-前回のあらすじ
カルネ村にて。アインズ様、自身がプレイヤーであることを明かす。
深夜。
俺はカルネ村で借りている仮宿から抜け出して、村の中を散歩している。
前世と違い科学文明が発展しておらず、電気の灯りが無い村の中は真っ暗だ。これが大きな街だったならば魔法の街灯が建てられたりするのだろうが、辺境のカルネ村にはそんなものは無い。
だが、真っ暗と言っても、完全な暗闇になっている訳ではない。
星明りである。
残念ながら月は出ていないようだが、それでも薄っすらと村を見渡せるぐらいには星明りに照らされている。
アダマンタイト級冒険者として慌ただしく活動していると、こういう静寂に包まれた時間ってなかなか無いからな。現在、田舎の静けさを満喫している訳である。
顔を上げて天を仰ぎみる。
満天の星空だ。
目を凝らせばはっきりと鮮明に星の輝きを捉えることが出来る。今世の高スペックな身体に感謝だ。
うろ覚えの記憶を頼りに、星座っぽい形の星の並びをなぞる。昔の人たちは何を思ってこんな変な形にストーリー性を見出したのか。コレガワカラナイ。
黒いキャンバスに光点を置いたと言うべきか、白いキャンバスに闇を描いて余分な光を取り去ったと言うべきか。いずれにせよ、人間が一生掛かっても描き切れそうに無い、巨大で壮大な芸術であることは間違いない。
大きさや形、色の違い、輝きの強弱、よく目を凝らしてみるとみんな少しずつ違う。この世には無限にも思える数の星が存在するが、その中のただ1つとして同じモノは無いのだ。
そんな歌の一節のような言葉が頭に浮かぶほどにエモーショナルな情景だ。
感動で胸一杯になった所で、おもむろに村長宅へと近づく。
そして、窓の隙間からエンリとンフィーの情事を覗く。
何やら物音が聞こえたもんでな(すっとぼけ)
覇王エンリは性豪、ンフィー君は早漏。
その噂が本当なのか調べに来た次第である。
決してやましい気持ちは無い。私にあるのは学術的な興味だけである。
暗視の魔法を掛けて息を殺し気配を潜め、二人のあられもない姿を覗き見る。
結論。火のない所に煙は立たぬ。そんな言葉を思い出した。
帰って寝るか!っと思ったところで、ふと、ある予感がしたので独り言をつぶやく。
「こんな田舎じゃあ、まともな娯楽も何もない。
…アンタもそうは思わないかね?」
「へー、私に気付くなんて中々やるっすね」
背後から快活で軽薄そうな声の返事があった。
振り返ると赤髪褐色肌のメイド、ルプスレギナがニヤニヤしながら俺を見ていた。
もしかしたらと思って独り言で問いかけてみたら、本当にルプスレギナが居た。
いや正面に居たならまだしも、背後から気配を殺して来られたら透明化してなくても普通は気付けんわ。今回は来ると予想していたから、違和感に気付けたけどな!(ドヤ顔)
「アンタも覗きに来たのか。
それとも村長の警護かな?」
「にひひ~、両方っす」
覗き行為を覗くなんて良い趣味してるぜ。俺はお前が俺を視姦したの視姦したぞ!
覇王エンリの苦労が
「なんだアンタも視姦好きか?」
「視姦
視姦!好きっす!(視線で)犯していいですか?
ルプスレギナはむっつりスケベだった…!?
「お、ルプーとは気が合いそうだな」
「いきなり愛称呼びっすか?
じゃあ私はターちゃんって呼ぶっす!」
ギャグ漫画のキャラみたいな名前は、やめろォ!(建前)ナイスぅ!(本音)
ターちゃんキック!的な必殺技でも用意した方が良いのだろうか?
なんにせよルプーと仲良くなれそうなのは良い事だ。
せっかくの機会なんで話題を広げる。
「しかし、あの二人のまぐわいにはちょっと刺激が足りない…足りなくない?」
「そうっすね。
従えたと思っていたオーガに裏切られて下克上とか起きないかなぁ」
「あ~いいっすね~NTR」
でも普通に覇王エンリが勝ちそう。
不思議と姐さんがチン負けするところは想像できないな。
オーガが性処理道具に成り下がるのが見える見える。
原作ではこの二人の間に子供が出来たって描写は無かったと思うけど、…ンフィーレア君はどんだけ命中率が低いんだ?
「そんで目の前で村が滅ぼされる様子を見せられた時の顔が見てみたい」
無邪気な表情から一変、ルプスレギナの顔には嗜虐的な色が滲み出る残虐な笑みが浮かんだ。その唇は三日月の様に弧を描き、その瞳は星明りを霞ませる程に爛々と輝いている。やだ怖い…。
そういえばルプーは第一王子をじっくりと殺す位のハードリョナラーだったな。
俺はソフトなリョナまでしか無理なので、ルプーの性癖には共感しかねる。
そしてリョナが許されるのは最強系の女だけだ。覇王だけどエンリは対象外だ。
強者を嬲ると胸がスカッとするけど、弱者は虐げても胸糞悪いだけ!
「う~ん、そこまで行くと不幸過ぎて抜けないかな…」
「いや、不幸なのは抜けるっすよ」
「え?不幸なのは抜けないでしょ?」
「は?」
「は?」
こ…こいつ、わかってねェ~ッ!
この分からず屋をぶん殴ってやらねばと思ったときには、既に正拳突きを放った後だった。
そしてそれは向こうも同じだったようで、気付いた時には互いの右ストレートが顔面に突き刺さっていた。
ドグシャァ、という音が遅れて耳に入った。
頭部への大きなダメージによろめいて数歩退く。
鉄臭い血の味と生温い感触がしたので口元に手をやると鼻血が出ているようだった。痛ってぇ!本気で殴りやがったな!マジ信じらんねぇ!
ルプスレギナの方は殴ったところが多少赤くなっているだけだった。おい!お前だけギャグ空間とかズルいぞ!
なんかルプーからギャグの香りが漂っていたから思わず殴っちゃったけど、もし俺が一般人だったら即死だったな。これが、誘い受けってやつか。
ルプスレギナを殴ったと知ったらアインズ様は怒るだろうか?…ルプーは駄犬感が有るし、わりと大丈夫な気がする(楽観)。
「どうやら私たちは同じ趣味を持つ友には成り得るが、真に理解者になるには余りにも大きな隔たりが在るようだ。
認めよう!貴様はこの私の好敵手であると!
そして、必ず認めさせてみせよう!私の理想を!!」
止血を施しながらルプーに告げる。
格好良く宣戦布告をして、俺は颯爽と去るぜ。
俺とルプーは限りなく近い道を歩むことができるが、それを突き詰めた先には互いに相容れることの無いという答えしかない。そこからは
いつかルプーに幸せっクスを分からせっクス!!
──────
朝。
早い早朝の朝。
村落の朝は早い。
日の出と供に起き出した農夫たちは自分の畑が荒らされてないかを確認しに行く。そして、雑草や害虫を取り払った後は、耕し終えていない畑にクワを入れる作業に入るのだ。
そんな村人に少し遅れて、俺は携帯食で朝食を済ませる。干し肉!干し肉!ドライフルーツ!干し肉!の順で喰えッ!!
借りていた空家を出たところで、広場の方にナーベとルプーが居るのが見えた。
姉妹で語り合いをしているみたいだ。俺も姉妹の間に挟まりたい。
挨拶をしながら二人の雑談に混ざる。
すると、ルプーが得意げな顔をして昨夜の話を蒸し返す。
「ナーちゃんはこっちの味方っすよ。ルプスレギナ派っす」
「なにッ!?貴様、ターリア派を裏切ったのか!?」
「裏切るも何も、最初から貴方の仲間ではありません」
「これで『不幸だと抜ける』が多数派である事が証明されたっすね!」
ぐぬぬ…。派閥の人数に倍の差があるではないか!
こんな状況では何を言い繕っても、負け犬の遠吠えに聞こえるだけだ。
圧倒的マイノリティの俺にできる事は陰湿な工作活動だけ…っ!
まずは、裏切り者のナーベに報復じゃ!
「ナーベよ、お前には失望したぞ(低い声)」
「死ね」
直球の言葉と本気の殺気。その飾らない姿にブルっちまったぜ…。
だが俺は退かぬ!
「他者の不幸を喜ぶなんてアダマンタイト級冒険者に相応しくない。
チーム『漆黒』は今日限りで解散だな(低い声)」
「そ、それは困ります」
一転守勢!
ナーベがオロオロしている。かわいい。
「ナーちゃん騙されちゃダメっすよ!相手は偽物っす!」
「そ、そうよ!そのセリフは所詮あなたの妄想でしょう!」
ルプーが半笑いでナーベの援護をする。
その言葉に飛びつき、虚勢を張るナーベ。
だが、ぬるいわ!
「え~、じゃあモモン氏に直接聞いて確かめてくるね」
「──待ちなさい」
モモンの居る仮宿へ向かおうとする素振りを見せたら、ナーベが素早い動作で俺の肩をガシリと掴んでその場に縫い付けた。ナーベの肩を掴む力が強く、指が食い込んで少し痛い。…こんな所でレベル差を感じる事になろうとは。
「ター、タール「…ターちゃんでいいです」
ここでナーベラルの『人間の名前を覚えられない』個性を発揮!
そこまで名前が出て来たなら、最後まで言えてもよかろうもん…。
マジかよ(困惑)。あんなに一緒に居たのに、俺の名前を覚えて無かったのか…。夕暮れの色が違う~、って歌いたくなりますわよ!
「私は別にターちゃん派でも構わないわ。
邪魔な人間が鬱陶しいだけで、他者の不幸だとか興味が無いの」
「それじゃあ、ナーベちゃんは『可愛い子はいじめたいけど、不幸だと抜けない』派に加入するかね?」
「ええ、もう、それでいいわ…」
こうして、ターリア派がルプスレギナ派に逆転勝利して、世界に平和が戻った。
ナーベは朝から疲れた顔をしているが、それは平和のための小さな犠牲だ。
そんなことより、ナーベに「ターちゃん」と呼ばれて、不覚にもドキッとした。普段は名前を呼ばない人が急に名前を呼んできたら、ギャップ萌えしちゃ~う。
「だからモモンさ──んにおかしな事を言うのは止めなさい」
「よかろう。
代わりにモモン氏には″ナーベちゃんを幸せにしてください″と進言しておこう」
アインズ様にそう言えば、きっと胃を痛めるに違いない。かわいい子は虐めたくなるから、仕方がないね。やはり、アインズ様はヒロイン…。
うまいこと勢いにまかせて「年頃の女の子を連れ回した責任をとれ!」とか「モモン氏の御手付きだと思われているから嫁の貰い手が居ないぞ!」とか言って脅迫すれば、ワンチャンス有るかもしれない。
プレアデスが正妻だって良いじゃない!
プレアデスが正妻だって良いじゃない!(大二言)
ナーベはアインズ様から
怒ったり慌てたり照れたりと、ナーベの表情がころころ変わる様子を見て俺とルプーはニヤニヤしている。
そう!ナーベに見せた俺とルプーの敵対は最初から本気では無く、プロレスでしかなかったのだッ!これが、恐るべき現代社会の闇…っ!
そして、ナーベのかわいい成分が上級国民に搾取されていくのだ。
突如として始まったルプーとの共謀だが、アイコンタクトで互いの狙いを理解し、長年連れ添った戦友の様に息の合ったコンビネーションでナーベを
ルプスレギナ…味方ならば頼もしい
俺たちは互いの手を取り合ってガシリと握手した。友☆情!!
そんな乙女の高尚な遊戯を嗜んでいると背後から声が掛かった。
「おや、3人は仲を深めたのか?それは何よりだ」
ここでアインズ様がエンリを連れ立って登場。
ルプスレギナが背後に控えてメイド業務に移ろうとするが、アインズ様が「良い」と片手を挙げ止める。
「ルプスレギナよ、私の事は気にせずともよい。
折角仲良くなったのだから、そのまま親交を深めると良い」
お、いいっすか~?
アインズ様からお楽しみ続行の許可が下りた。
これから、もっと
「じゃあせっかくなんで、親交の証に仲良くお手てでも繋ごうか!」
みんなで輪になって踊ろうぜ!
ナーベも嫌な顔しながらも手を繋いでくれた。握手券が必要ない握手会とか最高やな!
キャッキャッと乙女たちが戯れる。心がぴょんぴょんする。(萌豚並感)
しかしながら、ルプー、ナーベと一緒に並ぶと身長差を感じるな。
俺は成長期だからな。後、2,3年も成長すれば並べるだろう。
「三人はどういう経緯で仲良くなったんだ?」
三人はどういう集まりなんだっけ?(難聴)
経緯をそのままアインズ様に話すのはアレなので、少しぼかして答える。
「ルプーは同じ趣味を持つ友であり、己の誇りを掛けて競う好敵手。
そして、ナーベちゃんは我が派閥の新人です」
「ターちゃんは中々に趣味が良いっす」
「わ、私の嗜好はアダマンタイト級冒険者に相応しいモノです!」
「?
よくわからんが、ルプスレギナに友が出来たのは良いことだ」
ナーベの言葉で頭の上に疑問符が浮かんでいるが、ルプーに同じ趣味を持つ友達が出来たと聞いてアインズ様が嬉しそうにしている。
おっと、思わぬところで俺の価値が上がってしまったな。流石は俺!
俺たちが仲良く(自己申告)並んでいる様子を見て、エンリが感想を言う。
「ルプスレギナさんとナーベさんが並ぶと凄く絵に成りますね!
お2人は似ているわけじゃないけど、雰囲気が何だか姉妹みたい」
流石は、覇王エンリ。勘が鋭い!
姉妹と言われて、ルプーとナーベは誇らしげな顔をしている。
アインズ様は真実を言い当てられて焦っているのか、若干挙動不審だ。
そして、ナチュラルに省かれて、俺氏涙目w
これでも俺は見た目には気を使っているのだ。美少女ターリアとしてチヤホヤされるために美容魔法を駆使したりと結構な努力をしていた分、真正面から敗北を突き付けられると悔しいな。最初っから絶世の美女として創造されているなんてズルい!
…やはり、コーディネイターは青き清浄なる世界のために不要だ!
俺が密かに落ち込みつつ遺伝子操作に憤りを感じているのを尻目に、ルプーがニヤニヤしながらエンリに話しかける。
「そういえばエンちゃん。
昨日の夜中に、外から物音とか聞こえたりしなかったっすか?」
「え?昨日の夜中ですか。………ッ!?
も、もしかして、誰かがウチの近くに来ていたんですか!?」
エンリ赤面!
昨日の夜中と言ったら、俺とルプーが覗き行為をしていた時の事だろう。
夫婦の営みが誰かに覗かれたら、そら恥ずかしいですわ。
頬を染めるエンリを見てルプーがいやらしい顔をしている。
「ん?昨日の夜に何かあったのか?」
the 野暮。
アインズ様は何も察していないようだ。この、ニブチンさんが!
そして、ますます赤くなるエンリ。女の子の恥じらう姿は良い。眼福じゃ。
「はい。昨日の夜中にエンリとンフィーレアが交尾していたのですが。
その行為をターリアが窓の隙間から覗いていたのです」
「こうッ──!…コホン。
それは感心しないな、ターリア殿」
いや交尾て…。
ルプスレギナが淡々と説明するが、
エンリは耳まで真っ赤にして、もう湯気なんかが出そうな程だ。
そして、俺の覗き行為が告発された。
アインズ様と覇王エンリから非難の視線が飛んでくる。
あかん、これじゃ俺の評判が死ぬぅ!
ルプーが舌舐めずりをしながら俺に嗜虐的な目を向けてくる。
今度は俺を標的にしたらしい。
あ ほ く さ
なんだ、この程度の策謀で俺の名声を傷つけようとしてんのか?そんなんじゃ虫も殺せねぇぞ。
俺の華麗なるカウンターを食らうがよい!
「いやいや、覗きをしていたのはルプーの方だよ。
昨日、夜風にあたっていたところで物音が聞こえてね。
そこへ行ってみたら透明化した彼女が居たのさ」
嘘は言っていない。
一切悪びれずに、平然と言い放つ。
俺に向けられていた非難の目が分散する。
「…ルプスレギナよ、それは本当か?」
「ち、違います!ターちゃんがエンちゃんの家に近づいて行ったから───」
アインズ様から疑いの目を向けられて慌てて釈明するルプー。
だが、最後まで言わせん!
「え~?覗きかどうか聞いたら肯定したじゃないか。
ルプーと付き合いの長い村長殿はどう思う?」
「ああ…ルプスレギナさんなら有り得そうですね」
エンリが俺の言葉を肯定する。ルプスレギナさん人望が無いっすねw
日頃の行いが悪い奴はこういう時に損するよな~。
エンリの言葉を聞いて、アインズ様が頭を抱える。
「ルプスレギナ…お前という奴は……。
謹慎と反省文だな」
ルプーがこの世の終わりのような顔で青ざめる。
そう!俺は君の絶望する顔が見たかったんだよ!
ルプーにだけ聞こえるよう、ぼそりと小さく呟く。
「不幸なのは抜けるよなぁ」
俺の声にハッとしたルプーは、絶望感が滲み出る顔でこちらに視線を向ける。
ニヤリ
こちらを向いた敗北者に、いやらしい暗黒微笑をお見舞いしてやる。ルプーは所詮…特殊性癖の敗北者じゃけェ…!!
もはや逃れられぬと悟ったルプーが、目に涙を溜めて睨み付けてくる。KAWAII
不幸の味を楽しんだところで、
ヤリ過ぎて恨みを買うのは未熟者のすることだ。
「まぁまぁ。
ちょっとした悪戯に大袈裟な罰を与えるのは少しかわいそうじゃないですか?
ここは私に免じて許してやってくれませんか?」
「…まあ、そうかもしれんな。いいだろう。
謹慎と反省文は撤回する。が、ルプスレギナはちゃんと反省するように」
貸し1だ。
罰が撤回されてルプーの顔色が幾分か回復した。
俺はフォローも出来る人間だからな。(自画自賛)
そしてやっぱり、女の子が不幸なのは抜けない。
顔を曇らせたままにしておくのは3流のする事。プロならば相手のフォローをして、不幸値を下げなくてはならない。…次のいじわるの為にな!!
「村長殿もそれで良いですかな?
昨日の覗きに関しては不問にするという事で」
「まあ、いいですけど…」
エンリは諦めたような顔で頷いた。
よし!俺の罪も許されたな!
これにて、一件落着!
話が落ち着いたところでモモン(パンドラ)が姿を現した。
そして、その後ろにはイビルアイが、ちょこちょことモモンに付いて歩いていた。
どこにも居ないなと思っていたら、イビルアイはモモンの所へ夜這いに行っていたのか。まあ、残念ながらその鎧の中身は違うんだがな。骨相手には全く効果の無い色仕掛けとか、イビルアイもご苦労な事だ。
「さて、我々の当初の目的である森の調査だが…。
ゴウン殿が管理しているとの事だから、もう問題は無いだろう」
「モモン様の用事が終わったなら、この村ですべき事はもう無いな」
お、そうだな。
アインズ様に伝えたかった情報はだいたい伝えた気がするな。
後はナザリック勢の方で上手くやってくれるだろう。
ナザリックに忠誠を誓って色々と保護してもらう事も考えたが、社畜のように働かされるのは勘弁なので、それは最終手段だ。俺は仲間とともに自由な冒険者をしていたい。
「…ゴウン殿。
世界に混乱を振り撒くつもりが無いなら、大人しくしていることだ。
竜王たちは貴方のような存在を決して許しはしないだろうから…」
「竜王か…。
イビルアイ殿、忠告感謝する。留意しておこう」
留意しておこう(留意するとは言っていない)
イビルアイの忠告は無駄になる。だが、魔導国に支配してもらった方が平和で豊かな世界に成るからね。仕方ないね。
「さて、君たちが帰ると言うのならば、そろそろ私もお暇させて貰おう。
プレイヤーについて有力な情報を得たならば、是非とも連絡をくれ。
その時は、私の所有する膨大な財をもって、君たちを持て成そう」
アインズ様も帰るみたいだ。ルプスレギナに何やら言付けすると「では、失礼する」と言って、転移魔法でカルネ村から去った。
再会の約束も取り付けたし、今回は最高の成果だったんじゃなかろうか?
もうモモン達に付き纏って好感度稼ぎしたりする必要性も薄れて来たし、そろそろ王都に帰って仲間たちの様子を確認するのも良いかもしれんな。
あるいは、『漆黒』を王都に呼んでもいいかもしれない。
「エ・ランテルではアダマンタイト級冒険者が受けるような依頼はもう無いって話だけど、モモン氏たちはこれからどうする予定なの?」
「そうですね…。
魔法技術が発達しているとのことなので、我々は帝国へ行って魔道具でも見てみようかと思います」
おっ、いよいよワーカー侵入イベントか。王都に帰ろうと思っていたところに、原作イベントをチラつかせるのは、やめちくり~。
これは是非とも同行したい。アルシェ尻尾は俺が守護りたい。
「魔道具といえば、ヤルダバオトが王都に現れた時に使ったアイテムの補充がまだ済んで無いはず。
これは私達も帝国へ行って魔道具を見る必要がありそうですな!」
イビルアイにアイコンタクトを送ると、意図を察したイビルアイが頭上に『!』を浮かべ、俺に続いて追撃を仕掛ける。
恋愛道を共に歩んだ俺たちラブ師弟はツーカーの仲よ!
「!
そうだな!そうに違いない!もうそれで行かざるを得まい!!
モモン様、私たちも一緒に帝国へ行くぞ!」
「あ、ああ。別に構わないが…」
イビルアイの勢いにモモンがたじろぐ。
あの恋愛クソザコ吸血鬼だったイビルアイが、モモンを押し込めている…っ!
弟子の成長を感じられて、師匠としてこんなに嬉しい事は無いゾイ!
そして、初めの頃は青筋を浮かべて舌打ちをしていたナーベも、今では俺達の三文芝居を見ても何にも反応を示さなくなった。
良い傾向だ。そのうちに、俺達が居ないと物足りないと感じる身体にしてやるからなぁ。
「そうと決まれば、善は急げだ。
オラッ!ラキュースに
「ん?なぜラキュースに?」
「チームの財布を握っているのはラキュースでしょーが!
それと、買うアイテムも皆で相談して決めなくちゃいけないだろ?」
このポンコツは…。
恋路に目が行き過ぎて、建前の事を忘れてやがる。
「成程……って、お前が連絡すれば良いじゃないかっ!?」
「私が帝国行きを提案したら、何か企んでいるんじゃないかと怪しまれるだろ?
そうしたら、承認に時間が掛かってモモン氏たちに同行できなくなるぞ」
「お前、怪しまれる自覚があったのか…」
「策謀を巡らす時は、自分の評価も計算に入れるものだよ(ドヤ顔)」
イビルアイが呆れたような雰囲気を出しながらラキュースに連絡をする。指でokサインを送って来たので、特に問題は無かったようだ。
ということで、次のイベントは『蒼の薔薇』が総出でアインズ様に付いて行きますぞ!
原作のアインズ様も、話してみたら愛着がわくって言っていたし。一緒に過ごせば『蒼の薔薇』の事も少しは好きになってくれるだろう。
-ルプスレギナ
視姦仲間。気が合う。
しかし、性嗜好の相違から仲違い。犬猿の仲となる。否、狼人の仲となる。
またアインズ様から「失望したぞ!」されて涙目になって欲しい。
誤字報告に感謝