緑谷がエリを取り返した時、銀時はナイトアイを連れてリューキュウ達のもとに向かっていた。
「よォ。無事みてェだな」
「「坂田先生!」」
「白夜叉さん。先程の衝撃は…」
「ああ。おそらく緑谷だ」
「デクくんが…」
「すごいわね」
「あの子が…」
先程の地上での大きな衝撃波が緑谷によるものだと聞いた3人は驚きを隠せないでいる。
話もそこそこに銀時は手早く本題にはいる。
「悪ィんだが、未来さんを頼む」
「分かりました。白夜叉さんはどうするのですか?」
「俺ァ、緑谷の加勢に行く」
そう言ってすぐに走り出そうとする銀時をナイトアイが止めた。
「待て、銀時…私の視たのは緑谷が治崎によって殺される未来だった」
「だからよォ、んなモン俺が…」
急に話し始めたナイトアイに銀時は不満そうな顔で言うが、それに被せるようにまた話し始めた。
「だが…私が視た未来にはお前がいなかった。なぜかは分からない。でも…だからこそ、銀時がいることで変わる未来があることを私は信じている。…緑谷を、エリちゃんを頼んだぞ。銀時」
「…ああ。頼まれた。アンタも絶対に死ぬんじゃねェぞ」
「約束しよう」
銀時は今度こそ走り始める。
ナイトアイは相当無理をしていたのか、その背中を見送ってから力なく座り込んだ。
時を同じくして、治崎は緑谷に吹き飛ばされて地面に叩き落とされて尚、意識を保っていた。
「壊理…!!ダメだ、おまえは…俺のモノだ」
全身から血を噴き出しながらも体を修復していく。
「オヤジの宿願を果たす為におまえがいるんだ、壊理」
体を修復し終えた治崎は、リューキュウと共に落ちてきた倒れている仲間の元へとゆらゆらと歩み寄る。
そして、その仲間に手で触れると、音本の時と同じくお互いの体が弾けてまた1つになる。
仲間を吸収して巨大になった治崎は地上へ向けて動きだした。
緑谷を殺してエリを奪い返すべく。
・
治崎との戦場が地上に移ろうかと言う時、イレイザーを探しに向かったミリオは個性を使い広大な地下を走り回っていた。
「ここも違う!…ここも!…ここも!」
ほとんどの所は回っているが、未だに見つけられていない。
「こう言う時こそ冷静に…むむ、うーん……おおっ?…おおっ!」
(戦いの被害が出来るだけこない場所…もっと下!)
ミリオが頭の中でどんな風に考えを巡らせていたのかは分からないが、とにかく閃いたようでまた走り出した。
そして、さらに探すこと数十分。
ようやくクロノがイレイザーをさらった部屋の前にたどり着いた。
(やっと見つけたよね!)
ミリオは壁から顔だけを出しながら中の様子を伺う。
中では倒れこむイレイザーを押さえつけるようにして立つ玄野が天井の方を見上げていた。
押さえつけていることを考えるとイレイザーは生かされているようだが、早く救けるにこしたことはない。
そう思い突入しようとしたその時、ミリオの後ろから声がかかった。
「ミリオ…?」
「うん?…環!」
ミリオが壁から顔を離して声のかかったほうを見ると、環が警察を数人引き連れて通路を走ってきた。
環は所々コスチュームが破れているが、大きなダメージは受けていないようだ。
「環!無事で良かった!」
「ああ。それよりも、ミリオはこんなところでなにをしてるんだ?」
「俺はーーー」
ミリオは大まかに戦場で起こったこと、イレイザーがさらわれたことを話す。
「そんなことが…」
「うん。そして、この壁の向こうにイレイザーヘッドがいるんだよね」
「本当か!ならすぐにでも…」
「まぁ待ってくれよ、環!俺に考えがあるんだよね!」
慌てて突入しようとした環を止めたミリオは確実に助けられるであろう作戦を話した。
その後、すぐに行動を開始する。
一方、部屋の中。
「廻…」
(お前が負けるはずないよな…)
クロノはイレイザーの上に立ちながら、振動を伝えてくる天井を見上げる。
心ではそう思っていても、どうしても胸騒ぎがおさまらない。
不安を隠すように頭を振ってイレイザーに視線を向けようとしたその時、入り口の方から声が聞こえた。
「玄野だな。やっと見つけたぞ」
「警察だ!おとなしくしろ!」
「なっ…」
部屋に入ってきたのは環と警察が数人だ。
クロノは焦りながらも冷静に頭を回す。
(思っていたよりも早く見つかってしまったか…だが、まだこちらが有利)
「そこから1歩でも動いたらこいつの首を貰う…!」
クロノは懐からナイフを取り出し、倒れているイレイザーの首もとに当てる。
(このまま時間を稼いでいれば、廻が成し遂げてくれ…る)
睨みあいが続くかと思われたが、クロノの意識は治崎へ向けた希望を最後に暗転した。
「よしっ!成功だよね!」
ミリオの奇襲が成功したのだ。
意識を環達の方に向けさえすれば、後はミリオが背後から壁を抜けて一撃。
戦闘能力の高くないクロノは耐えられるはずもなく意識を失った。
「ああ。俺達も地上に急ごう」
ミリオ達はクロノを縛り、イレイザーを抱えて地上を目指して走り出した。
・
エリを抱えて着地をした緑谷は今まで感じたことのない感覚を全身に感じていた。
「怪我も…治ってる…!」
(体が…熱い…いや、冷たい。100%を出していたはずなのに…!)
考えること数秒、緑谷はある1つの結論にたどり着いた。
「君の…力なの…?」
「…」
質問と言うよりかは一人言のように呟いた緑谷。
エリは汗を流しながら無意識で必死に力を押さえ込もうとしている様子だった。
「…ぐぅっ!何だ、今度は!体が…内側から引っ張られてるみたいな…!」
考えている暇もなく、新たな感覚に襲われる。
そんな時、治崎の声が聞こえた。
「力を制御出来ていないんだ。拍子で発動できたものの、止め方が分からないんだろう、壊理!」
聞こえる声は次第に近くなり、緑谷の立っている地面から棘が伸びてくる。
即座に避けて距離を取る緑谷。
先ほどまで自分が立っていた場所を確認すると、地下から這い出るように体を異形の形に変化させた治崎が登ってきた。
「人間を巻き戻す。それが壊理だ。使いようによっては、人を猿にまで戻すことすら可能だろう。そのまま抱えていては消滅するぞ」
「…」
緑谷は無言で睨むようにして治崎を見据える。
そんな緑谷を見下ろしながら治崎は続けた。
「触れる者全てが無へと巻き戻される。呪われてるんだよ、そいつの個性は。…俺に渡せ!分解するしか止める術はない!」
それを聞いた緑谷は、服の一部を破ってエリを背中に固定しながら言った。
答えはもちろん…
「絶対、やだ」
治崎の話を聞いた緑谷は、自分の体に起こったことを理解した上で言葉を発した。
「…そっか。足が折れた瞬間に…痛みよりも早く折れる前に戻してくれてたんだね…とっても優しい個性じゃないか」
「そォだな。無個性の俺なんて目じゃねェくらいに、世の中の役に立つ個性じゃねェかよ」
緑谷の話に賛同する形で入ってきたのは、遅れて到着した銀時だ。
「坂田先生!」
「おう。…にしても巻き戻す個性ねェ」
「そうだ。白夜叉、お前には分かるだろう?壊理の個性がどれ程に危険で規格外なのかを!」
「馬鹿言っちゃいけねェよ。危険なのはおめェの野望であってエリの個性じゃねェ」
銀時は治崎にそう返すと、エリに視線を向ける。
「俺もお前の力を貸りんぜ、エリ」
「さ、坂田先生!今のエリちゃんに触っちゃ…!」
ゆっくりと近づきエリに向かって手を伸ばした。
銀時は迷うことなくエリの頭に手で触れて軽く撫でて手を離す。
すると、そこには…
「巻き戻すってこたァ…こーゆうことだよな。体が軽ィぜ」
攘夷戦争で白夜叉と恐れられた英雄が『当時の姿』で立っていた。
銀時はエリの個性で肉体を巻き戻したのだ。
「先生!若返って…!」
「そォみてーだな。多分、おめェらと同じくらいの歳だ」
まさしく、銀時の全盛期。
これだけでも手をつけられない程の戦力だ。
「おめェもそろそろ全力出しとけ。マジで消滅すんぞ。消滅したいっつーんなら止めねェけどよ」
「は、はいっ!」
(体が戻り続けるスピード…それ以上のスピードで常に大怪我をし続けていたら!)
緑谷はフルカウルで全身に巡らせるパワーを100%まで引き上げる。
「エリちゃん…僕にも力を貸してくれるかい」
(ワン・フォー・オールフルカウル…100%!)
さらに、オールマイトの全盛期と違わない程の戦力が加わる。
「んじゃ行くか。正義執行だ」
「はい!いつでも行けます!」
今ここに、正真正銘の最強タッグが結成された。
白夜叉時代の銀時と、100%緑谷の共闘は最初から考えてたんですよね!
やっぱこの展開が一番アツいです!
まぁ、エリの個性で実際にそれが出来るかは分からないですけど…
感想、評価等お待ちしてます!