取り敢えず死穢八斎會編が終わるまではこの小説に集中しようと思います!
戦場では、銀時とナイトアイが治崎と対峙している。
治崎は目の前の2人を消すために正面から突っ込んできている。
「おーおー。さっきより大分速ェな」
「ふっ。何を言っている。銀時やオールマイトと比べれば大したことはない」
2人はそう言いながら左右に分かれるように飛んだ。
「ちっ…うざったいな。まとめて死ね」
治崎はナイトアイの方に方向転換しながら4本の腕を地面と接触させる。
すると、次々と棘が地面からのび、2人を襲った。
「…これは当たったら痛そうだ…ふっ!」
ナイトアイはお得意の経験と予測で上手く避け、治崎に押印を投擲する。
治崎は突進したまま顔に飛んできた押印を防ぐために腕をかざした。
だが…
「…ぐぅっ!?なんだこれは…」
予想外の衝撃に突進が止まる。
腕は今の一撃で砕かれたのか、力無く垂れている。
「これは特別製でな。重さ5キロの押印だ」
「やっかいな…」
治崎の動きが止まったことにより、銀時の方の攻撃もおさまった。
銀時は最後の1つを真っ二つに切り裂いて、つまらなさそうに言う。
「ほっ!…なァんかこの攻撃飽きてきたんだけど。おい、お山の大将さんよォ!他に無ェの?」
本心からの言葉なのだが、治崎のストレスは高速で溜まっていく。
ナイトアイはまだしも、銀時と治崎とでは経験も素の実力も、何もかもが違う。
修復の力でダメージこそ無いが、治崎はこれまでの攻防で1度も銀時にダメージを与えられていないのだ。
「…っ」
「んだよ。それならウチのガキ共のがまだ厄介だぜ」
押し黙る治崎を見据えながら銀時は歩いてナイトアイのもとに向かった。
「ん?未来さん、ちょっとカスってんじゃねェか。服破けてんぞ」
「…私を銀時やオールマイトと一緒にするな。一対一の勝負では多分私は勝てない」
そんな話をしていると、また地面から棘が伸びてくる。
2人は難なくかわすがまた二手にわかれてしまった。
「芸のねぇヤローだ」
銀時はそうボヤきながら躱していく。
治崎はどうやらナイトアイの方に攻撃を集中させているらしく銀時の方は足止め程度の攻撃だ。
避けながらナイトアイの方を眺めていると、合図が飛んできた。
「ん?…りょーかい。っと」
合図を受けた銀時は走り出し、ナイトアイの正面になるように位置取った。
そして、合図を送る。
すると、ナイトアイは治崎の攻撃を上手く躱しながら押印を投擲した。
「…よし。ふッ!」
向かう押印は1つのみ。
治崎は馬鹿にしたように鼻で笑いながら難なく避けた。
「はっ、こんなもの当たらなければ何の問題もない」
「そうだな…当たらなければだがな」
そんな治崎に対し、中指でメガネを上げながら言うナイトアイの口元はわずかに笑みが浮かんでいる。
「つくづく腹が立つや…」
「ふぅ~!良い球きたァ!…そーらッ!」
戦いが始まってから今までずっとペースを握られ続け、依然として余裕な態度を崩さない2人に思わず不満をこぼす。
だが、その一瞬の隙が命取りだ。
「なに…がぁっ!!?」
背中の方から聞こえた銀時の声に振り返ろうとした瞬間に背中に物凄い衝撃を受けて前のめりに吹き飛び、ナイトアイの少し横の壁に激突した。
「いや~!ナイスコースだったぜ!未来さん!」
「ふっ…銀時の打った押印は速すぎて目で追えなかったぞ」
吹き飛んだ治崎に目もくれずハイタッチを交わす2人。
この2人がやったことは単純なことで、ナイトアイが避けられることを前提で投擲した押印を正面に回り込んでいた銀時が木刀で打ち返しただけだ。
まぁ、当たったら人が吹き飛ぶような物を簡単に打ち返す銀時の技術には脱帽だが…
なんにせよ、初共闘で初連携が見事に噛み合った。
・
銀時とナイトアイの連携により見事に吹き飛んだ治崎は地面に大の字で倒れながら個性で体を治していた。
「………い」
その目はどこか虚ろでなにかを呟いている。
「……ない」
弱々しい声量とは裏腹にどこまでも黒く、地に響くような声で治崎は言った。
「たりない」
それは力への渇望か、自分が目指す野望なのか。
「何もかもが…たりない」
今まさに、治崎の頭の中では様々な光景が鮮明に写し出されていた。
たどり着いた先にあったのはこの社会の根本を否定するような野望だ。
それはヒーローからすると絶対的な悪だとしても、自分だけがそれを正義にすることができる。
そして、その方法は1つだけだ。
「全てを壊して…この腐った社会を俺が治す」
今、治崎の中で何かが変わった。
身に宿した狂気が、計り知れない憎悪がまだ未熟だった治崎を1つ上のステージに押し上げた。
「その為の第一歩がお前達だ…サー・ナイトアイ、白夜叉ァ!」
治崎はそう言って寝転んだまま地面に手をつき個性を発動した。
・
一方、銀時とナイトアイの2人。
治崎が倒れてから数分がたった。
銀時とナイトアイはさすがに不信感を募らせ始めている。
「アイツ…何を企んでやがんだ?」
「ふむ…治崎の個性からしてあの程度の攻撃で終わるとは思えん…」
そう言って顔を見合わせる2人。
「ん?」
「む…」
少しの振動を感じ取った2人は警戒心を強める。
すると2人の視線の先に、治崎が個性で作り上げたであろう巨大な岩でできた腕が地面から伸びてきた。
「おいおい…」
「これは…先程までとは違う」
よく見ると、2本の腕の間に柱のようなものが伸びており、その上に治崎がたっている。
「いけ」
治崎が手を触れて個性を発動すると銀時達の足元に先程までと同じように棘が伸びてきた。
「ちっ…!」
「っ!これは…」
床に逃げ場がない場合、逃げるなら飛ぶしかない。
空中に投げ出された2人に無慈悲にも向かってくる巨大な拳。
「未来さん」
「…なんだ」
「これ…死ぬんじゃね?」
「………かもしれんな」
迫る驚異を前にして銀時とナイトアイはこんな話をしていた。
そして、改めて迫る拳に視線を移した銀時は、1度深くため息を吐いた後に大きく息を吸い込んで叫んだ。
「緑谷ァァァァァ!!!ヘルゥゥゥゥゥゥプッ!!!」
・
エリを守りながら戦場を見つめている緑谷。
治崎の行動により戦況が大きく動いたことを確認すると即座に動き出した。
「…っ!?エ、エリちゃん!背中に乗って!」
「う、うん」
エリを置いていくことはできないため、背中に乗せてフルカウルを発動させる。
(ワン・フォー・オール…20%!)
「ちゃんと掴まっててね!」
足に力を込めようとした次の瞬間…
「緑谷ァァァァァ!!!ヘルゥゥゥゥゥゥプッ!!!」
銀時の叫びが耳に届いた。
「っ!行くよっ!」
「う、うん…!」
背中越しに掴む力が少し強くなったのを確認して緑谷は地面を蹴った。
目にも留まらぬ速さで飛び、銀時は達に向かう岩の拳に近づいた。
「はあぁっ!!!」
勢いそのままに1つ目の軌道を蹴りでずらし、そのままそれを足場に飛び上がった緑谷は空中で1回転…
「一撃でっ…マンチェスタースマッシュ!!!」
強烈なかかと落としでもう1つを砕いた。
「ふぅ…成功!」
無事に成功したことを確認した緑谷は着地すると銀時とナイトアイの元に向かった。
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