恋愛小説集   作:小春春斗

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どうも、小春春斗です!

前回ピンチになっていた主人公ですが、一体どうなるのでしょう。

早速どうぞ!


3

「お……さい、ゆ……。起きてください、優斗」

 

……誰か、俺の肩を揺すりながら呼んでいるのが聞こえる。声の主を確認するために、目を開けてみた。そこには知らない少女がいた。そして、

 

「うわ!?誰、お前?俺死んだの?てか、ここどこ?」

 

誰でも、一度は経験したことがあるであろう、いきなり目の前に人がいて驚くという状況だ。しかし、目の前の少女は至って冷静に、

 

「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私は92代目の精霊王です」

「精霊王ねぇ、呼びにくいし、れいって呼んでもいいか?」

「かまいませんよ、優斗。そういえば、質問の答えがまだでしたね。とりあえず、あなたは死んでいません。そしてここは、あなたの夢の中といった方がわかりやすいですね」

 

と、少女もとい、れいがそう言った。

 

「そうか。んで、何か用でもあるのか?」

 

と、聞いた。

 

「そうでしたね。優斗、あなたに問います、この先にさらなる困難があろうとも、生きたいと思いますか?」

「あぁ、生きたいよ。それに守らないといけない約束があるし。」

「そうですか……ならば、力を授けましょう」

 

と、れいが言った。俺は、その言葉に驚いた。

 

「まじか?!」

「えぇ、もちろんです。来なさい、シルフ」

 

と言うと、新たに女性がでてきた。そして、

 

「私は、風の精霊シルフ。失礼ですが、精霊王、そこにいるものが新たな主ですか?」

 

と、開口一番に俺に訪ねてきた。

 

「こりゃ、いったいどういうことだ、れい?俺が、シルフの主って?」

「あぁ、言ってませんでしたね。あなたに与える力、それは、精霊使いになることです」

「ふーん……って、俺そんな物騒なのになるのかよ?!ま、それはおいといて、なんで、風なんだ?相手はワイバーンだろ?」

「そうです。しかし、優斗の様子からしてまず生き残らないといけないはずです。そして、煩わしいのも嫌いなはずです」

「その通りだけど……」

「それなら、シルフと契約してください」

「はぁ、わかったよ。どうすりゃいい?」

「簡単です。今から言う言葉の後に、精霊の名前を言ってください」

「おぅ

「我、契約せし者。我、汝の力を欲す者。この応答に答えよ、です」

「わかった。『我、契約せし者。我、汝の力を欲す者。この応答に答えよ、シルフ!』」

 

すると、俺とシルフの足下に魔方陣が浮かび、強い光を放った。すぐにその光は消え去った。そして俺は自分の左腕に違和感を感じたので、見てみた。そこには、くぼみが7個と緑色の石のついたくぼみがある籠手があった。

 

「こりゃ何だ?んで、シルフはどこに行ったんだ?」

「それは、かなり珍しいタイプの精霊の籠手です。シルフならすでに石になってくぼみにはまっています」

「この石がそうなのか?」

(そうでございます、優斗殿)

「うわ!もしかして、今の声はシルフか?石になってんのに何で話せるんだ?」

 

と、どうやらすごいことになってきている様だ。

 

「契約した精霊ならば、その籠手につけているだけで会話できるようになっています。また、籠手が邪魔なときには消えろと念じれば、なくなって、石が勝手に外れるようになっています。逆に、籠手が必要なときには来いと念じれば現れるようになっています」

「ご丁寧に説明ありがとうな。ところで、どうやって力を借りるんだ?」

 

と、一番重要なことを聞き忘れていたことを思い出した。

 

「そうでした」

 

と、思い出したように言った。

 

「では、力も借り方の説明をします。といってもただ、“力ある言葉”を言うだけです。」

「例えば、どんなのがその“力ある言葉”なんだ?」

「風、竜巻、嵐などの風に関係する言葉がそうです。攻撃ならブラストと、付加なら武器とエンチャントと、拘束ならバインドと言ってくれればそれが“力ある言葉”となります」

「ふーん。要は使い方は多種多様という訳か」

「そういうことです。この様子なら、もう大丈夫そうですね」

 

と、れいが言った。俺は不思議に思い、

 

「そりゃ、どういうことだ?」

「もうそろそろ私の力の限界です。意識を体に戻します。どうかご武運を」

「そういうことか。なら、仕方ないか。とりあえず、死なないように頑張るとしますか」

「死なないでくださいね」

 

と、れいは言って、俺の足下に穴をつくった。

 

「その穴に入れば、体に意識が戻ります」

「そうか。んじゃ、ありがとな」

 

そう言って、俺が穴に入ってから、れいが

 

「優斗、あなたは、私に最も近い存在。もしかしたら——」

 

俺は、そこまでしか聞けなかった。優斗の今後が変わるかもしれなかったとしらずに。

 

「行っちゃったか。全部伝えきれなかったな。優斗が行き着く終わりのこと」

 

れいは、残念そうに呟いた。

 

 

 ちょっと時を遡って優斗がワイバーンと戦い始めた頃、フィアは、

 

「いったい、何故こうなっとるのじゃ?」

 

と、ここの指揮官に尋ねていた。

 

「おそらくネメシアス軍がテイムしていると思われるワイバーンによる攻撃が開始。それにより、こちらの戦線が崩れたようです」

 

と指揮官が説明した。フィアは、

 

「とりあえず、ネメシアス軍は何とかしてくれ。ワシは急いでワイバーンを何とかしてくる」

 

と言い終えると指揮官の返事を聞かずに走って行った。

 

 ワイバーンの全体がはっきり見えるところまで来たとき、優斗がワイーンの上げている足の下にいた。ワシは、

 

「優斗ォ―!!逃げろ!!」

 

と、聞こえているかわからないがとっさに叫んでいた。しかし、優斗は左腕を前に突き出し、何か呟いたようだ。何をやっとるんじゃ、早く逃げんかと思ったが、次の瞬間、ワイバーンが後ろに倒れた。

 

「ど、どうなっとるのじゃ?あの体勢でワイバーンは倒れないはずじゃが」

 

立ち止まって、呆然と呟いた。

 

 

 目を開けると、視界が暗くなる前のままだった。左腕を前に突き出し、

 

「力を借りるぜ、シルフ。エアロブラスト!!」

 

すると、左腕の前で空気が爆発し、ワイバーンが後ろに倒れた。俺は、遠くで突っ立っているフィアへ駆け寄ると、

 

「なぜ、ワイバーンは倒れたんじゃ?それよりも、その左腕はどうしたんじゃ?!」

 

と、フィアが詰め寄ってきて、すごい剣幕で聞いてきた。俺は慌てて、

 

「と、とりあえず、質問は後にしてくれ。いくらでも聞くから。それより、先にワイバーンだろ?あと、ちょっと離れてくれ。近すぎて、その……」

 

と、顔をそらして言った。あと数センチでキスできそうなくらいの近さだったのだ。フィアも気づいたようで、パッと離れてくれた。なんとなく、顔が赤くなっているのは俺もフィアもそうだろう。フィアは気まずそうにしながらも、

 

「あ、あぁ、すまん。と、とにかくだ、質問は後でじっくりするとしよう。それよりも……」

「あぁ、さっさとあいつを殺らないとな」

 

そう言ってワイーンを見ると、立ち上がったところだった。

 

「行くぞ、優斗。」

「あぁ。ソードエンチャント、ウインドウ!」

 

フィアが突撃したので、俺は指を剣に滑らし、風を纏わせてフィアに続いて走り出す。やがて、武器の届く範囲に入ると、

 

「ハァァァ!」「フン!」

 

フィアはメイスで足の小指に当たるであろう部分を叩き、俺は跳んで胴を刀で横に一閃した。ワイバーンは攻撃を受けてよろめいたが、すぐに体勢を直し、俺たちを踏みつけようとしてくる。俺もフィアも既に離れていたので、当たることはない。続いてワイバーンがこちらに走ってきてるが、構わず、

 

「エアカッター!」

 

俺は、足の筋に当たるように調節した風の刃を放った。足の筋が斬られて、ワイバーンが倒れた。

 

「フィア、トドメを頼む」

「わかった!」

「エアバースト!」

 

フィアはジャンプして攻撃しようとしてたので、フィアがジャンプした真下で空気を小爆発させ、高さを稼げるようにする。そして、

 

「メテオ・クラッシャー!」

 

と、フィアがメイスを振り下ろした。ワイバーンに当たると、ワイバーンが動かなくなり、そのまま灰になって消えていった。へぇ~、モンスターの類いってああいう風に消えるんだ、と思った。

 

 フィアがこっちへ歩いて来ていて、見た感じではお互いに大丈夫そうかなっと思った瞬間、こっちに来てからいろいろなことがいっぺんに起こったから、変に疲れたのだろう、急に体が重くなり、意識が遠のいていった。誰かが倒れそうになっている俺の体を受け止めながら、

 

「お、おい!ハァ、仕方ない奴じゃ」

 

と呟くのが最後に聞こえた。




主人公が強くなりました。
以上!
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