白鳥志貴は兄である   作:exemoon

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月姫リメイクが出ないので初投稿です。


芽出

ざわめき声が聞こえる。

まぶたを閉じて眠りに落ちていても、薄い光や音は混濁する意識を目覚めさせようとする。

正直、とてもうるさくて眠ってなんていられない。

 

―――意識が、だんだんと自分を取り戻す。

 

「ここ、は――――――」

見渡すとここがどこかの病院の待合室であることが分かった。

辺りには人があふれていて、医者や看護師があわただしく動き回っている。

自分はどうやらベンチで眠っていたらしい。

毛布を掛けられいて、眼鏡はつけっぱなしだった。

腕時計を見ると朝の八時。

 

なんだか、とてもぼんやりとする。

状況がよくわからない。

なにか、とても大事なことを忘れている気がする。

 

「志貴さん、目が覚めたんですね。」

ふと、声をかけられる。声に目を向けると瑠璃さんがいた。珍しく白衣なんかを着ている。

「瑠璃さん。…ここは一体?」

「覚えてないんですね。ここは上諏訪の大病院です。昨晩、運び込まれたんですよ。もっとも、眠ってただけで大事ないみたいでしたから、こっちで寝てもらってました。今、ベッドが足りてないんですよ。」

瑠璃さんが俺に説明してくれる。

だけど、なんで運び込まれたのかとかよくわからない。

まだ、頭がぼーっとしている。

思考がまとまらない。

 

「それで、瑠璃さんは何でここに?」

「化け物騒ぎで避難してきたんですよ。そしたら、病院が人手不足だから手を貸してほしいと言われてしまいまして、お手伝い中です」

そう言って、瑠璃さんは微笑む。

こんな時でもこういう風に誰かにやさしくできるなんて、本当に強い人だ。

そういえば、なんで自分は運び込まれたんだっけ。

さっき言ってた化け物が関係してる気がする―――

 

唐突に昨夜の出来事がフラッシュバックする。

 

「瑠璃さん!歌野は、歌野はどこですか!?」

ああ、どうしてこんなに大事なことを忘れていたのだろう。

なぜ、あいつが戦っていたのだとか、あの化け物が何なのかとかわからない事だらけだけど、今は歌野の安否を知りたい。

途端、瑠璃さんが真剣な顔になる。

なぜだろう。

彼女から話を聞いてはイケナイ気がする。

 

「志貴さん、落ち着いて聞いてください。歌野さんは、まだ外で戦っています。」

「戦ってる!?なんで、あいつが」

「諏訪に逃げてくる人たちを助けるためです。今、諏訪湖周辺は結界によって化け物の入ってこれない安全圏になっています」

「違う、そういうことを聞いてるんじゃないんだ。歌野はただの子供だ、あんな化け物と戦えるはずないだろう?それに、そういうことは警察とか自衛隊とかの仕事だ。小学生がすることじゃないだろう!」

思考が空白に染まるなか、必死で口だけを動かす。

オカシイ。瑠璃さんが言っていることは絶対におかしい。

 

「ええ、志貴さんの言う通りです。ですが、あの化け物には銃も、刃物も通じなかったそうです。なぜか、歌野さんが持つ鞭だけが通じるみたいで…」

「でも―――」

「志貴さんだって歌野さんが戦っているのを見たはずです。だって、あなたをここに連れてきたのは歌野さんなんですから」

言葉に詰まる。

確かに瑠璃さんの言ってることは事実だ。

だからと言って、そんなことを認めるわけにはいかない―――

 

「―――なら、歌野の鞭を大人が使えばいいじゃないか。小学生の子供を戦わせていいはずがない!」

「ええ、それも試そうとしました。だけど、あの鞭は歌野さんが使わないと威力を発揮できないらしく、結局歌野さんが戦うしか手はなかったんです」

瑠璃さんの言っていることは事実だけど、理不尽だ。

酷く、腹が立つ。

脳が理解を求めてくるが納得はできない。

 

頭に血が上っているのがわかる。

落ち着け。

瑠璃さんは事実を語っているだけだ。そんなことで、彼女を責めていいはずがない。

小さく深呼吸する。

やるべきことは変わらない。

 

「―――瑠璃さん。歌野は今どこにいる?」

そう、今白鳥志貴がすべきことは妹を手助けすること。

それ以外はすべて余分だ。

「まさか志貴さん、結界の外に出るつもりですか!?駄目です!いくら、志貴さんでも危険すぎます!」

「瑠璃さん…実は俺も奴らと戦えるんだ。歌野の兄貴だからかな。昨晩だって、何匹も奴らを倒したんだ。だから大丈夫だよ」

「何言ってるんですか!仮にそれが本当だったとしても、志貴さんは昨晩倒れたんですよ!?認められません!」

瑠璃さんが悲鳴を上げるように叫ぶ。

純粋に俺を心配してくれていて、さっき怒鳴ったことになんだか罪悪感を覚えてしまう。

「大丈夫。今度は引き際を見誤らないよ。それに俺は歌野の兄貴だから、兄貴は妹を助けるものだろう?」

「それでも駄目です。危険すぎますし、そもそも歌野さんがどこにいるかも分からないんです。」

瑠璃さんはそれでも食い下がる。

彼女の言っている理屈は正しい。だけどそれだけじゃ止まれない。

 

「この病院にも歌野を見た人ならいるはずだ。正確な位置はわからなくても、おおよそいる場所ならわかるはずだろう?俺を病院まで連れてきたってことはあいつも度々ここに寄ってるはずなんだし」

「―――なら、歌野さんがここに来るのを待ってればいいじゃないですか。歌野さんと合流してから考えてもいいはずです」

「駄目だ。あいつは危なっかしくて一秒だって放ってはおけない」

そうだ、歌野は今も一人で戦っている。それを放っておけるわけがない。

考えたくもないけど下手すれば、もう戻ってこないかもしれない。それだけは駄目だ。

「それに、歌野がいようといまいと俺が奴らの数を減らすだけで助かる人は増えるはずだ。なら、少しでも早くあれの外に行ったほうがいい」

瑠璃さんがいつになく苦い顔をしている。

 

 

「心配してくれてありがとう、瑠璃さん。だけどね、いろいろ御託を並べたけど、結局俺は妹の手助けをしてやりたいだけなんだ。だから、頼むよ」

「だけど、志貴さん。まだ体が」

「大丈夫だよ。変なところで寝てたからか少し体は軋むけどね」

そう言って立ち上がる。

身体は十全に動く。

細かい擦り傷とかも手当てされてるところを見ると、なんだかんだで瑠璃さんが診てくれたのだろう。

 

「あ、あの!」

唐突に、声をかけられる。

声の主は、昨夜の少女だった。

「君は、昨日の…」

「は、はい!き、昨日は本当に、あ、ありがとうございました!」

そう言って、ぺこりと頭を下げる。なかなか、律儀な子だ。

 

「気にしないで。怪我とか大丈夫だった?」

「お、おかげさまで、あの子も、私も大丈夫です…じゃなくって、すみません。実はお二人のお話が聞こえてしまって…」

「ああ、ごめん。うるさかったかな?」

そう答える間にも、気が急いてくる。彼女には悪いが、話はここらで切り上げさせてもらおう。

「い、いえ…そうではなくて…わ、私、今妹さんがいるところ分かります!」

―――と思ったら、彼女はさらりとすごい事を言った。

「藤森さん!?」

瑠璃さんが悲鳴のように声を上げる。

 

「本当かい!?どこにいる!?」

思わず、彼女の身体をつかんでしまう。

「あ、あわわ」

しまった、怯えさせてしまったようだ。しかし、そんなことを気にしてる場合ではない。

「待ってください!藤森さん、なんでそんなことが分かるんですか?」

瑠璃さんが俺と彼女を引き離し尋ねる。

 

「わ、わたし、なんとなく分かるんです!う、うまく、説明はできないですけど…イメージみたいなものが浮かんで」

「分かった、信じるよ。教えてくれるかい?」

「志貴さん!」

瑠璃さんが咎めるように叫ぶ。

 

「瑠璃さん。俺はこの子を信じていいと思うよ。どのみち、聞き込みをしても時間がかかるし正確じゃないんだ。なら、信じてみたほうがいい。」

「ですが―――」

「この子が嘘を言う理由もないし、それに変わった力があるのは歌野や瑠璃さんだってそうじゃないか」

「…………」

「言っとくけど、俺は一人でも行くからな」

「……はぁ。仕方ありませんね。車の用意をしてきますから、ここでちょっと待っててください。」

「え、いいのか瑠璃さん。病院の手伝いだってあるんじゃ?」

「全然よくありませんよ。だけど、このまま放っておくほうがよくないです」

そう言うと、瑠璃さんはどこかへ小走りで向かった。

しばし、呆気に取られる。さっきまであんなに反対されていたのにこんなにあっさり協力してくれるだなんて…これから先、ますます瑠璃さんには頭が上がらなくなりそうだ。

とりあえず…

待っている間に場所を聞いてしまおう。どうせ、準備することなどない。

 

「それで、今歌野はどこに?」

「は、はい。春宮の北東。隣町に通じる街道にいるみたいです」

あの辺りは、山と山に挟まれた一本道だった。

確か山を挟んだ隣の市とつながる最短ルートだ。

なるほど、確かにあの道の安全を確保できれば、大勢助けられるだろう。

 

「あ、あの!よかったらこれどうぞ!」

考え事をしていると小さな袋を差し出される。

そこには、小さなおにぎりとお茶の缶があった。

「これは?」

「食堂でもらってきたものです。よかったら食べてください。」

そういえば、昨晩から何も食べていない。

あまり食欲はないが、食べておかないと体が持たないだろう。

 

「いいのかい?ありがとう、早速いただくよ。君は食べなくて大丈夫なのかい?」

「は、はい。私は先ほど食べたので平気です」

早速、おにぎりを頬張る。塩がきいてておいしい。

食べていると、急いていた心も落ち着いてくる。

ふと、この子に自己紹介をしていなかったことを思い出す。

命のやり取りをする前に随分のんびりとした思考に自分でも笑いそうになる。

 

「そういえば、まだ、自己紹介をしていなかったね。俺は白鳥志貴、よろしくね。」

「私は藤森水都といいます。よろしくお願いします白鳥さん。」

「堅苦しいし、歌野と被るから呼び捨てでいいよ。その代わり、俺も水都ちゃん

って呼ぶから」

「は、はい。志貴さん。」

なんとなく、この子とは長い付き合いになる気がする。

 

「お待たせしました。じゃあ行きましょうか志貴さん」

と、そこで瑠璃さんが戻ってきた。

なぜか、いろいろ荷物を持って来てる。

「ええ、急ぎましょう。ところで何ですかその荷物?」

「医療道具とか色々入れてます」

この短時間で随分用意がいい。

完璧超人っぷりに磨きがかかっているな。

 

「あ、あの!」

振り向けば、水都ちゃんが何か言いたげにしている。

「どうしたの?水都ちゃん」

「わ、私も連れて行ってください!途中まででいいので!もし、途中で何かわかったらそれもお伝えできると思いますし!」

――――少し考える。諏訪から出る前までなら問題ないと思うけれど

「…いいのかい?正直ありがたいけど、まだ無理しないほうがいいんじゃないか?」

「気にしないでください。少しでも、志貴さんのお役に立ちたいんです」

なんで、そこまでしてくれるんだろう。ここで休んでいてもいいはずなのに。

ただ、今はその厚意に甘えさせてもらおう。

「ありがとう、水都ちゃん。助かるよ。…瑠璃さん」

「仕方ありませんね。ついてきてください。」

 

 

 

黒いワゴン車に揺られ、春宮前のバリア――瑠璃さん曰く結界の境界線近くまで来る。

「それじゃあ、行ってきます」

車を降りる。

「私たちはここにいます。危なくなったらすぐここに戻ってきてください」

「志貴さん、どうやら歌野さんはゆっくりこちらに近づいてきているようです。少し進めばすぐに合流できると思います」

「分かった。ありがとう二人共、ここまで送ってくれて」

 

深呼吸して、息を整える。

昨日と違い、今日は何が起こるかわかったうえで、結界の外に出る。

正直、あまり気乗りはしない。

俺の身体は、この「眼」以外は普通の人間と変わらない。

昨夜だって何度も死にかけた。

正直、もう一度だってあんな危険を犯したくない。

 

―――それでも、一歩踏み出す。

 

そして、それ以上に奴らを「殺」した時の感覚がたまらなく怖い。

ナイフを通した時のあの情動、あれが人に向けられたらと思うとゾッとする。

殺せば殺すほど、自分の本質が殺人鬼であるかのような気がしてならない。

 

―――それでも、一歩踏み出す。

 

だけど、妹がたった一人で戦い続けていることのほうが我慢ならない。

昨夜の歌野の強張った顔、あんな顔はもう見たくない。

あいつを笑顔にできるのなら、なんだってやってやりたい。

あいつの代わりに戦ってやりたい。

だけど、歌野は俺が代わりに戦うといっても、聞きはしないだろう。

 

―――境界を抜ける

 

だから、俺はあいつを一人にさせない。

いやだと言われても一緒に戦う。

俺は歌野の兄貴なんだから。

 

 

 

 

 

ナイフを握り、走る。

 

人の群れが此方に向かってくるのが見えてくる。

どうやら、歌野は彼らの殿になっているらしい。

人波を避け、奥へ奥へと進む。

 

―――見つけた。

 

歌野は十体以上のバケモノをその場に釘づけにしている。

およそ、少女のものとは思えぬほどの技量。

だが、そのバランスはひどく危うい。ギリギリのところで、人々を守っている。

少しでも揺らぎがあれば、そのバランスは容易に決壊してしまうだろう。

 

―――どうする。

歌野はまだ俺に気づいていない。

迂闊に動けば台無しだ。

昨夜と同じ轍は踏めない。。

 

ならば―――

 

放置されてる車や、民家、電柱を足場に跳躍。

一気に彼我の距離を詰める。

狙いは歌野の正面、バケモノの群れ。

 

踏み込むタイミングは決まっていた。

歌野が奴らに一撃入れた直後、鞭が機能しない一瞬の間隙。

その瞬きの間に奴らの懐に入る―――

 

まずは、歌野の正面にいる二匹のバケモノの無防備な腹を撫で切る。

一瞬の空白。

その間に歌野に話しかける。

 

「歌野、無事か?」

「お兄ちゃん!?なんでまたこんなところに!?」

「話はあとだ。俺が奴らを引き付けるから、お前はそれを狙え」

「えっ!ちょっと、お兄ちゃん!?」

 

返事を待たずに駆ける。

近づいてくるバケモノを切りながら群れの中心まで潜り込むと、狙い通り、標的が俺に変わり、奴らが俺に群がってくる。

これで、歌野にも少しは余裕ができるだろう。

 

跳び、駆け、切り、動き続ける。

止まるのはどちらかが死に果てる時のみ。

一秒でも長く引き付ける。

近づいてくる奴らの「線」を切り「点」を突く。

 

どんなに巨大で迅速で強暴でも、連中は基本的に直接触れなければ俺を殺せない。

直接俺に触れようとするのなら。

その瞬間、奴らの無防備となる部分を切断すればいい。

 

結局何匹いようとあまり変わりはしなかった。

俺に引き寄せられている間、奴らは簡単に隙をさらす。

それを歌野は見逃さない。

鞭を使い、効率的にバケモノを屠っていく。

この分なら、さして時間もかけずに殲滅できるだろう。

 

 

と、そこで奴らの動きに変化が生まれた。

 

何体ものバケモノが集まり巨大化していく。

それは、生物の誕生過程を目の当たりにしているかのよう。

 

――――まずい

 

あれは危険だと本能が告げる。

奴が完成する前に倒したいが、小型のバケモノに阻まれる。

「くそっ―――」

気づけば、集合体が完成している。青い弓のような体を持ち、その周りに幾つもの白いランスのようなものが四方八方を向いている。かなりでかい。

 

 

―――唐突に、心臓を鷲掴みされたような嘔吐感がした

「歌野、下がれっ!」

叫び、全力で横に跳ぶ。

瞬間。

地面が破裂した―――

 

脳髄が溶けてしまいそうな衝撃。

体を丸め、ゴロゴロと地面を転がる。

体中を地面の破片が襲い、感覚が消し飛ぶ。

 

「ぐ…う……」

衝撃が収まる。

指先に力が戻ってくる。 

どうやら、生きているらしい。

ナイフも手放さずに済んでいる。

遮二無二、身体を動かす。

急げ!

今余分な隙を見せたら俺は終わる―――

 

何とか立ち上がると、さっきまで立っていた場所には大きなクレーターができていることに気づく。

小型のバケモノごと吹き飛ばしたらしい。

なんて威力だ。あと一瞬でも離れるのが遅かったら、間違いなく俺は奴らと同じことになっていただろう。

今は何とか五体満足だが、次が来たら耐えられない。

 

 

「ううあああああああああっ!!」

吼え声。

歌野が奴に突っ込んでいく。明らかに冷静さを欠いた動き。

…まずい。奴のランスが歌野に狙いを定めようとしている。

ここからでは間に合わない―――

 

―――そんなハズがない

   オマエならこの程度の距離、瞬きする間に詰められるだろう?

 

何かが脳裏で囁く。

ワカラナイ

ワカラナイケド

 

身体は動く。

 

身体を屈ませ、跳躍するように足に力を籠め、地面をすべるように進む。

あと数瞬で歌野の背中に追いつく。

だが、もう奴の狙いは定まっている。

ならば―――

 

歌野の肩を踏み場にし、跳躍。

そのまま、此方を向いていたランスを「殺」す。

とはいえ、本体はまだ、動いている。

このまま、着地したらその瞬間、俺は数多のランスに吹き飛ばされる

 

だが、問題ない。足場なら周りに腐るほどある。

他の浮いているランスを足場に跳躍。

 

―――見えた

 

本体の青い弓の真ん中。そこに浮かぶ「点」を捉える。

再び、ランスを足場に、「点」へ加速するために跳ぶ。

迎撃の一つもない。

どうやら、この出来損ないは懐に入られると何もできないらしい。

造作もなく死の「点」を貫く。

 

それだけで、呆気なくこのバケモノは、ランスごと消滅した。

 

 

「しまった…」

しかし、倒した後になって、間抜けなことに気づく。

身体が軋んでうまく着地できそうにない。

…まずい。結構高くまで跳んでしまった。骨の二、三本は折れるかもしれない。

 

と、墜落を覚悟する。が、代わりに訪れたのは、柔らかな感触だった。

どうやら、歌野が抱き留めてくれたらしい。

結局、今回も最後に助けられてしまった。

なかなか、無様な格好だ。

 

「ありがとう、助かったよ歌野」

降ろしてもらい、礼を言う。

今更気づいたけど、歌野は黄緑と白で構成されたの奇抜な格好をしている。はた目からみればコスプレみたいだが、なかなかどうして様になってるな。

そんなのんきなこと考えていると、急に歌野がへたり込む。

「ど、どうした歌野!?どこか怪我でもしたのか!?」

慌てて支える。

 

すると―――

「おに…おにいちゃ…う、ううぅ………うああああああっ!」

歌野は俺にすがりついて泣き出した。

そっか…こいつはずっと、一人で無理をしていたんだ。

誰の助けも借りれず、一晩中頑張ってて、もうとっくに限界なんて超えてたんだな。

 

歌野を抱きしめて、頭をなでてやる。

 

―――よく、頑張ったな。歌野

 

 




白鳥の兄の方
星屑の群れの中心に入る変態。傍から見ると自殺志願者。なんか戦ってたら変な技出た。歌野大事、助ける。シンプル思考。ちなみに進化体の初撃を避けられたのは自分の死の気配を感じたから。「眼」のせいか殺される、という防衛本能が予知レベルにまで達してる。なので、仮に暗殺とかされそうになっても通じない。でも、ニュータイプではない。

瑠璃お姉さん
ド有能お姉さん。賢いので、病院で得られるいろんな情報を統合してた。ちなみに歌野の鞭を他の人が使えないかどうか試すの進言したのも彼女。志貴君を歌野ちゃんから託された。ついでに水都ちゃんと怪我してる少年も託された。少年は意外と重傷だったので、病室入りしてる。何か特別な力を持ってるらしい。因みに志貴君送るとき車で結界外まで送ろうとしたけど、全力で止められてお留守番。

藤森水都
歌野と同学年。志貴君がぶっ倒れたのは自分たちのせいと思い込んじゃってる。なので、志貴君に何とか恩を返そうと勇気を出して行動。志貴君起きた後、ご飯取りに行ってそのあと途中から二人の会話聞いてた。人の顔色を窺うと自分で言ってるけどそれは気が利くことの裏返し。えらい。因みにうたのんの場所分かったのは神託。土地神的にはよー分からんけど勇者の負担減るならいいんじゃねくらいの感覚。

白鳥の妹の方
一晩中戦ってる。ちょくちょく休憩してるけど超限界。いきなり兄が鉄火場に来ておまけに(傍目には)特攻。普通に戦えてて少し安心したと思ったら、兄が吹き飛ばされる。普通に死んだと思い、ぶち切れ。と思ったら、自分踏み台にして敵倒しちゃう。感情のジェットコースター。正直、来てくれて嬉しかったとか、怒りたい気持ちとか不安だったのとか色々ぐちゃぐちゃになって号泣。仕方がないよ、女の子だもの。

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