遊戯王プレイヤーが召喚魔法を身につけて異世界で無双する話 作:大将軍汗明
その日は、今までの世界が音を立てて壊れた音がした。
私には希望が無い、母親の顔もうろ覚えで唯一母親から貰った今あるものと言えば、我が身と名前ぐらいしかなかった。それなのにその我が身でさえもイカれたサディストのせいで失われつつあった。
『エルミーちゃぁん。今日も僕と遊ぼうねぇ。』
{……}
また今日もこの時間が始まった、こいつは奴隷の私を2時間ほど痛めつけてから寝るのだ。
一昔前は寝れないほどの激痛が程だったのだが、
最近は仕事が上手くいってるのか知らないが、以前に比べたら随分マシである。最近は痛みも感じなくなって来た。
『ふぅ、今日はこの辺にしておくよぅ。』
{……}
どうやら今日も終わったようだ。最近は時間の流れも感じなくなってきて、痛みも、感情も、時の流れも、全てが私の中から無くなっていくような、私が無くなっていくような、そんな恐ろしい感じが私を覆っていった、そんな時には私はいつも自分のかけがえのないパーツを触っていくのだった。頭、肩、両腕、胸、腰、両足と。
私は自分でも可愛いと思うほどの美少女であると思っている。だからこそ私は顔を傷つけられないように、それとなく避けてきたのであった。
1週間後
いつものように奴がやって来た。
だが、いつもとは違う、片脇に私と同じぐらいかそれよりも小さい女の子を抱えている。
『エルミー。今日から仲間になる子だぞぉ。仲良くしてやれよぉ。ほら、自己紹介しなさい。』
〈うぅっ、うっ、ぐすん〉
{……}
泣きじゃくっていて、自己紹介など出来そうもない。
当然だろう、と思っていたら急に名乗る、というか大声を上げだした。
〈わたしは、この人界の首都カリオストロの国王の実子!ムイムイであるぞ!〉
{…!}
国王の娘!?そんな奴を誘拐してきたのか…?
〈じきに救助隊が来る!諦めて自首するんだな!〉
(もし、本当なら彼女を何としても生かさなければ…!)
『ったくぅ、生意気な口は殴って止めるしかないよねぇ。』
{待って!!}
『どうしたんだい?エルミー?』
{彼女の代わりに私がなるから!だから、彼女は許してあげて!}
なんで私こんな事言ってるんだろう…彼女を生かせば私が助かるとでも思ってるのかなぁ。
そして耐え凌いだ一月後、事件は起きた。
奴の屋敷に国の騎士団が押しかけてきたらしい。その隙私は今まで喋っても来なかった、だけど必死に庇ってきたムイムイを連れて牢を飛び出した。
長年囚われてきた知識を使って何とか地下から出る、その時、奴が現れた。
『せめて…王女だけでも…』
いつものような愉悦に歪んだ下卑た笑顔ではなく、
表情の無い的確な殺意を丸出しにして、手には片手剣のようなものを握っている。
奴はムイムイに向かって思い切り片手剣を振り下ろした。
ここで、私はムイムイを助けなくても助けて貰って生きていけるだろう…
ズバッ!!
私の体は勝手に動いていた。ムイムイを庇ったが、代償に右目を深く切ったようだ。
そして、奴は見た事の無い形相で私に対して片手剣を振り下ろしてきた。私は避けれないことを悟り、潰れている右目もグッ、と瞑り、死を覚悟した。
だが、不思議な事に私は生きていた、ちら、と周りを見渡すと、青く短い髪が奴の返り血で紅く染まっているのを見た。
「ありがとうな嬢ちゃん、家のおてんば娘を助けてくれて。」
{…あなたは?}
「国の騎士団の一兵卒さ。」
〈嘘ばっかり!あなたは、騎士団長だって言ってるでしょ!〉
{…!}
「まぁ、お互いに助けられたから、おあいこって事で!」
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{って、感じで助けられたのよ!も〜かっこよかったわ!}
そうか、壮絶な過去を経験したんだな。
{そうよ!もっと敬いなさい! }
敬うつもりはねぇ〜よ!
{全く、頭が高いんだから!}
(そんな過去のあるこいつが、ここまで明るくなれたのは、救出された後、育ててくれたアルテマさんのお陰だな。絶対に助けなきゃな…)
色々変な事になってますがご了承ください。