとこがバッキバキだよもう。おっちゃんきつくない?」

「ああ、でもな、田舎からのミカンやリンゴを届けてやるとみんなが喜んでくれるじゃない。やりがいのある仕事だと思うよ。それにな!俺が気に入っている理由がもう一つあるんだ。」

「え~?何々??」

 

庄司は嬉しかった。この永田という男にもちゃんと人間味のある部分があるのだと思えたからだ。しかし、

 

「こうやって車でいろんな町を回ってるとさ、いつかウクバールに帰る道が見つかるかもしれないじゃあないか。だってそうだろう? 俺がこうして地球にいるっていうことはさ、ウクバールとこの世界がどっかで繋がっているてことだろう?」

 

徹頭徹尾ウクバールの話しかしない永田に、庄司は閉口してしまった。

 

長い長い勤務時間がやっと過ぎさり、時計が5時を周ったことを示し、あたりが夕日で赤くなり始めたころ、 またもや永田はウクバールの話をする。

 

「ウクバールにはね、時計というものが無いんだ。だから夕方になるとね、大きなサイレンが鳴るんだよ。するとね、大人は仕事をやめ、子どもは遊ぶのをやめて、みんな家に帰るんだよ。ウクバールはどっかにあるんだ。だって俺の故郷なんだから。」

「あるある。ウクバールはあるよ。おっちゃんの頭の中にな。」

「・・・・・・えっ?」

 

慣れない初仕事の上に現実味のない話を聞かされ疲れてきっていた庄司はそういってしまったことを後悔していた。

 

 

 

「おれ、バカなこと言っちまったかな?」

「・・・ああ」

「おっちゃん! だめだよウクバールなんて夢みたいなこと言ってちゃ! 人間てのはね現実と向き合って生きていかなくちゃ!現実だぜ!大事なのは!!」

「おい、大丈夫か?」

「なあ、ゲンちゃんさ、公安なんだろう?証明してやってくれよ。」

「何をだ?」

「だから、おっちゃんが地球人だってことだよ。だって地球人だってことが解ればさぁ、うん、おっちゃんもウクバールなんてこと忘れてさぁ、現実と向き合ってくれるとおもうんだぁ。・・・現実だよだいじなのはさぁ。 グゥ~。」

「・・おい、おい。 寝ちまったか。 しかし、・・・ウクバールかぁ~。」

 

 

 

そのころ、永田は自宅であるアパートにて、昼間の庄司の言葉を振り返っていた。

 

「もしかすると、ウクバールはどこにもないんじゃあないか?25年近く探しても、夏の暑い日に探しても、雨の日も、ウクバールの町が見つからないのは、俺の頭の中にしかない町だからじゃないのか?」

 

彼がそう悩んでいるとき、窓も空いていない部屋なのに風車が回り、電話が鳴り始める。かれがその電話に出るとより風は強くなり、受話器からも風の音が流れてきた。

 

「ウクバールだ!ウクバールの風の音だ。」

 

 

 

翌日、S.O.N.G本部内のトレーニングルームにて弦十郎、緒川慎二、藤尭朔也がウェイトトレーニングを行っていた。

 

「ゼェゼェッ! 地球人の、証明ですかっ!地球人てことは、」

「そこ、さり気無くサボるな。」

「・・ㇵㇵ、キッツ!」

「物事の基本は!体力!ですからね!っはぁっ!」

「ふぅ~どうだ慎二?何か知恵はないか?」

「僕ですか?とは言われましても、物心ついたころから何となく地球人でしたし。」

「俺も誰かにお前は地球人だと教わったことはないしな。・・・たまに人間離れしていると言われることはあるが。」

「「でしょうね(ですよね)」」

 

そう言いながら弦十郎は常人であればウェイトリフティングに使用される量のウェイトでベンチプレスを行い、二人は思わず彼の言葉を肯定してしまった。

 

「他ならぬ幼馴染の頼みだからな。なんとか力になりたいのだが。」

 

ちなみに弦十郎は装者を含めたほかの仲間にも同じを質問をしていた。返答は以下の通り。

 

「へ? 地球人の証明ですか? 師匠?たとえ師匠が宇宙人だったとしても師匠はずっと私の師匠ですからね!」

「やはり血が赤ければ地球人ではないでしょうか?ところで、確認なのですが、叔父様の血は何色ですか?」

「はぁあ? 映画の観過ぎじゃね~のかおっさん?」

「司令?突然どうされたのですか?なにかお悩みでしたら私がお聞きしますよ?」

「じーーーーーーーーーーーーーっ。 やっぱりUMA?」

「人間かも疑わしかったデスがやっぱりそうだったんデスか!?」

「・・・・とりあえず、温かいものでも飲みながらどうですか?」

「地球人の証明ですか? この場合ホムンクルスである僕も地球人と分類しても良いのでしょうか?」

以上である。

 

 

 

トレーニングルーム付属のシャワールームにて朔也は小型端末で検索をしていた。

 

「何を調べてるんです?」

 

普段はあの風鳴翼ですら見られないシャワーを浴びたばかりで半裸の緒川さんが朔也に聞いた。

 

「その永田さんて人の生まれた家を探しているんです。生まれ育った家を思い出せば永田さんも自分が地球人だと納得するかもしれません。」

「なるほど!流石だな藤尭。」

 

同じくシャワーを浴びたばかりで半裸の弦十郎がそう答える。 普段から服の上からでは隠せないほどの筋骨隆々の体が画面を圧迫する錯覚に見舞われる。

 

「あった! 場所は東京都武蔵野市です。あ、この部屋まだ空き家のまま残ってますね。」

「本当か!よし早速行ってくるか。丁度ビデオの返却もあるしな。」

そう言って彼はすぐに支度を開始した。

 

 

 

しばらくして、弦十郎は永田の生家に着いた。

すでに廃屋になっているが、過去永田以外に住んでいた経歴はなく、中も荒れてはいたがかつて人が生活をしていた痕跡がそのまま残されていた。 柱には永田の身長の記録と思われるあとが残されていた。

 

「やはり地球人、だよな。」

風が吹きぬけ、彼の通信機が鳴る。

 

「こちら弦十郎だ。なにかあったか藤尭?」

「司令。偶然だと思うのですが現在永田さんが住んでいるアパートを中心に微かな磁場の歪みが生じています。」

「分かった、すぐに現場に向かう!念のため装者たちを待機させておいてくれ。」

 

 

弦十郎は車を永田が住むアパートへ走らせる。その途中で歩道を歩く庄司を見つけた。

 

「おい庄司!こんなところで何してんだ?」

「あ、ゲンちゃん。いや、永田のおっちゃんが無断欠勤でさ。なんだが心配でよ。25年間で初めてのことらしくてさ。 お見舞いに行くつもりなんだ。」

「ちょうどよかった。乗れ!もしかしたら大変なことになっているかもしれん!」

 

車はすぐに永田が住む2階建て木造アパートに辿りつき、急いで部屋の中に入ると居間に永田が仰向けに倒れていた。

最悪を予想した二人だったが永田は寝ているだけであり毛布を被せようとすると永田は覚醒し、夢の内容を二人に告げた。

 

「夢を見た。ルクーが迎えに来てくれるんだ。俺、ウクバールに帰るんだ。」

「ルクー?」

「おっちゃんしっかりしろよ。それは夢だろう?」

「あるんだよあの町は。 ほら!ウクバールの風の音が聞こえるだろう?」

 

そう言って彼は固定電話の受話器を弦十郎に差し出す。

2人が電話線の方へ目を向けると、電話線は途中から切れていた。

恐る恐る受話器を耳に当てた弦十郎と庄司は確かに風の音が聞き戦慄する。

 

「うそだろ?」

 

するとどうしたことか、電話の風の音と共感するかのように外の風も強くなり窓ガラスが震え始める。

 

「ルクー!!!」

 

永田が叫ぶと同時に窓ガラスは突風により破壊され、曇りガラスのはるか向こうに怪獣の姿が現れた!

 

「本部!ポイント22601にて怪獣出現!」

「お、おいおっちゃん!?おっちゃん!」

 

永田はすぐさま部屋を飛び出し、避難する人の波をかき分けながらルクーの方向へ向かって走った。

2人もすぐさま追いかけたが人の波に邪魔され思うように進めず永田を見失ってしまった。

 

ほどなくして、装者たちを乗せた輸送ヘリが現場に到着し各装者は戦闘を開始する。

だが、碌な破壊行動も起こさず、ただまっすぐと前進するだけの怪獣たちに全員は困惑。どう対処すべきか悩み行動に移せないでいた。

 

「ルクー!!!」

 

高い電波塔の上から永田が呼びかける。怪獣がその呼び声 に気づきそちらの方向へ振り向いた時、 夕焼けの空に何処からともなく聞きなれないサイレンの音が鳴り響いた。

だれもがそのサイレンに疑問を持ち行動を止めていたとき、 弦十郎と庄司は永田の言ったことを思い出していた。

 

(ウクバールでは夕方になると大きなサイレンが鳴るんだ。そしたら、みんな家に帰るんだ。)

 

空を見渡し、音の出どころを探しいると雲の切れ間から信じられないもの発見してしまう。 

永田が言った通り、大小の塔にそれぞれ黄色い風車があり空に浮かぶウクバールと思われる町が空に浮かんでいた。

 

「ウクバール、」

 

現場にいた全員がその光景に目を奪われているといつの間にかサイレンが鳴り終わっており、気が付けば怪獣もまるで幻の様に姿を消していた。

 

「まさか。」

「おっちゃん。どこ行っちまったんだよ。」

 

そしてあの日以来、 永田は忽然と姿を消してしまった。

 

 

 

「風鳴司令~。」

 

外で待機していた朔也の声に弦十郎は記憶の世界から現実に引き戻された。

何か手掛かりはないかと再度永田の生家を訪れていた弦十郎は廃屋を出ようとし、あるものに気が付く。

 

クモの巣とチラシの奥に隠されていた三十数年前のカレンダーにはあの時見たウクバールの町と怪獣の姿の絵が描かれていた。

 

(永田は幼いころに見たカレンダーの中の町を自分の故郷だと思い込んでいた、ただの風変わりな男だったのかもしれない。 でも、もしかしたら、ウクバールは本当にあって、永田はようやく、そこに帰れたのかもしれない。)

 

「あの男には、ウクバールが必要だったのかもしれないなぁ。」

「えっ?ウクバール?それはなんですか?」

「だれも辿りつけない、遠い町さ。」

 




ウルトラマンガイア29話より出典。 
初のガイア怪獣がこれでよかったのだろうか? 

今回の個人テーマは装者たちではなく人間かどうか怪しいとすら言われるOTONAである弦十郎も多少は地球人であると書き語ったのが理由です。

この作品を読んで頂いてる方に「ダダ」のエピソードに風鳴弦十郎を出したらと話に話題に上がったのですが、この人の場合だと「ダダ」は愚か、大抵の人と同じサイズの宇宙人相手では装者たちの出番もなく、終わってしまう恐れがあるので、 どうやって戦わせずに、でもメインに持っていくか悩んだ末こうなりました。

最初は藤尭さんそのポジだったのですが、彼は色々当てはまるポジションが多いので、全国何人いるかは分かりませんが藤尭朔也ファンの皆様はもうしばらくお待ちください。


感想と怪獣のリクエスト、並びにアドバイスお待ちしております。ではでは

そろそろ、平行世界での話を検討中。 どれを先に読みたいですか?

  • 奏の世界 vs モズイ
  • セレナの世界 vs ザランガ
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