UNITIA 神託の使徒×終焉の女神 -BEYOND THAT-   作:トブト

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〜Prologue〜 動き始める物語 その2

 

 

 

 

 18

 

 

 

 メルメル。

 

 配達員を思わせる緑の帽子を被り、緑のコートを羽織る自称「幸せ専門運送業」の少女。

 彼女のレリックの特性は対象の物と自身を跳躍させる極めて珍しい能力であり、まさに運送業を生業とする彼女には打ってつけである。

 そんな空飛ぶ郵便屋である彼女のポリシーは「待っている人にほしいものを届ける」「届けた相手に幸せも届ける」といったもので、そんな彼女から放たれる営業スマイルと押し売りレベルに近い相手への幸運を祈ることも彼女自身の心からのサービス精神である。

 

 

 「お届け物でーす!」

 

 グモモの口からグモトピアへ入ったメルメルは開口一番に明るい笑顔と共にはつらつとした声をお届けする。

 

 「いつもありがとうメルメル。ここまで疲れたろう?少しここで休んでいったら?」

 

 届け物を受け取った短髪団長は小さな郵便屋を労わるようにお茶会へと招待する。

 

 「ありがとうございますリアンさん!でも大丈夫です!より多くの人にハッピーをお届けするのがボクのお仕事ですから!これくらいへっちゃらです!」

 

 ふんすっ、とまだまだ有り余る元気を示すように両手を前にやる気のポーズをするメルメル。

 

 「そうか?今ちょうどアリアさんが焼いてくれたシフォンケーキをみんなで食べてるんだけど…」

 「ケ、ケーキ!?」

 

 それまで初志貫徹だった姿勢を見せていた小さな郵便屋も“ケーキ”という単語を聞いた途端に年相応な顔つきに代わる。

 

 「ふわっふわー!美味しいー!」

 「大丈夫…この後レジーナさん直伝のブートキャンプをすればプラマイゼロ…だからもうひと切れ食べても実質カロr」

 「いくらでも食べられちゃいますね~」

 「アリア、おかわりありますか?」

 「テ、テラ!?もう6回はおかわりしてるよ!?お夕飯食べられなくなっちゃうよ!?」

 「んふふ♪まだまだありますからね~♪」

 

 広間の方で女性陣たちがアリアお手製のシフォンケーキを絶賛するのを短髪団長越しに見るメルメル。

 

 「じゅるり…」

 

 まるで物陰から仲間の輪に入れてほしそうな子どもみたいに熱いまなざしを向けている。

 

 「メ、メルメル?」

 「はっ!?」

 

 あまりに食い気味に見ていたために、気づけばリアンの服を鷲掴みにしており、我に返ると小さな郵便屋は慌ててその手を離す。

 

 「すすす、すみません!それじゃあボクはこれで!」

 

 矢継ぎ早に言い終えるとそのまま踵を返してグモトピアから出ようとする。

 

 「あ、待って」

 

 呼び止めるリアンの制止を振り切るも──。

 きゅるるるるる…。

 どこかからなんともかわいらしい腹の音が奏でられた。

 

 「……休むのも仕事の内だよ。メルメル。それにこれは日頃の僕たちからのお礼の気持でもあるからさ。この気持ち、メルメルのところに届けてもらえるかい?」

 「……………はい。………承りました」

 

 背中越しに頷く小さな郵便屋の顔は耳まで真っ赤に染まっていたという。

 

 

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