銀時の煽りで会場が盛り上がったあと、試合が始まる。
『そんじゃ行くぜぇ!スタート!!!』
合図と共に麗日が突撃していく。
しかしそれを爆豪は容赦なく迎撃する。
『ボンバーマンは強ェけど、個性の能力的には麗日にも充分勝機はあるな。…にしても容赦ねェなー』
『ああ。ま、勝負だからな』
『麗日!間髪入れず再突進!』
幾度となく麗日は攻めるが、それを難なく交わしながら迎撃する爆豪。
(…正直、アイツの戦闘センスは本物だな)
『休むことなく突撃を続けるが…これは…』
『ん?…ほー。こりゃあ…』
そんなとき客席のプロヒーローの一部からブーイングが起こった。
『一部から…ブーイングが!しかし正直俺もそう思…わあ肘っ!ギンまで!?』
『今、遊んでるっつったのプロか?何年目だ?シラフで言ってんならもう意味ねぇから帰れ』
『ほんっとになァ。恥ずかしィぜ』
『銀時はブーイングに加わると思ってたがな』
『バカ言え。あそこで加わっちまったら俺ァあいつらの教師を名乗れねェ』
『…ふっ、そうだな』
『みんな正面切ってやってんだ。そりゃあ侮辱になる』
たまに発動する真面目モード。
悔しいが…憎めない。
フィールドでは…
『流星群ーーー!!』
『気付けよ』
だが麗日が放った奇策は虚しくも一撃で防がれてしまった。
『会心の爆撃!!麗日の秘策を堂々…正面突破!!』
『さすがに派手だな。でも…結構ギリギリだったみてェだな』
策を破られてしまった麗日は力尽き倒れてリカバリーガールの所へ運ばれていった。
『ああ麗日…ウン。爆豪一回戦とっぱ』
『ちゃんとやれよ…やるなら』
『さァ!気を取り直して!小休憩挟んだら二回戦だ!』
切島と鉄哲は腕相撲で勝った切島が二回戦に進んだようだ。
・
少しの休憩を挟んで二回戦が始まる。
『今回の体育祭、両者トップクラスの成績!!緑谷 対 轟!!スタート!!』
始まった瞬間に轟が氷結を放った。
だが…
『おオオオ!!破ったあああ!!』
『確かにすげェが…』
(全く制御ができてない中でのフルパワー。ありゃあ良くねェな…)
緑谷が防いだ。
『まーーーた破ったあ!!!』
『うん?…ちっ。お互いに…か』
(轟も…だな。時期に限界がくる。片方だけじゃあな)
そして数回同じことを繰り返したあと…
『轟!緑谷のパワーに怯むことなく近接へ!』
近接戦へと持ち込もうとした轟を再び離した緑谷。
銀時は何かを感じ取ったみたいだ。
『圧倒的に攻め続けた轟!!とどめの氷結をーーー』
『…ふっ。そォかい』
『ーーーん?なんだ?ギン!?』
『…いや、まだ終わんねェよ。この試合に臨む覚悟がちげェ。あぁゆうバカは…強ェんだ』
銀時が言うのと同時に緑谷が壊れた指で攻撃を放った。
そして…
「皆…本気でやってる。勝って…目標に近づく為に…っ。一番になる為に!半分の力で勝つ!?まだ僕は君に傷一つつけられちゃいないぞ!」
(緑谷を見てっと向こうのバカ達を思い出すぜ)
「全力で!かかって来い!!」
緑谷の啖呵に一部の人間が息を飲む。
『これもアイツの"力"だ。俺ァ…あぁゆうバカは嫌いじゃねェ』
銀時は緑谷に何かを感じた。
それはなんなのか…。
銀時にしか分からないことだ。
そんな中フィールドでは動きがあった。
『モロだぁーーー!生々しいの入ったあ!!』
緑谷が轟に一撃入れた。
『こりゃあ…』
(流れが変わる…!)
そして…
「君の!力じゃないか!!」
『…!…ほんっとによォ!思いだしちまうなァ!』
『銀時…』
『困ってるヤツをほっとけねェ!体が勝手に動いちまう!そんなどォしようもねェバカ達をよォ!』
銀時が声を上げたのと同時に轟から炎が燃え上がった。
轟は呪縛から解放されようとしている。
そこにエンデヴァーが大声で轟の変化を喜んでいる声が会場に広がる。
しかし…
『残念だったな、クソ親。オメェの声は届きゃしねェよ』
轟には届かない。
虚しい叫びだ。
『次が…最後だ』
銀時が呟いた瞬間にお互いの全力を持って力がぶつかり合い、大きく煙をたてる。
『何今の…。お前のクラス何なの…』
『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され膨張したんだ』
『オイこれ!勝負はどうなって…』
『まぁ見てろ』
煙が晴れて立っていたのは…
「緑谷くん…場外!轟くん…三回戦進出!!」
ミッドナイトが声高らかに宣言し、幕が降りた。
会場からちらほら声が上がるが、銀時の発言のお陰か悪く言うヤツはあまりいないようだ。
実況席では…
「よいしょっと」
銀時は立ちあがり扉に向かって歩き出す。
「どこに行くんだ」
「ちょっと厠に行くだけよ」
「…そうか」
そう言うと銀時は実況席から出ていった。
「頼んだぞ。銀時」
・
「よォ。待ってたぜ…轟」
「…先生」
銀時は轟の前に立っていた。
「何か用ですか」
「少しは見えたかよ?自分の道はよォ」
「っ!あんたには関係ーーー」
「あるぜ。俺の…生徒だからな」
轟はうつむき黙ってしまう。
「俺は個性もねェし、親もいねェ…」
「…!」
「けどよォ。ホントに大事なモンってのは…持ってる奴より持ってねー奴の方が知ってるもんだ」
「先生…あんたはっ!」
顔を上げた轟。
「轟。"自分"を捨てんなよ。あんな奴に振り回される必要はねェ。」
銀時は轟に伝えるべきことを話し始める。
その声には芯が通っているように感じる。
「どんなに転んでも傷ついても…自分の力で、自分の道を行け。」
「せん…せ、い」
轟の目には涙が溜まり、声が震えている。
「汚れたっていいじゃねェか。…小汚なくても自分らしく生きてく事の方がよっぽど上等だ」
あまり長く話すことでもないと銀時は踵を返し歩き始める。
「ありがとう…ごさいます…!」
銀時は背中を向けながら手だけをあげて返し、実況席に戻っていった。
「しっかり成長してもらわねェとな。帰るに帰れねェからよ…」
銀時の呟きは誰の耳にも届くことはなく消えていった。
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