UNITIA 神託の使徒×終焉の女神 -BEYOND THAT-   作:トブト

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〜balmnasbt laKarmara〜 進展 その2

 

 

 

 

30

 

 

 

「んっ……ふっ!…あぁっ!」

 

室内に艶かしい声がこだまする。

 

「あっ!……んぅっ!あぁっ!」

 

声の主はその声を恥じらうように必死に押し殺そうと奮闘するも身体は正直で──。

 

シャルミラ。

 

カーマラ王国の星占いを司る司祭として国に仕えていた上流一族の箱入り娘。

代々優れた占星師で、レリック使いでも秀でていた一族の家風に則り、シャルミラ自身も星読みの知識とレリックの扱い方を修めている。

その後、自身の占いにより生涯の伴侶となる人物を探すために家を出る。虹の調査団とはその婿探しの末に出会い、以来行動を共にするようになった。

星占いとその実力は確かではあるのだが、本人自身が極度のあがり症という致命的なまでの臆病な性格をしているために婿探しも含めその他諸々前途多難である。

 

「シャルミラ様!もう少しです!」

 

そのすぐ側で彼女に向かって激励の言葉を掛け続ける小さな召使がひとり。

 

シリーナ。

 

シャルミラに仕える召使であり隠密。足技を得意とする拳法家の少女。

孤児として路頭を迷い込んでいたところを拾われ、以降召使の仕事と一般常識を学ばせてくれたシャルミラの主家に心からの忠誠を誓い、従事する。

婿探しの旅へと家を出てしまったシャルミラを追いかけてシリーナ自身もその旅に追従する形となった。

主人思いであるが故にたまに暴走しがちではあるが全てはシャルミラのためと本人は言う。

 

「シ、シリー……ナ!こ、これ以上は…………む、り……だよ!」

 

諦念の音を上げるシャルミラに対し、小さな召使は心を鬼にするが如く首を横に振る。

 

「何を仰いますかシャルミラ様!ようやく…ようやくここまで来たのですよ!?今ここで辞めてしまえば今までの行いは水泡に帰すのですよ!?あと少しで済むのです!でしたらばここは最後までやり切るのみです!」

「で……でも…ぉ……!」

 

息が荒く、涙目に訴えかけるも小さな召使は被りを振る。

 

「次行きます!…左足…赤!」

「あっ…………赤ぁ…………!?」

 

シリーナからの非常でありつつも愛のある鞭に涙を目に湛えながらもシャルミラはその言葉の指示通りに応えようとする。

しかし、そこである重大なことに気付く。

 

「シ、シリー……ナ……!こ、これ……!このまま足を………置い…たら……!そ、その………………!!」

 

それ以上は自分の口から言うのも憚られるのか言い淀む。

 

「シャルミラ様!今は恥などかき捨てるのです!」

 

そこに小さな召使から発破が掛かる。

 

「この苦行を耐え忍んだ先にはきっとシャルミラ様が望むものが手に入るはずです!そのためにも今は恥など怖れないでください!どうか!どうかここは私の言葉を信じてください!シャルミラ様!」

 

幼少の頃からの付き合いでもある主人と召使の関係であるふたり。

その小さな召使からの言葉に突き動かされるようにシャルミラは意を決し──。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ‼︎」

 

そして──。

 

「ど……どう……?シリーナ………?」

 

身体を震わせながらも確認を取る。

 

「………っ‼︎シャルミラ様!そのまま!そのままの体勢で五秒耐えてください!」

 

手足は震え、限界も近いシャルミラ。

だが、己の夢のため、宿願を果たすという使命感が体を床に付けることを許さなかった。

 

「……2……1!」

 

そしてカウントがゼロに差し掛かり──。

 

「…0!やりました!やりましたよシャルミラ様!これでシャルミラ様は『恋結之秘儀』を修めました!これでリアン様とも──」

「え、僕?」

 

はた、と。

ふたりの主人と召使は声のした方、部屋の入り口に目を向ける。

そこにはパトラを含め、リュイン、テラ、グモモ、───そしてリアンの姿が。

一方、シャルミラはというと。

いつもの装いとは一風変わり、桃色の生地が肌にピッチリと吸い付くように張り付き実に動きやすい格好──レオタード姿で、床に敷いてある赤や青など四色に塗りつぶされた円が描かれたボードの上で両の手を後ろに、右足と左足はそれぞれ端の方にある色の上に乗せ──リアンたちを迎えるように両足を広げた体勢となっていた。

 

「パトラ様……!?それにリアン様たちも⁉︎」

 

突然の訪問者に驚きを隠せない小さな召使。

その現場と反応に何やら見てはいけない一幕を目撃してしまった罪悪感に苛まれるリアンたち。

気まずさを伴わせながらも短髪団長は。

 

「や、やぁ。久しぶりふたりとも。その……えと……元気そうでよかったよ」

 

なるべく無難な挨拶と共に普段となるべく変わらないような表情を心掛ける。

その短髪団長のひくつく笑顔を見て放心気味だったレオタード娘は意識を現実に引き戻すと今起きている現状と自分の体勢がどのようなものになっているのかを瞬時に理解するとたちまち羞恥により紅潮して褐色肌の顔色が熟れた果実かのように赤く染め──。

 

「きゅう……」

 

バタンッ。

 

「シャルミラ様⁉︎シャルミラ様しっかり‼︎シャルミラ様⁉︎」

「だ、大丈夫⁉︎シャルミラ⁉︎」

 

己の羞恥のキャパオーバーによりシャルミラはそのまま気を失ってしまうのであった。

周りが介抱に向かう中でテラは床に敷かれたボードに目を引かれる。

 

「パトラ、これはなんですか?」

「んむ、それはカーマラ式ヨガとツイスターゲームなるものを掛け合わせた『カーマラ式ツイスターヨガゲーム』であるぞ。それぞれが決まった手順で描かれた色の円に手足を置いていき、一番早くヨガのポーズを取れた者が勝ちというヨガの複雑性とゲーム性を兼ね備えたものであり、実に画期的なものである♪さらには妾が監修の元に組み込んだ直伝の運気上昇の秘儀もあり、それを行うことで金運、仕事運、無病息災に恋愛運といった出会いの──」

「シャルミラ!しっかりして!目を覚ましてくれ!シャルミラーーーーッッ‼︎‼︎!」

 

念願だった探し人であるシャルミラに思わぬ形で再会を果たした短髪団長たち。

しかし、あまりに唐突すぎる再会はそれこそ思わぬ形でのものとなり──。

 

シャルミラ自身が目を覚ますのはそれから小一時間ほど先のこととなる。

 

 

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