-前回のあらすじ
犯罪組織『八本指』の拠点を襲撃したオリ主。疲れからか、不幸にも漆黒の戦士に追突してしまう。後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは…。
夜の王都、高級住宅街の一角。戦闘による破壊痕があちこちに見られる広い敷地に、仲間のイビルアイと2人の見覚えのない人物がいる。
その内の一人、漆黒の戦士を見て閃く。
ここって、オバロ世界じゃね?
あーそういえばチームメンバーとか既視感あったわー(後出しジャンケン)
で、今ってどういう場面だっけ?…ヤルダバオトが現れてゲヘナの炎だったか。
イビルアイがモモンに惚れるんだけど、モモンには警戒されるんだったか。恋愛クソザコ吸血鬼やな(笑い)
三人は、どういう集まりなんだっけ?アダマンタイト級冒険者?すごいがっちりしてるもんねぇ。どうりでねぇ!
「それで今はどういう状況ですかね?」
「ああ、ラキュースの到着を待っている所だ。いや、そうじゃないか。
ティアとガガーランが強大な力を持つ悪魔にやられてな。ええっと、そいつはヤルダバオトという名で、私とティアとガガーランで蟲のメイドをあと一歩という所まで追いつめた時に現れてだな」
イビルアイが混乱していらっしゃる。
あと、二人のこと忘れとったわ。死んじまったのか…蘇生するための触媒を揃えるのに黄金が大量に必要になるな(屑思考)
そんで蟲のメイドを追い詰めたけどヤルダバオトが現れた、と。
ん?
蟲のメイドってエントマじゃねーか!そう言えばそんな話だった!
アインズ様を怒らせたら死亡確定だぞ!
オーバーロードと言えば登場人物が死にまくる小説じゃないか!
何を呑気に考えてんだ俺は!
マズい、このままだと『蒼の薔薇』は全員殺されるぞ。
否、イビルアイの声帯を与える約束を現時点ではしていないはず。まだ可能性はある!!
何とか怒りを鎮めて好感度を稼がなくては。
「とりあえず蟲のメイドの所を詳しく話してくれ。……私も戦闘になる可能性が有るからな」
「ああ、わかった。私がここに着いた時には既に戦闘中で───」
話を聞きながら打開策を必死に考える。
脳細胞は過去最高の稼働率を叩き出しているだろう。
イビルアイの話が終わる頃、幾つかの策を思いついた。
まずは、アインズ様の興味を引かなければ。
「なるほど…それは、蟲のメイドを成長させてしまったかもね」
「ほう、成長とは?」
よし、アインズ様が食いついた!
漆黒の兜がこちらを向き、そのスリットから覗く瞳には興味の色が浮かんでいる。まぁ、その瞳って幻影なんですけどね、初見さん。
作戦1。エントマにとってプラスだった論、だ。
とにかく悪いイメージを払拭してアインズ様の怒りを鎮めなければ。
「挑発に激昂していたという事は、戦い慣れていないのだろう。少なくとも人間との、それも同格の戦いには慣れていないんじゃないか?
今回得た経験で、次からは挑発が効き辛くなるだろうし、相手の連携への妨害も巧くなるだろう。
更に、数の優位や統率を学べば、自らもチームを組むようになり、脅威度は跳ね上がるだろうね」
コキュートスが
NPCの精神的な成長を望んでいるアインズ様なら無視できない事だろう。
アインズ様もコキュートスの成長を思い出してるのか、うんうんと相づちを打ってくれている。悪くない感触だ。
さて、次だ。畳みかけるぞ!
「それにしても、一見すると人に見えるのに何故戦闘になったのかな?」
「ガガーランは人食いの化け物だと言っていたぞ。大方、その場面で遭遇したのだろう」
イビルアイがさり気なくアインズ様との距離を詰めながら答える。俺とアインズ様が親しそうに会話しているから嫉妬したのか?おい、恋愛クソザコ吸血鬼。お前の命が
そしてナーベがイビルアイをけん制している。何やってんだ、こいつら…
まま、ええわ(放置)
「上手いこと人間に溶け込んで王都に侵入して来たというなら捕食目的では無いだろう。
何かしらの任務の途中で、
確かにガガーランは無視できないだろうな」
作戦2、発見されたエントマが悪い論。
実際、エントマが食べかけの腕を持ったまま外に出て、ガガーランに見つかったのが悪い。
「…つまみ食い、か」
アインズ様が苦い声を漏らす。
そう、あんたはエントマが食いしん坊キャラだって知ってるもんな。
エントマは人間の肉が好物だって設定があるのに、今まであんまり人間を食べる事が出来なかったからな。そりゃあ、つまみ食いもしたくなる。
「私はガガーラン達の判断を間違いだとは思わないぞ。
たしか、子供の肉が好きだとも言っていた。邪悪なモンスターだ」
「間違いだとは言わないさ、この国では人殺しは犯罪だ。
ただ、メイドなんて役職があるんだ。人類種以外の国の工作員の可能性もある。
こちらと遭遇する事無く大人しく帰ってくれたらよかったのに」
「ヤルダバオトは王都の一部を地獄の炎で包むと言っていた。大人しく帰るつもりなんて最初から無かっただろうな。
奴らは人類と敵対する組織に違いない」
ナーベとの競り合いに敗北し、若干、不機嫌そうに言うイビルアイ。
そういえば、倉庫にある物資と周囲に住んで居た人間が根こそぎ持っていかれるんだっけか?また王国が疲弊するな。王様かわいそう(小並感)
そんな事より、次だ。次の作戦だ!
「それにしても、ヤルダバオトの介入のタイミングが良すぎる」
ヤルダバオト――デミウルゴス――の名前が出て、ピクリと反応するアインズ様。
「…奴が、ヤルダバオトが、
「そのまま勝てば良し、負けるなら介入する、という方針だったんじゃないかな?
結果だけ見れば蟲のメイドは成長し、おまけに八本指の拠点の中は空っぽにされた。全部、ヤルダバオトの手のひらの上さ。
蟲のメイドが発見される失態を犯すのも、戦闘になった末に敗北することも、全てヤルダバオトの計画の内なのかもしれない」
作戦3、全部デミえもんって奴の仕業なんだ!
困ったことがあったらデミウルゴス。これ、オーバーロードの常識。
「あるいは、この遭遇戦さえ計算の内かもね」
「…確かにその可能性はありますね」
怖がらせるように告げる俺の言葉に、
デミウルゴスをちょっと持ち上げ過ぎたけど、まあ問題ないだろう。デミウルゴスならそれくらい出来ても不思議ではない。
アインズ様の弱点、それは『デミウルゴスの計画』。
今ごろ、デミウルゴスの計画を邪魔してしまったんじゃないか?と胃を痛めてるに違いない。くっくっく…これから加速する勘違いは、こんなモノでは無いぞぉ。
さて、今できる事はこんなものかな?
エントマの失態論を強く推したから、褒美にイビルアイの声帯をって事は無いだろう。無いんじゃないかな。無いといいな。
あとは原作知識を駆使して有用さを示すしかない。
だけど、あまり深い情報は出さないようにしないとな。情報の出所を調べるために拷問とか洗脳とかされるかもしれんからな。主にアルベド。
これだけやって駄目なら「モモンガによろしく」とか言うしかないな。
「ふむ」
アインズ様、顎に手を当て考える姿勢。
よしよし悩め。そして蒼の薔薇処分を保留にしてくれ。
そしてナーベはハニワ顔。
お前、話を聞いて無かっただろ!!
──────
「さて、今分かるのはこんなところかな?」
紺色の髪の槍使い少女ターリアの考察を聞き終え、自分もこれまでに得た情報を整理してみる。
仮面の少女イビルアイが、エントマを殺す一歩手前まで追い込んだと聞いた時、感情の抑制が間に合わない程の憤怒が燃え上がり、怒鳴り散らさないようにすることで精一杯だった。
だが冷静に考えてみれば、その話もイビルアイの主観でしかなく、エントマはそこまで追いつめられて無かった可能性もある。そして何より、デミウルゴスの助けが入った事でエントマは撤退が出来ている。人的被害は口唇蟲くらいだろうか?
エントマの敗戦が決して悪いだけのモノではなく、これからの成長に必要なものだったと思えば、
ここで怒りに身を任せてこの者達を殺してしまえば、折角の有益なコネクションを台無しにしてしまう事になる。それは避けなければならない。
とりあえず、腹を立てて思わず強く言い詰めてしまった所為で、こちらを怪しんでいるイビルアイの警戒をどうにか解かなくてはならない。
今回の一番のデメリットはエントマの顔を知られてしまった事だ。それも、人食いのモンスターとして認知されてしまった。
いずれ、エントマやナザリックのシモベ達が街を自由に歩き、休日などに外出を楽しんで欲しいと思っていたのだが。…それも難しくなった。
アインズ・ウール・ゴウンが魔王ヤルダバオトを倒し、その際にメイドを支配して奪ったという事にすれば、民衆の反感を抑えられるだろうか?
しかし『つまみ食い』か。エントマには窮屈な生活をさせていたようだ。
他のNPC達も今の生活に不満を抱いてないだろうか?ナザリックの福祉も要改善だな。
それよりも喫緊の問題は、デミウルゴスの計画を狂わせてしまったんじゃないか?っという事だ。
この身体には無いはずの胃がシクシクと痛む。
ため息が漏れそうになるのを堪えながら、デミウルゴスの計画の詳細をうまく聞き出す方法を必死に考える。
その時、視界の隅が明るくなる。
「モモンさん――。あちらをご覧ください」
ナーベの声に目を向けると、真紅の炎が天を焦がすように吹き上がっていた。
高さ30メートルを優に超えている炎の壁が、数百メートルでは収まらない距離を伸び、王都の一角を包み込んでいるように思われる。
揺らめくベールのように立ち昇り、帯のように伸びた炎の姿に見覚えがあった。
あれは確か───
「───ゲヘナの炎?」
「そ、それは一体、な、何のことですか? ご存じなのでしょうか?モモン様はあの巨大なる炎の壁を」
しまった。声に出てしまっていたようだ。
こちらを探るようなイビルアイと、どこか呆れたような冷たい目のターリアがこちらを向く。
全貌の見えないデミウルゴスの計画に突っ込んでしまったり、腹を立ててイビルアイに怪しまれてしまったり、失態続きである。
「あ、いや、その、確証を得られたらで構いませんか?」
「そ、それはもちろん構わないのですが…」
「な、ナーベと少しばかり相談事がありまして。少し失礼します。」
自分の誤魔化しの下手さに自嘲的な考えが生まれる。
また怪しまれてしまった事だろう。もういっそ殺してしまった方が楽なのでは、と短絡的な考えが頭をよぎる。
特に、ターリアという少女の考察力の高さは目を見張るものがある。話を聞いただけで、まるで実際に見てきたかの様に語ってみせたその能力は異常だと言ってもいい。
不自然な動きをすれば、こちらの正体を見破られる危険がある。
警戒しなければ。
背に視線を受けながらナーベを連れてその場を離れる。
新たに生まれた悩みの種と、これからデミウルゴスの計画に向き合わなければならない不安で、アインズは
ラキュースたちが合流し、モモンとナーベは依頼人のもとへ向かった。
結局、ゲヘナの炎が出現してからアインズ様とは碌に話をできなかった。
俺たちはガガーランとティアの遺体を抱えてチームの拠点に帰る。そして、必要な触媒を貯めている拠点で蘇生の儀式を行う。
黄金の山が崩れて溶け出し宙を舞い、そこに宝石から溶け出した魔力が加わる。やがて、大きな力の渦を巻き込んだ黄金の光が遺体を覆う。
黄金がより一層強く輝き、光が収まると、土気色だった死者の肌に幾分か血色が戻っており、心臓が再び鼓動を鳴らし始めていた。
「う、あ、ここは…」
「ガガーランが目を覚ました」
「ああ…そうか、おれはあのあくまにやられたのか…」
起きたばかりで怠そうだが、記憶ははっきりとしているらしい。
ガガーランをベッドへ運び出し寝かせる。
「疑問が沢山あるだろうから先に状況を説明しておこう」
「ああ、たのむ」
ベッドで横になっているガガーランに現在の状況を教える。
ヤルダバオトと名乗る悪魔の事、エ・ランテルから駆け付けた冒険者『漆黒』の事、ヤルダバオトは一旦退いたが王都の一角を巨大な炎で包んだ事。そして、これからその問題を解決しに行くこと。
続いて復活したティアにも同じ説明をしてやる。
説明を聞き終えた二人は、疲れたのか眠ってしまった。
二人は無事に蘇生完了した。
俺たちはラナーが待機している王城へ急いで向かおう。
しかしながら、人が
-エントマ
はぁ…エントマちゃんかわゆ…
エントマちゃんをいぢめるとかわいい。かわわる。
かわいそうは、かわゆ。
誤字報告に感謝