雄英高校1年A組銀八先生   作:icy tail

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長い間お待たせしてすいません。
久しぶりの投稿ですが、楽しんでいただければ幸いです。


第55話

死穢八斎會との抗争に関わったメンバーが、ナイトアイ以外全員退院してそれぞれ持ち場に戻った。

緑谷達も寮に戻り、心配されながらも全員が無事と言うことで居残り組も安心できたようだ。

そして、その翌日。

 

「なんで俺が仮免の引率なんてしなきゃいけねェんだよ」

 

「まぁまぁ。これも教師の仕事だからさ」

 

「そーだぜ!ギン!イレイザーが来れねーんだからお前しかいないって訳だ!」

 

「ったく…めんどくさいったらありゃしねェ」

 

銀時はオールマイト、マイクと共に仮免講習を受ける爆豪と轟を待っていた。

少し待つと、2人がやって来た。

 

「おはようございます」

 

「っす」

 

「オイオイ。教師より遅れてくるたァ偉くなったもんだなァ問題児コラ!」

 

「ちっ。遅れてねェだろが」

 

「す、すいません!先生!」

 

不満タラタラの銀時に轟は素直に謝るが、爆豪は面倒くさそうに悪態をつく。

 

「よし!轟は許す!ボンバーマンは帰れ!しっしっ!」

 

「へいへい。すいやせんしたー」

 

「心がこもってないからやり直し~。ほら、早くしろ皆まってんぞ。手をついてデコを地面にこすり付けて無様に許しを乞え」

 

「んなことやらねぇよ!クソが!」

 

いつもの光景となっている小競り合いをしながらも、バスに乗り込んで移動を開始した。

バスに揺られること数十分、会場に到着。

 

「じゃァ上で見てるぞ!」

 

「ケッパレよー!ヒィア!」

 

「また引率とか面倒だからちゃんと受かれよー」

 

銀時たち教師陣は客席から見学と言うことで、2人を見送って移動をする。

3人で客席に向かっているとどこからか声を掛けられた。

 

「おや…元No.1ヒーローじゃないか。焦凍の引率ご苦労」

 

「エンデヴァー!」

 

声のした方に視線を向けると、エンデヴァーがオールマイトを睨みながら仁王立ちしていた。

 

「ちょうどいい…お前とは…むっ?き、貴様は…!」

 

「あん?」

 

どうやらオールマイトにしか注目していなかったらしく、遅まきながら銀時に気がついたエンデヴァー。

これまた忌々しげに鋭い視線を銀時に向けている。

以前の体育祭での出来事を根に持っている様子だ。

 

「貴様はあの時の…!」

 

「んー、えーと…ああ!ドラクエ5貸してくれた篠崎君?」

 

「…」

 

銀時は全く覚えている様子はなく、エンデヴァーは額に青筋を浮かべながらぷるぷる震えている。

ヤバイ空気を察知したマイクが即座にフォローに入った。

 

「ち、違ぇよ!ギン!エンデヴァー!元No.2ヒーローの!轟の親父さんだぜ!」

 

マイクの説明を聞いて思い出した銀時の口から飛び出したのはあまりにも辛辣な言葉だった。

 

「ん?あー、あん時の願望押し付けてたモンスターなペアレントか」

 

「おいおい!ギン!そりゃやべーって!」

 

またまた焦りながら銀時に迫るマイク。

エンデヴァーは言葉を発さないまま体から吹き出す炎の火力があがっている。

そんなとき、この地獄のような状況を終わらせるべく動いたのはオールマイトだった。

 

「2人ともそこまで。ただでさえ注目されてるんだ、早く行くよ。エンデヴァーも…わざわざ君から話しかけてきたってことは、なにか話があるんだろう?とりあえず座って話そう」

 

「……まあいい。早く行くぞ」

 

さすが元No.1。

物怖じすることなく場を収拾させた。

この後の気苦労を想像してマイクが大きなため息をはいたのは言うまでもない。

引率の3人にエンデヴァーを加えた一行は、客席に到着。

オールマイトは他の参加者に気を遣い目立たない席に行くように提案した。

 

「なるべく目立たない席にしよう。皆の邪魔にな「焦凍ォォォォォ!!!」る…」

 

だが、そんなことを露知らずエンデヴァーは急に叫びだした。

なにやらお門違いなエールを贈ろうとしているみたいだ。

実際に轟はこちらに見向きもしないで無視をしている。

 

「おまえはこんなところで躓くような人げもごっ!!?」

 

「うるせーよ。いつまで一方通行な親バカ発揮してんの?なに、なんなの?轟の心に直接攻撃してんの?ドメスティックなバイオレンスですかァ?」

 

エンデヴァーが最後まで言い終える前に、銀時が片耳を塞ぎながら口に何かを押し込んで強制的に黙らせた。

 

「さ、坂田君!?なにしてるの!?」

 

「ん?いや、ポケットにバスで食ったスナック菓子のゴミがあったからそこにあるゴミ箱に入れた」

 

「ぶふぉっ…ぷっ…!ギ、ギンっ…!そ、それは…ぷっ、さすがにダメだって…!」

 

銀時の暴挙にオールマイトはさすがに慌てている様子だ。

等の本人は全く悪びれもせずにゴミ箱(エンデヴァーの口)を指差している。

マイクは必死に笑いを堪えているが、銀時にしか見えないようにサムズアップをしている。

 

「ごほっごほっ…!き、貴様は消し炭にされたいようだな…!」

 

「そんなカリカリすんなよ。カルシウム不足なんじゃねェの?」

 

復活したエンデヴァーが銀時に詰め寄るが、銀時は見向きもせずに適当に流している。

エンデヴァーが我慢の限界に達する寸前にこれまたオールマイトが2人の間に入った。

 

「2人ともいい加減にしないか。もう始まるし、皆こっちを見てる。早く座って」

 

「へーい」

 

「………ちっ!」

 

エンデヴァーは数秒銀時を睨み付けていたが、ようやく視線を切って席に着いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮免の試験が始まった。

爆豪と轟、さらに士傑の夜嵐と現見の4人は特別試験として…

 

「…なにコレ?」

 

「どっからどー見ても…子守りだな」

 

「なぁ、帰っていい?」

 

「もちろん駄目だよ」

 

小学生の相手をしている。

どうやら、試験内容としては時間内に子ども達の心を掌握すると言うなんともアバウトな内容のようだ。

試験が始まって数分がたったが、特に変わり映えもなく生意気なマセガキ達に4人が振り回される光景が続いていた。

唯一、変わったことと言えばMC魂とやらが限界に達したマイクが審査員席に乗り込んで実況を始めたことくらいだ。

 

「そう言えば…話って?」

 

「………知っているか。ここ1ヶ月のーーー」

 

銀時が退屈そうに眺めていると、横でオールマイトとエンデヴァーが話を始めた。

銀時は特に気にする様子なくボーッと会場を眺めている。

すると、会話に一段落着いたのかオールマイトが小声で話しかけてきた。

 

「坂田君」

 

「なんだよ」

 

「ちょっと付き合ってあげてくれないかな。エンデヴァーが轟少年の事を聞きたいみたいなんだよ。帰りに何か奢るからさ、頼むよ」

 

「…はぁ。めんどくせーなァ」

 

銀時は流石に断ろうか悩んだが、オールマイトの後ろで目を血走らせながら仁王立ちしているエンデヴァーを見て、後々の面倒を考えて受けることにした。

 

「…して、白夜叉。貴様の目から見て焦凍はどう写る」

 

「どうって言われてもなァ…ま、個性では頭一つぬけてんじゃねーの?」

 

「ふっ、当然だな…なぜな「だが」ら…」

 

「俺から言わせりゃ個性だなんだっつーよりも、もっと早く見てやらねェといけねー大事なモンがあると思うがな」

 

「っ!貴様に何が分かる!!!」

 

「はっ、分からねェよ。分かりたくもねェ」 

 

「焦凍は、焦凍には才能がある!強力な個性もある!俺もだが、いずれはこの元No.1をも越えるヒーローにする!その為には俺のもとで学ばせるのが一番だ!」

 

「あんたの願望なんざ聞いてねェよ。んで、轟がそれを望んだのか?」

 

「ぐっ…」

 

体育祭の時と変わらず、エンデヴァーは自分の野望のために轟を育てようとしていた。

銀時は一瞬睨むようにして黙らせ、また口を開く。

 

「はぁー。まぁ、あんたがどォ動こうと勝手だけどよ…轟は轟自身の力であんたとオールマイトを越えなきゃ意味ねーだろ」

 

顔を強張らせて押し黙っているエンデヴァーに銀時は続ける。

 

「あんたの道をなぞらせたところで轟は先には進めねェよ。それに…本当にスゲー親のガキってのは背中見せときゃ立派に育つモンだ」

 

「エンデヴァー。今、君が向き合おうとしている問題の答えは…きっとすごくシンプルだ。助けを求める人々のために、轟少年のためにどれだけ強く在れるか」

 

銀時が言い終わると、いままで傍観していたオールマイトが口を開く。

2人の言葉を受けてエンデヴァーは難しい顔をしながら席に着き轟の方に視線を向けて黙ってしまった。

それから程なくして試験は終了。

4人は無事に合格できたようだ。

生徒達に合流するために銀時達も移動を開始した。

会場の外に出ると、エンデヴァーがゆっくりと轟の元に歩み寄って何やら話をしている。

嫌がられてはいるが…

銀時が少し離れたところで眺めていると、オールマイトが近寄ってきた。

 

「坂田君、ありがとう。エンデヴァーもああ見えて色々と抱えてるみたいでね…」

 

実際にエンデヴァーは長い間オールマイトと比べられてきた事だろう。

中には、勝てるはずもない、オールマイトに助けてほしかった…そんなことを言われて白い目を向けられた事もあるだろう。

それでもNo.1に手を伸ばし続けてきた。

 

「けっ…んなこたァ見りゃ分かるっての。俺ァあいつが今まで何をしてきたとか、どんなヒーローだとか詳しいことは分からねェ。けど、あんたみたいな強い光と長年比べられても腐らねぇで足掻いてきたバカだってのは分かる」

 

だからこそ…

 

「俺ァそーゆうバカを笑わねェ」

 

形はどうあれ、全員がそれぞれ向かうべき道を進み始めている。

こうして、仮免講習は幕を閉じた。

 

 

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