第17話
Ж月∞日
私はマシュの説明を受けている藤丸に飛んできた矢を弾き落とし、二度目の矢を放とうと弦を引き絞っている兵士の兜へ小石を飛ばして威嚇する。
冬木の英霊は杖や弓を構えたいるが、藤丸の言葉を聞いて戦闘状態を解除している。
しかし、どのような経緯を経て私達へ攻撃を仕掛けようと思ったのだろうか。
確かに、私達の中では藤丸は最も弱そうではある。それでも英霊や私と戦闘訓練を繰り返して現地の人間とは対等以上に戦えるほど成長したのだ。
そんなことを考えながら逃げようとしていた騎士を捕まえてきた冬木の槍兵を褒めつつ、首を持つのは止めるように告げる。
英霊の強化補正と現地の魔力を帯びていない一般人では軽く叩いただけで殺してしまう可能性もあることを伝え、マシュには不要な戦闘は避けるように話そうと思っていたんだが…。
マシュは冬木の弓兵が捕まえようとしていた兵士に峰打ちと称して盾を叩き付けるのは可哀想だからと言いながらカルデア観測室へ移動用魔術礼装の転送を要求する。
この霊子転送はレイシフトの応用したモノであり、人間の転送は無理として魔術礼装なら送ることが出来るというモノだ。
Ж月∪日
カルデア最高峰の技術者の製作した戦闘車両にはマシュのために用意した特殊兵装を積んでおり、藤丸の命令を受けて起動する仕様だ。
しかし、戦闘車両の運転を巡って英霊の口論が起ころうとは思いもしなかった。ジャンケンにて冬木の槍兵の運転となったのだが、彼は騎乗スキルのは持っているのか?
そんなことを考えながら戦闘車両へ乗り込もうとした瞬間、不快な気配を感じたので試運転と称して冬木の槍兵に走ってもらう。
まあ、こんなことだろうと思っていた。あの戦闘車両は死霊の残り香が強くて嫌だったわけだ。とりあえず、冬木の槍兵は死ぬ前に呼び戻したが、まさか令呪の無駄遣いすることになるとは…。
レオナルドの仕業とは思えない。
そうなると部外者の犯行ということになるのだが、誰の仕業なのか特異点の修復を終える頃には解決しているはずだ。
まあ、それより今は特異点の情報を集めることを優先しよう。それとマシュの特殊兵装は爆発する前に再転送しておいたぞ。今後は重要案件として車庫の結界を増やしておこう。
Ж月≠日
この時代には存在しないワイバーンを見るとは思わなかった。しかし、どういう現象なんだ。ワイバーンは今より昔の生き物のはずだ。
なにより兵士の話していた「竜の魔女」という単語が気になって仕方ない。ワイバーンを使役している程度では「竜の魔女」とは呼ばれない。
ワイバーンより危険なドラゴンの一種を英霊として召喚しているのか、それともドラゴンの逸話を持つ英霊を召喚して使役しているのか。
もっと最悪な言えば七騎の英霊のすべてを生け贄として神霊級のドラゴンの英霊を召喚している。もしくは邪悪な逸話を持つドラゴンと契約を交わす現地の人間ということも有り得るのだ。
しかし、そうなると人間と敵対する。
魔術師の抗争とは違って疑似英霊のマシュには酷なことを強いてしまうかもしれない。いや、マシュの手を汚すより私の手を汚せば問題ないか。
そんなことを考えながら特殊兵装「CAPTAIN」を用いて怒鳴り声のような咆哮を発するワイバーンを撃ち落とすマシュの支援を行う。
私は強化魔術を使って飛び上がり、飛び回っているワイバーンの脳天を殴り砕いて地面に叩き落とす。まあ、ほとんどマシュのおかげで戦闘せずに済んだけど。