雄英高校1年A組銀八先生   作:icy tail

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第37話

色々あったが、ナイトアイの事務所に到着した銀時達は本題に入る。

 

「サー!この子が昨日お伝えした1年生です!」

 

「…」

 

ミリオがそう言って緑谷の背中を押し、前に出させた。

ナイトアイは無言で緑谷の頭から足の先までみる。

無言で眺められることに緑谷が耐えられなくなる寸前で、銀時が緑谷の頭に乱暴に手を置きながら言った。

 

「んで…俺の生徒だ」

 

「む…銀時の生徒か」

 

少し空気が緩んだのを感じたのか、緑谷は一歩踏み出すとおもむろに行動を開始した。

良くは分からないが顔をいじっている。

そして…

 

「緑谷出久です!!」

 

オールマイトの顔真似をした。

完成度は中々高いのだが、面白いかと言われると…って感じ。

 

「オールマイトを馬鹿にしているのか?」

 

案の定、スベった。

ってかちょー怒らせた。

 

「えっ…なに?今のって笑わせる為にやったの?ちょっと嘘だろ…センスのセの字もねェな。まァ、まとめると…0点」

 

「ぐはっ…!」

 

銀時にいたっては、酷評どころか確実に心を折りにかかっている。

実際に緑谷は膝から崩れ落ちた。

そして、その後になぜか緑谷とナイトアイでオールマイト談議が始まってしまった。

 

「ビネガースーサイド事件…ご存知ないですか…?」

 

「…もちろん知ってーーー」

 

興味を無くした銀時はと言うと。

 

「アヒャヒャヒャヒャ!ち、ちょっと!坂田さん!やめっヒャヒャヒャ!」

 

「ふむふむ…ほぉ~。こりゃすげェ…!」

 

真剣なふりをしてバブルガールが拘束されている機械の調節レバーを自分好みにいじっていた。

 

「も、もう無理っアヒャヒャヒャッ!ミ、ミリオくん助けっヒャヒャヒャ!し、死んじゃうよぉ!」

 

「やっぱりこれ欲しいな…後で未来さんに聞いてみっか」

 

「ぎ、銀さん!そろそろ…」

 

明らかに異常な状況なのに、銀時は電気屋に家電を見に来た人、程度のテンションだ。

慌ててミリオが止めにはいった。

 

「ん?ああ、そうだな。んじゃ…」

 

そう言ってレバーを持った銀時。

後は、それを下に下げれば良いだけだ。

だが…

 

「や、やっと…ってあれ!?さ、坂田さん!?それ逆っ!」

 

「何ィ?聞こえねェなァ…!」

 

銀時は悪魔のような笑みを浮かべながら一気にレバーを上にあげた。

Sの絶頂だ。

 

「待っ…あァァァァァァァァ!!?」

 

無情にもバブルガールの悲鳴が響いたのであった。

 

「あ、悪魔がいるんだよね…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀時がSを発揮している間に、話はまとまったようで部屋の外に出された。

 

「ぎ、銀さん!大丈夫なんですか!?あの条件で…!」

 

「まァ…正攻法でいきゃ無理だろォな」

 

「で、ですよね…」

 

ミリオが言っている条件と言うのは、3分以内にナイトアイから判子を奪って書類に押す事だ。

銀時が無理だと言ったのは、ナイトアイの個性が『予知』だからだ。

行動をあらかじめ読まれてしまうとなるとほぼ100%無理ゲーだろう。

 

「なら何で変えてもらわなかったんです!銀さんからサーに言えば多少は…」

 

「そ、そうですよ!坂田さんが言えば…」

 

「なァ…ミリオ、泡女。ヒーローってのはピンチを乗り越えて行くんだよな?」

 

「…えっ!?まぁ…そう、ですね」

 

「泡女!?それ私!?」

 

「ならよ…乗り越えて貰おうじゃねェの」

 

「銀さん…!」

 

「ちょっと無視ですか!?ねぇ!?」

 

約1名、騒いでいる奴がいるがとにかく無視されている。

そんな時、部屋の中から音が聞こえ出した。

3分の間、銀時達は話すことなくドアを見つめていた。

そして、3分後。

 

「そろそろか…うーぃ。終わったかァ?」

 

「失礼しまァす!!」

 

「終わりました?ものすごい音立ててましたけど」

 

中に入ると部屋はぐちゃぐちゃに散らかっていて、緑谷は悔しそうに床に手をついていた。

銀時はナイトアイの様子を確認して部屋を見渡す。

 

「ほォ…」

 

銀時は違和感に気づいたようだ。

中でどのように動いていたのかがある程度理解できたらしい。

そんな時、ナイトアイが口を開く。

 

「採用だ」

 

「わぁ!すごい!!!やったあ!!!」

 

「ええ!?全く達成できてないですけど…」

 

結果は採用。

緑谷は訳が分からないと混乱している様子だ。

まぁ、認められた訳じゃないが第一関門は突破できたようでなによりだ。

緑谷がミリオに祝福されているのを余所に、銀時はナイトアイに歩み寄る。

 

「どーよ?緑谷は」

 

「…オールマイトに見初められ、銀時の元で学んでいる。あれくらい出来て当然だ。だが…」

 

「ミリオとは別の『何か』を感じたってか?」

 

「…間違ってはいない」

 

「ふっ。そォかい」

 

ナイトアイの考えは依然変わらない。

だが、緑谷に何かを見たのも事実なようだ。

こうして、緑谷のインターンは始まりを迎える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

今日はパトロールをメインでやるらしい。

ちなみに銀時も泊まり込みでの付き添いだ。

始めは嫌がっていた銀時だったが、ナイトアイが用意したVIPルームを見た瞬間に掌を返してはしゃいでいた。

バブルガールがパシりとしてこき使われたのは言うまでもない。

 

「本日はパトロール兼監視。私と銀時、ミリオとバブルガールと緑谷の二手に分かれて…」

 

「サ、サー!バランスがおかしいですよね!?」

 

「…冗談だ」

 

ナイトアイがパトロールの人員の振り分けを始めると、どう考えても振り分けがおかしい。

ミリオが慌てて止めにはいると、今のは冗談だったらしいが…

 

『絶対に本気だったよ…』

 

信じている人はいなかった。

結局、ナイトアイとバブルガール、銀時とミリオと緑谷で分かれることになった。

 

「ってかよォ、未来さん。監視ってのは何を監視するんだ?」

 

「『死穢八斎會』という、小さな指定敵団体だ。そこの若頭の治崎という男を監視してほしい」

 

銀時が質問をすると、ナイトアイは治崎の写真を見せながら説明を始めた。

 

「ん。りょーかい。…にしても最近って趣味の悪ィマスク流行ってんの?衝撃的にダサいんだけど…高級チ◯カップかよ」

 

「ちょっ!先生何言ってるんですか!?」

 

「…くくっ…」

 

「サーも笑ってないで止めてください!」

 

銀時の発言にドン引きする者と、ナチュラルにツボる者がいた。

それにしても、大分辛辣な物言いである。

 

「まァとにかくコイツに気を付けりゃ良いわけだな」

 

「ああ。くれぐれも気取られぬように。では、行動開始」

 

『イエッサー!!』

 

ナイトアイの指示で別れて歩き出す。

 

「監視っつってもなァ。そんな簡単に見つかるモンかねェ」

 

「取り敢えず行くんだよね!」

 

「あはは…うおっ!?」

 

3人は話しながらも歩きを進める。

しばらく歩いていると、路地から小さな女の子が飛び出してきて緑谷にぶつかった。

前を歩いている銀時とミリオはまだ気がついていない。

 

「ごめんね?痛かったよね」

 

「………あ」

 

緑谷が膝をついて話しかけるも、女の子の様子が少しおかしい。

少しすると銀時とミリオも気付いて近寄ってきた。

 

「なに?誘拐?それとも…ロリコン?」

 

「緑谷くん…」

 

「ち、違っ…」

 

銀時の物言いに反論しようとしたその時、女の子が出てきた路地から1人の男が出てきた。

 

「ダメじゃないか。ヒーローに迷惑かけちゃあ。帰るぞエリ」

 

その男とは、さき程の写真の人物…治崎だった。

 

(始まりの村で魔王に遭遇したんですけどォォォォォ!)

 

見事なフラグ回収だった。

初日にして初接触、どうなるか。

 

 

 

 

 




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