雄英高校1年A組銀八先生   作:icy tail

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第47話

治崎が自分の仲間と融合した。

単純なパワーアップなのだろうが、銀時に切り落とされた腕も修復されている。

 

「最低の気分だが…さっきよりはいくらかましだな」

 

「めんどくせェことになっちまったな…っ!?オイ!消太はどこいった!?」

 

「えっ…!?…い、いないです!」

 

治崎の変化を気にしていた銀時が一旦回りを見回すと、クロノの個性で動きを遅くされたイレイザーがいなくなっていた。

さらに、クロノもいない。

こうなってくると、ほぼ確実にイレイザーはどこか他の場所に連れていかれたと思っていいだろう。

 

「ちっ…」

 

(俺がここを離れっか?それしか…)

 

銀時は頭をフル回転させて考える。

下手をしたらすぐにでも殺されてしまうかもしれない。

イレイザーがいくら強いと言っても、戦闘能力を失った状態では勝負にすらならないだろう。

そうして考えていると、近くに気配を感じた。

 

「随分と余裕じゃないか。白夜叉ぁ!」

 

「銀時!屈め!」

 

「…っ!?っぶねェ!」

 

銀時は治崎の声と被るように聞こえた声に従い、しゃがみこんだ。

銀時の頭の数センチ上をナイトアイの武器である押印が通過した。

そして、治崎に向かいまっすぐに飛び、体勢を崩すにいたる。

それにより、銀時に向かっていた治崎の手は逸れてギリギリのところで体に触られることはなかったが、銀時の来ている着物の袖の部分に治崎の指がかすった。

すると、指が触れた部分が塵になってなくなる。

本当に触られた時点でゲームオーバーだ。

 

「悪ィ、未来さん。助かったぜ」

 

「ああ。それよりも戦いに集中しろ。触られたら終わりだぞ」

 

「分かってるんだけどよォ…ってかエリはどうしたんだ?」

 

「イレイザーヘッドとエリちゃんの事なら安心するといい」

 

取り敢えずナイトアイに礼を言う銀時。

ナイトアイは銀時に集中するように言うが、尚も頭を悩ませている。

そんな銀時にナイトアイはある方向を指差して言った。

その先には…

 

「銀さん!イレイザーヘッドの事は俺に任せてほしいんだよね!個性でしらみ潰しに探してきます!」

 

「っ!その手があった!ミリオ頼んだぜ!」

 

「ハイっ!」

 

ミリオが近くの壁に手を当てながら立っていた。

銀時は即座に顔を上げ、ミリオの提案に乗っかる。

ミリオは返事をした後、すぐに壁を抜けていった。

少し離れたところには、ナイトアイからエリを預かった緑谷が手を上げてこちらに合図を送っていた。

これで不安はなくなった。

銀時は一度大きく深呼吸をして刀を構え直す。

 

「…はぁ~。すまねェな。もォ大丈夫だ」

 

「ふっ…では、共闘といくか」

 

「そりゃあいい。背中は任せるぜ、未来さん」

 

「もちろんだ。銀時も…いや、聞くまでもないか」

 

ナイトアイは銀時の横に立ち押印を構える。

この2人、実は今回が初めての共闘なのだが…心配はいらなそうだ。

2人は治崎の前に並び立つ。

 

「いつまで続けるつもりだ。そのヒーローごっこを…虫酸が走るんだよ」

 

「はっ、言ってろ。俺もおめェのクソみてェな考えにゃ虫酸が走るね。それも全身を全力ダッシュされてるね。あー気持ち悪ッ」

 

「こんな時にもユーモアを忘れないとは…さすがだな!銀時!」

 

「…壊してやる…全てを。お前たちの全てを…!夢は所詮夢でしかない」

 

こんな時でも自分のスタイルを貫く銀時の物言いに、ナイトアイは堪らず拍手を送る。

ここは戦場だと言うのに…この2人はとことん波長があっているようだ。

そんな2人をよそに治崎は狂気的に、淡々と言って銀時とナイトアイに突っ込んできた。

それが合図となり戦場が動く。

 

「来やがったな。んじゃ、行くぜェ!」

 

「ああ。行こう」

 

治崎を迎え撃つべく戦闘態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ナイトアイからエリを預かった緑谷は絶賛悩んでいた。

 

「僕もイレイザーヘッドを探した方がいいのか…それとも…」

 

緑谷はそう言いながら隣にいるエリを見る。

エリは銀時達の方に目を向けていた。

 

(エリちゃんの安全が第一だ。下手に動いて敵と出くわしたら危ない…よね)

 

一応、方針は決まったようだ。

実際にこの館の中にまだ他の敵がいると言うことも考えられる。

まだ学生の緑谷がエリを庇いながら戦うとなると…考えるまでもなく詰む。

最善だろう。

 

「それにしても…」

 

緑谷もエリが見ている戦場に意識を向ける。

そこには今までとは比べ物にならない程の攻防が繰り広げられている。

緑谷が入っていくのは難しいだろう。

 

「すごいなぁ…。まだまだ遠いや」

 

自分の先生達を見て、緑谷は呟く。

あんな次元にいつ行けるのかと言う気持ちと、あんなにすごい人達に教わっていると言う気持ちが混ざり不思議な気分だった。

そうしてしばらく立ち尽くしていると、不意に足の辺りに違和感を感じた。

そちらを見てみると、エリが辛そうにしながらも必死に目を背けまいと銀時達を見続けていた。

よく見れば震えている。

 

「…っ」

 

「エリちゃん…」

 

普段の緑谷であれば、慌てながら捲し立てるように言いそうな場面だ。

だが、不思議と落ち着いていた。

そして半ば無意識にこんな言葉が出てきた。

 

「大丈夫だよ…エリちゃん。坂田先生が必ず助けるって言ったんだから。ね?」

 

あの時、初めて治崎と接触した時。

側にいた緑谷には聞こえていたのだ。

2人の交わした言葉が。

その時の事を思い出しながら、噛み締めるようにもう一度言う。

 

「うん。やっぱり大丈夫だ。本気になった先生は…誰よりもヒーローだから!」

 

「っ!うんっ!」

 

(本当に…すごいなぁ)

 

エリもあの時の事を思い出したのか、弾けるように顔をあげて笑いながら言った。

自分もいずれは人をこんな笑顔に出きるようなヒーローになりたい!

そんなことを思わせてくれる程に年相応の眩しい笑顔だった。

銀時が放つ鈍い光は、緑谷にはまだ眩しすぎるみたいだ。

 

 

 




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