銀時と爆豪の小競合いが終わったあと。
「轟ー。もォ少し優しく止めてくれよー。銀さん死んじゃうよー」
「すいません…」
轟はしょんぼりしながら個性で銀時を温めていた。
『自業自得なのに…』
その光景を見ながら同じことを思った緑谷と障子。
「はぁー。生き返るー。…ん?っ!オイ!」
暖を取っていた銀時だが、ふと何かに気づいた様子だ。
「爆豪と常闇はどこいった!?」
「えっ?かっちゃん達ならそこ…に?」
爆豪がいなくなっていた。
気づいた銀時たちは森を走り一本の道のような所に出た。
そこには…
「麗日!?」
「障子ちゃん皆…!」
「あっ!しまっ…」
女を取り押さえている麗日と蛙吹がいた。
だが気取られている麗日の隙をついて女は逃げ出してしまった。
「何だ今の女…」
「敵よ。クレイジーよ」
「って!そんなことより!かっちゃん見なかった!?」
「爆豪ちゃん?見てないわ」
皆が話しているなか、銀時だけは違う方を向いていた。
「…オイ。テメェか」
「さすが白夜叉。よく気づいたね。でも少し遅かったみたいだ」
「アイツらに何しやがった」
「彼らなら…俺のマジックで貰っちゃったよ」
突如現れた敵の手には玉のような物が二つ浮いている。
「こいつぁヒーロー側にいるべき人材じゃあねえ。もっと輝ける舞台へ俺たちが連れてくよ」
敵に気づいた緑谷が叫ぶ。
「…!?っ返せ!!!」
「返せ?妙な話だぜ。我々はただ凝り固まってしまった価値観に対しそれだけじゃないよと道を示したいだけだ」
「返せよ!!!」
緑谷は完全に冷静さを失っている様子だ。
そこで銀時が動く。
「残念だが…あの二人はオメェらの手にゃ余る」
銀時は地面を蹴って敵に肉薄するが上手く避けられてしまう。
「何を言うか白夜叉。もう遅いんだよ」
「そぉかもな。でもオメェらじゃ手に終えねェよ。特に爆豪のやつはなァ」
銀時は先を見据えて話しているようだ。
だがそれを理解できる人間はここにはいない。
「まあいい。忠告として受け取っておこうか」
そう言って敵は無線のようなもので仲間に指示を出したあと、轟たちの攻撃もかわし飛んでいってしまった。
「オメェら。俺はああ言ったが…諦めんなよ。最後まで抵抗はすんぞ」
「分かってます」
「必ず取り返すっ!!」
(向こうにワープできる奴がいる時点でほぼ詰みなんだがなァ…。ガキ共を信じてみますかね)
「相手が欲をかいてきたらそこがチャンスだな」
・
敵、Mr.コンプレスに逃げられたあと、追いかけるために銀時たちは人間弾になって空を飛んでいた。
緑谷の奇策で麗日が浮かし蛙吹が投げる形で飛んでいるのだ。
「ムリムリムリィィィ!速すぎィィィ!!死んじゃうゥゥゥ!!」
「ちょっ!先生暴れないでください!」
「バランスが!」
「おおおおおお!?」
「!?」
コンプレスはこちらに気づいたがもう遅い。
銀時たちはコンプレスを押し潰す形で敵が集まっている広場に降り立った。
「荼毘!白夜叉がいるぜ!このガキ共も知ってる!!誰だ!?」
「白夜叉ぁ…!」
荼毘は銀時を見つけた途端に個性で最大火力の炎を浴びせた。
「やべェ!テメェら避けろォ!」
「ま、間に…」
銀時は振り返って言うが間に合わない。
「ちっ!くそっ!…っらァッ!!!」
銀時は木刀を横凪ぎに力一杯振るい炎を割った。
「オイ!無事かテメェら!」
「は、はい!」
「助かりました」
銀時のおかげで後ろへの被害は無かったようだ。
だが、それぞれ敵が襲いかかってきていて。
そっちの対応に終われている。
「…ちっ。さすがにやるな」
「荼毘!俺じゃなかったら消し炭だったぞ!」
コンプレスは辛うじて難を逃れ荼毘に抗議した。
「悪い。取り乱した」
「次は合図してくれよ。…それよりも…どうする?」
「殺すさ」
「焦るなよ。正直、ここにいる全員でかかっても良くて相討ちだ」
「…爆豪は?」
「もちろん……!?」
コンプレスがポケットを確認し、なにかに気づいた時障子が声をあげる。
「逃げるぞ!!個性はわからんがさっき見せびらかしたこれが常闇と爆豪だなエンターテイナー」
「障子くん!!」
緑谷たちが歓喜し走り出す中、銀時は…
「趣味が悪ィな…インチキマジシャン。本物はどこだ」
「インチキとは言ってくれる。だが…正解だよ。ダミーだ」
そう言ってコンプレスは舌をだす。
そこには先程の玉のような物が二つ。
「くっそ!!」
「ちっ!やっぱりか…!」
銀時たちが再び行動を起こそうと動き出そうとしたその時。
「合図から5分経ちました。行きますよ、荼毘」
「っ!ワープの…」
黒霧が姿を現した。
「種は割れちまったが…トリックは成功だ。そんじゃーお後がよろしいようで…っ!?」
爆豪と常闇を持ったコンプレスが黒霧の個性で消える直前、どこかからレーザーが放たれ、コンプレスの口元に直撃した。
その攻撃により、コンプレスは二つの玉を落とした。
その瞬間轟と障子が飛び出し手を伸ばす。
銀時は荼毘と黒霧に足止めされて動けないでいた。
「轟!障子!とりやがれェ!」
銀時の声が響く。
そして、障子は掴んだ。
だが…
「哀しいなあ…轟焦凍」
轟は届かなかった。
その後、荼毘の合図でコンプレスが個性をとき常闇は救出したが爆豪一人がさらわれてしまった。
「かっちゃん!!」
「来んな…デク」
緑谷の叫びは虚しく響いた。
「あ…っ…ああ゛!!!」
完全敗北。
出来うる最善を尽くしたが届かなかった。
そこにいる全員が下を向いてしまっている。
その時、銀時が口を開く。
「下なんか向いてんじゃねェ」
「先…生。か、かっちゃんが…」
「オメェは諦めるってことか」
「え…」
「下向いて絶望して…それで終わりか」
「…っ」
「助けてェなら前を見やがれ。地面に希望なんか転がっちゃいねェぞ」
「っ!は、はいっ!」
銀時の言葉には芯があった。
誰もが絶望する中で鈍く輝く光。
生徒たちを導くために誰よりも前を向かなければいけないことを銀時は知っている。
どんな絶望も仲間と共に切り抜けてきたのだ。
それはどこにいても変わらない。
(諦めねェよ。ヒーロー…だからな)
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