TANBA   作:ドラナリ

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第10話 初任務

サクモ班が始動して初の任務は山賊の討伐だった。

 

「サクモ先生!こんなことしていていいんですか?」

 

「あたし達戦争に向かうんじゃないんですか?」

 

フガクとノエミはすぐに戦争に向かうと思っていたらしく、それなのに山賊の討伐の任務に向かう事に不満があるようだ。

 

「山賊達は木の葉の忍びが戦争していて国内の事が手薄になっている今だからこそ各地で暴れるんだ。それをみすみす見逃す訳にはいかないだろう?」

 

まあ、そうだろうな。戦争しているという事はそちらに優秀な戦力は割かれているはずだから、それだけ山賊のような悪党からしたらやりやすいだろうからな。

 

「それは分かりますけど!でもせっかくタンバに追いつくチャンスだったのに!」

 

「あたしも戦争を経験すれば強くなれると思って楽しみにしてたんですよ!」

 

サクモ先生はそんな2人の言葉を聞くと真面目な表情になって答えた。

 

「これからの光景を見てもそんな事が言えるかな?」

 

サクモ先生はそう言うとそれ以外は喋らなかった。

 

数分後、森を抜けるとそこには小さな町があった。だがそこから火の手が上がり煙が立ち昇っており山賊達による虐殺が繰り広げられていた。

 

その光景を見てフガクとノエミは驚愕の顔をしていた。おそらくここまでとは思ってなかったんだろうな。

 

「フガクとノエミは俺と一緒に来い!タンバは自由に動け!」

 

「了解」

 

と言う事になったので2人の事も気になるけどそれ以上に町の人が危険なのですぐに向かった。

 

*****

「く、来るな!もうすぐ木の葉の忍びの人たちが来るんだぞ!来たらお前達なんかあっという間でやっつけてくれるんだ!」

 

タンバ達と同い年ぐらいの男の子が母親と妹を庇いそう言った。

 

「げへへへ!諦めな、今木の葉は戦争中だ。こんな所まで木の葉の忍びが来る訳ねぇし、例え来たとしても大した実力もねぇ奴等だろうからな。お頭に鍛えられた今の俺たちに敵う奴らは来ねえよ!」

 

山賊がそう言うと突然風遁が山賊に向かって放たれた。

 

「風遁・針千本!」

 

その声が聞こえた後、家族を襲おうとしていた山賊は風で出来た針に全身を刺された。

 

「ガッ⁉︎」

 

その後その家族の前に風遁忍術を放った人物が現れた。

 

「大丈夫?ちょっと待っててね!もうすぐ山賊達も居なくなるから!」

 

その騒ぎに気づいた他の山賊達が騒ぎ出した。

 

「てめぇ木の葉の忍びか!」

 

「ああ。この額当てを見れば分かるだろ?」

 

そう言ったのは風遁を放った張本人であるタンバ。

 

タンバはサクモから単独で動く許可をもらうと「風読み」で近くの人の所まで向かうと男の子が母親と妹を守りながら、明らかに山賊という感じの柄の悪い男に襲われそうになっていた。

 

そこでタンバは「風遁・針千本」という口から針の形をした風遁チャクラを放ち山賊を殺した。その後襲われかけていた家族の前に出て今に至る。

 

「へっ!木の葉の忍びと言っても所詮はガキ!この数に敵うわけがねえ!」

 

そう言ってゾロゾロと山賊たち6人が俺と俺の後ろにいる家族に集まってくる。

 

「オラー!クソガキが調子にのんじゃねえぞ!」

 

そう言いながら1人の山賊が走り出すとそれに追従する様に他の山賊たちも襲いかかってきた。

 

「俺の後ろから離れないでね」

 

俺は後ろに家族を庇いながら山賊の迎撃に出た。

 

「オラー!!」

 

先に走ってきた山賊が斧を振り下ろしてくる。俺はその斧を避けクナイを首に目掛けて投げつけた。

 

「なっ⁉︎」

 

先に走ってきた山賊はその言葉を最後に生き絶えた。

 

すると、すぐに3人の山賊が斧を3人同時に振り下ろしてきた。

 

「もらったー!!」

 

しかし俺は慌てず風遁で迎え撃つ。

 

「風遁・窮風斬!」

 

「「なに!?」」

 

俺は風遁チャクラを腕に纏わせる風遁・窮風斬で斧を斬った。

 

「風遁・針千本!」

 

「「ガッ⁉︎」」

 

風遁・窮風斬を解除し、風遁・針千本で3人の山賊を殺した。

 

別に窮風斬でそのまま殺しても良かったんだけどさすがに首が飛んだりしたら後ろにいる子供たちがトラウマになると思って針に変えた。

 

まあ、針でも血が飛び出てるのでこれはこれでトラウマかもしれないけど首が飛ぶよりはいいだろう。

 

「土遁・土波の術!」

 

残りの2人の山賊の1人が地面を揺らし敵の態勢を崩す土遁・土波の術を繰り出した。

 

「うお!?」

 

それに対して俺は油断していたこともあり見事に態勢を崩した。

 

「火遁・豪火球の術!」

 

その隙にもう1人の山賊が火の球を飛ばす火遁・豪火球の術を放った。

 

「これでどうだ!!」

 

俺はそれに対してもちろん風遁を繰り出した。

 

「風遁・大突破!」

 

口から風を吹き出し風圧で相手を攻撃する風遁・大突破を使った。

 

「へっ!バカが!性質変化の優劣も知らねえのか!」

 

そう、性質変化には優劣が存在する。

+++++

火遁は風遁に強く水遁に弱い。

水遁は火遁に強く土遁に弱い。

土遁は水遁に強く雷遁に弱い。

雷遁は土遁に強く風遁に弱い。

風遁は雷遁に強く火遁に弱い。

+++++

という感じで優劣が存在し火遁に風遁をぶつけると火遁の威力を強くするだけになるので火遁使いと戦う場合は水遁を使うのが普通だ。

 

しかし何事にも例外がある。蝋燭の火が息を吹きかけることで消えるように性質変化の優劣で劣っていても威力が何倍も強かったり、忍術の質がより高かったりすれば性質変化で劣っていようと勝つことができる。

 

今がまさにそうである。

 

「なっ!?バ、バカな!?」

 

山賊が放った火遁・豪火球の術は俺が放った風遁・大突破にかき消されそのまま2人の山賊を吹き飛ばした。

 

「「グアアアア!?」」

 

これで見えてる山賊はあらかた片付いた。

 

「さて、これでここの周囲はアンタだけだ」

 

俺は地面の中に隠れている存在にそう声をかけた。

 

すると、隠行の術で家の影に隠れてた男が出てきた。

 

「ほう?気づいていたか。さすがは「風の妖精」の異名を持ち、稀代の天才忍者と言われるだけの事はある。なあ!伊賀崎タンバ!」

 

どうやらこの山賊は他の山賊達とは違うようだ。

 


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