UNITIA 神託の使徒×終焉の女神 -BEYOND THAT-   作:トブト

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〜Quiet〜 彼らの日常 その3

 

 

 

 

 

 街での珍騒動を経て。

 小洒落たお店にて。

 

 「あ、すみません。この特製パフェをふたつお願いします」

 「ふーっ!ここのステーキはなかなかボリューミーで歯ごたえあったけどあたしに掛かれば即・完・食ね!」

 「アンネマリー、これはなんですか?」

 「あ、それはコショウと言ってこんな風に味が物足りないなーって時につか………へっくち!」

 「ぐもずるる…」

 「んふふ、グモモちゃんすっかりパスタが気に入ったみたいだね。…あっ!いけない。店員さん来ちゃったからぬいぐるみのフリしてグモモちゃん!」

 

 調査団一行は皆各々に昼時の食事を堪能としている中で。

 

 「…………」

 

 ただ一人、短髪頭の人物だけがテーブルに突っ伏したままで窓の外の景色に物憂げに眺めていた。

 

 「リ、リアン。ほらこのパフェすごく美味しいから一緒に食べよ。ね?」

 「リ、リーダー!ここのギガ盛りスタミナステーキはなかなか挑戦のし甲斐があるわよ!リーダーも挑戦してみなさいよ!」

 「リアン。この“コショウ”というものは人をくしゃみさせるものみたいです」

 「くしゅんっ!テ、テラさん!?それ以上は…くしゅんっ!」

 「…お客様。当店ではペットの持ち込みは出来ないものとなっておりまして…」

 「………(ぐも)」

 「(グモモちゃん喋っちゃダメ!)あ、こ、これぬいぐるみなんです!よ、よく出来てますよね!あは!あははは!」

 

 皆が元気づけようと(後半あたり違ったが)話しかけるも物憂げな団長にはどこ吹く風で誰も振り向かせるに至らない。

 原因は言わずもがな。

 

 「………ねぇ、どうするの?」

 「ど、どうするって言われても…」

 「こうしたらもっと美味しくなるでしょうか?」

 「はっくしゅん!テ、テラさはっくしゅん!」

 「他のお客様のご迷惑になりますので…」

 「はい……すみませんでした。次からは気を付けます…」

 「ぐもずるる…」

 

 しかし事態は好転するどころか混迷を極めるばかりで。

 

 「そ、そうだ!方針!今後の調査団の方針について話しましょう!」

 「それよ!リオノーラ!」

 

 そこで思い立ったかのように純白ワンピースが手を叩いて軌道の修正に入る。

 

 「とにかくあたしたちの現状を一度整理すると…近い未来、あたしたち虹の調査団と情報局の衝突は避けられない。情報局には『機叡アンティキティラ』っていうものすごいコンピュータを持っていてそれを使って何かをしようとしている。現在防衛省のダフネさんもそのことについて調べてくれているけどもその間にこっちも独自で調べよう…ってところよね?」

 

 ひとしきり語り終えた純白ワンピースは確認を取るように全員の顔を見ていく。

 なお、物憂げな団長の意識は未だどこか彼方に行ったままだった。

 構わずリオノーラは続ける。

 

 「それでまずは情報局の居所を探ろうってことだけど…」

 

 しかし、そこまで言いかけたところで押し黙る。

 現状、虹の調査団が把握している情報局の情報は数少ない。

 『DC計画』や『機叡アンティキティラ』など重要なワードは知ってはいるが肝心の情報はなにも知らないのだ。

 さらに、政府直属ということもあり情報局自体が秘匿扱いされているということもあり、その情報の一切も世に出回ることがない。

 そのため調査団はいきなり出鼻を挫かれている。

 調べようにも相手はその情報すら操作し、隠蔽できるのだから。

 

 「困った時は“おまわりさん”に聞くと良いと…」

 「テラ。このパフェ美味しいから一緒に食べよ?」

 「もぐもぐ…美味しいです」

 「でも情報局関連の人物に当たるのはいいと思うのよ。そうなると…」

 

 青髪制服様はそこで思案に耽る。

 

 シュミットは現在バウム王国にて王国騎士団管轄で厳重に幽閉されているため会うこと自体が難しい。

 

 レオーネは長年情報局を追っているけどあたしたちと同じでその場所までは特定に至れていない。

 

 シェリーとロザーナはふたりとも実験室から逃げてきたと聞くがシェリーにとって恐怖でしかない記憶を無理やり思い起こさせるようなことはしたくない。ロザーナに至っては記憶まで失っている。

 

 「あとは…」

 

 と、そこまで言いかけたところで。

 

 「へー!その時そんなことがあったんですねー!」

 

 マキアがひとつひとつを精査するように思案の海を広げているところでのほほんとした明るい声がその波を途切れさせる。

 見るといつの間にか短髪団長とゆるふわなおねぇさんがふたり仲良く活動日誌を開きながらなにやら談笑を繰り広げていた。

 

 「ちょっとアンネマリー!じゃましな…」

 

 と、真剣なところで横槍を入れられたことを咎めようとムッとする青髪制服様であったが。

 

 「うん。それでこの時は――」

 

 短髪団長がいつもの調子に戻っていることに気づくと、言いたいことをグッと飲み込む。

 

 「…一体何を見ているの?」

 

 比較的穏やかに話しかける。

 

 「あ、マキアさん!ほらわたしって普段ブルーバードで行けるところでしかご一緒出来ないじゃないですか~。なのでリアンさんにこれまでの活動日誌を見せてもらって一緒に旅をした気分になってたんです~」

 

 パァッ、と明るくなる笑顔で嬉しそうに語るアンネマリー。

 

 「へぇ…今はどのあたりを読んでいるの?」

 

 普段は操縦士として活動するアンネマリーは共に行動できないことも多い。

 マキアも思い出を共有しようと一度作戦会議の席を外し、加わろうとする。

 

 「ここだよ。ニンフェアの時。ほらあの時は護衛…」

 「あぁ、確かあの時の護衛…」

 

 そこで二人言葉を止めたかと思えば。

 

 

 

 「「あーーーーーーーーーーっっ!!!」」

 

 

 

 と、まるで共鳴でも起こしたかのように二人同時に大声を上げだす。

 声は店内中に響き、周囲の客はもちろん一番驚いたのは同じ席にいる仲間たちで。

 

 「うわっ!?びっくりした!ど、どうしたのいきなり!?」

 「ぐもっ!?」

 「うひぃっ!?な、なんですか~!?わたしまた何かしちゃいました!?」

 「パフェ………最後の底にあるのは取りにくいです……」

 「お客様……他のお客様のご迷惑に…」

 「ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

 場は騒然とするも当人同士はなりふり構わない。

 

 「いるいるいるいる!いるよ一人!情報局に詳しくて場所も知ってる一番の適任者!!」

 「いたわ確かに!どうして最初に思い浮かばなかったのか不思議なくらいこれ以上無いほど情報局に詳しい人!!」

 

 やや興奮気味に互いを指で差し合う復活した短髪団長と青髪制服様。

 

 「ね、ねぇ…本当にどうしたの二人とも…周囲の目が痛いからそろそろ静かに…」

 

 好奇な目に晒されていることに居心地の悪さを感じたのか縮こまる純白ワンピースに対してふたりはほぼ同時に立てた人差し指を向ける。

 

 「いたんだよ一人!ほら思い出さないか!?ニンフェアでの護衛任務の時!!」

 「え、でもシュミットさんは今バウム王国で…」

 「ちがうちがう!そっちじゃないわよ!」

 「あーーーーっ!!」

 

 それまで店員に平謝りしていたリュインも突然声を上げる。

 

 「そうだよ!いるよ!一人!あたしたち調査団の仲間で情報局のこと知ってる人!」

 

 赤ポニテも店員そっちのけで人差し指を立てて同調する。

 

 「あ」

 

 そこでようやくリオノーラも思い至る。

 

 

 

 

 

 「「「「ジェイニー!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 四人の心と声が一致した瞬間だった。

 

 「?」

 

 ただひとり状況についていけていないゆるふわおねぇさんを置いて四人は進展があったことに喜ぶ。

 

 「ジェイニー!そうよジェイニーよ!ジェイニーなら情報局について何か知ってるはずだわ!」

 「よし、それじゃあさっそくジェイニーに話を聞きに行こう!」

 

 方針が決まり、浮かれ気味に四人が喜ぶなかで一人黙々とパフェを堪能していたテラ。

 

 「もぐもぐ…ごくん」

 

 そして食べ終えて一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ジェイニーはどこに行けば会えますか?」

 

 

 

 

 

 「………………」

 「………………」

 「………………」

 「………………」

 「ぐも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふりだしに戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして店は出禁となった。

 

 

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