イビルアイ尻尾√   作:冠尾かざり

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06 エ・ランテルへ

-前回のあらすじ

ヤルダバオトの野望を打ち砕いたモモン

オリ主とイビルアイ、モモン達と一緒に城塞都市エ・ランテルへ行く


 

 

 

 

 

 

 青々とした空がどこまでも広がる、晴れ晴れとした開放的な蒼天。

 本格的な夏も終わり、太陽もその身を燃やすのに疲れたというように輝きの色を弱らせ、空が少しだけ遠くに感じられるようになった。そんな少しだけ秋を想わせる、それでもまだまだ暑い日。

 

 俺たちは現在、王都リ・エスティーゼから城塞都市エ・ランテルへと向かうために、大空の旅をしている途中である。

 遥か上空から見渡す景色は大きく広がり果てしない。人が生きて歩む道と弱者を無慈悲に拒む大自然がすべて連なっているそれは、可笑しさと感慨深さが混じり合った″星の絵画″とでもいうような、巨大なスケールから描かれた美しさを感じられた。

 

 

 

「ター──ブオォオオオビュロロロロ(風が吹き抜ける音)──か?」

 

「あ゛ー?あんだって~?風が煩くて聞こえねーよーぅ!」

 

 イビルアイがこちらに向かって何か言ったようだが、全然聞こえんかった。

 耳に手を当て「聞こえない」というジェスチャーで返事をする。

 

「!!──ドバルバルルバルバル(服がはためく音)──い!」

 

「あ゛ん゛だっで~!?お前は仮面をしてるから余計に分からんゾイ!!」

 

 こちらの声も向こうに届いていないようだ。

 上空数百メートルで結構な速度を出して移動しているからね、仕方ないね。というか、レエブン候のお抱えの魔法詠唱者の人、飛行速度がかなり速いな。強化を掛けた状態で、追いつくのがやっとなんだが。

 互いに言葉が通じないことを理解した俺たちは、大人しく空の旅を楽しむことにした。

 

 

 さて、優雅な上空の旅の間でアインズ様と親交を深めようという計画は頓挫(とんざ)したが、長く考え事をする時間が出来たのは、原作の知識を思いだし整理するには丁度いい機会である。ここ数日はバタバタしていたからな。

 というわけで、現在の物語の位置と、これから起こる出来事について整理してみよう。

 

 

 モモンとナーベがアダマンタイト級冒険者になっているという事は、シャルティア洗脳事件は終わっているな。…法国の情報が高く売れそうだ。

 アインズ様とシャルティアのPVNは3巻だったな。アニメ1期の最終話。

 そしてその次が、何故か強く印象に残る蜥蜴人(リザードマン)編。蜥蜴人のザリュースが主人公の熱い話だ。ロロロに会いたい。そして急に見せられる畜生の交尾風景。あたまおかしなるで。

 おっと、思考が逸れてしまったな。

 これから先、王国と『蒼の薔薇』に悪い影響がありそうなのは、大虐殺と王国滅亡だ。

 

 大虐殺……また王国が疲弊するな。王様かわいそう(小並感)

 王国と帝国の戦争に参入したアインズ様が1発の魔法で王国の兵士たちを蹂躙する。これによって大勝利して領土を得て、魔導国が誕生するわけだ。

 俺の描く将来設計のために魔導国が建国された方が良いから、大虐殺は防がない方向で。……私は顔も知らない人間がいくら死んでも心が痛まないから…。って言うか止める方法が分からん。少なくとも国を動かせる立場じゃなきゃ無理だろ。

 でもガゼフさんは死なせたくないな。何か方法を考えておかないとな。とりあえず一騎打ちは避けさせるように動かなきゃ。

 

 そして王国滅亡。

 フィリップをぶっ殺そうぜ!!そんで、王国をさっさと属国化させよう!

 だが問題はラナーの動きだ。属国化がラナーの計画にとって邪魔なモノなら、原作回避は難しい。

 原作でのクライムとラナーは大きな悲劇に呑まれ、主従関係をそのままに延々と互いの傷を舐め合う関係になる。クライムを罪悪感で自分に縛り付けた、あの結末はラナーにとって最良に近いものだっただろう。

 ラナーは進んで王国を破壊しようとしていたようにも感じる。まさに亡国の魔女か…

 属国化が無理なら、エ・ランテルの冒険者組合に移籍するしかないな。

 だが、そうなると次はラキュースが問題になる。彼女は貴族でもあるから、王国の危機には必ず立ち向かう。原作のように、無理やり連れだしてもいいが、メンバーの関係が悪化しそうだ。

 それに、王国が破壊されてしまうと『蒼の薔薇』が魔導国に対して悪感情を持ってしまうから、やっぱり王国の属国化が望ましい。

 

 ナザリックの護衛が付いて居るラナーの排除が難しい以上、アインズ様を直接説得するしかない。

 アインズ様の好感度を稼ぐついでに、王国の評価も上げよう。

 結局のところ、全部アインズ様次第である。

 

 

 いろいろ思い出しながら考えた今後の方針は───

 大虐殺は止めない!

 王国が魔導国の属国になるよう誘導する

 フィリップを殺す

 ───の3本です。次回もまた見てくださいね?じゃん、けん、ポン!うふふふふふふ(SZESN)

 

 

 今後の大まかな方針も決まって、次のイベントに思いをはせる。帝国のワーカーがナザリックに侵入する話だな。何でワーカーをナザリックに侵入させたんだっけ?帝国皇帝を呼び出すためだったかな?

 …エ・ランテル関係なくね?

 いや、モモンが護衛依頼を受けるんだったな。

 それに同行して、アルシェが元貴族であるって事と魔法力を視る″看破の魔眼″のタレントを持ってることをアインズ様に教えれば、貴重な尻尾アルシェを失わずに済むかもしれない。

 

 

 

 しばらく飛行したあと休憩時間になり、皆で軽く食事をとる。

 俺とイビルアイ、モモンとナーベ、レエブン候の魔法詠唱者達、計6人で車座になり雑談する。

 

「流石はアダマンタイト級冒険者という所ですね。我々は飛行に特化した魔法詠唱者だったんですが、それに追いついてくるとは…」

 

「飛行に特化!?どうりでねぇ!

 正直、追いかけるだけで精一杯だったぜ。

 飛行する速さを競う競技とかレースとかあったら、二人はその選手になってそう」

 

「そんな催し物が有ったら楽しそうですね!!

 実は、我々のように空を飛ぶことが好きな魔法詠唱者って多いんですよ!」

 

 飛行レースとか絶対に盛り上がるやろ!

 それに異様に食い付いてくる運び屋のあんちゃん。こいつ飛行が好き過ぎるだろ(笑い)。まぁ、だから飛行に特化しているんだろうな。

 アインズ様も興味を抱いている様子だ。「ナザリック大運動会…」とか呟いている。

 そして、ふと思い付いたので帝国に興味があるアピールをしておく。モモンが帝国に向かう時に、付いて行くための動機作りだ。

 

「魔法関係の発展が著しい帝国なら、そういうお祭りもあるかもね。

 帝国にもいずれ行ってみたいな(チラッチラッ」

 

「帝国にはフールーダ・パラダインが居るからな。

 周辺国家で魔法技術が一番発展しているのは帝国だろうな」

 

 イビルアイが帝国の魔法技術について語る。こいつ魔法の事になると急に饒舌になるな。

 ついでに俺たちがオリジナル魔法を作れることをアピールしておく。

 しばらく談笑した後、例の謎宗教観で席を離れるモモンとナーベ。俺たちと離れて食事を取る振りでもするのだろう。

 

 お、そうだ(唐突)。アインズ様に言おうと思ったことがあったな。

 

 

「モモン氏、ちょっといいですか?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「モモン氏、顔に魔法をかけているでしょう?

 私のように目の良い人ならそれに気付けるだろうから、大勢の前で鎧を脱ぐときは気を付けた方が良いですよ?

 幻術を見破るタレントを持った人もいますからね。たしか帝国に1人いるという話を聞きました」

 

「っ!?

 …私の本当の姿を見たのですか?」

 

「いいえ、私に分かるのは魔法が掛かっていることだけです。

 モモン氏の本当の顔は見ていませんよ?」

 

「なるほど…ご忠告ありがとうございます…」

 

 お、アインズ様が驚いてるw

 目が良いアピールはうまく決まったな!!

 この調子で、これからもどんどん有能アピールをしていこう。

 

 確かな手ごたえを胸にその場を去る。

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

 

 日がすっかり沈むころ、俺たちはエ・ランテル上空に到着した。

 おいマジで一日中、空を飛んでいたぞ。風にあおられて体が冷えるし、砂ぼこりで身体中が不快感だらけで、もう、気が狂う!(糞土方)。チカレタ…

 

 城塞都市であり、交易都市でもあるエ・ランテルの、上空から眺める夜景はとっても綺麗だった(小並感)

 

 門の前に降り立ち、検問所を顔パスで通り抜ける。…これがレエブン候の貴族の権力と、アダマンタイト級冒険者の威光の力だ!!

 

 

「それでは皆さんお疲れ様でした」

 

 無事エ・ランテルに到着し、それぞれ現地解散となった。

 モモンとナーベもこの場を去っていく。

 

「あっ、おい待てい。

 モモン氏、宿屋紹介して♡」

 

 二人を引き留め、宿屋紹介を提案する。

 同じ宿屋にすれば接触する機会が増えるからな。好感度を稼ぎ放題や。

 イビルアイも「よく言った!」と親指を立ててサムズアップしている。そして、ナーベは額に青筋を浮かべている。すまんなw

 

「ええ…構いませんよ」

 

「ありがとナス!」

 

 

 アインズ様が欲しいであろう情報を小出しにしつつ、みんなで並んで歩きながら、宿へと向かった。

 こちらの話にかなり食い付いてくる。おうおう、そんなに情報が欲しいか?この、欲しがりさんの卑しんぼめ!!

 

 イビルアイの嫉妬や、ナーベの牽制を捌きつつ進み、宿に着く頃には随分親しくなれた。

 これで殺される心配はなくなっただろう。

 

 後はもう、オーバーロード世界の観光を楽しめるんじゃね?

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

 

「一先ずは宿の支払いが滞ることは防げるか…」

 

 腰をイスに深く沈ませ、大きく天井を仰ぎながらアインズは呟く。

 骨の隙間から安堵の息が漏れる。

 

 先日の事件のおかげで、アインズの懐は少しだけ潤った。

 まぁ、そのレエブン候からの報酬は早速使われ、潤った筈の懐に乾いた風が吹き抜けたわけだが…。

 セバスたちが王都で散財する必要が無くなったので、これから少しは金銭に余裕が出るだろう。そうでないと困る。

 たしかに、デミウルゴスのおかげでナザリックに多くの財が運び込まれ、組織全体としては余裕がある。だが、王都の倉庫街や『八本指』の貯蓄から奪取した物資の多くはナザリックでの実験に使われることとなる。もちろん、そこからお金を引き出す事も出来るが、社長権限で経費を削減して他の部署へ回すような真似はしたくない。

 

 

「それにしても…」

 

 自分たちを追いかけて、エ・ランテルまでやってきた同行者を想う。

 プレアデスと同等の力を持ちうるイビルアイ。

 優れた考察力を持ち、妙に知識が深いターリア。

 

 王都で知り合った時にイビルアイには怪しまれてしまったが、現在はその警戒も少し緩んだように思う。

 もちろん、彼女らがエ・ランテルまで同行するのは、こちらを監視するための可能性もあるが…。

 特にターリアはこちらの動揺を誘ったり、動向を探る様な言動が多かったと思う。元々そういう性格なのか、こちらを警戒しているのか…。どちらにせよ彼女は要注意だ。

 

 

「ナーベは奴らについて、どう思う?」

 

「まことに鬱陶しい下等生物たちかと」

 

 ナーベの口の悪さに頭を抱えたくなるが、鬱陶しいの部分は同意である。あの二人はやたらと絡んでくる。

 だが、彼女らが持つ知識は有用である。アダマンタイト級冒険者とコネができるのは、やはりナザリックにとって有益だった。俺の社交性が役に立ったと自分を褒めたくなる。

 

 過去の転移者と思われる十三英雄の話や、アンデッドを洗脳するような強力なマジックアイテムの話などをする約束も取り付けた。

 

「ナーベよ、奴らは有益な情報を持った人間だ。なるべく、友好的に接せよ」

 

「畏まりました。モモンさ──ん」

 

 

 命令口調で話しかけたときに時々出てくる少し間抜けな呼び方に、一抹の不安を覚えながらも鷹揚に頷く。

 

 

 これからナザリックへと戻って数日分の書類を処理し、今回の計画の成果の報告を聞かなければならない。

 アインズは〈転移門(ゲート)〉の魔法を発動する。

 

 

 この世界の深い情報が集まり、いずれシャルティアを洗脳した者たちへとたどり着く。

 

 新たな戦いの予感と、沸々と再燃しだす怨敵への怒りで、眼窩の炎を揺ら揺らと燃やしながら、アインズは漆黒に揺らめく転移門へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 


-アインズ

オリ主を警戒

オリ主、冷えてるかーww

 

いよいよ独自展開が始まるのか!?

(この先の話何にも考えて無い)

 

誤字報告に感謝

 

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