マイページにTwitterアカウント載せてますので進捗具合や、愚痴とかに興味あれば覗いてみてください。 催促も歓迎。
アンケートありがとうございました。 結果は奏の世界が先となりました。
てっきりセレナが勝つと思ったんですけど、いや~モズイは人気ですね(多分違う)
それと、お気に入りが30! とりあえずの目標が達成できたので嬉しいです!
本当にありがとうございます!
さて、今回はオリジナル要素もマシマシです。 これからのこの作品の行く末を占い実験回な側面もありますので、 批評 お待ちしております。
ではどうぞ
梅雨が明け、緑が生いしげ、セミが鳴く。
そんな長閑なとある村の神社の倉庫で、一人寂しく古くから伝わる絵を見つめていた女の子がいた。
「ハナちゃん! どこ? ハナちゃん!」
若い女性の声が倉庫へ入ってくる。
「あ、やっと見つけた。 心配したのよ。 さあ、ここは暑いからお家に帰りましょ?」
「いやや、お父さん待つん!」
「来月には帰って来るから、今日はね?」
若い女性は慣れた感じで探していたこの女の子を、ハナを説得しようとする。
と、その時。
突如地面が跳ね上がり、彼女たちがいた古い倉庫が激しく上下に揺れる。
幸運にも二人はケガすることは無く、原因を確かめるために外の境内へ出る。
小山の上の境内からは村が一望でき、何も変わらないはずの景色の中に、どこから現れたのか怪獣の姿がそこにはあった。
体全体は青く、たくさんの蔦が絡まってできたような足、背中は甲羅のようなもので覆われ、顔と思わしく個所には青いつぶらな目と口には大きなオレンジ色の花が一輪の花が咲いているという今だかつて見たことのないようなユニークな見た目の怪獣だった。
突然の出来事に驚く若い女性。
それとは逆に、ハナは怪獣の姿を見るとその顔には先ほどまでの仏頂面ではなく、花が咲きそうな笑顔に変わり、まるで慣れ親しんだかの様に怪獣の名前を口にした。
「ホオリンガ!」
一方その頃、怪獣出現の少し前、
この日は待ちに待ったS.O.N.Gの給料日を迎えていた。
本部の指令室では給料明細をS.O.N.G司令である風鳴弦十郎から直接手渡しで貰い、給料の使い道の話題で花を咲かせていた。
「皆、今月も良くやってくれた。 錬金術師との戦いだけでなく、頻発する怪獣との戦いでも君たちの支援なくしては今日まで無事に解決出来なかっただろう! こんな形でしか君たちに報いることが出来ないが、対怪獣手当を今月から適用してある。 楽しみにしていてくれ!」
「遂に給料日か~。 一ヶ月もアッと言う間ですね。 友里さんは何に使う予定?」
「ふふふ、 今月は貯金に回すわ。 ずっと前から欲しかった真珠のアクセサリーがあるのよ。 もう少しで目標金額にたどり着くわ! そう言う藤尭君は?」
「俺は食べ歩きと新しい調理器具の購入かな? 折角手当が付いたんだし、圧力鍋でも買ってみるか?」
「エルフナインちゃんはお給料をどうするの? 」
「はい! 僕も貯金してました! でもそれ今月で終わりです! 一年前からコツコツと溜めたお給料を遂に使う時が来ました!」
「一年分とは随分気合が入っているな! 高い買い物か?」
「それとも旅行かしら?」
「いいえ! 前から計画していた壮大な研究に使います! それでもまだ計画の1/4程度しか賄えませんが少しずつでも進めていこうと思うんです!」
「え、エルフナインちゃん? 研究費なら申請すればちゃんと予算を組んでくれるわよ。 ですよねえ? 司令?」
「まあ、研究内容にもよるが。どうなんだいエルフナイン君? 限度はあるが、必要な予算を分捕るのは司令として大事な仕事だ。 頼ってくれても良いぞ?」
「いいえ! とても嬉しい申し出ですが大丈夫です! これは僕の個人的な研究ですから! 貴重なご予算を使うわけにはいきません! それじゃあ僕はこの辺で! 早速貯金を崩してきます!」
そう言うと普段の彼女からは考えられないほどテンション高く、意気揚々と部屋を退出した。
「・・・司令、何とかなりませんか? きっとあのキャロルって子に関する研究ですよ」
「一年で1/4ということはあと3年は掛かりますね。 少しぐらい援助することは出来ませんか?」
「そうは言ってもな。 具体的な研究内容を把握しないことにはどんなに少額な予算でも組織の長としては認めることは出来ん。 それに組織運用に直接関係無いのであればスポンサーへ説得は困難だ。 上手い言い訳があれば良いのだが・・・」
自室兼、研修室に戻ったエルフナインは兼ねてより計画していたプロジェクトに着手するための準備を始めていた。
そこには並々ならぬ決意と思いが込められていた。
(キャロル・・。 もう一人の僕。 あれからも脳内領域にダイブしてはいるけどやはり想い出は消えてしまっていた。 でも僕は信じてる。 きっとまだ、君自身すらも知らない心のどこかに埋もれている
シェム・ㇵとの戦いの後、エルフナインは引き続き電界顕微観測鏡による脳内領域の観測を続け、僅かでも残ったキャロルの
だがここ最近は成果が見込めず、彼女は思い切ってアプローチを変えることにしたのだった。
(キャロルは焼却する想い出を選ぶことが出来た。 でないと自分自身すらも弾みで消えてしまうし、今日まで僕は存在しないはずだから。 想い出を選択できたということは逆説的に言えば焼却できるの自分でも認識している想い出だけのはず! ならきっと! キャロルでも認識していない、選ぶことのできなかった想い出がきっと残っているはず!)
脳科学の理論上、人間は生まれてから死ぬまでの記憶を忘れることはない。
それでも人間が忘れるという感覚を覚えるのは記憶したデータに鍵が掛かり、正常に開くことが出来ないからこそ起こる現象と言われている。
だがそれは、ふとした「刺激」という名の合鍵があれば開く案外脆いものでもある。
(その鍵を開けるために、君の根幹に関わる遺産を再現する! 待っててねキャロル! 時間はかかるけど必ず君の遺産を再現してみせるから!)
ヴァー! ヴァー!
アラームが鳴り響き、続いて艦内放送がアラームの意味を知らせる。
『日本の坂根村に怪獣出現! 各員は直ちに持ち場に着け! 繰り返す! 各員は直ちに持ち場に着け!』
「た、大変! すぐに指令室にッ・・ キャッ!」
思考の海から浮かび上がったエルフナインは転びそうになりながらも急いで指令室に向かうのであった。
時は流れて一ヶ月後、
「それでは先月、坂根村に出現した怪獣についてのブリーフィングを始めたいと思います」
諜報部所属であり進行役を務める緒川慎次がこの一ヶ月間の状況を整理するため簡単な情報共有からのブリーフィングが始められた。
「S.O.N.Gは出動要請を受け、これに対処すべく出動。 しかしながら怪獣からは攻撃性が認められず、動くこともありませんでした。 ただ使用されていない畑で眠るだけ。 非常に大人しい怪獣です」
「調査の結果、怪獣は光合成をし、排せつも行わいません。 まるで植物そのものだと分かりました。 そこで坂根村と協議し、保護下においてモニタリングを行うことが決まりました。 これが昨日の様子です」
慎次の後をエルフナインが引き継ぎ、怪獣の生態報告がなされた。
と同時に、メインモニターには一ヶ月前と昨日の怪獣の様子を比較した動画が流されていた。
「あれ? 昨日の動画の方が一ヶ月動きが少ない。 もしかして弱ってる?」
「はい、これを見てください」
画面が切り替わり、 怪獣の生命力を示す各種グラフが表示された。
「これが一ヶ月前と今の栄養状態です。 明らかに弱まっているのが分かります。 脳波の状態も弱まってる状態です」
「栄養失調ということか。こう聞くと、怪獣も生物なのだなと改めて思い知らされるな」
「なんだ可哀想デス・・・」
「それで、坂根村の意向は?」
「怪獣との共生を望んでおり、治療を望んでいます」
「そのためのプランは既に検討済みです」
「了解した。 坂根村の提案を受諾、怪獣を治療の対象とする。 各位準備にあたってくれ」
「・・・おかしいと思ってたのよね。 無害とは言え怪獣との共存をこんな小規模な村が望むなんて」
「・・・人間てあさm・・いや、逞しい生物だなと感じさせられるよ」
「はい! 凄く楽しそうです! やっぱりお祭りって良いものですね!」
S.O.N.Gの面々が坂根村に到着すると、村は村おこしの真っ最中であり、まるでお祭りのような騒ぎと人で溢れかえっていった。
村中には祭囃子が流れ、露店にはありとあらゆる怪獣にあやかった商品が並べられていた。
怪獣せんべい、怪獣地酒、怪獣クッキー、怪獣を擬人化した萌えキャラグッズ、ゆるキャラのプリントが入ったT-シャツやトードバッグ等のアパレルやアメニティ、やその他諸々、お土産の定番、怪獣まんじゅうなる物まで売られていた。
以前から片田舎にある小さな自治体がなぜ怪獣との共存を望んでいるのかに疑問を抱いていた藤尭朔也と友里あおいの両名は、村の商魂たくましい様子を見て理由に納得しつつも呆れ果て、一方のエルフナインは楽しそうに祭りの雰囲気を味わっていた。
呆然とする2人と1人の下に坂根村の村長が挨拶にやってきた。
「S.O.N.Gの皆さんが怪獣を元気にしてくださるそうで、ありがとうございます。 もう毎日がお祭り騒ぎ。 今やあの怪獣は村の人気者です。 怪獣ウォッチングじゃあ~と言って、観光客がわんさかと来るんですよぉ。 そんな人気者が栄養失調なんて可哀そうでね~」
「「は、はぁ」」
「村長~~!! 大変です!! 怪獣が!!!」
「怪獣がどうかしたんですか!!」
村長の付き人が怪獣という単語を口にしながら息を切らせて走り寄ってくる様に有事か!? と身構え、本部へ連絡しようとする大人2人。
しかし、
「名前です!サカネッシーとヤマゴン。この2つで意見が割れていて!」
「「はぁッ!?」」
「バカ! 坂根村のサカネッシー。 こっちのがcoolじゃろうて!?」
「ヤマゴンの方がロハスじゃあ~つーとります!」
「村おこしの目玉にそんな古臭い名前を付けれるか! ワシが説得する! それじゃあ先生方。 怪獣のこと、よろしく御願い致します! さてと、どこじゃあ!」
「村長! こちらです!」
そういうと村長とその付き人は風の様にその場を後にした。
「この村の人たちは怪獣に対して非常に好意的ですね!」
「「そ、そう(だな)ね」」
「怪獣と人間を繋ぐ良い切っ掛けになるかもしれません!! 僕頑張ります!」
朗らかに、和やかな笑顔を振りまきながら気合を入れるエルフナインを見て何も言えなくなった大人たちがそこに取り残されていた。
「スタンバイオッケイ! いつでも行けますよ!」
「こちら友里です。 司令、準備が完了いたしました。 装者の2人も有事に備えて周辺で待機してもらってます」
『うむ。 これより怪獣治療作戦を開始する。 まずは航空課がヘリで上空から怪獣の注意を引く。 その隙に一課は地上からアンプル弾を怪獣に発射せよ。 二課、もとい装者の諸君は万が一に備えてのバックアップとして待機。 全員気を引き締めてかかれよ』
頻発する怪獣騒動に対処すべく、S.O.N.Gは組織改革を行い、シンフォギア装者だけで無くその他の部署でも怪獣に対処可能にするよう見直しと装備の更新がなされていた。
今回の作戦は怪獣殲滅ではなく治療のため、S.O.N.Gはシンフォギア装者たちを後衛に廻し、組織改革の成果を検証すべく、航空課と一課をメインとして作戦に起用されたのだ。
通常の対怪獣作戦の場合は出し惜しみなく装者を全員投入する必要があるが、
今回は人里近くということも考慮し、有名人である翼とマリアは本部にて待機、
切歌と調も定期的な健康診断を理由に待機させられ、残った響は一課と共に行動し、クリスは航空課のヘリに同乗しながらの作戦となった。
そして、今回の作戦は坂根村の市民館に設置された臨時の前線指令室からあおいが指揮を担当し、朔也はサポート、エルフナインはアドバイザーとして現場に来ていたのだ。
そして前線指令室には、今回の任務の依頼主である村長とその付き人も同席し事の成り行きを見守っていた。
「こ、このまし~んで薬を飲ませるんですか?」
朔也の操作するモニター映し出された、今回の作戦に初めて投入された新機材、対怪獣用万能ランドメカ【S.O.N.G
【レッジェーロ】とはS.O.N.Gが開発した特殊車両であり、全長:4.5m、 全幅:1.8m とサイズは乗用車並みだが、あらゆるオプションを装着することにより様々な環境へ対応を可能とし、通常装備でも怪獣に対して有効な攻撃が可能な砲門を2門備えた、一課の新装備である。
「いいえ、 栄養剤を仕込んだアンプル弾を怪獣に打ち込ませるんですよ」
「簡単に説明しますと注射をあの戦車から発射して怪獣に刺します」
「それは痛そうですな・・」
説明を聞いて痛そうな表情をする村長。
そこへ市民館のドアが開き、神社の倉庫にいたあの女の子、ハナが入ってくる。
「おお! ハナ? どうしたこんなところに?」
「おじいちゃん! ダメ! ダメなの! しっーとして!!」
「大丈夫よ。 怪獣さんに注射をするの。 そしたら直ぐ静かにするわね」
「お注射!? もっとダメ! 絶対ダメ!!」
「え、えっと何がダメなんですか?」
必死なハナにになぜダメなのか聞こうとするエルフナインだったが、ハナを追いかけてきたお世話係のあの若い女性が入ってきたことにより聞くタイミングを逃してしまう。
「ハナ。 ここは危ないから早くチヅルちゃんと安全なところで待っていなさい、ね?」
祖父である村長はそう孫であるハナを説得するがハナは動かない。
「お注射ダメ! ダメなの!」
「大丈夫よ。 痛くないお注射だから」
「ホオリンガは病気じゃない!」
「ホオリンガ? あの怪獣のことですか?」
「ハナさんはあの怪獣のことご存じなのですか?」
うなずくハナを見て、エルフナインは詳しく話を聞こうとする、だがそんな彼女を通信が邪魔をする。
「【レッジェーロ】から入電! アンプル弾発射3秒前ッ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
エルフナインの制止は間に合わず、発射されたアンプル弾は見事ホオリンガに命中してしまう。
『響です! 注射は見事命中しました!』
『こちら雪音クリスだ。 上空からも確認した! おいおっさん! あの車、悪くねー性能だな』
「こちら藤尭。 怪獣の栄養値の低下を確認! 作戦は成功です!」
『「「おおーっ!」」』
無線の内外で作戦が成功したことに歓喜の声が湧きたつ。
エルフナインとハナ以外は・・・
そんな2人の気持ちもつゆ知らず、作戦成功の報を聞いて企画会議を始める村長と副村長。
怪獣に芸を教え込もうと呑気に案を出し合うがその時! あっちこっちで地響きが多発した!
「報告! 怪獣の栄養値が上昇ッ! 上昇ッ! 更に上昇ッ!!」
「か、怪獣がどんどん元気になっていきますッ!!」
ホオリンガ暴れ始める。
先ほどまでの大人しさが嘘の様に活発に体を震わせ、露店があった場所からはホオリンガの体の一部である青い蔦が大量に地面から飛び出す。
『こちら雪音クリス! どうなってんだ! 元気になったと思ったらあっちこっちにあいつの蔦が生えてきてるぞ! 攻撃するか!?』
「クリスちゃんと航空課はそのまま上空で待機して!」
「響ちゃん及びレッジェーロの無事を確認! 一時後退させます!」
不測の事態に慌ただしくも指示を飛ばす二人。
本来であればエルフナインも解析などで参加をするのだが、あんなにも必死に止めようとしたハナの事が気になり、話を聞こうと彼女の方へ振り向く。
「あ、ハナさん!」
だが、ハナは市民館から出て行ってしまい、エルフナインは慌ててその後を追いかけた。
追いついた先は先ほどまで観光客でにぎわっていた露店が並ぶ広場だった。
既に人の姿は見当たらず、そこに残されたのはボロボロの露店と彼女たちだけとなっていた。
「ホオリンガごめんね!」
「ハナさん・・」
ハナは彼女なりにホオリンガを守ることが出来なかったことを謝罪し、エルフナインはただそれを見守ることしか出来なかった。
不測の事態により、急遽S.O.N.G本部を中心にリモート会議が開始された。
『現在、栄養値は上昇を続け、怪獣は活性化し続けています。 根っこが地上に張り出しグングン伸びています』
「このままだと24時間後には村全体に広がると推測!? 叔父さま! これ以上の被害が出る前に何か手を打たなければ!」
「うむ。 怪獣に攻撃の意図は?」
『ありません。 恐らく薬が効きすぎたと推測されます』
「ねえ、友里? 薬を中和、もしくは排出する方法は用意してないのかしら?」
『解毒剤は用意してあるわ。 でも体から薬を出し切るのに2日は掛かる計算ね』
『手っ取り早く、根っこを切るのはどうだ?』
『クリスちゃん。 ここに来るまでに何回もあの蔦に襲われたんだけど、あれ、すぐに再生しちゃうんだよ。 きっと根っこの方もすぐに再生すると思うよ。 それに痛そう・・。 わたしだったら暴れちゃうな~』
『あの、もしかしたらあの怪獣は病気じゃあないのかもしれません』
参加者全員で意見を出し合う中、エルフナインが作戦の根本を揺るがす可能性を指摘したため、全員は意見を出すのを止め、無言でもって彼女に続けるよう催促をかける。
『ハナさんていう女の子が言ってました。 気になって調べてみたのですが、怪獣の眠る地面から大量の植物ホルモンが検出されました。 おそらくこれこそが怪獣から失われた栄養素だと思われます』
「しかしそれに何の意味があるのだ?」
『例えば、怪獣が地面に栄養を与えていたとか。 その理由さえ分かればいい解決方法が見つかるかもしれません!』
『司令、私もエルフナインちゃんの意見に賛成です。 私もあの子が言っていたことがただの偶然だとは思えません。 エルフナインちゃんが調べるまでの時間稼ぎをしたいと考えています。 許可頂けないでしょうか?』
「よし分かった。 エルフナイン君はそのまま引き続き調査を続けてくれ。 残りは引き続き厳戒態勢で怪獣とその根を警戒してくれ」
こうして怪獣治療作戦改め、 怪獣解毒作戦が発令された。
手始めに、友里は怪獣を村外れの更に外れにある何も無い原っぱに怪獣を移動させ、時間を稼ぎつつ、村への被害を抑える案を村長に提案をした。
しかし村長は村の大事な観光資源である怪獣を移動させることに難色を示し、2日ぐらいは被害に目を瞑ると宣ったが、矢継ぎ早に報告される村への被害(特に村長肝いりの構造物が破壊された)に遂に観念し、怪獣を移動させることを許可することとなった。
「ホオリンガというのは、カミンガの名前ね」
「カミンガ、ですか?」
「この村の言葉で神さまのこと」
「ホオリ様でホオリンガ・・・」
「突然やってきて、土地を豊かにしてくれた神様なのよ」
「ハナさんはなぜあの怪獣をホオリ様と呼ぶんですか? ホオリ様の姿があの怪獣に似てるんでしょうか?」
「さあ? 姿は分からないのよ。 この話自体もほとんど忘れられててね。 あ、でもハナちゃんのお父さんが昔話の学者様なのよ。 今は外国に行ってるんだけど、何か教えてもらってたのかもしれないわね。」
調査を任されたエルフナインはまず、ハナのお世話係であるチヅルからホオリンガについて聞き取りを行っていた。
やはりハナはあの怪獣がホオリンガであることを知っていると確信し、ホオリンガの触手を撫でている彼女にもっと詳しく聞くためにゆっくりと近づいた。
「な、仲が良いんですね。」
エルフナインが話しかけるが、彼女は特に反応を示さず、触手を撫で続ける。
「その、ホオリンガさんに注射ごめんねと言いたいんですけど・・」
すると彼女はエルフナインの手をつかみ、ゆっくりと触手へと導き、触れさせる。
「えっと、ごめんなさい」
二人で優しく触手を撫でる。 すると遠くに見えるホオリンガ本体からそれに応えるのように鳴き声を発した。
「良いって!」
「本当ですか! よかった」
自然と笑いあう2人。
「ハナさんは、ホオリンガが病気では無いと言ってましたね。 それはどうしてですか?」
「内緒なの。 お父さんとハナの内緒!」
「そうですか・・。パパとの大事な約束なら仕方がありませんね・・」
パパとの約束は何よりも大切なものだと理解している
だが、事態は急変する。
「あっ!」
そうハナが叫ぶ方向を見るとホオリンガが上空に巨大なティルトローター機が滞空していた。
レッジェーロ同様、怪獣や重装備を運搬、大人数の人々を乗せ避難させることを目的としてS.O.N.G本部がかねてより開発をしていた大型汎用ヘリ【S.O.N.G
『こちら航空課。アダージオ配置に着きました。 いつでも怪獣の吊り上げができます。 どうぞ』
『こちら一課。 レッジェーロも配置完了。 いつでも解毒剤を発射できます。 どうぞ』
『こちら本部。 怪獣解毒作戦を開始せよ!』
携帯する無線機から作戦が開始される報告が流れる。 それは勿論周りにも聞こえ、
「どっかに連れて行くん? そんなのダメ!」
「で、でもこのままじゃあ村がもっと大変なことになってしまいますよ!?」
「ホオリンガあそこに居たいって! あそこが良いって!」
ハナは彼女なりの抗議をエルフナインにし、エルフナインは困ってしまう。
一方、最新鋭機の力をもってしてもホオリンガを持ち上げることが出来ずにいたが少しずつ体が持ち上がり、苦しそうな悲鳴を上げて始める。
廻りから飛び出していた蔦も本体に引っ張られ地面の中に吸い込まれていく。
勿論、先ほど2人が撫でていた触手も勢いよく地面に吸い込まれ、それを見たハナは遂に決心し、
「あのね! 見てほしいのがあるの! 来て!」
「は、ハナさん?」
と、エルフナインを連れ、村の倉庫へと連れていった。
「あれ見て!」
「これは!?」
倉庫に入り、指さす方を見上げると、梁には古い絵が飾られてあり、そこにはなんと、ホオリンガにそっくりな姿が描かれていた。
その絵には姿とともにこう記されていた
〈天より降りし御神 此地へ降臨す 御神 此地にて睡る 恵の霧 噴き上げん 御神 此地の山と成りて 恒久に睡る〉
「ホオリンガずっと昔にこの村に来たの!」
「ホオリンガはこの村で眠って、 山になるんですか!?」
「あれをみて!」
倉庫の窓から見える山々を指さしながらハナは説明を続ける。
「あれがお父さん! あれがおじいちゃん!」
「ホオリンガたちは、昔からこの村に山になるために来たんですか!?」
「きっとみんなと居たいの! だから動かしちゃダメなの!」
怪獣の目的が判明したエルフナインはすぐさま作戦の中止を連絡しようとする。
しかし!
気づくと辺りは黄色い粉が漂っていた。
「な、なんでしょう? この粉は?」
『こちらアダージオ! 前が見えません!! ケーブルをカット!! 上空へ退避ッ!!」
『こちらレッジェーロ!! 同じく前が黄色い何かで覆われ動けません!』
『こちら本部! 状況を報告せよ! 藤尭! 友里!」
『こちら藤尭! 怪獣が意思を持って粒子を放出中ッ! ハックシ!! な、なんだ!? クシャミが・・!ハックシ!!』
「いけない! あれは花粉です!! 僕たち人間に一番効果のある物質です!!」
『友里です! 花粉の濃度が上昇中!! このままだとッ!・・クシュン! 人が住めなくなる状態までッ! クシュン! 花粉だらけになってしまいます!』
『響君! クリス君! ギアを展開して住民の避難誘導に当たるんだ!』
『ハックション! 無理です師匠! 花粉で目が痒くて前が見えません! ブェックション!! それに歌おうにもアックション!! クシャミが止まりせん!』
『こっちもだ! ビェックシ! 早くなんとかしてくれ!!』
『本部よりアダージオ! ホバリングで何とか花粉を吹き飛ばせないか!?』
『ダメです! 花粉が多すぎます! それにこれ以上近づくと花粉が詰まって墜落する可能性があります!!』
『くそ! 仕方がない! 作戦を変更! 直ちに現場から全員を退避させ焼夷弾による攻撃を・・』
「待ってください! 一つだけ方法があります! 花粉の方は僕に任せてください!」
『エルフナイン君!?』
「あまり時間はありません! 花粉を除去した後は解毒剤をホオリンガに打って歌を歌って下さい! ホオリンガも植物に近い生態なら、良質な音楽を聴くことによって代謝を活性化させて排出を促せるはずです!」
『しかし君ひとりではあの量の花粉は・・』
「確かに僕一人では無理です! けど! 僕にはキャロルの遺産があります! それに・・」
「ホオリンガ! おとなしくして! ダメ!!」
言葉を一度切り、 ハナの方を見ると彼女はなんとかホオリンガをおとなしくさせるよう必死に叫んでいた。
「ああまでしてここに残りたがっているホオリンガとハナさんの想いを、僕は大切にしたんです!!」
『・・・分かった! 責任は俺が持つ! 存分にやりたまえ!』
「ありがとうございます!」
本部からの了承を得たエルフナインはハナから離れた所へ移動し、緑色のカプセルを白衣の内ポケットから取り出した。
(時間が無くて起動実験もまだだけど、理論上は問題ないはず。 お願い!! また僕に力を貸してください!!)
祈るようにカプセルを握るとそれに応えるかのように鈍く光った気がした。
そしてこの危機を救う救世主の名を唱えながらエルフナインはカプセルを投げる!
「お願い! ファラッ!!!」
カプセルは空中で輝き放ち、その輝きは人型へと形を成し、中から一体の人形が現れた。
『オートスコアラーだとぉ!』
やがて光は収まり、現れた人形は長い緑色の髪とロングスカートをひらめかせながら見事なフラメンコを踊り、見えを切った。
「オートスコアラー、 ファラ・スユーフ。 またこうやって活躍の機会を頂けたことを嬉しく思いますわ。 ではマスター。 どうかご指示を」
「ファラ! 君の風の力でこの花粉を掃ってください!」
「心得ましたわ。 ではマスターはここでお待ちください。 危ないので少し行って参りますわ」
そう言うとファラは人間離れ、 いや人外其の物の跳躍力で花粉が充満する中へと飛び込んでいく。
「お生憎様。 私たちは人形。 花粉なんて効きませんわ。 それでもマスターから頂いた新しいボディーを汚してしまうのは忍びありません。 なので早めに終わらせましょう! 風よ。 私と踊りなさい!」
ファラが踊りだすと彼女を中心に竜巻が発生する。 すると竜巻は辺りの花粉を全て吸い上げ、視界が回復する。
『こちらレッジェーロッ! 視界クリア! ターゲット視認しました! 解毒剤を発射します!』
レッジェーロが放った解毒剤は見事ホオリンガに命中し、体内に投薬された。
そして、レッジェーロの搭乗員たちは花粉症に悩まされていなかったため、レッジェーロの密封性の高さが証明された瞬間でもあった。
「響さん! クリスさん! 歌えますか!?」
『ヴィエックション! ごめん! まだ無理!』
『あたしもだ! アッ!ッチュー!!』
「そんなぁ!」
『心配するな。
『世界最高のアーティストのライブでミドルスクールの実験なんて贅沢ね!』
「その声はッ!」
「せ゛ん゛は゛い゛!」
「マ゛リ゛ア゛さ゛ん゛!」
東の方角から近づいくるS.O.N.Gヘリを見ると本部で待機していたはずの翼とマリアがヘリから飛び降り、 戦うための歌を唄い始める。
【 Seilien coffin airget-lamh tron 】
ギアを無事纏った2人は世界初の怪獣のためだけのコンサートを開始する。
元々の歌唱力の高さとそれによって生み出される高純度なフォニックゲインを直に浴びたホオリンガの代謝は急激に上がり、最初は暴れるかのような動きを見せたがコンサートが終盤になるにつれ動きが鈍くなり、 終わるころには動きは完全に停止、フィナーレにはその姿は山へと変貌を遂げ、観客の声援と拍手がわりに大量の花を辺りに咲かせてコンサートは無事終了した。
「ホオリンガ、綺麗ですね!」
「あれがお父さんとね! あれがおじいちゃんとね! であればひいひいおじいちゃん! みんなと居るの!」
「これできっと寂しくないですね!」
「お~い!ハナ!」
ホオリンガが無事家族と一緒になれたことを喜び分かち合う2人。
そこへ村長がチヅルと一緒に現れる。
「お父さんが帰ってきたぞ!」
「ほんとう!?」
「本当よ! あの怪獣のこと、話してあげましょう!」
「うん! あっ! ちょっと待って!」
父親が村に帰ってきたことを喜び、迎えに来た2人について行こうとするハナは思い出したかのようにエルフナインの所へ引き返す。
「どうしたんですかハナさん?」
「あなたの名前を教えて」
「えっと、僕はエルフナインと言います。」
「じゃあエルちゃんって呼ぶね! エルちゃん! ありがとう!」
「・・・はい!!」
「よかったですわね。 マスター」
「さて、 エルフナイン君。 なぜ君がかつて我々と対峙したオートスコアラーを復活させたのか。 説明をしてくれないか?」
事件は解決し、S.O.N.G本部へと戻ったエルフナインは弦十郎に呼び出され、一連の経緯を説明するよう求めた。
「はい。 消えてしまったキャロルの記憶を復活させるために僕が再現しました。 オリジナルのオートスコアラーはキャロルの存在意識をベースに作られた、いわばキャロルの分身そのものなんです。 この分身を再現することにより、僕の中に残っているはずのキャロルの残滓と無意識へ刺激を与えることによって、埋もれていた想い出を取り出す。 これが僕が研究していた【プロジェクト・スペアキー】の目的です。」
「なるほどよく解った。 だが、司令としてかつて敵対したオートスコアラーを組織内で製作することは許容できない。 例え、それが個人的な研究と予算であってもだ」
「そ、そんなぁ!」
司令の言葉に絶望するエルフナイン。 現時点での最適解を潰され、顔を俯かせてしまう。
だが、弦十郎が妙なことを口走ることで問題は解決へと向かった。
「ところで、最近物忘れが激しくてな、もう一度聞くが、あの人形はなんて名前の種類の人形なんだ?」
「へっ?」
「知っての通り、今回の怪獣騒動では我々は2つの新装備を投入した。 それなりに自信は有ったのだが、如何せんコストが高い。 だが今回の作戦の立役者となった君が作ったオートスコアラーにそっくりな装備はそれ以上に素晴らしい性能と安さを両立した。 もしも、あの装備がオートスコアラーって名前でなければすぐにでもお偉いさん方にプレゼンをして予算を確保して君に製作を依頼するんだがなぁ~?」
「・・・そうですね! オートスコアラーはキャロルが作った人形の名前ですからね! でも僕が作ったのはそれとは違うオリジナルの人形です! 似てますが別物です! なら命名権は僕にあります!」
「その意気だ! それで、あの装備の名前はなんだ?」
「はい! 小さなカプセルに圧縮して携帯性に優れいるのでカプセルスコアラーです! 決してオートスコアラーなんてものじゃあありません!」
「カプセルスコアラーか! 良い名前だ! さて、予算を確保してからの話になるがエルフナイン君にカプセルスコアラーの製作を依頼する。 やってくれるか?」
「もちろんです! あの! 製作数や容姿や性能は僕が決めてもよろしいですよね!」
「ああ! 勿論多少の制限を掛ける必要があるかもしれんがそれ以外は全て君に任せる!」
こうして、対怪獣用の新装備として正式にカプセルスコアラー製作の予算が承認され、エルフナインは大手を振って製作に取り組めることになった。
(待っててねキャロル! きっと君を見つけ出してみせるから!)
次回予告
年に一度の大見せ場! 華麗に歌うその姿!
谷間のアイドルは怪獣オルフィ!
S.O.N.Gの抗議をあざ笑い、怪獣狩りに狂う探検団の団長は何処の馬の骨?
宇宙人の企みが、風雲急を告げるボッチ谷!
S.O.N.Gが戦う!シンフォギアが跳ぶ!
さあ! 次回 戦姫絶唱シンフォギア 歌え!怪獣ビッグマッチ
お楽しみに!
ニュージェネレーション、ウルトマランX 第10話より出典のホオリンガでした。
本当はもっと簡単なつもりだったんですけどね。
その辺は活動記録に書く予定の裏話を読んでください。
正直、オートスコアラーの再登場させて良かったのか凄く心配してます。
皆様の忌憚なき感想、お待ちしております。