艦娘(男)になったんでハーレム計画立ててみた (プロット紛失済) 作:n番煎じの戦闘員
ジリリリリ! ジリリリリ!
「…………はっ!」
海を駆けて行った彼を見送ってから、暫く呆然としていたが、開けっぱなしの家から響いてきた電話のベルで我に返った。
慌てて家に戻り、電話に出る。
「は、はい! 久里田です!」
「遅い」
「ち、父上! も、申し訳……」
「プライベートだ」
「あ、はい。父さん。ごめん遅くなって」
プライベートと言っているが……父親が話したいのは、恐らくあの件だろう。
「その後、何があった」
「えっとね……」
プライベートと言ったのは、周りを誤魔化すためか、俺の素直な考えを聞きたいのか……。分からないが、僕もなるべく親子で話しているような口調で話す必要がある。内容も勘づかれないように注意するか。
「……てなったんだけど」
「嘘みたいな……真か」
普段はハッキリと話す父親から、少し困惑したような雰囲気が感じられ、父親は父親で悩んでるのだと思うと、少しだけ気が楽になった。
「うん……まぁ信じられないけど。見たら信じるしかなかった」
「『かんむす』と名乗る人物が複数名現れた」
「……っ!? それはっ……」
恐らく、彼が探していた者と同じであろう。大きすぎる情報に、身の毛がよだつのを感じた。
「あぁ。全員海上を走って現れたようだ」
「いったい……一体何が起きているんだ……」
「本人たちは『助けられた』と言っていたらしい、誰にかは分からないそうだ」
答えの出そうもない質問を口にするが、父親は答えず、無慈悲に話を進める。
「そして、彼女らが現れたのは、全てお前が言う男が海へ出て以降だ」
「……っ!! それって……」
「彼女たちは本部の貴賓室に通してある。久里田少将、お前が行け」
「…………はい」
プライベートは終わり。階級を告げられたのは総司令官からの命令という意味。つまり、報告ではない、僕の主観交じりの話を聞いた上での総司令官の判断という事だ。もちろん僕に逆らえる筈もない。
今、世界全体で何が起こっているのか……外を見ると、既に日は暮れて夜になっていた。暗く先の見えない不安が僕にのし掛かる。
「追加だ」
そして、最後に付け加えられた父親の命令は、
「各地で黒い化物の目撃情報と被害が増えている、調査しろ」
…………僕をますます不安にさせるものだった。
☆☆☆
「はじめまして、吹雪です! よろしくお願いいたします!」
「五月雨っていいます! よろしくお願いします。護衛任務はお任せください!」
「電です。どうか、よろしくお願いいたします」
「綾波型駆逐艦漣です、ご主人さま。
「あんたが司令官ね。ま、せいぜい頑張りなさい」
僕を出迎えてくれたのは、想像以上に若い5人の女性、いや少女だった。5人とも中学生にさえ見える容姿をしており、何人かは髪の色や瞳が日本人離れ……いやどの人種にも当てはまらないでいた。服装は学生服……だろうか? 少し違うかも知れない。
敬礼で挨拶され、僕も答礼する。
「ぼ……私は久里田正提だ。まだ君らの上官では無いが、暫く面倒を見ることになった。君たちは……軍人、なのかい?」
「そう思ってくれていいわ。私たちは軍艦そのもの。強いて言うなら海軍ね」
「そうか、私も海軍だ。君は……」
「叢雲よ」
「叢雲か。よろしく頼む。それで……君たちはどうして此処に?」
既に聞かれているだろうが、改めて聞いてみる。すると、何故か全員が答えに窮したように黙ってしまった。
「どうしたんだい?」
「えっと……あんま良く覚えて無いんだけど……」
「漣、だね。それでも良い。教えてくれないか」
「はいご主人様(仮)。えーと……暗い海の底から温かい手で引っ張られた気がして……気づいたら海の上ってワケです」
「……それだけ?」
「それだけですね」
「えっと、電も似たようなものなのです」
他の艦娘にも聞いてみるが……似たような曖昧模糊な回答しか得られなかった。
すごいざっくりとしているが、彼女らは海の底にいた……それに加えて大戦で沈んだ軍艦と同じ名……それらから推察するに、彼女たちは軍艦の魂が具現化……というより擬人化した姿なのだろうか?
ならば、と次に自分の中では半ば確信している質問を問うことにした。
「引っ張った手というのは……彼のことかい?」
「彼?」
「誰なのです?」
「あぁ、すまない。彼というのは……」
自分の知っている彼について説明する。しかし、僕が想像していたより目ぼしい反応は得られなかった。
「んんと……そうかも知れないわね……」
「キタコレ! 艦娘を知っていて海に出たなら間違いないっしょ」
「同じ艦娘……なのです?」
「さぁ……でも男なのは間違いないと思うよ。ベッドに運んだ時に体つきはある程度分かったし」
「でしたら艦娘……とは少し違うんですかね?」
彼の正体は彼女達も知らないらしい。それぞれが彼について考えを巡らせていると、一つ気になったことがあった。
「そう言えば……彼は何かしらの機械を使って海を駆けて行ったようなんだが……君たちも持っているのかい?」
「機械っていうと……この艤装のことかしら?」
言うと同時に、叢雲から軽く光が出て……収まると、彼とは形状が違うが、似たような機械……艤装を背負っていた。
「あ、あぁ。それのことだ。それは、いつでも出し入れできるのかい?」
「まぁね。出しているとちょっとお腹が空くけど」
「お腹?」
そう言うと、叢雲の艤装は綺麗さっぱりと消えてしまった。まるで魔法のようだな……。
「漣の艤装も見とく? ご主人様(仮)」
「い、電も持っているのです」
「そ、そうか。見せてもらってもいいか?」
次に艤装を見せてくれたのは電と漣。光が止むと叢雲とはまた違った艤装を背負うように装備しており、漣の手には2本の筒がついた金属物を持っていた。
「その手にあるのは……」
「コレ? コレは12.7cm連装砲ですよ。叢雲ちゃんと電ちゃんの背中にも付いてますよ♪」
「本当だ……」
電の背中にも、同じ砲が確認できた。12.7cm連装砲といえば、大戦時代初期の日本の駆逐艦に載せている標準装備だった筈……。
艤装は、大戦時代の装備を反映しているのだろうか。だとしたら横の3つの筒は魚雷……たしか61cm三連装魚雷か?
「あ、あの……そんなに見られると恥ずかしい、なのです……」
「こ、これはジロジロと失礼した。すまない」
「セクハラはブッ飛ばしますよ♪ ご主人様(仮)♪」
「……すまなかった」
……なるほど、軍艦が擬人化すると恥じらいを持つのか……いや何がなるほどだ。全く分からん。
うーむ……接する時は1人の少女が相手だと思った方が良いのかも知れないな……。
「2人ともありがとう」
「今度は私達の出番ですね!」
「はい! 準備万端です! 司令官!」
「あ、あぁ。五月雨に吹雪、よろしく頼む」
積極性も持つのか……艦娘に対する謎は深まるばかりだな……。
☆☆☆
そして、吹雪と五月雨にも艤装を見せて貰った後、それらの情報を父親に情報を伝えると…………僕たちはディナーを食べることになった。いやまぁ、僕も彼女ら(普通の食事で大丈夫らしい)も食事をとってなかったからだが……詳細は、五月雨の名誉のためにも黙っておこう。
父親に頼んで料理を運んでもらう事になり、その待ち時間の間に、僕は彼の艤装を話題に出した。
「そう言えば彼の艤装を見た時は、主砲らしき物は積まれていなかったな……」
「空母かしら。空母なら、主砲ではなく飛行甲板と艦載機を持っているはずよ」
「うーん……それらしき物も持っては居なかった気がするなぁ……」
改めて思い返してみると、彼の艤装は質素だった。機関部の大きさで言えば彼女ら以上かもしれないが、主砲も魚雷もなく、思い返してみると彼女たちにもあった機銃と思わしき物以外に、見た限りでは装備と言える艤装はなかった。
「そうなると、補助艦艇……でしょうか?」
「明石さんとか!?」
「明石……というと工作艦か?」
「キタコレ……って思ったけど工作艦ならクレーンがあるはず、どうですご主人様(仮)?」
「クレーンは無かったかなぁ……」
「違いましたか……」
その後も憶測が飛び交うが、あくまで憶測の域は出ないまま、結論は不明で終わった。
「彼の正体では無いけれど……思い出したことがあるわ」
「何? ぜひ教えて欲しい」
「手を引かれる前、砲撃音が聞こえた気がするの。それと男の声が聞こえて来て、『深海棲艦……』と呟いていたわ」
「砲撃音に……しんかいせいかん? もしかして……」
彼が海に出た理由。もし叢雲の言う男がその彼なら……もし、その「しんかいせいかん」とやらが海の黒い化物の正体だとしたら……彼女らが現れた理由は……
「少し、席を外す。もし料理が来たら先に食べておいてくれ」
「はい、分かりました……。司令官は、どちらに?」
「父親……海軍総司令官と話をしてくる」
もし予想が正しければ、急がなければならない。日本のために、そして……彼のためにも
………僕の話を聞いた父さんは、探しても見つからない答えを求めるように、僕に問いかけてきた。
「……お前の予想が正しいとする。ならば、お前は何がしたい」
「彼と彼女達のための基地。軍艦が泊まる場所、『鎮守府』を作って下さい」
ちかれた。連続投稿しゅうーりょー。反響次第続きかくます