刀を作りて業を斬る   作:凡人EX

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伏線的な物を散りばめ過ぎてワケワカメになっている凡人の作品です。

どうぞ。


折神家動乱/刀哉の独白

 ──夜、折神家にて

 

「今戻った」

 

『お帰りなさいませ』

 

 遅い時間に戻った紫。3人の少女達の内、毛先が黒い白髪という変わった髪色の少女に荷物を手渡す。

 

 そして報告書と思しき物を受け取り、執務室へ向かう。

 

 それに3人の少女達が追随し、紙に目を通す紫の後ろから留守中に起きたことを報告する。

 

 まずは凛々しい表情の子。

 

「紫様がお出かけになられた後、荒魂の出現が2件ありました。どちらも対応が早かったため、街、刀使共に軽微な被害で済みました」

 

「そうか」

 

 そう一言。紫の声に続き、気品ある佇まいの子が。

 

「留守中に研究班から刀使専用装備についての報告がありました。予算をもう少しこちらに回して欲しいとのことです」

 

「様子を見てからだな」

 

 また一言。

 

 その行進は、見るものを圧倒する気迫がある。

 

 報告が一段落した時、紫が問う。

 

「結芽はどうした」

 

 変わった髪色の少女が答える。

 

「燕さんは既に就寝しました」

 

「そうか……もうそんな時間か」

 

 言われて初めて時計を見る紫。針は11時10分を指している。

 

 少し渋い顔になる。確かに遠い所まで行っていたとはいえ、ここまでかかるとは正直思っていなかったからだ。

 

「……そうだな、お前達、今日はもう休め。明日から少々手伝って貰いたいことがあるしな」

 

「……手伝うこと、ですか?」

 

 凛々しさの塊のような少女の口から、そんな疑問がポロッと出てくる。

 

 自分でも口に出るとは思わなかったようで、気づいた紫の目線を受けて謝る。

 

 しかし、その疑問ももっともだと紫は説明する。

 

「今日から2週間後、新しく親衛隊に入る者がいる。様々な準備を貰いたくてな」

 

「新しい親衛隊……今日の用事とはもしかして」

 

「ああ、彼の親に許可を貰いに行った。2週間の準備期間の後に来る」

 

 この言葉に驚いたのは、少女達だけではない。

 

 周りで忙しなく動いていた職員達でさえも、その足を止めた。

 

 それを見てため息をつく紫。

 

「詳しい事はそのうち話す」

 

 とだけ残して先へ進んでいき、遅れて少女達も執務室へ向かって行った。

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 それから1週間。紫の口から語られた新人の話はおおよそこうだ。

 

 歳は数えて12歳の少年であること。

 

 前線に立つと同時に、御刀の調整を行う人員であること。

 

 戦国時代辺りから折神家と親交のある、刀鍛冶でありながら、荒魂を祓う力を持つ一族であるということ。

 

 かつて紫と共に戦った人物の息子であるという事。

 

 才も申し分なく、親衛隊へのスカウトに踏み切ったということ。

 

 

 噂は瞬く間に広まった。

 

 特に、かつて紫と共に戦った人物の息子であるという点、そして刀鍛冶である点で大騒ぎである。

 

 この世に刀鍛冶は多かれど、紫と共に戦ったという者は一人だけである。

 

 空凪剣司。かつて折神家に仕え、約20年前の大荒魂の討伐に参加した。

 

 仲間をその力で護り、大荒魂に大打撃を与え、大きく力を削いだ紛れもない英雄。

 

 その代償として戦う力を失い、恋仲にあった仲間を連れて故郷に帰ったらしい。

 

 また、その連れて帰った仲間というのも英雄と言われるに相応しい人物だった。

 

 雪宮日美。大荒魂討伐の際、紫と共に奮闘した刀使。

 

 その技で仲間の活路を切り開き、大荒魂の討伐に貢献したという。

 

 戦いが終わった後、力を失った剣司に付き添い、双方の親公認で彼の実家に転がりこんだとか。

 

 順当に考えて、そんな2人の子供が親衛隊となるのだろう。いくらなんでも若すぎないか、等の声もあったが、前例もあるし、何よりも次世代の英雄への期待が大きかった。

 

 

 

「……そんなに凄い子が来るんだ。楽しみだなぁ」

 

「問題を起こさないでくださいね、結芽」

 

「わかってるって、心配性だなぁ寿々花おねーさんは」

 

 そんな話を耳にした親衛隊の2人。気品ある佇まいの少女こと此花寿々花と、幾らか幼く見えるサイドテールの少女、燕結芽。

 

 この2人もまた、その少年が来るのを楽しみにしている者である。

 

 特に結芽の方は強者が来ると聞いて血が騒いでいるらしい。

 

 それを見抜いて抑えるように言う寿々花だが、コロコロ笑いながら言っているのでかなり心配である。

 

 如何せん、この燕結芽という少女は先の前例であり、親衛隊最年少にして屈指の実力を持つ天才なのだ。

 

 ちなみに、今度来る少年こと刀哉と同い歳である。

 

 それと同時に、自らの強さ、本人に言わせる所の“凄い所”を見せたいという自己顕示欲が強いところもあり、普段から遊びと称して手当り次第に刀使に喧嘩を売っている。

 

 今回もそうなるかもと、思わずため息が出てしまう寿々花嬢である。

 

「そもそも、その子の本業はあくまで御刀の整備。強いかどうかは分からないということを覚えておくように」

 

「でも、紫様が強いって言ってたじゃん」

 

「……ええ、まあ」

 

「ほらぁ、やっぱり強いじゃん。その子って名前分かる?」

 

「確か……空凪刀哉君、でしたわね」

 

「……刀哉?」

 

 刀哉の名前が寿々花の口から出た途端、結芽は固まってしまった。

 

「……結芽? どうかしました?」

 

「……ううん、なんでもなーい」

 

 が、すぐに何時もの調子を取り戻した結芽。寿々花は首を傾げたが、気にすることではないと思い直した。

 

(……刀哉、刀哉……まさかね)

 

 

 

 ───────────────────────

 

 

『お前さん、随分と血色悪いじゃねェか』

 

『……誰?』

 

『おっと、声まで掠れてるときたか。こりゃ重症らしい』

 

『……』

 

『そう睨むなや、可愛らしい顔が台無しだ』

 

『……余計なお世話だよ』

 

『……喋るのも辛いか。……なぁお前さん、ちくと儂の話に付きおおてくれんか? や、何、聞いてるだけでええ』

 

『……何で』

 

『悪いのう、儂は人一倍お喋りでな。半身がボロボロの今、何も出来んて暇なんじゃ』

 

『……いいよ、私も、何も出来ないし』

 

『そこそこ余裕はありそうじゃのう。相槌返すんは出来ればでええから。……さて、せっかく聞いて貰うもんじゃし、つまらん話をするのはなァ……最近した花火の話でもどうじゃ』

 

 

 

 我ながら空気を読めていなかったと思う。

 

 しかしまあ、その後話をしに行く度によく笑ってくれるようになってくれたのだ、それでいいだろうと儂は思う。

 

 さて、また工房で力尽きたらしい儂は、何時ぞやの夢を見た。

 

 いやはや、懐かしい夢だ。

 

 病室を抜け出して、フラフラしていたら見つけた少女。

 

 正直、今にも死にそうな子だった。

 

 その時、無い知恵を絞って元気になってもらおうと話しかけたのだ。

 

 ……悪いことでは無かったと信じている。

 

 親御さんも見舞いに来ることがついぞ無かったと後で聞いたし。

 

 ……そうか、こんな夢を見たのは。

 

 その子に……結芽に、もう一度会えるというお告げや知れん。

 

 確かに将来再び会えると占いで知ってはいたが、結芽も親衛隊に入っているのだろうか。

 

「……楽しみじゃのう」

 

 両頬を叩いて気合いを入れる。今日は学校だ。残り2週間、この山を離れるのは寂しいが致し方なし。

 

 親父達の無念を晴らす為の戦いだ。身を投じる覚悟は出来ている。

 

 ……お袋の飯を早く食いに行こう。今日動くのはそれからだ。




わかりにくくて本当に申し訳ありません……

とにかく、刀哉君の口調はかなりジジくさいと覚えていてくれれば……
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