UNITIA 神託の使徒×終焉の女神 -BEYOND THAT-   作:トブト

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〜balmnasbt laKarmara〜 進展 その1

 

 

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パトラ。

 

絢爛の唯美独尊。

美を信じ、美に生きる天衣無縫の自由人。

その実態は砂と文化の国、カーマラ王国第三王女にして最高神官という要職にも就くミストレア全土の観点からしても重要な立ち位置に座す人物である。

しかし、等の本人は己の肩書きを虚飾とみなし、それによって自分の価値を見出されることに辟易している。

彼女曰く、美とは着飾るものではなく生き方そのものである──と、言うがその内心は表に現れることはなく、普段の振る舞いは自由奔放、傍若無人そのもの。

さらにはお節介焼きな上に気に入った相手にはからかって遊ぶという難儀な性格をしており、彼女が言う「美」に振り回される者も少なくない。

曰く、「それも美である」と。

…その言葉の真意性に保証はない。

 

 

「ほら、こっちであるぞ主様♪」

 

しゃんしゃん、と煌びやかな装飾を鳴らし、威厳を示すようなパレオをマントのようにたなびかせて歩く王女様。

カーマラ人特有の褐色肌に併せ万年稀に見る美貌も相まって、その風貌からはまさに絵に描いた美神そのものである。

だがその内面までは絵画の通りとはいかない。

いかなる絵描きでも「心」までは描き写せないように──。

行動言動は傍若無人そのままで子どもの無邪気さまで併せ持ったかのように振る舞い、さらにはそれを押し通す。

今も美の顕現者様はその決して多くない布面積の服装で、その身体を惜しみなく短髪団長の腕に押し付けている。

 

「あの……パトラさん……もう少し離れて歩いてくれると助かるのですが…」

 

腕に確かな感触を感じながら赤面団長はささやかに抗議する。

 

「ん?なんだ主様よ?」

「いやあのもう少し離れて」

「妾はこのままでもよいぞ♪むしろもっと近づくがいい♪」

「え、いや、ちょっ」

 

そう言うとパトラは赤面するリアンの肩に手を伸ばすとそのままより密着度の高い体勢になる。

端から見ればもうほとんどふたりは抱きあっているようにしか見えない。

 

「あ、あの…」

 

今度は顔全体に柔らかい感触を感じ取り、それまで抗議の声を上げていた赤面団長の顔は湯気が出そうなまでに熱を持ち思考が止まる。

その反応を面白がるように美の顕現者様はなおも密着を続け──。

 

「むむむむむむむ………‼︎」

 

その後ろでは赤ポニテが頬を膨らませてすごい形相で睨みつけていたのだった。

なによリアンったら!あんなにデレデレしちゃって!

リュインの嫉妬が背景に炎として目に見えるほどに煌々と燃え盛る。

 

「リュイン、燃えてますね」

「ぐも…」

 

前は天国、後ろは地獄の板挟みに遭ったリアンに生きた心地はなく、顔は赤面していると言うのに先程から冷や汗が止まらない。

その状況すらも美の顕現者様は楽しんでおり、次はどのようにからかおうかと悪戯心を働かせ初めたところ──。

 

「パトラ様‼︎」

 

その空気を破るように絶叫に近い叫び声が通る。

声のした方からはリアンたちに向かって早足気味に近づく女性の姿が。

その女性の装いもパトラに近いものを感じさせ(尤も、パトラのように布面積が少ないわけではない)、見た目からしてパトラの従者であることが窺える。

 

「困ります!今は外はデモなどが横行する事態にまで切迫している状態ですのに勝手に出歩かれては!せめて護衛のひとつはつけてから……」

 

開口一番にパトラに苦言を申し立てる女従者。それに対し美の顕現者様はというと。

 

「何を言うか。妾の美しさの前に護衛などいらぬて!」

 

と、自信満々に胸を張って言ってのける。

 

「〜〜〜〜〜〜〜っ‼︎‼︎‼︎あなたはまた…………‼︎‼︎‼︎」

 

それを聞いた女従者は必死に何かを押し殺すように自身の体を震わせる。

普段からパトラの従者として付き従っているのであろう彼女の気苦労が垣間見えた気がしてリアンとリュインは心の底から同情と畏敬の念を送るのであった。

 

「…………時にパトラ様。この者達は?」

 

幾許かの葛藤に耐え忍んだ女従者はそこでようやく短髪団長たちの姿を捉える。

 

「妾の友人である♪そこの道で拾ってきたのだ♪」

「…そんな捨て猫を拾ったみたいに……」

 

自由奔放な美の顕現者様の明るい美笑を浮かべるのに対し、気苦労の絶えない女従者は閉口する。

その様子にリアンとリュインは改めて心の底から同情と畏敬の念を送るのであった。

やがて、コホン、と咳をひとつすると身だしなみを整えカーマラ式挨拶をする女従者。

 

「お見苦しいところをお見せ致しました。私、パトラ様にお仕えする従者の者です。以後お見知りおきを」

 

その流れるような洗練された挨拶に短髪団長含め赤ポニテも思わず目を奪われる。

 

「これこれ、主様よ?妾の前で妾以外の者に見惚れるものでないぞ?」

 

そう言ってパトラはリアンの顔を持つとグイッ、と無理やり自分の方へ向けさせる。

自身の指で短髪団長の顎を固定するように持ち上げ、互いの距離も目と鼻の先にあり、そのまま唇も──。

 

「だ、ダメーーーーーーッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

堪らず赤ポニテがふたりの間に割って入る。

 

「ほう?」

 

それを美の顕現者様はさも面白げに見入る。

 

「パトラ様……お戯れも程々になさってはいかがです?」

 

側で忠言を述べる女従者に肩をすくめたパトラは皆より先に一歩前に出る。

 

「分かった分かった。では妾の部屋へ参ろうか。その者たちも連れて参れ」

「なっ……この者たちを招き入れるのですか?」

 

パトラの立場からすれば不用意に外の者を自室に招き入れるという行為はカーマラの第三王女としても最高神官としても容易に出来るものではない。

それは彼女自身がカーマラ王国にとってもミストレア全域に対しても重要人物であり、また沽券にも関わる訳でもあるのだが。

 

「もちろんだ♪」

 

自由の美神にその常識は元よりない。

 

「………かしこまりました」

 

白目を剥く女従者を横目に奔放不覊な振る舞いをする美の顕現者は手招きする。

 

「さぁ、行こうぞ主様♪妾の部屋へ……シャルミラが待っておる部屋へな♪」

 

 

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