UNITIA 神託の使徒×終焉の女神 -BEYOND THAT-   作:トブト

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〜Quiet〜 彼らの日常 その5

 

 

 

11

 

 

 

 〈マキアの調査〉

 

 

 

 「ここね…」

 

 ネオラント人であり元保安省の役員務めも果たしていた青髪制服は地の利と昔の伝手、そして自分の直感を基に調査を進めていた。

 

 「あたしの情報網と勘が正しければここにジェイニーはいるはず…」

 

 ゴクリ、と喉を鳴らす。

 

 ジェイニーは追われる身であれど闇に裁く義侠心に満ちた人物でもある。

 そのため自らを顧みない傾向があり、死地へとその身を飛び込ませることも多い。

 そんな人物を探すとなれば必然危険もまとわりついてくる。

 生半可な覚悟で足を踏み入れようものならただでは済まないだろう。

 

 だが、ここにいるのは誰だ。

 

 自分の正義を信じ、時には独断行動もし、その結果窓際課に左遷されてもなお自分の正義を貫こうと行動し、虹の調査団設立にまで至った――正義感の塊のような人物。

 青髪制服様は「危険」如きに臆したりはしない。

 

 「さて、行きましょうか」

 

 そして、彼女は赴く。

 

 たったひとりで。

 

 まるで慣れたような足取りで。

 

 己の正義のままに――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「残り10分切ったーーーっ!!」

 

 熱気がこもる戦場にて男の声が通る。

 

 「すげーぞ!あの姉ちゃん!あんだけあった量がもう半分以下だぜ!?」

 

 そこに立つ武士(もののふ)どもも新参者の実力を品定めするように皆マキアへと注目を向けていた。

 

 「ゴクッ、ゴクッ…」

 

 そんな周囲の視線も意に介さずに青髪制服様は大きな器を持ちあげて中身を口の中へと流し込む。

 

 「すげぇ…アイツ噛まずに飲み込んでやがる…」

 「一体どこにそれだけのスペースが…?」

 「バケモノじゃ…アレはこの世が生みしバケモノじゃ……!!」

 

 細身な女性が大の男でも悪戦苦闘する量を難なく平らげていく様は周囲の見物人を圧倒するには充分で。

 

 「んくっ…プハーッ!ごちそうさま!」

 「ご」

 

 そして全てを胃の中に収め終える。

 

 「5分残して完食ーーー!!」

 

 ワァッ、店内中で一斉に歓声が飛び交う。

 

 「やりやがったぞあの嬢ちゃん!未だ前人未到の悪魔の山と呼ばれる『ジャンボスペシャル特盛りマシマシラーメン』30分早食いチャレンジを踏破したーーー!!」

 「伝説だーーー!!伝説が生まれたぞーーー!!」

 「スゲーよ!マジスゲーよ!本当スゲーよ!!」

 

 場の武士(もののふ)どもが未だ興奮冷めやらぬ中、そんな周囲を置いて青髪制服はその店の店長と対峙する。

 

 「くっ…!まさかこのメニューをクリア出来る者が現れるとは……!」

 

 悔しさの滲む声で恨めしそうに見る店主に対し。

 

 「ふふん、なかなか悪くなかったわ。また挑戦しに来てあげるからそれまでに腕を上げることね」

 

 余裕の笑みで返す。

 

 「~~~~~っ!!約束の賞金と一年間の無料券だ!受け取れ!」

 

 悔しさを噛みしめながら店主は賞金の封筒と一年間その店のメニュー全てをどれだけ食べても無料になる券を渡す。

 しかしマキアはそれを受け取らずに返す。

 

 「……?どういうつもりだ?」

 

 青髪制服の行動に疑問を呈する店主。

 

 「本当は欲しいところだけどそれより欲しいものがあるのよ。ここに“ジェイニー”っていう人は来たことない?」

 「い、いや…知らないな…」

 

 戸惑いながらも店主は答えると。

 

 「そう、分かったわ。ありがとう」

 

 それだけ言って踵を返すように青髪制服様はさっさと店を出る。

 

 「まま、待ってくれ!」

 

 慌ててその背を追いかけて店主は問うた。

 

 「ま、まさかそれだけのためにあの大食いに挑んだってのか!?一体何のために!?」

 

 すると青髪制服様は振り返らずに。

 

 「そこに──大食いがあるからよ」

 

 それだけ告げてそのまま立ち去る。

 その後ろ姿を見ながら膝から崩れ落ちるように衝撃を受けた店主はおもむろに呟く。

 

 「いや、普通に聞けよ……」

 

 そして、フードファイター・マキアの伝説が始まった──。

 

 

 

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