雄英高校1年A組銀八先生   作:icy tail

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第42話

銀時達は目まぐるしく変化する通路の対応に追われていた。

ミリオだけは個性で意気揚々と先に進んでいった。

そんな時、銀時が痺れを切らして口を開く。

 

「ちっ。これよォ…どっかに個性使ってるヤツがいんだよなァ?」

 

「そうだな。あまり遠くにはいないと思うが…」

 

「この辺の壁全部ぶった斬っていい?腹立ってきた」

 

「おっ!それいいやん!いったれ!」

 

そう銀時が言った数秒後、また目まぐるしくうごめき始めた。

そして、回りに気を取られた次の瞬間、銀時達が立っている床に大きな穴があいた。

 

「うおっ!?」

 

落下は一瞬。

落ちた先は広間のような空間だった。

 

「冗談キツいぜ…」

 

「広間…?」

 

「ますます目的から遠のいたぞ!良いようにやられてるじゃねえか!!」

 

相手の思いどおりにされて、イラつく者や困惑する者など様々だ。

この状況はよろしくない。

そうしていると…

 

「おいおいおいおい。空から国家権力が…不思議なこともあるもんだ」

 

3人の敵が現れた。

ますます相手の狙い通りと言うわけだ。

 

「よっぽど全面戦争したいらしいな…!さすがにそろそろプロの力見せつけ…」

 

ファットが流石に我慢ならないといった様子で前に出ようとした。

それを制した者が1人。

 

「そのプロの力は目的の為に…!!こんな時間稼ぎ要員…俺1人で充分だ」

 

それは環だった。

銀時の言葉とミリオに背中を押されたのだろう。

 

「何言ってんスか!?協力しましょう!」

 

当然、はいお願いしますとはならないだろう。

だがここで銀時が環に歩み寄った。

 

「環が自分からかって出るなんて珍しいじゃねェか。…自暴自棄じゃねェんだよな?」

 

「もちろんです。これが最善だ」

 

「そォか…分かった。おめェに任せる」

 

「っ!?正気かい!銀!」

 

銀時のまさかの言葉に突っ掛かるファット。

だが、銀時は続ける。

 

「ああ。まァ…流石に3対1ってのはよォ。未来さん一番厄介なのはどいつだ?」

 

「うむ…窃野だろう。あの刀を持ってるヤツだ。個性は窃盗…目で見ているものを自分の手に引き寄せる」

 

銀時にふられたナイトアイは思惑が分かった様で、淡々と説明した。

イレイザーも気がついたのか銀時に問いかけた。

 

「…援護必要か?」

 

「いや、いらねェ」

 

銀時はそう言って前に出る。

どうやら銀時は環の負担を減らすために1人片付けるつもりのようだ。

 

「あれあれ?天下の白夜叉が相手してくれるの?嬉しいねえ」

 

「そりゃ良かった。感謝しろよ?チンピラくん」

 

標的にされた窃野は道化じみた態度で完璧に舐めている。

対する銀時も煽るように返した。

銀時の煽りにピクリと反応した窃野。

内心はキレているのだろう、確実に勝つために銀時の腰に差してある刀に手を伸ばそうとした。

だが…

 

「…へへっ。それにしても…良い得物もってんじゃん」

 

「え、なに?欲しいの?なら…」

 

「ああ。ま、勝手に貰うんだけどね「くれてやるよ」はぁ!!?」

 

銀時は窃野が個性を発動する前に、窃野の顔目掛けて刀をぶん投げた。

当然、自分の顔目掛けて刀が飛んできているときによそ見はできない。

この時点で窃野の個性は行き場をなくす。

全て銀時の掌の上だった。

 

「っぶねえ…!はぁっ…はぁっ!し、死ぬかと思っ「窃野ぉ!!!」っ!!?」

 

「なに?今度は死にてェの?忙しいヤツだなァ」

 

ギリギリの所で刀を躱した窃野は死を間近に感じたせいか、肩で息をして悪態をつこうとした。

その時、仲間である宝生の叫び声が耳にはいる。

勢い良く顔を上げ、続けて聞こえてきた気の抜けた声が聞こえる方に顔を向けると、目の前に木刀が迫っていた。

避けられるはずもなく…

 

「た、助け…ぐぇっ!!!」

 

銀時の全力の一撃をモロに顔で受けた窃野は、錐揉み回転しながら吹き飛び、壁に突き刺さって動かなくなった。

もう一生目覚めないのではなかろうか…。

そして、銀時は最後に一言。

 

「安心しろ…峰打ちだ」

 

キメ顔で言う銀時だが、新八がいたなら盛大に突っ込んでいるだろう。

まぁ、1つ言いたいのは…相手が死ななかったら峰打ちってことにはならないよ…。

とりあえず台無し!

キマらない男、坂田銀時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ後は任せたぜ。環」

 

「はい!」

 

手早く敵の1人を葬った銀時は、環に後を託す。

環は物怖じした様子もなく返事を返す。

そんなやり取りをしていると、宝生が怒りをあらわにして叫ぶ。

 

「ふざけんなよ!こら!仲間1人やられて行かせるわけねえだろうが!」

 

「よそ見してていいのかよ?言っとくが…環は強ェぞ」

 

「がぁっ!?」

 

銀時が宝生に向けて言った瞬間、タコの足が宝生をつかんで壁に叩きつけた。

環が動き出したようだ。

敵2人を壁に拘束した環は振り返り言った。

 

「皆さん!ミリオを頼むよ!坂田先生の忠告を聞いたって言っても、あいつは根っからのヒーローだ。多分無理する。だから助けてやってくれ」

 

その声を聞きながら銀時達は走り出した。

そして、道中。

 

「色々と言いたいことはあるが…流石だな銀時」

 

「ああ。惚れ惚れする手並みだった」

 

イレイザーとナイトアイは先程の戦闘…と言うか、一方的な踏襲を振り返り銀時を称賛する。

そう思っているのはこの2人だけではないようでファット達も続けて言う。

 

「あんな個性の潰され方したらトラウマなるで!敵さんは気の毒やったなあ!」

 

「あれで無個性だろ…。いまだに信じらんねぇ」

 

「追い付くどころか離されてね?俺達…」

 

「切島くん、それは…うん…」

 

「うるせェうるせェ。褒めてもなにもでねェぞー」

 

銀時は、照れ隠しなのか受け流すような返しだった。

まぁ皆の気持ちも分かる。

間近で見てきたイレイザーや実力を知っているナイトアイならまだしも、戦闘を初めて見た者は必ず驚くだろう。

こんなに強くて無個性かと。

それほどにこのヒーロー社会では異質の存在なのだ。

こんな話をしながら銀時達は進んでいく。

 

「妙だな。地下を動かす奴が何もしてこない」

 

「逆に不気味だな…っ!?消太ァ!!」

 

「くっ!?」

 

敵に動きがないことを不思議に思いながら進んでいると、急にイレイザーの近くの壁がせり出しイレイザーを別の空間に押し出そうとした。

いち早く銀時が叫ぶが間に合わなかったようでイレイザーがせり出した壁と接触し、別の空間に強制的に移動させられると思われたが…近くにいたファットと切島がイレイザーを弾き、自分達が飛ばされてしまった。

 

「ちっ!マジで壁ごとぶった斬っちまうか…うおっ!?避けれ…」

 

痺れを切らした銀時が刀に手を伸ばした所で、銀時のそばの壁が銀時に迫る。

 

「先生!!!」

 

「銀時!!!」

 

銀時が最後に見たのは、必死にこちらに手を伸ばす緑谷とイレイザーの姿だった。

銀時は1人分断されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いってェ!?んだよコレ!」

 

分断されてしまった銀時は悪態を付きながら立ち上がる。

取り敢えず状況確認だ。

 

「…何もねェし誰もいねェか。どォすっか…うおっ!?またかよっ!」

 

銀時が頭を悩ましていると、またうごめき始めた。

そして、銀時を中心に押し潰す勢いで向かってきた。

 

「…ちっ!」

 

向かってきた壁を刀で次々と斬る。

こんなことで潰されるような銀時ではないが、どうにも腹が立つ。

しかも、今の敵の攻撃でどっちから自分がこの部屋に来たのかも分からなくなってしまった。

 

「敵の思うツボってのも腹立つな…うしっ!決めたぜ!こっち行こー」

 

そう言って銀時は進む方向を決めたかと思うと壁を豆腐でも斬るかのようにスパスパと斬りながら進んで行く。

銀時がどこの戦場にたどり着くのか…もしくはどこにもたどり着けないのか。

神のみぞ知ると言ったところだ。

 

 

 

 




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