嘘予告:ファーさん召喚RTA   作:偽馬鹿

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古戦場前日。
足を引っ張らないように頑張る予定です。


ファーさん召喚RTA 8

「あんた、B組だっけ?」

「……そうだけど?」

「よろしくな!」

「……よろしく」

 

元気に挨拶をする切島鋭児郎に、鈴は不機嫌そうに返事をする。

あんまり関わりたくないタイプ……。

鈴は元気な陽キャと相性が悪いのだ。

拳藤一佳は別腹。

 

 

 

「さて次は鋼鉄翼の暴走ガール! 結城鈴!」

 (バーサス)

 ガチガチの頑丈野郎! 切島鋭児郎!!」

 

 

 

 

 

 

「行くぜオラァ!」

 

切島鋭児郎は全力疾走で鈴に向かい、硬化した拳で殴り掛かる。

それを鈴は鋼鉄の翼で受ける。

衝撃が強い。

鈴は少しだけ押し込まれる。

 

「このまま押し切る……!」

 

切島鋭児郎は両手を硬化して拳を連打する。

ガンガンガンガンと鋼鉄の翼を殴り続ける。

その猛攻に、鈴は防戦一方。

に見えた。

 

 

 

「おおっと切島鋭児郎、ガンガン攻めて結城鈴をを押し込んでいく! これには結城鈴も防戦一方かー!?」

 

 

 

「……単調」

「あん……? うおっ!?」

 

鈴は切島鋭児郎の体重が乗ったパンチを受け止めた瞬間、目の前に展開していた鋼鉄の翼を開いた。

勢いよく開いたそれは、切島鋭児郎を後退させる。

それほどの威力だった。

 

「このまま仕留める」

 

そして一気に攻勢に出る。

鋼鉄の翼を変形させて、槍のように切島鋭児郎の身体を突き刺していく。

 

「う……おおおおおおっ!!」

 

それを切島鋭児郎は全身を硬化させて受け止める。

ガリッガリッと音がするが、致命的なダメージは受けていない。

頑丈である。

 

「面倒な……」

「おおっと! 今度は結城鈴が優勢か!? 」

 

鈴は更に鋼鉄の翼を変形させて、鞭のように叩きつけていく。

かと思えば剣のような形に変形させて撫で斬りにする。

バリエーションの豊富な攻撃方法に、切島鋭児郎は対応することになっていく。

 

「器用だなぁおい!」

「早く沈め」

「怖っ!?」

 

鈴は鋼鉄の翼を更に変形させる。

背中から後方へとノコギリ状に伸ばし、そのまま横回転。

ギギギギ! と大きな音を立てて切島鋭児郎のガードの上から身体を削っていく。

 

「ケイオスキャリバー……」

 

遠くで司が呟くが、それは誰にも聞かれることはなかった。

 

「ってぇ!」

 

その攻撃は切島鋭児郎の腕を削り、ダメージを与えた。

硬化の限界が近いだろう。

鈴はそう判断して更に追撃を仕掛けた。

 

変形した翼を地面に突き刺して飛び跳ねるように跳躍。

そしてぐるりと縦回転して更に削りに行った。

 

「う……おおおおっ!?」

 

更なる追撃に、流石の切島鋭児郎も後退せざるをえない。

というか手数が豊富である。

一体誰から学んだというのか。

 

「俺あんなの教えたっけ……?」

 

司が遠くでそう呟く。

つまりは独学である。

才能の塊かもしれない。

 

 

 

鈴は着地して、更なる追撃へと向かう。

身体の両側に鋼鉄の翼を大きく展開して、切島鋭児郎に叩きつけるように挟む。

そしてそのまま後方へ大ジャンプ。

削り倒すつもりだ。

 

「さ……せるかぁっ!」

「っ!?」

「うおおおおおおっ!」

 

なんと、挟まれた切島鋭児郎は両腕で鋼鉄の翼をこじ開けて、全力で鈴に向かって特攻したのである。

 

これに鈴は怯む。

まさかここで反撃に出るとは思わなかったからだ。

 

「おおおおおっ!」

 

勢いよくパンチ一発。

しかし、狙いは逸れて肩の辺り。

しかも硬化は解けていた。

限界だったのだろう。

 

「いっ……たいなぁもう!」

「ぐあああああ!?」

 

その証拠に、鈴の反撃に耐えることができずに吹き飛ばされた。

一瞬鈴も驚いたが、すぐに平静を装いふん、と顔を背ける。

それと同時に切島鋭児郎が地面に叩きつけられた。

場外ではないが、競技場に勢いよく叩きつけられて、動ける様子はない。

ミッドナイトが切島鋭児郎の意識を確認して、首を横に振った。

 

 

 

「切島鋭児郎、戦闘不能! 勝者、結城鈴!!」

 

 

 

「おめでとう鈴!」

「やったねー鈴ちゃん!」

 

拳藤一佳と小森希乃子が、見事勝利を飾った鈴を出迎える。

物間寧人は既に黙らされていた。

 

「あ、ありがと……」

 

鈴はちょっとだけ頬を赤くして、その出迎えを受け入れる。

褒められて嬉しいのだ。

それを素直に認められないだけで。

 

そして、ちらりとA組の方を向く。

司の様子を見ようとしたのだ。

それが何故なのかは彼女自身には分からなかったが。

 

 

 

しかし、司は鈴のことを気にしてる様子はなかった。

それに鈴はムカッとして鋼鉄の翼の端っこを切り離して司へと飛ばした。

それは司の後頭部に直撃し、ダメージを与えることに成功した。

とはいえ尖った部位ではなかったので、たんこぶができた程度だろうか。

きょろきょろと辺りを見渡す司を見て、鈴は少しすっきりしたのだった。

 

 

 

『うふふふ、中々に面白い関係性だねぇ』

「何が……? というか何がぶつかったんだこれ……?」

『秘密さ』

 

司は後頭部をさすりながら、見ていた試合を思い返していた。

基本的には原作と同じように進んでいた。

見所が多かったので、結構興奮したりしていた。

勿論、性的にではなく。

 

そして、司は鈴の試合を思い返す。

いや本当に、才能の塊だ。

戦い方が上手過ぎる。

 

 

 

まず攻め方が豊富。

鋼鉄の翼を変形させることができるのを初めて知った。

いつもベリアルとの訓練では、形をかえることなく扱っていたからだ。

秘密にしているとは、警戒でもしていたのか。

 

「……いや、そんなこと考えてる気配はなかったな」

 

司は自らの想像を否定する。

命の恩人に隠し事などするだろうか。

いやしない。

というかできないだろう。

そう思ったからだ。

 

司はどこか鈴に同情しているところもあった。

それは司が無個性であり、ある意味ベリアルに命を救われたこととも関係があるのかもしれない。

まあ彼自身よく分かっていないのだが。

 

「むう……」

 

謎だ。

司はそう考えて思考を切った。

今は次の試合だ。

 

 

 

 

 

「そういえば、話したことなかったっけ?」

「あ、ああ。そうだな。君はあんまり話そうとしないからね」

 

司は今日、初めて飯田天哉と会話を交わす。

今まで会話したことがなかったのだ。

同じクラスメイトなのにである。

そもそも司が喋らないことも原因かもしれないが。

 

「ん、これから気を付けるよ」

 

司は今度からはちゃんと話すことにすると約束した。

何となく心境の変化があったのだ。

原因は恐らく鈴だろう、ということも何となくわかっていた。

 

「そうか! 君がクラスに馴染めるように僕も努力すると約束しよう!」

「ありがとう」

 

別に何かあっても平気だろう、という気持ちもできてきた。

それはベリアルの力を引き出せるようになったからだろう。

鈴とは関係ない話だと司は考える。

 

 

 

「何やら友情が深まってるようだが今から試合だぜぇー!

 黒羽司!

 対

 飯田天哉!」

 

 

 

試合開始である。

司は後方へ、飯田天哉は前方へ全力で飛び出す。

司は既に2枚羽を展開している。

前回の試合同様、逃げ切る気である。

 

しかし飯田天哉はそれを許さない。

レシプロバーストを発動して一気に詰め寄る。

速攻である。

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

それを司は剣を作り上げて受け止める。

弾き飛ばされる剣。

即座に振り降ろされる剣。

弾き飛ばされる剣。

何度もそれが繰り返される。

 

しかし、それも長くは続かない。

それもそうだ。

レシプロバーストには時間制限がある。

司はそれも知っていて、時間を稼ごうとしたのである。

 

 

 

「甘いっ!」

「うっ!?」

 

しかし、飯田天哉もそれは承知の事。

一瞬の隙を突いて司の顎を蹴り上げた。

ぐらりと揺れる司の身体を掴み、一気に叩きつける。

当然狙いは場外である。

 

「おお! この一瞬の攻防を制したのは飯田天哉ぁ!

 このまま墜落するかぁー!?」

 

当然、その気はない。

司はぐらつく意識を保ちながら集中。

一気に力を解放した。

 

「おおっと!? 黒羽司の背中からもう一対の羽が現れたぞぉ!?」

「ほう。個性が成長したのか、はたまたまだ隠し事があったということか」

 

引っ張り出したんだよ、と内心で言いながら、司は全力で姿勢を維持してその場に留まろうとする。

急ブレーキだ。

4枚羽は伊達ではないのである。

 

「まだだ!」

「うっ!?」

 

司が全身の姿勢をコントロールしている間に、飯田天哉が勢いよく足を振り下ろしていた。

追撃である。

司はそれを両手で受け止めるしかなかった。

剣を出す暇がなかった。

 

 

 

しかし。

飯田天哉の追撃もここまでだった。

レシプロバーストの時間切れである。

 

司はその瞬間を見逃さず、振り下ろされた足を引っ張り、逆に地面へと叩きつけた。

当然場外である。

 

「くっ!」

「……危なっ」

 

後ろを振り返ると、司も地面に衝突する間際であった。

ギリギリセーフである。

 

 

 

「決っ着ぅー!! 勝者は黒羽司ぁ!」

「いい試合だったね」

「……ああ!」

 

司は飯田天哉と握手を交わし、自分の入場してきた場所へと帰っていく。

飯田天哉的にはまあ、前回の試合よりはまともに戦えただろうし。

司は商品の宣伝に使われていた飯田天哉の様子を見ていたのだった。

あれは可哀想。

 

 

 

とはいえ勝負は勝負。

司は小さくガッツポーズをしながら観客席へと戻っていくのだった。

 

 

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