イビルアイ尻尾√   作:冠尾かざり

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05 ゲヘナの焱

 

-前回のあらすじ

『漆黒』モモンと現状確認をしていると王都の一角に巨大な炎が立ち昇る


 

 

 

 王城の一角。煌々と明かりが灯された部屋に、王都中の冒険者が集められた。

 本来であれば立ち入ることが許されない王城を使うのは非常事態故である。

 王都冒険者組合の組合長が冒険者たちに召集の理由を語る。王都を襲った非常事態に対して、国と協力して問題解決を図るという内容である。本来であれば冒険者組合は、国家の問題への介入は認められないが今回は特例である。

 

 そして、組合長と代わったラナーが前に出て作戦の説明を始める。

 

 

 アインズ様ばかりに気を取られていたけど、王国サイドにも死亡フラグとなる化け物が居たのだった。

 王国第三王女の『黄金』ことラナーである。

 武力こそ持たないが、作中最高レベルの頭脳と、クライム以外を盤上遊戯の駒の様にしか思ってないぶっ壊れた倫理観を持つ。

 彼女にとって邪魔だと思われれば、謀略に巻き込まれて死ぬ可能性がある。もう既に何人かメイドを殺しているんじゃなかったか?人間の屑がこの野郎…。

 替えの利かない駒でなければ、いつ捨て駒にされてもおかしくない。

 というか、クライムって境遇が主人公っぽいからちょっかい掛けまくってたんだが。邪魔だと思われてそう。怖い。

 ラナーに本性を知っているのがバレるのは怖いし、アインズ様のご機嫌取りして何か勘ぐられるのも不味いから、背景モブと化してよう。

 

 

「───この事件を起こした首魁(しゅかい)の名前はヤルダバオト。非常に凶悪かつ強大な悪魔であるとの情報が入っております。

 実際、この幻の炎の障壁の向こうに低位の悪魔がいることを蒼の薔薇の彼女が確認しておりますが、上位者からの命令を受けて行動しているような規律を彼らから感じたそうです」

 

「……敵の頭を潰すのは基本だが……ヤルダバオトを倒せばいいのか?」

 

「極論を言ってしまえばそれで事件が解決する事を願っております。ですが、それ以上にお願いしたいのは───」

 

 

 ラナーと冒険者たちがなんやかんや言っているが、要するに、ヤルダバオトとまともに戦えるのは漆黒の英雄モモン様だけだから、冒険者たちは戦線を押し広げて行って、モモン様が突入しやすいようにする、という作戦である。

 

 この『ゲヘナの炎』事件を簡単に説明すると、犯罪組織『八本指』が悪魔召喚アイテムを王都に持ち込み、そのアイテムを狙ったヤルダバオトが王都を襲撃する、というものである。

 それを漆黒の英雄モモン様が解決すると。う~ん、このマッチポンプ。

 そんな表向きの話の裏で、ナザリックによる『八本指』の支配、王国の物資の強奪や人間の拉致、魔王作成の準備が進められるわけである。

 

 

 原作知識を思い返していると、作戦の詳細を詰める作業に入ったようだ。

 なになに?『蒼の薔薇』は戦力が半減しているから、四組のオリハルコン級チームが主軸になって戦線を構築するだって?

 色々と理由を付けて俺たちを前線から遠ざけようとしているが、希少な復活魔法が使えるラキュースを危険な場所に置きたくないだけである。それに気付いているのか、いないのかは知らないが、ラキュースは了承する。

 

 えっ、俺?

 前線で好き放題やらせてもらう予定ですが、何か?

 そこそこ強いモンスターを大量に狩る事が出来る、こんなにうま味がある狩場を逃すことはできないでしょう?じゃけん夜レベル上げいきましょうね~(既に夜)

 

 

 冒険者の組み分けの話が大体終わり、イビルアイがモモンとナーベを呼びに行った。

 俺も行きたかったが、ラナーが見てるから下手に動くのはやめよう。お前さっき俺らが会議している時、チラチラ見てただろ(神経質)

 

 よくよく考えたらナザリック勢は最終手段(原作知識)を使えばどうにかなるのに比べて、ラナーとかの現地勢の方が武力で解決するしか無い分だけ危険度が高くね?

 クライムを人質に取るのはラナーに通じるだろうか?

 法国とか竜王とかは100Lvクラスじゃなきゃ話にならないぞ。

 これはやはりレベル上げが急務ですね。

 

 

 お、モモン様が顔を晒したな。うん、この世界じゃ完全にモブおっさんの顔ですわ。

 しかし、俺みたいに()()()()冒険者が居れば、その顔に魔法が掛かっている事に気が付けただろう。まあ原作で特にそういう話は無かったはずだけど、後でそれと無く注意しておいてやるか。ついでに目が良いアピールもしておこう。

 

 

 

 他の冒険者たちと挨拶をしていたモモンとナーベがこっちに合流したところで別室に移動し、作戦の最終確認を行う。

 話が一段落すると、クライムが強者の情報を口にする。

 それに対して、モモン様を持ち上げたいイビルアイが噛みつく。子供か!

 

「モモン様以上に強い戦士などいるはずがない。お前が推薦する人物がモモン様の足手まといになる可能性の方が高いと断言できるな」

 

「いや、そうとも言い切れないと思うね。俺も目の前で見たが無茶苦茶強かった。六腕最強のゼロをたったの一撃で(ほふ)ったのだから」

 

 イビルアイの言葉に反論するブレイン。

 その無茶苦茶強い人ってセバスの事だから、ブレインの言っていることが正解だ。

 っていうか、ブレインって守護者と遭遇しすぎじゃね?この後もシャルティアと交戦して爪切りをやるんだろ?こいつは歩く死亡フラグ吸引機か何か?

 

「お前がブレイン・アングラウスか。お前がクライムよりもはるかに強いことは知っている。しかし、だからと言ってそいつの強さの保証にはつながるまい?

 大体、お前はあのばばあに負けたのだろ?」

 

「……あら、それを言ったら、イビルアイ。あなただってそうでしょ?

 ごめんなさいね、アングラウスさん」

 

「うぐっ」

 

「クライム、ブレイン氏、うちのガキがどうもすみませんねぇ。

 憧れの英雄が最強でないと気が済まない子供の癇癪ですから、許してやってくだせぇ」

 

 イビルアイの大敗北によって悪くなりつつあった雰囲気が消えた。

 そのタイミングでモモンが話に入ってくる。流石はアインズ様、強者の情報収集に余念がない。

 

「興味深いですね。その人物とはいったいどのような方なのですか?」

 

「セバス様という方です」

 

「……ん? せばす?」

 

 困惑するモモン。

 そうだよ、あんたの所のセバスだよ。

 わいのわいの話をしている所で不意にイビルアイがラキュースに問う。

 

 

「ところで、敵の悪魔たちに暗黒のエネルギーを向けることは出来ないのか?」

 

「……暗黒のエネルギー?」

 

「ああ、ガガーランから聞いたが、お前の持つ魔剣キリネイラムの力を全力で開放すると王国一つを飲み込むほどの力を放出するのだろ?」

 

 あーーっと!、黒歴史の話はやめろ!…ここから先は火傷では済まないぞ?

 ラキュースは大きく目を見開き、露骨に話題を変えようとする。

 しょうがねえなあ(悟空)。助けてやるか!

 

「だが、ちょっと待ってほしい!

 皆さんはラキュースの必殺技『暗黒刃超弩級衝撃波(ダークブレードメガインパクト)ォオ!!』をご存じだろうか?…お察しの通り、魔剣キリネイラムによる強力な範囲攻撃です。

 暗黒刃(ダークブレード)との言葉から負属性の技だと思われるかもしれませんが、無属性の技です。…もう一度言います。負属性ではなく無属性です。

 つまり魔剣キリネイラムに暗黒のエネルギーなんて、これっぽっちもありゃしません。全部、嘘です。

 ただ、技名を叫ぶと爽快感がある、これだけははっきりと真実を伝えたかった」

 

 他人の黒歴史を暴露すると、気持ちがいい(屑)よい子は…やめようね!

 ラキュースの顔は真っ赤である。そうやってみんな大人に成っていくんやでw

 

 しかし、ネタにしたら俺の古傷にもダメージが来そうな厨二病設定は黙っておく。

 でも、指に着けたアーマーリングとか身体に巻いたシルバーとかはカッコいいと思う。もっと腕にシルバー巻くとかさ!(ATM並感)

 闇の人格とか、精神を乗っ取る呪われた剣だとか、神に仕える乙女でなければ闇の力を抑えられないとか、思うにラキュースは被虐願望、凌辱願望が有るんじゃなかろうか?…対魔神官ラキュース(ボソッ

 

 全員の視線がラキュースに集まる中、扉がノックされ、返事を待たずに二人組の男が入室する。

 

 

「お兄様、それにレエブン候」

 

 第二王子ザナックとレエブン候が、ラナーに話があるという事で作戦の最終確認はもう終わりだ。

 

「では皆さん。私はここで、皆さんが誰一人欠けることなく戻ってくることを、神にお祈りしております。……皆さん、より正確に言えばモモンさんに全てはかかっています。御武運をお祈りしております」

 

 

 よし、作戦開始だ。イクゾー!デッデッデデデデ!

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

 

 ということで、やってまいりました炎の幻の前。

 某配管工よろしく「ヤッフー」と奇声を上げながら走り幅跳びで突っ込む。もちろん、絵画の中の世界に入ったりはしなかった。

 慌てて追ってきた上級冒険者たちが、俺に尊敬の視線を向ける。流石、アダマンタイト級冒険者!肝っ玉がすわってるぜ!っとでも思っているんだろう。これが、勘違い系主人公ですか?

 

 しかし、下級冒険者たちは緊張して遅々として進まないので、炎の壁を(また)いでセンターマン状態になって、緊張をほぐしてやる。

 

「ホラ、見ろよ見ろよ。半分人間~」

 

 俺を見て緊張がほぐれた冒険者たちが、覚悟を決めて炎の中に進む。

 

 

 炎の壁を抜けると、そこには静寂の世界があった。夜だからみんな寝静まったとかではなく、完全に人の気配が無いのだ。元々が歴史を感じさせる古めかしい街だったことや、所々の家屋が崩れていたりすることもあり、退廃的な美しさがある。

 ホラー映画の舞台にでも使われそうな退廃美に見入って、ほうっと感嘆の溜息を吐いていると、ここの班のオリハルコン級冒険者の一人が俺に指示を仰ぎに来た。

 確かに俺が指示を出した方がスムーズにいくだろう(自画自賛)

 だが、断る!

 

「私は威力偵察に行ってくるから。てきとーに悪魔を間引いてくるけど、問題が起こったら呼んでくれや。

 じゃ、あとは予定通りヨロシクぅ!」

 

「え、ちょ───」

 

 制止の声を振り切って倉庫街の奥へと駆け出す。さっきまであった尊敬の念が急激に萎んでいくのを背中越しに感じる。すまんなw

 

 

 

 一つ通りを抜けると、獣の唸り声が聞こえてきた。

 現れたのは地獄の猟犬(ヘル・ハウンド)。邪悪な見た目の火を噴く大型犬である。まあ雑魚である。とは言っても、相手は群れでそこそこ数が多い。数は力だ。だから俺も手数を増やす。

 

「〈第4位階精霊召喚(サモン・エレメンタル・4th)雷雲の精霊(・サンダークラウド)〉」

 

 雷雲の精霊を3体召喚して死角を守らせ、犬の群れに突撃する。畜生の群れを相手にするときに受けに回るのは愚策、突撃か逃走の2択しかないんだよおお!

 

「首ぃぃいい!置いてけぇええ!!(心臓を一突き)」

 

 正面に居た奴の頭を殴り飛ばし、慌てて飛び掛かって来た隣の犬の胸を突く。反対側に居た個体と、回り込もうとした奴らが電撃に撃ち抜かれる。

 生命力を失った個体から消滅していく。死体は残らないようだ。こりゃ都合がいいぜ。

 槍を振るうこと数回。十数体いた犬の群れはもう消えていた。この程度の相手なら無傷で全滅させることは容易い。伊達にソロで活動していたわけじゃない。

 

 そして、辺りに漂っている魂の残滓(経験値)を手繰り寄せて吸収する。

 

 

 俺がアダマンタイト級冒険者になるほど強く成れたのは、()()のおかげである。

 漫画とかによくある話のように、目に魔力を集める修行をしていたら、不可視の物を見る事が出来るようになったのだ。そして、その能力を高めたら魂的なモノまで見えるように進化した。

 この魂の残滓(経験値)的なモノは普段から周囲に存在するが、モンスターを倒した時には特にたくさん出てくる。

 それが身体に取り込まれることによって人間が強く成っていくことを知った俺は、次にこの魂の残滓(経験値)を操る術を模索した。

 そうして、なんやかんや修行して、この効率的経験値吸収能力を得たのだ。

 俺は経験値吸収能力がクライムレベルの低資質らしく、この能力が無ければ一般貧弱冒険者で終わっていただろう。

 

 色々語ったが簡単に言うと、経験値増加のパッシブスキルを手に入れたような感じだな。

 

 

 ここら辺の敵はまだまだ弱い、もっと奥の方で稼ぐか。

 召喚した雷雲の精霊たちを引き連れて、警戒態勢を維持しながら先へと急いだ。

 

 

 ランクが2つ位は上のモンスターが襲ってくる場所から、防衛ラインと平行に移動して敵を倒していく。レベルが上がる度に戦闘が楽になり、戦う度に効率的に敵を狩れるようになっていく。

 だが、今まで一定間隔で徘徊していたモンスターたちが、途中から露骨に俺を狙って集まってくるようになった。

 

「こりゃ、退き時だな」

 

 上位地獄の猟犬(グレーター・ヘル・ハウンド)の脳髄をぶちまけつつ撤退を考えていると、頭上に大きな気配を感じた。ちらりと目を向けると、新手の大型悪魔が蝙蝠(こうもり)の翼を羽ばたかせながら、家屋の向こうからこちらへ飛んでくるのが見えた。

 明らかに強そう。ボスキャラだな?仲間がいたなら倒せそうだが。

 

 さて、奴に挑むか?挑まないか?

 

 まずは現状戦力の把握をするとして。

 今回のレベル上げで、俺はどれくらい強くなっただろう?

 10レベルくらい上がったんじゃないか?(誇大表現)

 今の俺の強さ的に考えて、合計レベル40くらいはあるだろう。

 力を増した今の俺なら一人でもいけるんじゃないか?余力もまだ有る。

 

 やっちまうか?やっちゃいますか?やっちゃいましょうよ!

 さあ、やるのかい?やらないのかい?どっちなんだい!?

 

「やらーない!!(きんに君)

 〈透明化(インヴィジビリティ)〉!」

 

 

 ターリア、全力逃走します!!

 

 召喚していた精霊たちを悪魔に突っ込ませて、俺自身は〈飛行(フライ)〉で飛び上がり、こちらを包囲していた悪魔の頭上を抜ける。

 鱗の悪魔(スケイルデーモン)は俺の気配を捉えていたようだが、追ってくるようなことは無く、怒りの声を上げるだけだった。

 

 背後で空気を震わす鱗の悪魔(スケイルデーモン)の雄叫びを聞きながら、冒険者たちが築いている防衛ラインへと向かう。

 これ以上暴れていると本気で排除されちゃいそうだから、大人しく防衛ラインを維持する作業に従事するかな。

 

 

 

 防衛ラインまで撤退して、指揮官らしきオリハルコン冒険者に声をかける。

 

「おーっす、お疲れさん。今の戦況はどんな感じかな?」

 

「ちょっと、あんた、どこ行ってたんだ!?

 死者は出ていないが、戦える者はかなり減った!上級冒険者たちにも怪我人が出てる!

 あんたもさっさと戦線に加わってくれ!」

 

「おーけー、おーけー、後は任せてくれ」

 

 この先に強力な悪魔が居た事を告げ、防衛ラインの前進を鈍くさせておく。そして、俺も戦列に加わって仕事を始める。

 冒険者に混ざって戦線のあちこちで悪魔相手に無双をしていると、再び尊敬の視線を送られるようになった。んー、良い気分だぜ。

 

 それからしばらく真面目に働いていると、下級冒険者たちが全員戦えなくなったので、後方へ戻り部隊を再編することとなった。

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

 

 後方でラキュースとティナに合流し、ミスリル以上の冒険者で構成された再突入部隊を編成。

 若干疲れた様子を見せる二人に声をかける。

 

「おー、二人とも結構ボロボロじゃないの」

 

「あなたも似たようなものでしょう、ターリア」

 

「馬鹿言え、リジェネで受けた傷はじわじわ治ってるし、魔力もまだ半分以上残ってるぜ。

 それと今の私は、悪魔との戦いを経て成長した、ネオ・ターリアだ!」

 

「それは頼もしいわね」

 

 険しい顔をしていたラキュースの顔に笑みが戻り、ティナも軽口を零すようになった。俺は気遣いもできる人間だからな(自画自賛)

 

 

 冒険者各自、装備を整備したり、予備の物へと交換したりを済ませ、再びゲヘナの炎の壁の前に集まる。

 ラキュースに前線へ行って欲しくない人たちが渋ったが、「ラキュースは俺が守護(まも)る!」とイケ顔で言って黙らせた。

 再突入ポイントに集まった冒険者たちの前に一歩出てラキュースが号令をかける。

 

「みんな、ここが最後の踏ん張りどころよ。

 ここで敵を引き付けるほど、″(やじり)″であるモモンさん達が優位に戦えるわ。

 私たちは彼らに楽をさせてあげる、最高の″弓″の働きをしましょう!」

 

「「応!!!」」

 

 ラキュースの鼓舞に勝鬨を上げ冒険者たちが炎の中へ進む。

 

 

 順調であったのは最初だけで、蹴散らされたバリケードと衛士たちの死の名残が漂う赤い染みを越えたあたりから、敵の攻勢が激しくなった。

 この世の地獄を思わせるような悪魔の大群を捌きつつ「こりゃ、もう撤退かな?」と考えたところで、例のボス悪魔が現れた。またピネだ!こいつ、いっつも撤退を考えた時に出てくるな。

 もはや、これまでか!?っというところで、ガゼフさん登場!

 ガガーランとティアも合流してリベンジマッチや!

 

 

「一番槍は私がいただく!」

 

 召喚した精霊たちに牽制させつつ、鱗の悪魔(スケイルデーモン)に突撃をかけて足を槍で突く。しかし、肉体を包んでいる爬虫類の鱗に阻まれ、傷は浅い。

 反撃に振り下ろされた巨大な大金槌(モール)をティナが横から妨害した隙に飛び退いて回避。大地に打ち付けられた金槌が地面を抉り土埃を上げる。

 

「硬スギィ!

 攻撃はガゼフさんに任せます!」

 

「任された!」

 

 俺は援護に回り、攻めはガゼフさんにやってもらうことにする。

 カゼフさんが装備している剃刀の刃(レイザーエッジ)なら、奴の肉を楽に切り飛ばせるだろう。

 切り込むガゼフさんに合わせて、ラキュースの浮遊する剣群(フローティング・ソーズ)や俺の召喚した精霊たちが鱗の悪魔(スケイルデーモン)の行動を阻害する。そして、攻撃後の隙を埋めるようにガガーランとティア、ティナが援護に入る。

 俺たちが連携を続けるうちに、やがて鱗の悪魔(スケイルデーモン)が大きな隙を晒し、その隙を逃さなかったガゼフさんの斬撃が悪魔の肉体を深く切り裂いた。

 

「おおおおおお!──六光連斬──っ!!」

 

「グオオオオォォォォオオオオンン!!」

 

 幾つもの斬撃をその身に受けた鱗の悪魔(スケイルデーモン)がそのダメージに堪らず吹き飛び、そのまま空へと羽ばたき逃げ出した。

 空に逃げるなんてズルいぞ!まあ、俺が追いかけてもいいが、クライムたちが止めを刺すだろうし放っておこう。疲れたし。

 

 

 戦士長の勝利に歓声が上がる。この場に居た悪魔も殲滅完了した。

 冒険者たちが互いの健闘を讃え合っていたその時、地面が大きく揺れた。

 

 地震が起きたという事はそろそろお終いか。

 

 

 

 再び気を引き締めた一行は前進する。だが、悪魔はいつの間にか消えていた。

 最奥にたどり着いたとき、そこには苛烈な戦場跡と、モモンとナーベとイビルアイの三人の姿だけがあった。

 ヤルダバオトの姿が見当たらない事に勝利の気配を感じて、皆が息を飲んでモモンの姿を凝視する。それから、僅かな間を空けてモモンが剣を握りしめ、勢いよく突き上げる。

 

「「うぉおおおおおおおおお!!!」」

 

 次の瞬間、広場にいたすべての者たちが、同じように拳を突き上げ、勝利を祝う雄たけびをあげた。

 

 そして口々に讃える。モモンという救国の英雄の名前を──。

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

 

 めでたしめでたし。

 だけど、俺の生存をかけた戦いは始まったばかりだ!

 

 

 

 朝。蒼天の朝。

 あれから慌ただしく数日経ち、アインズ様達がエ・ランテルに帰る日となった。

 

 

「帰ってしまわれるのか?」

 

 イビルアイがモモンとの別れを惜しんでいる。

 いつもの不遜な態度と違って、今は凄くしおらしい。

 

「同行したいのはやまやまなんだがな」

 

「そうだよ(便乗)

 私もモモン氏に着いて行くゾ」

 

「「え?」」

 

 同時に困惑する、モモンとイビルアイ。

 『蒼の薔薇』の本拠地が王都だろうが、転移魔法を使えばカンケーねぇんだよ!

 転移提案おじさんと化して、イビルアイに提案する。

 

「転移魔法を使えば移動が楽ちんゾ。

 転移して♡」

 

「その手があったかぁぁああ!!」

 

 

 モモンと離れ離れにならずに済むと知って、イビルアイが歓喜の声を上げている。おう、俺に感謝せや?

 やっと、ラナーの目が無い所でアインズ様と交流を深める事ができるんやな。

 これからはじっくり攻略できるぞ。

 

 

 覚悟しろアインズ様。これから付き纏ってやるからなぁぁ。

 

 

 

 

 

 


 

-ラナー

オリ主が危険視

 

今回少し長くなってしまいました

 

誤字報告に感謝

 

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