前回ピンチになっていた主人公ですが、一体どうなるのでしょう。
早速どうぞ!
「お……さい、ゆ……。起きてください、優斗」
……誰か、俺の肩を揺すりながら呼んでいるのが聞こえる。声の主を確認するために、目を開けてみた。そこには知らない少女がいた。そして、
「うわ!?誰、お前?俺死んだの?てか、ここどこ?」
誰でも、一度は経験したことがあるであろう、いきなり目の前に人がいて驚くという状況だ。しかし、目の前の少女は至って冷静に、
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私は92代目の精霊王です」
「精霊王ねぇ、呼びにくいし、れいって呼んでもいいか?」
「かまいませんよ、優斗。そういえば、質問の答えがまだでしたね。とりあえず、あなたは死んでいません。そしてここは、あなたの夢の中といった方がわかりやすいですね」
と、少女もとい、れいがそう言った。
「そうか。んで、何か用でもあるのか?」
と、聞いた。
「そうでしたね。優斗、あなたに問います、この先にさらなる困難があろうとも、生きたいと思いますか?」
「あぁ、生きたいよ。それに守らないといけない約束があるし。」
「そうですか……ならば、力を授けましょう」
と、れいが言った。俺は、その言葉に驚いた。
「まじか?!」
「えぇ、もちろんです。来なさい、シルフ」
と言うと、新たに女性がでてきた。そして、
「私は、風の精霊シルフ。失礼ですが、精霊王、そこにいるものが新たな主ですか?」
と、開口一番に俺に訪ねてきた。
「こりゃ、いったいどういうことだ、れい?俺が、シルフの主って?」
「あぁ、言ってませんでしたね。あなたに与える力、それは、精霊使いになることです」
「ふーん……って、俺そんな物騒なのになるのかよ?!ま、それはおいといて、なんで、風なんだ?相手はワイバーンだろ?」
「そうです。しかし、優斗の様子からしてまず生き残らないといけないはずです。そして、煩わしいのも嫌いなはずです」
「その通りだけど……」
「それなら、シルフと契約してください」
「はぁ、わかったよ。どうすりゃいい?」
「簡単です。今から言う言葉の後に、精霊の名前を言ってください」
「おぅ
「我、契約せし者。我、汝の力を欲す者。この応答に答えよ、です」
「わかった。『我、契約せし者。我、汝の力を欲す者。この応答に答えよ、シルフ!』」
すると、俺とシルフの足下に魔方陣が浮かび、強い光を放った。すぐにその光は消え去った。そして俺は自分の左腕に違和感を感じたので、見てみた。そこには、くぼみが7個と緑色の石のついたくぼみがある籠手があった。
「こりゃ何だ?んで、シルフはどこに行ったんだ?」
「それは、かなり珍しいタイプの精霊の籠手です。シルフならすでに石になってくぼみにはまっています」
「この石がそうなのか?」
(そうでございます、優斗殿)
「うわ!もしかして、今の声はシルフか?石になってんのに何で話せるんだ?」
と、どうやらすごいことになってきている様だ。
「契約した精霊ならば、その籠手につけているだけで会話できるようになっています。また、籠手が邪魔なときには消えろと念じれば、なくなって、石が勝手に外れるようになっています。逆に、籠手が必要なときには来いと念じれば現れるようになっています」
「ご丁寧に説明ありがとうな。ところで、どうやって力を借りるんだ?」
と、一番重要なことを聞き忘れていたことを思い出した。
「そうでした」
と、思い出したように言った。
「では、力も借り方の説明をします。といってもただ、“力ある言葉”を言うだけです。」
「例えば、どんなのがその“力ある言葉”なんだ?」
「風、竜巻、嵐などの風に関係する言葉がそうです。攻撃ならブラストと、付加なら武器とエンチャントと、拘束ならバインドと言ってくれればそれが“力ある言葉”となります」
「ふーん。要は使い方は多種多様という訳か」
「そういうことです。この様子なら、もう大丈夫そうですね」
と、れいが言った。俺は不思議に思い、
「そりゃ、どういうことだ?」
「もうそろそろ私の力の限界です。意識を体に戻します。どうかご武運を」
「そういうことか。なら、仕方ないか。とりあえず、死なないように頑張るとしますか」
「死なないでくださいね」
と、れいは言って、俺の足下に穴をつくった。
「その穴に入れば、体に意識が戻ります」
「そうか。んじゃ、ありがとな」
そう言って、俺が穴に入ってから、れいが
「優斗、あなたは、私に最も近い存在。もしかしたら——」
俺は、そこまでしか聞けなかった。優斗の今後が変わるかもしれなかったとしらずに。
「行っちゃったか。全部伝えきれなかったな。優斗が行き着く終わりのこと」
れいは、残念そうに呟いた。
ちょっと時を遡って優斗がワイバーンと戦い始めた頃、フィアは、
「いったい、何故こうなっとるのじゃ?」
と、ここの指揮官に尋ねていた。
「おそらくネメシアス軍がテイムしていると思われるワイバーンによる攻撃が開始。それにより、こちらの戦線が崩れたようです」
と指揮官が説明した。フィアは、
「とりあえず、ネメシアス軍は何とかしてくれ。ワシは急いでワイバーンを何とかしてくる」
と言い終えると指揮官の返事を聞かずに走って行った。
ワイバーンの全体がはっきり見えるところまで来たとき、優斗がワイーンの上げている足の下にいた。ワシは、
「優斗ォ―!!逃げろ!!」
と、聞こえているかわからないがとっさに叫んでいた。しかし、優斗は左腕を前に突き出し、何か呟いたようだ。何をやっとるんじゃ、早く逃げんかと思ったが、次の瞬間、ワイバーンが後ろに倒れた。
「ど、どうなっとるのじゃ?あの体勢でワイバーンは倒れないはずじゃが」
立ち止まって、呆然と呟いた。
目を開けると、視界が暗くなる前のままだった。左腕を前に突き出し、
「力を借りるぜ、シルフ。エアロブラスト!!」
すると、左腕の前で空気が爆発し、ワイバーンが後ろに倒れた。俺は、遠くで突っ立っているフィアへ駆け寄ると、
「なぜ、ワイバーンは倒れたんじゃ?それよりも、その左腕はどうしたんじゃ?!」
と、フィアが詰め寄ってきて、すごい剣幕で聞いてきた。俺は慌てて、
「と、とりあえず、質問は後にしてくれ。いくらでも聞くから。それより、先にワイバーンだろ?あと、ちょっと離れてくれ。近すぎて、その……」
と、顔をそらして言った。あと数センチでキスできそうなくらいの近さだったのだ。フィアも気づいたようで、パッと離れてくれた。なんとなく、顔が赤くなっているのは俺もフィアもそうだろう。フィアは気まずそうにしながらも、
「あ、あぁ、すまん。と、とにかくだ、質問は後でじっくりするとしよう。それよりも……」
「あぁ、さっさとあいつを殺らないとな」
そう言ってワイーンを見ると、立ち上がったところだった。
「行くぞ、優斗。」
「あぁ。ソードエンチャント、ウインドウ!」
フィアが突撃したので、俺は指を剣に滑らし、風を纏わせてフィアに続いて走り出す。やがて、武器の届く範囲に入ると、
「ハァァァ!」「フン!」
フィアはメイスで足の小指に当たるであろう部分を叩き、俺は跳んで胴を刀で横に一閃した。ワイバーンは攻撃を受けてよろめいたが、すぐに体勢を直し、俺たちを踏みつけようとしてくる。俺もフィアも既に離れていたので、当たることはない。続いてワイバーンがこちらに走ってきてるが、構わず、
「エアカッター!」
俺は、足の筋に当たるように調節した風の刃を放った。足の筋が斬られて、ワイバーンが倒れた。
「フィア、トドメを頼む」
「わかった!」
「エアバースト!」
フィアはジャンプして攻撃しようとしてたので、フィアがジャンプした真下で空気を小爆発させ、高さを稼げるようにする。そして、
「メテオ・クラッシャー!」
と、フィアがメイスを振り下ろした。ワイバーンに当たると、ワイバーンが動かなくなり、そのまま灰になって消えていった。へぇ~、モンスターの類いってああいう風に消えるんだ、と思った。
フィアがこっちへ歩いて来ていて、見た感じではお互いに大丈夫そうかなっと思った瞬間、こっちに来てからいろいろなことがいっぺんに起こったから、変に疲れたのだろう、急に体が重くなり、意識が遠のいていった。誰かが倒れそうになっている俺の体を受け止めながら、
「お、おい!ハァ、仕方ない奴じゃ」
と呟くのが最後に聞こえた。
主人公が強くなりました。
以上!