緑谷に続き部屋に突入してきたナイトアイとイレイザー。
ナイトアイは取り敢えず状況確認を始める。
「倒れている側近2人…片腕を失った治崎とその近くに1人」
さらに部屋を見渡し続ける。
「ほぼ無傷のミリオとエリちゃん…あとは…」
そして、最後に視線を向けたのはもちろん…
「あのバカタレに殴り飛ばされた銀時…うむ、宜しくないな」
ナイトアイは冷静に状況把握をしているが、内心笑いそうになっているのは内緒だ。
ユーモア的にはなかなか面白かったようである。
等の緑谷は、あれ程意気揚々と壁を壊して登場した割にハチャメチャにあたふたしている。
「ど、ど、ど、どうしよう!?ま、間違えたとかで済む問題じゃないぞ…これ…」
緑谷達がくる前までのシリアスはどこへやら、微妙な空気が流れている。
しかし、そんな状況で敵が待ってくれるはずもない。
「…よく分からないがチャンスだ。今のうちに白夜叉を消す…っ!?個性が…消された…」
「間一髪だった!デク!早く銀時を起こしてこい!」
治崎が当然のように倒れている銀時に攻撃をしようとしたが、ギリギリの所でイレイザーが個性を消した。
イレイザーは素早く指示を飛ばし緑谷に銀時を起こしにいくように言った。
「は、はい!」
「急げよ…問題児!」
緑谷は急いで銀時の方に向かう。
そこには、ミリオとエリが心配そうに銀時を見ていた。
「せ、先輩!先生は!?」
「緑谷くん!銀さんはまだ起きてないよね!」
銀時はいまだに倒れたままだった。
緑谷はとりあえず今の状況は不味いと揺さぶり声をかける。
「先生!先生!起きてください!先生!」
「………んんっ……うん?ありゃ…俺ァやられちまったのか…?」
すると、銀時は目を覚ます。
だが、当たりどころが悪かったのか少し記憶が飛んでしまっているみたいだ。
「先生!良かった…!」
「銀さん!大丈夫ですか!?」
「ああ…っつぅ。頭が痛ェ…」
とりあえず、目覚めたことに安堵する2人だった。
銀時は頭をおさえて痛がる素振りを見せる。
力を制御しきれていないと言ってもオールマイトの力だ。
効かないはずがない。
緑谷としてはとりあえず本人から聞かれるまでは黙っておこうと思っていたみたいだが、ミリオが真っ先に話してしまう。
「確かに…なかなかいいの貰ってましたからね!緑谷くんに!」
「あっ!ちょっ!先輩!?」
緑谷が止めようと来たが時既に遅く、銀時はミリオの言葉を聞いて思い出してしまったようだ。
「あん?緑谷だァ?………オイ。陰毛小僧コラ」
「す、す、すいませんでしたぁぁぁ!!!わ、わざとじゃないんです!!!」
「謝ってすめばポリ公はいらんのじゃボケェ!覚悟しとけよ…この件が終わったら…処す!」
「あぁ…短かったなぁ…僕の人生」
「あ、あはは…ド、ドンマイだよね!」
「どん、まい…?」
激おこの銀時。
緑谷は人生諦めモードに突入した。
その近くでミリオは合掌、エリはミリオの真似をして合掌している。
なかなかカオスな状況であった。
・
「銀時!大丈夫か?」
「ああ。ダメージは受けてねェよ。敵からのはな」
「うぐっ…す、すいません…」
銀時が目覚め、イレイザーとナイトアイに合流した。
エリはミリオに預け銀時は万全の状態だ。
イレイザーの問いに銀時は嫌味ったらしく答え、緑谷が気まずそうに謝る。
「まぁ、全員無事でなによりだ。ミリオも…よく頑張ってくれた…!」
「いえ、銀さんがいてくれたから良かったです!多分、銀さんがいなかったら僕は個性を失っていました…」
「まぁ俺にゃ失くなる個性がねェかんな。ほんとにヒヤヒヤしたぜ」
「なっ!?撃たれたのか!?本当に何もなかったのか!?」
「ん?ああ。大丈夫だから落ち着けって、未来さん」
銀時が撃たれたと知り、取り乱すナイトアイ。
だが、銀時は全く気にしたようすもなくいつも通りに答える。
まぁここは戦場だ。
いつまでも話している暇はない。
「んなことより…さっきの緑谷のせいであのクソ外道を逃がしちまったかんなァ。どォすっか」
「うっ…」
「おい。もうその辺でやめてやれ」
「へいへい。それより…アイツはどこ…っ!緑谷ァ!」
イレイザーに緑谷いじりをやめるように言われた銀時は全く反省したようすもなく、辺りを見回す。
そして、何かに気がついたと同時に叫んだ。
「ちっ!デクっ!」
「へっ!?うわっ!?イ、イレイザーヘッド!」
だが、遅かったようだ。
とっさに隣にいたイレイザーが緑谷を庇い緑谷は助かったが、イレイザーが相手の攻撃を食らってしまった。
しかも、1番厄介なものだ。
「2人まとめて串刺しにしたつもりだったんですが…まぁいいでしょう。これで個性が使えるでしょうしね」
攻撃を仕掛けてきたのはクロノだ。
攻撃を受けたイレイザーは動きが遅くなっている。
クロノの個性によるものだろう。
「よくやった、クロノ。これで…振り出しだ」
「ちっ!構えろォ!棘くんぞ!」
銀時が叫んだ次の瞬間、治崎の個性による攻撃が起こる。
銀時は難なく避けられたが、いかんせん規模が大きい。
治崎には近づくことができない状態だ。
他の連中も避けるのに手一杯のようである。
「こんな奴らに俺の計画を台無しにされてたまるか!」
そんな中、治崎は先ほどの攻撃で倒れていた仲間を自分の足元に連れてきた。
治崎はなにかを堪えるように、絞り出すように語りだす。
「なァ音本…!嫌だよなァ…!?俺がこんなところで終わるのは!!」
治崎はゆっくりと倒れている仲間、音本に歩み寄り手を伸ばす。
「音本、本当によくやってくれたよ。お前なら、俺のために…死ねるだろう!?」
そして、音本に治崎の手が触れた瞬間、2人の体が弾けた。
その弾けた体はすぐに修復され、1つの体になる。
これも治崎の個性の効果、破壊して融合したのだ。
「これでゼロに戻った。まぁ…マイナスよりかはいいだろう。さて、壊理を返してもらうぞ」
「あれもアイツの個性かよ…えげつねェな。どこぞのサイヤ人かよ…合体して強くなるとかよォ」
銀時は目の前で起こった光景を見て呟く。
真剣な表情だが、発する言葉はこんな時でも銀時らしい。
なんにせよ、第2ラウンドだ。
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