歩き疲れてしばらくボーッと座っていると、遠くから、誰かが走ってくるのが見えた。近づいてくるにつれて、姿がはっきりとしてきた。何とそれは、俺と同じぐらいの年齢の少女だった。その少女が、
「あれ、何か光ったと思ってきてみたけど、まさか、人がいるなんてね。君はどこから来たの?」
と尋ねてきた。それに対して俺は
「ん~、分んねぇや。俺、どうやら、ここの住人じゃないみたいだから。」
と、言った。少女は、
「てことは、別の世界から来たってこと?」
「そうなるな」
「ふーん……って、え~!!もし、本当だったら20年ぶりだよ!?」
と、とにかく驚いていた。そして落ち着くや否や、
「ここで話すのも何だし、とりあえずついてきて」
少女はそう言って、俺の手を引っ張りながら歩き始めた。
「え、ちょ、急に手を引っ張るなよ!それより、どこ行く気だよ!」
俺は、そう言った。しかし少女は、
「とりあえず、来てみればわかるよ♪」
楽しそうに言った。
数分後、俺と少女はある町にいた。俺は、
「なぁ、そろそろ手を離してくれねぇか?いい加減恥ずかしくなってきた」
「あ、そうだね。ごめん、ごめん」
と手を離してくれた。俺は、とりあえず疑問に思ったことを聞いてみた。
「お前が連れてきたかったのはここか?」
「ん~、もう少し先かな、ちゃんとついてきてね」
と言って歩き出したので、後を追いかけた。その町にいる人は、俺を不思議なものを見るような目で見てくる。
さらに歩くこと数分、ある家に着いた。少女はノックすると、
「おーい、フィア~、いるー?何か不思議な人いたから、連れてきたよ~」
不思議な人言うな、と俺が思っているのを知らず、少女は言った。すると、中から女の子が出てきた。
「何だ?騒がしいぞ、ティナ……。と、後ろにいる人がそうか?初めまして。ワシは、ルカード・フィアだ。一応この町の防衛に関する指揮を任されている。フィアと呼んでくれ」
と女の子もとい、フィアがそう言った。すると、少女が思い出したように、
「自己紹介がまだだったね。セシル・ティナだよ♪ティナでいいよ」
「俺は、剣優斗だ。好きな呼び方でいいぞ」
と、ティナの後に俺も自己紹介をした。
「さて、本題に入るが、ティナ、優斗のどこが不思議なんだ?」
とフィアが言うとティナが、
「そうだったね。剣君は、どうやら別の世界から来たらしいんだ」
といった。
「なんだと!?本当か、優斗?」
「あぁ、知らねぇうちにここにいた。ところで、俺はどこに住めばいいんだ?」
とフィアが尋ねてきたので俺は答え、さらに聞いてみた。
「そうじゃな……。ティナ、優斗にこの町を案内するついでに少しこの世界について説明してやってくれ。住むところだが、とりあえずワシの家に空き部屋があるから、そこに泊まってくれ」
「わかった。んじゃ、行こうぜ、ティナ」
「うん。それじゃ行ってくるね、フィア。夕方頃には戻ってくるよー」
といって、俺とティナは家を出て、町を歩くことにした。
町をぶらぶら歩いているうちにティナから、この町——ユークリウッドの周辺には、協定を結んでいる国『ノーランド』と敵対している国『ネメシアス』があることを教えってもらった。
こんな話をしていると、
「おーい、ティナちゃーん!」
と少年が走ってきた。
「あ、レン!今ね、剣君に町の案内をしてるの」
とティナが言った。
「俺は剣優斗だ。好きに呼んでくれ。えっと……」
「グラウス・レンです。レンってよんでください」
「んじゃ、レンよろしくな」
「こちらこそよろしくです。ところで、珍しい名前ですね。どこから来たんですか?」
「あのね、レン、驚かないで聞いて欲しいんだけど、剣君はね、別の世界から来たんだ」
「そうなんですか……って、エー!?」
レンが大声を出したので、周りにいた人が全員立ち止まってこちらを向いたが、すぐに、歩き出した。ティナが慌てて、
「ちょっ、声大きいってレン!」
と注意するとレンは、
「すみません。とりあえずここじゃ邪魔になるので、ウチの店に来て、ゆっくり話しませんか?」
「それいいね♪剣君は、それでいい?」
「あぁ、こっちの食べ物の味も知りたかったし、いいぞ」
「それでは、行きましょう!ティナちゃん、優斗さん」
そうして、俺たちは、レンの家の店『グラ食堂』に向かうことになった。
『グラ食堂』についた俺たちは、三人でテーブルを囲むように座り、注文を済ませてから、この町について教えてもらうことにした。
「ところで、この町はどういうところなんだ?」
「この町は、いろいろな国と交流があって、商業が盛んなんです」
「ついでに、ノーランドは鉱山が近いから、兵士の装備を作ることが盛んなんだ。そして、ネメシアスは海が近くて、漁業が盛んなんだ。それに、軍隊の規模が大きくて、周囲の国の侵略をしようとしてるんだ」
ここまで話をしたところで店員が来て、
「お待たせしました。ご注文の品です。では、ごゆっくり」
と料理をテーブルにおいてから去って行った。レンが、
「ウチの店の看板メニューのミートドリアです。食べてみてください」
「ま、とりあえず、いただきます。…うん、うまいな!」
「でしょ!ここのミートドリアは、この町で一番おいしいんだ」
と、雑談を始めてしまい、いつの間にか夕方になっていた。
「あ、もうそろそろフィアのところに戻らないといけないね。また今度ゆっくり話そうね、レン」
「もうそんな時間か。またな、レン」
「はい。では、また来てくださいね~」
そう言って俺とティナはフィアのところへ戻ることにした。
次回、物語が大きく動きます、お楽しみに!
では!