UNITIA 神託の使徒×終焉の女神 -BEYOND THAT-   作:トブト

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ここから本編に入ります。

第7章をお楽しみください。


〜Quiet〜 彼らの日常 その1

4

 

 

「リアン、何読んでるの?」

 

 声を掛けられたことで虹の調査団団長――リアンは意識を現実に戻す。

 

 ブルーバード・艦内。

 

 クレーブスの件を解決した調査団一行はロザーナを連れて一度アステル連邦まで移動を開始した。

 着くやロザーナはすぐさま旅に出かけ、調査団は今後の方針を決めるために所有する小型飛行艦『ブルーバード』内で会議を行っていた。

 

 「これまでの調査活動をまとめた日誌を見ていたんだ。何かいいヒントがないかと思って」

 

 言われてリアンは傍に座る純白なドレスのようなワンピースに身を包む可憐な少女、リオノーラに日誌が見えるように開く。

 

 「へー、あっ、ここってこの前あたしたちが行ったところよね!懐かし~!」

 

 そのまま日誌を通じてふたり思い出に鼻を咲かせ始める。

 

 「あんたたちね…」

 

 するとそこに呆れ声が混じる。

 

 「思い出話に耽りたいのは分かるけど今は会議中なのよ。少しは自重しなさい」

 

 キリッとした顔つきに保安省の制服でそのラインも浮き出すようなデザインを着こなす青髪ロングの少女、マキアはため息混じりに言う。

 

 「はーい」

 「…ごめん」

 

 むすっ、と頬杖をつく青髪制服様にふたりは謝る。

 

 「まぁまぁ…」

 

 その側で諫めるように話しかけているのはリアンの幼馴染にして義理の妹、冒険家である父ロザールの血を引く赤い髪の片ポニテにマントが特徴的な服装をする少女、リュイン。

 そのまま話を進める。

 

 「それで、これからの調査団の方針はどうしようか?」

 「もちろん情報局に乗り込むわ」

 

 情報局。

 アステル連邦の政府直属に置かれている秘密組織。

 その主な役割は諜報情報の収集で長い間暗躍し、連邦の地位を確かなものとさせる。

 だがそれはあくまでも表向きなもので、裏では凄惨な実験と情報の隠匿と意図的な操作を行っており、その目的は不明。

 

 虹の調査団は先のクレーブスの件で連邦の防衛省に情報局の者がいると考え、調査を始めようとするのだが――。

 

 「…でも情報局ってどこにあるの?」

 「……………」

 「ぐも」

 

 完全な手づまり状態となっていた。

 そもそも情報局はその存在そのものを秘匿とされており、元保安省のマキアでさえ知らなかった程に表舞台にその姿を出さない。

 そのため現在は防衛省の調査が進むのを待つのみであるのだが――。

 

 「でもじっとなんてしてられないわ!こっちも調査を進めるわよ!」

 

 と、青髪制服様のいつもの熱血が炸裂したわけで。

 

 「私知ってます。道に迷ったときや行きたい場所が分からない場合は“おまわりさん”に聞くといいと」

 「………それで分かったら苦労しないわよ」

 「バウム王国で幽閉されてるシュミットさんに聞くのはどう?」

 「…難しいわね。現在彼は重要人物として守護騎士団の管轄の下で厳重にされてるから話を聞くこと自体も出来ないと思うわ」

 「そもそも場所を特定出来てもすぐ乗り込むべきなの?まだ相手がどれだけいるのかも分からないのにあたしたちだけで行くのは危ないんじゃない?」

 「うっ、そ、そうだけど―――」

 

 純白ワンピースに諭される青髪制服は誤魔化すように飲み物を口の中に流し――。

 

 「――でも、これ以上情報局の好きにはさせたくないのよ」

 「……………」

 

 場に重い空気が立ち込める。

 情報局はその目的は不明であれど、手段は選ばず、時には非人道的なことも厭わない。マキア含め彼ら調査団はそれを幾度も目撃し、そしてその脅威を身をもって知っている。

 

 「…僕も」

 

 と、調査団団長の口が開く。

 

 「例えどんな理由があっても人々の――ミストレアとネオラントの人たちを傷つけて、その安全を脅かす情報局を許せない」

 

 そしてみんなの前で立ち上がり――。

 

 「だから僕はみんなを助けるためならば情報局とだって戦う。そのためにも」

 

 そう言ってひとりひとりの顔を見ていく。

 

 「改めて僕はみんなにお願いしたい。どうか僕に力を貸してくれないか」

 

 そのまま全員に向かって頭を下げるリアン。

 

 「…なに水臭いことを言ってるのよリーダー」

 

 ふっ、笑いをこぼすと青髪制服は胸を張って言う。

 

 「あたしたちは虹の調査団!虹の謎を追い、この世の全てを解き明かすのよ!君はその団長なんだからドーンと胸を張っていればいいのよ!」

 「そうだよ、リアン」

 

 側の赤ポニテも優しく微笑みかける。

 

 「あたしたちはどんな調査や冒険だってリアンと共にいるよ。どんな時も、ずっと」

 「もー、ふたりして盛り上がっちゃって」

 

 その傍らで肩を竦めながらに純白ワンピースは言う。

 

 「ふたりがその調子だと無茶ばっかりしそうだし。どんな無茶してもいいようにあたしもついていくわ」

 「なっ、ちょっ、リオノーラ!」

 「えへへ」

 

 そのまま追いかけっこが始まり、その光景を苦笑しながら眺めるリアンの側に近づく者が。

 

 「私もです」

 

 全体的に前衛的な少女、テラも言葉を並べる。

 

 「私もみんなと――あなたと一緒にいたい。だから私も一緒です」

 「ぐもも!」

 

 テラの胸に抱かれる丸っこい小動物、グモモも何かを言うようにリアンに手をばたばたとさせる。

 

 「グモモも一緒だ!と言ってます」

 「みんな…」

 

 仲間たちの心強い言葉を感慨深く噛みしめていく。

 

 「よし!みんな!これからも頼むよ!」

 「えぇ!」

 「うん!」

 「もちろん!」

 「はい」

 「ぐも!」

 

 全員の心がひとつに――そう感じた時だった。

 

 

 

 ぐきゅるるるるる。

 

 

 

 今までの流れや空気を壊しかねないその場にそぐわない腹の音が鳴り響く。

 

 「…………………」

 

 沈痛な空気が満ちていく。

 

 「マキア…」

 

 純白ワンピースの疑念の目が青髪制服に降り注ぐ。

 

 「ち、ちがうわよ!あたしじゃないわ!リュインかテラでしょ!?」

 「あ、あたしでもないよ!?」

 「私も違います」

 「ぐも!?ぐもぐも!」

 「グモモも違うと言ってます」

 「………となると」

 

 その場の視線がある人物のところに向けられた。

 

 「あはは……ごめん」

 

 音の主はリアンだった。

 

 「……まずは腹ごしらえね」

 「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 虹の調査団の方針が決まった。

 

 

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