嘘予告:ファーさん召喚RTA   作:偽馬鹿

9 / 9
お久しぶりです。
やる気が減退していましたが、なんとか復活できました。
鈴の見せ場です。


ファーさん召喚RTA 9

鈴はじっと爆豪勝己を見続けていた。

敵である。

いや同じヒーロー科なので仲間なのだが。

彼女にとっては敵であった。

 

なんというかこう、ムカツクのである。

行動に苛立つというか、言動にイライラするというか。

実際のところ、同族嫌悪という奴なのだが。

 

「おい」

「……何?」

「今棄権すりゃぁ痛い目に合わずに済む」

「殺す」

「ああ゛!?」

「ふん」

 

一触即発である。

爆弾と爆弾のぶつかり合いというかなんというか。

ともかく、危険物同士の争いであった。

 

 

 

試合開始の合図とともに両者突進。

鈴は鋼鉄の翼を両側へ展開して横回転。

更に蹴りを叩き込もうとしていた。

ケイオスキャリバーである。

 

爆豪勝己は全力で右手を振りかぶり、一気に爆発させて吹き飛ばそうとした。

火力は十分、しかし鈴はそれを鋼鉄の翼の風圧で叩き切った。

 

「喰らえっ!」

「バァカッ! 喰らうかボケェ!」

 

鈴が放ったケイオスキャリバーは、寸前のところで爆豪勝己がしゃがんで回避する。

そしてそのまま脇腹に爆炎をぶつけようとする。

 

しかし鈴もそれを見切っていたのか、振り切った鋼鉄の翼をわざと地面に突き刺し、一気に方向転換。

縦回転して爆豪勝己から距離を取った。

 

更に鈴は司にやったように鋼鉄の翼から一部分を切り離し、爆豪勝己に向かって飛ばす。

あの時のように手加減はない。

十分な殺傷能力を持った、尖らせた羽のような形のそれだった。

 

「チッ!」

 

爆豪勝己はそれを真下から爆破して吹き飛ばす。

真正面からでは排除できないだろうと踏んだからだ。

そしてそのまま距離を取ろうとバックステップをしている鈴に突進。

距離を詰める。

 

「くそっ!」

 

鈴はそれに気付き、更に羽を飛ばす。

4本の羽が爆豪勝己に向かって加速していく。

それを爆豪勝己は全力で爆破して吹き飛ばした。

 

その瞬間、爆豪勝己の周辺は煙で包まれていた。

鈴はチャンスだと踏んで全力で後退。

距離を取ろうとした。

 

 

 

「させるかよぉっ!」

 

しかし、爆豪勝己は両手で爆発を起こして前進。

一気に鈴との距離を詰めた。

鈴は咄嗟に鋼鉄の翼を振り上げて牽制するが、それを爆豪勝己は寸前で見切って回避。

鈴の顔面を爆破した。

容赦ねぇ。

 

「な……めるなぁっ!」

「ぐぅ!?」

 

しかし、鈴はその程度では怯まない。

一瞬気が緩んだ爆豪勝己に向かって鋼鉄の翼を叩きつけた。

殺意はないが、殺気はあった。

グサリと刺さるように尖った方を爆豪勝己に向かって叩きつけたのである。

 

しかし。

爆豪勝己はギリギリで尖った部分を避けて、隙間に身体を捻じ込んだ。

そしてそのまま爆破。

鈴の脇腹をぶち抜いた。

 

「かっ……!?」

「おらぁっ!」

 

更に追撃でもう一方の手で爆破する爆豪勝己。

それに耐えきれずに、鈴は吹き飛ばされる。

 

「はっ! 試合前の威勢はどうしたよぉ!」

「けふ……っ! なめ……んな……!」

 

両者ちょうど試合会場の真ん中を挟んで同じくらいの場所に立っていた。

お互い傷だらけである。

しかし、お互いギラついた視線を交わしている。

 

鈴は鋼鉄の翼を大きく展開して。

爆豪勝己は両手から爆炎を放ちながら。

ギラギラと睨んでいた。

 

 

 

「「ぶっ殺す!!」」

 

 

 

両者は同時に突進した。

爆豪勝己は両手から爆炎を放ちながら空中を飛ぶように奔る。

鈴は爆豪勝己と自分のちょうど間に鋼鉄の翼を突き刺し、引っ張ることで加速。

パチンコの玉のように滑空する。

 

爆豪勝己は爆風を少しだけ曲げ、身体を回転させていく。

速く。

速く速く速く。

全力で回転する。

 

鈴は滑空している間に鋼鉄の翼で全身を覆い始める。

硬く。

硬く硬く硬く。

全身を固めて滑空する。

 

 

 

榴弾砲 着弾(ハウザーインパクト)!!」

「ユニ・ソニック!!」

 

 

 

 

 

瞬間、閃光が奔る。

 

 

 

 

 

「勝者! 爆豪勝己!!」

 

 

 

 

 

 

 

「くそ! くそ! くそぉっ!」

 

鈴は苛立っていた。

鋼鉄の翼を地面に叩きつけて、ガシャンガシャンと鳴らすほど。

いつも手入れをしているのに、それも忘れてである。

 

「ちょっと、落ち着きなさいよ」

「もー負けたのは悔しいだろうけどさー」

 

拳藤一佳と小森希乃子が宥めるが、その怒りは収まりそうにない。

ふーっふーっと猛獣のように呼吸が荒ぶっている。

どうやら、暫く怒りは静まらないようだ。

 

 

 

「―――――って感じだろうか」

『うふふ、気になるのかい?』

「そりゃあね」

 

司は鈴の状況を想像しながら、控え室で準備をしていた。

相手は轟焦凍だ。

本気でかからないと即敗北だ。

 

なので、イメージ。

4枚羽をコントロールするイメージだ。

司自身、能力がどこまで強化されたのか、引き出せるようになったのか分からないのである。

 

「とりあえず、空中での姿勢や方向制御は上手くできるようになった……気がする」

 

そして、恐らくは使えるようになっているであろうバルトロマイ。

司はバチバチと鳴る手の平を握りしめた。

 

 

 

 

 

「今回の試合は黒羽司

 対

 轟焦凍ぉ!」

 

 

 

司は轟焦凍の様子を見る。

まだ迷っているような、不安な様子だ。

司は頭を掻いて、一言だけ言った。

 

「殺す気で行くよ」

「……っ!」

 

瞬間、司は4枚羽を展開した。

目標は轟焦凍の足元。

一瞬で意識を固めて放つ。

 

「バルトロマイ!」

 

爆発。

司の放ったエネルギー波が轟焦凍の足元を爆破した。

狙いは氷側の半身だ。

足元から放出される冷気を放たれる前に速攻をかけたのである。

 

「くっ!?」

「次」

 

司は間髪を入れずに剣を放つ。

同時に2本。

轟焦凍のいる場所で交差させるように放った。

ゴエティアだ。

 

轟焦凍はその斬撃を回避し、即座に冷気を放つ。

威力はそれほどでもない。

司が飛ぶことを知っているからか、空を飛ばせるために放ったのか。

 

 

 

司は飛ぶ。

誘われてるのかもしれないが、飛ばないわけにもいかない。

飛翔した司はそのまま上空に飛び上がり、両手に剣を持って滑空していく。

接近戦に持ち込むつもりである。

 

「このまま押し切る……!」

「させねぇ……!」

 

司は両手の剣を操りながら、唐突に空中から剣を出現させたりして不意打ちをしていく。

えぐい。

そのいやらしい攻撃に、次第に息を切らせ始める轟焦凍。

 

それはそうだ。

避け切れない攻撃を全て氷で受けていれば、自ずと限界は訪れる。

既に体温が下がり始めているだろう。

 

「いいの?」

 

司は問いかける。

それは轟焦凍の心を揺さぶろうと考えてのことだったのか。

司本人にもわからなかった。

 

「緑谷君の声は無駄になるね」

「っ!?」

 

瞬間、轟焦凍の目の色が変わる。

不安や困惑のものから、敵意を示すものに。

 

 

 

ゴウ、と炎が広がる。

近距離で戦っていた司の表皮がほんの少し焼かれる。

司は咄嗟に離れようとするが、轟焦凍はそれを許さない。

一気に炎を爆発させるかのように炎上させ、司を覆いこむように展開した。

 

「なんだ、怒ったの?」

 

うふふ、と司は小さく笑う。

そして司は4枚羽を大きく動かし、炎をかき消す。

2枚羽の時にはできなかった芸当だ。

 

そのまま後方へと飛び、バルトロマイで煙幕を張る。

轟焦凍はその爆炎を吹き飛ばすように炎を操る。

爆風を巻き込み、司の方へと送り出そうとしていた。

 

「あちち」

 

司はその炎に怯むことなく、ゴエティアを放つ。

ちょうど、炎を回り込むような形だ。

轟焦凍はその剣を凍らせて受け止め、更に炎で追撃しようとしていた。

 

「甘いよ」

 

司はその炎を斬り裂くように剣を放った。

威力は十分。

轟焦凍の身体を貫いて余りあるものだった。

 

「チッ!」

 

轟焦凍はそれを防ごうとせず、回避することを選んだ。

勢いよく前転して距離を詰めつつ回避した。

司は内心、危なかったなーとか思っていた。

危うく殺すところだった。

 

 

 

ふと、司は一気に意識を取り戻した。

危ない、今のは本気だった。

()()()()()()()()()()()()()()()

 

頭を振って思考を取り戻す。

今のはベリアル的思考だった気がする。

能力を引き出した弊害だな、と司は当たりをつけた。

 

ベリアルは応えない。

そういうことなら仕方ない。

司は今の感覚を忘れないように試合を続けることにした。

 

 

 

「うふふ……」

 

笑みがこぼれる。

まるで浸食されてるような感覚に自然と焦りが生まれる。

しかし、それを吹き飛ばすような感覚も覚えた。

 

力が手に入る……力を振るう感覚が嬉しく、楽しい。

危険な思考であるが、司はそれをコントロールできる気でいた。

剣を握り、その感触を確かめる。

うん、無理だな。

司はその気持ちを抑えることを諦めた。

 

「仕留める」

「倒す!」

 

司が剣を轟焦凍に投げ放つと同時に、轟焦凍が走り出していた。

うん、だろうなって思ってた。

司はそのまま両手に剣を取り出して滑空する。

狙いは轟焦凍の身体本体。

動きは見切っている。

自身に溢れる感情に押されながら、勢いよく剣を薙ぎ払う。

 

 

 

「は……あああああああ!」

「げ」

 

 

 

瞬間、轟音。

司の目の前で大きな爆発があった。

氷と炎が重なり合ったことによる爆発だ。

 

剣は拉げ、腕は焼けた。

だがしかし、吹き飛ばされるような愚行は犯していない。

このまま押し切る……!

 

「チッ!」

「悪いねぇ!」

 

がっつり肩を掴み、全力で滑空を続ける。

片手は焼け、片手は凍るが問題はない。

このタイミングを逃せばまた接近するところからだ。

このチャンスを逃すのは愚行。

場外に突き出してやるのである。

もはや司の頭の中に原作などない様子。

 

 

 

「勝者! 黒羽司!!」

 

 

 

司が突き飛ばすように轟焦凍を場外に飛ばし、決着。

小さくガッツポーズして、司は空中で一回転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん……」

 

鈴は鼻を鳴らしてその決着を見終えた。

まあ、勝ってもらわないと困るし? みたいな? とは思ってたけど?

 

「これで仇をとってもらえる、とか考えてる?」

「べ、別にぃ……」

 

鈴は曖昧な表情でそのセリフに反論した。

まあ、そんな意図もあったかもしれないかもしれない。

鈴は目をそらしてみんなの視線から逃げたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。