とあるカセキ女の逆境。   作:SUN'S

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第7話

⊆月┸日

 

今朝、レフから自分の意思とは相反する行動を起こすことがあると相談を受けた。私は夢遊病の一種かと思っていたが、明らかに別の"なにか"だ。

 

レフの身体を調べるためにレオナルドとロマニへ助力を頼めばアッサリと承諾してくれた。やはり、レフの人望は厚いようだな。

 

解剖手術を行おうとしている訳ではないが、レオナルドの「ほう、これは興味深い」という言葉は不安を煽ってくるばかりで、私達にハッキリとした答えを教えようとしていない。

 

そんなことを思いながらレオナルドの話を聞けばレフの肉体と精神を蝕もうとする異物のようなモノが入り込んでいるそうだ。

 

一刻も早く摘出しないと自我を失うと言われたが、異物の摘出を行えるような魔術礼装を作ったことはない。それでも数少ない友人を救うためだ。

 

多少の無理は受け入れよう。

 

異物の摘出を行うために必要な魔術礼装の製作を最優先するとして、ロマニは異物の位置を固定する薬剤を作ってもらえると助かる。

 

私はレフへ魔力を流し込んで異物を引きずり出せるのか試す。少しばかり痛みを伴うかもしれないが、そこは気合と根性で我慢してもらう。

 

⊆月‰日

 

レフの肉体へ戻ろうと暴れ狂う異物をカルデアの外に向かって放り投げる。雪山とは言えど魔素の塊のような化け物は軽々と越えてくるはずだ。

 

それでも数分は時間を稼ぐことは出来る。レオナルドはレフ達の警護を行うように伝え、ガラスの破片が散乱している通路へ集まってきたカルデア職員に侵入者のことを告げる。

 

このような初陣とは嘆かわしいことだが、友人の肉体を弄んだことは許さん。あの気色悪い触手の繊維の一片たりとも残すものか。

 

真っ黒な防寒服を着用してカルデアの外へ出ようとした瞬間、拳銃型魔術礼装を構えていた複数の職員が吹雪の中へ吸い込まれた。

 

いや、引きずり込まれたと言うべきだろうか?

 

そんなことを考えながら「鬼之手甲」を左手に装着する。指先だろうと触れさえすれば相手の弱点となる特性を獲得することが出来るはずだ。

 

カルデア通路にて吹雪を遮る結界の展開を指示する所長へ伸びてきた触手を弾きあげ、ゆっくりと両の腕を胸の辺りまで持ち上げる。

 

それに小さな子供の住んでるところへ攻めてくるのはゴミクズのすることだ。

 

⊆月〓日

 

カルデア職員の半数以上は重傷を負った上に動くことが出来るのは私を含めて十数名ほどしかいない。しかし、あの化け物の正体を探ろうにも私が殴り倒してしまった。

 

ほんの少しだけ部位を残しておけば良かったと思いながら医務室へ運び込まれたレフのお見舞いの品を見繕っているとレオナルドが歩いてきた。

 

彼の手には「どんとこい超常現象」という本が握られており、明らかにイタズラしようとしている子供の笑顔だった。

 

今後の対策を相談しようかと思っていたが、対策のことは所長へ相談するとしよう。あの人命より仕事を優先するオッサンを頼るのは癪だけど。

 

私には彼の理念を否定することは出来ない。

 

まあ、マシュのために用意したホットケーキを食べたことは許さないけど。冷蔵庫へ入れていたモノを無断で食べるなど畜生以下のすることだ。

 

そんなことを考えながら皹の入った右側の肋骨を庇うように左手を胸の少し下の辺りに添える。

 

レフやロマニに見せると変なことを言われそうだ。深い溜め息を吐きながら通路を歩いていると通り過ぎた筈のレオナルドが目の前に現れた。

 

いったい、どういう仕組みなんだ。

 

 

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