色々あったが、ナイトアイの事務所に到着した銀時達は本題に入る。
「サー!この子が昨日お伝えした1年生です!」
「…」
ミリオがそう言って緑谷の背中を押し、前に出させた。
ナイトアイは無言で緑谷の頭から足の先までみる。
無言で眺められることに緑谷が耐えられなくなる寸前で、銀時が緑谷の頭に乱暴に手を置きながら言った。
「んで…俺の生徒だ」
「む…銀時の生徒か」
少し空気が緩んだのを感じたのか、緑谷は一歩踏み出すとおもむろに行動を開始した。
良くは分からないが顔をいじっている。
そして…
「緑谷出久です!!」
オールマイトの顔真似をした。
完成度は中々高いのだが、面白いかと言われると…って感じ。
「オールマイトを馬鹿にしているのか?」
案の定、スベった。
ってかちょー怒らせた。
「えっ…なに?今のって笑わせる為にやったの?ちょっと嘘だろ…センスのセの字もねェな。まァ、まとめると…0点」
「ぐはっ…!」
銀時にいたっては、酷評どころか確実に心を折りにかかっている。
実際に緑谷は膝から崩れ落ちた。
そして、その後になぜか緑谷とナイトアイでオールマイト談議が始まってしまった。
「ビネガースーサイド事件…ご存知ないですか…?」
「…もちろん知ってーーー」
興味を無くした銀時はと言うと。
「アヒャヒャヒャヒャ!ち、ちょっと!坂田さん!やめっヒャヒャヒャ!」
「ふむふむ…ほぉ~。こりゃすげェ…!」
真剣なふりをしてバブルガールが拘束されている機械の調節レバーを自分好みにいじっていた。
「も、もう無理っアヒャヒャヒャッ!ミ、ミリオくん助けっヒャヒャヒャ!し、死んじゃうよぉ!」
「やっぱりこれ欲しいな…後で未来さんに聞いてみっか」
「ぎ、銀さん!そろそろ…」
明らかに異常な状況なのに、銀時は電気屋に家電を見に来た人、程度のテンションだ。
慌ててミリオが止めにはいった。
「ん?ああ、そうだな。んじゃ…」
そう言ってレバーを持った銀時。
後は、それを下に下げれば良いだけだ。
だが…
「や、やっと…ってあれ!?さ、坂田さん!?それ逆っ!」
「何ィ?聞こえねェなァ…!」
銀時は悪魔のような笑みを浮かべながら一気にレバーを上にあげた。
Sの絶頂だ。
「待っ…あァァァァァァァァ!!?」
無情にもバブルガールの悲鳴が響いたのであった。
「あ、悪魔がいるんだよね…!」
・
銀時がSを発揮している間に、話はまとまったようで部屋の外に出された。
「ぎ、銀さん!大丈夫なんですか!?あの条件で…!」
「まァ…正攻法でいきゃ無理だろォな」
「で、ですよね…」
ミリオが言っている条件と言うのは、3分以内にナイトアイから判子を奪って書類に押す事だ。
銀時が無理だと言ったのは、ナイトアイの個性が『予知』だからだ。
行動をあらかじめ読まれてしまうとなるとほぼ100%無理ゲーだろう。
「なら何で変えてもらわなかったんです!銀さんからサーに言えば多少は…」
「そ、そうですよ!坂田さんが言えば…」
「なァ…ミリオ、泡女。ヒーローってのはピンチを乗り越えて行くんだよな?」
「…えっ!?まぁ…そう、ですね」
「泡女!?それ私!?」
「ならよ…乗り越えて貰おうじゃねェの」
「銀さん…!」
「ちょっと無視ですか!?ねぇ!?」
約1名、騒いでいる奴がいるがとにかく無視されている。
そんな時、部屋の中から音が聞こえ出した。
3分の間、銀時達は話すことなくドアを見つめていた。
そして、3分後。
「そろそろか…うーぃ。終わったかァ?」
「失礼しまァす!!」
「終わりました?ものすごい音立ててましたけど」
中に入ると部屋はぐちゃぐちゃに散らかっていて、緑谷は悔しそうに床に手をついていた。
銀時はナイトアイの様子を確認して部屋を見渡す。
「ほォ…」
銀時は違和感に気づいたようだ。
中でどのように動いていたのかがある程度理解できたらしい。
そんな時、ナイトアイが口を開く。
「採用だ」
「わぁ!すごい!!!やったあ!!!」
「ええ!?全く達成できてないですけど…」
結果は採用。
緑谷は訳が分からないと混乱している様子だ。
まぁ、認められた訳じゃないが第一関門は突破できたようでなによりだ。
緑谷がミリオに祝福されているのを余所に、銀時はナイトアイに歩み寄る。
「どーよ?緑谷は」
「…オールマイトに見初められ、銀時の元で学んでいる。あれくらい出来て当然だ。だが…」
「ミリオとは別の『何か』を感じたってか?」
「…間違ってはいない」
「ふっ。そォかい」
ナイトアイの考えは依然変わらない。
だが、緑谷に何かを見たのも事実なようだ。
こうして、緑谷のインターンは始まりを迎える。
・
翌日。
今日はパトロールをメインでやるらしい。
ちなみに銀時も泊まり込みでの付き添いだ。
始めは嫌がっていた銀時だったが、ナイトアイが用意したVIPルームを見た瞬間に掌を返してはしゃいでいた。
バブルガールがパシりとしてこき使われたのは言うまでもない。
「本日はパトロール兼監視。私と銀時、ミリオとバブルガールと緑谷の二手に分かれて…」
「サ、サー!バランスがおかしいですよね!?」
「…冗談だ」
ナイトアイがパトロールの人員の振り分けを始めると、どう考えても振り分けがおかしい。
ミリオが慌てて止めにはいると、今のは冗談だったらしいが…
『絶対に本気だったよ…』
信じている人はいなかった。
結局、ナイトアイとバブルガール、銀時とミリオと緑谷で分かれることになった。
「ってかよォ、未来さん。監視ってのは何を監視するんだ?」
「『死穢八斎會』という、小さな指定敵団体だ。そこの若頭の治崎という男を監視してほしい」
銀時が質問をすると、ナイトアイは治崎の写真を見せながら説明を始めた。
「ん。りょーかい。…にしても最近って趣味の悪ィマスク流行ってんの?衝撃的にダサいんだけど…高級チ◯カップかよ」
「ちょっ!先生何言ってるんですか!?」
「…くくっ…」
「サーも笑ってないで止めてください!」
銀時の発言にドン引きする者と、ナチュラルにツボる者がいた。
それにしても、大分辛辣な物言いである。
「まァとにかくコイツに気を付けりゃ良いわけだな」
「ああ。くれぐれも気取られぬように。では、行動開始」
『イエッサー!!』
ナイトアイの指示で別れて歩き出す。
「監視っつってもなァ。そんな簡単に見つかるモンかねェ」
「取り敢えず行くんだよね!」
「あはは…うおっ!?」
3人は話しながらも歩きを進める。
しばらく歩いていると、路地から小さな女の子が飛び出してきて緑谷にぶつかった。
前を歩いている銀時とミリオはまだ気がついていない。
「ごめんね?痛かったよね」
「………あ」
緑谷が膝をついて話しかけるも、女の子の様子が少しおかしい。
少しすると銀時とミリオも気付いて近寄ってきた。
「なに?誘拐?それとも…ロリコン?」
「緑谷くん…」
「ち、違っ…」
銀時の物言いに反論しようとしたその時、女の子が出てきた路地から1人の男が出てきた。
「ダメじゃないか。ヒーローに迷惑かけちゃあ。帰るぞエリ」
その男とは、さき程の写真の人物…治崎だった。
(始まりの村で魔王に遭遇したんですけどォォォォォ!)
見事なフラグ回収だった。
初日にして初接触、どうなるか。
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