恋愛小説集   作:小春春斗

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本日2度目の更新です!
前回の「3」を読まれてない方はそちらから!

では、どうぞ!


4

 気がつくと、俺はどこかの部屋のベッドの上にいる。

 

「うーん、あれ?俺なんでベッドの上にいるんだ?——そういや、ワイバーン倒してから覚えてねぇな」

 

とぶつぶつ言っていると、部屋のドアが開いてティナが入ってきた。

 

「あ、剣君起きてたんだ……て、剣君もう大丈夫なの?まだどこか痛む?それよりも、フィアに剣君が起きたの伝えに行かないと!」

「あ、おいって……まぁ、後で聞けばいいか。相変わらず騒がしい奴だな」

 

ティナは、俺が起きたのに気づくと、慌てて部屋を飛び出していった。

 

 

 少しすると、ティナがフィアを連れて戻ってきた。

 

「おぉ、優斗、起きたのか?具合はどうだ?」

「痛みが全くないから、問題ないな。ところで、どうして俺はここにいるんだ?つか、ここどこ?」

「ワシの家の空き部屋の一つじゃ。ワイバーンを倒した後に優斗が急に倒れたんじゃよ。そして、優斗をここに運んだのは、ワシじゃよ。もちろん、奴らを追い返してからじゃ」

「いや~、フィアが優斗をおぶって帰ってきたの見たときはすっごい驚いたんだよ!とりあえず、剣君をこのベッドに寝かせて治療してからフィアに事情を聞いたけど大変だったみたいだね。だけど、」

 

と、そこで言葉を切ると、ティナとフィアは目配せをし大きく息を吸うと、

 

「「いったい、どれだけ心配したと思ってるの(んじゃ)!?だいたい、三日も寝てたんだよ(じゃぞ)!」」

「うっ、何か、すまん、二人にかなり心配かけたみたいで。それでも、二人して同時にして言うことはないだろうがよ。さすがに傷つくぞ」

「「ご、ごめん」」

 

と言ったやりとりが終わると、ぐうぅぅぅぅ~~と俺の腹が鳴った。

 

「「あはははははははは!」」

「し、仕方ねぇだろ!」

 

ティナとフィアは盛大に笑った。俺は、その間恥ずかしくてずっとそっぽをむいていた。しばらくして落ち着いてきた頃にフィアが、

 

「ふー、笑った、笑った。とりあえず、飯にでもするか。ティナも一緒に食べていくじゃろ?」

「……頼む」

「もちろんだよ」

 

と言うわけで、お昼を食べることになったのだ。

 

 

 飯を食べ終えてからフィアが、

 

「それはそうと、優斗、その左腕の籠手は何なのじゃ?治療のためにはずそうとしてもどうやってもはずれないのじゃ。それに、あの時の力はなんじゃ?」

「あぁ、そういや説明するって言ってたっけ。ちょっと長くなるけど、時間は大丈夫か?」

「ワシは問題ないが、ティナは大丈夫か?」

「多分大丈夫だよ~。ずっとそれのこと気になってたからね~、早く教えて?」

 

二人とも大丈夫そうなので、説明を始めた。

 

「とりあえず、この籠手についてだな。まぁ、力の話にも繋がるけどな。これは、れいに貰ったものだ。確か、契約した精霊の力を借りるための道具なんだと」

「ちょっと待ってくれ、今、契約した精霊と言ったか?それより、れいって誰なんだ?」

「れいは、92代目の精霊王なんだと」

「……え?ちょ、ちょっと、精霊王と会ったの!?」

「あぁ。ワイバーンに踏まれそうになったときに急に意識が飛んでな。その時に夢の中でれいに会ったんだよ。そこで風の精霊のシルフと契約したと同時に現れたんだよ、籠手が。かなり珍しいタイプなんだよな、シルフ?」

(そうでございます。一度に何人もの精霊を扱える道具は、籠手タイプのものだけです。例えいたとしても、二人だけです)

「ふーん。今、シルフに聞いたんだが、これは2つしかないらしい」

「それって、すごいことなんだよね?」

「そうなんだが、いまいち実感が湧かないんだよな。まぁ、これで説明は終わりだな。思ったより短くなったわ。そういや、精霊王ってどういう存在なんだ?」

 

説明が終わったので、精霊王について尋ねてみた。

 

「神話上の人物だよ。全ての精霊を統率していて、この世界を創ったとされてるんだよ」

「まぁ、実在してるんだけどな」

「な、なぁ、優斗は元いた世界に帰りたいと思っとるのか?」

 

今の会話に参加してなかったフィアが急に聞いてくる。

 

「いや、その、そんな力を持ったのじゃから……」

「―帰っても、扱いが悪くなるってか?そんなのどうでもいいや。あっちには希望なんてないから、帰る気なんてないしな」

「……え?それって何か寂しくないかな?」

 

ティナが俺の話を聞いて、哀しそうに言った。俺は、

 

「そんなことないぜ?両親も親族も友達なんていうのもいなかったんだ。自活のために必要なことはすぐに出来るようになったしな。趣味ももちろん無かったから、毎日意味も無く過ごしてきたんだ」

 

そこまで言うと、ティナとフィアを見た。何故か、二人とも泣きそうになっていた。

 

「おいおい、なんでお前らが泣きそうになってんだよ。まぁ、こっちに来てから、やりたいことが見つかったから、こっちに残るつもりだよ。こう思ったのは、二人のおかげなんだぜ」

 

と言うと、二人の頭を撫でながら、微笑んだ。その途端、二人とも耳まで真っ赤になり俺の手を払いのけて下を向いてしまった。

 

「なんで、そんなに赤くなってんだ?」

「「な、なんでもないよ(のじゃよ)、剣君(優斗)?」」

 

と、赤くなった理由を聞いたのだが、二人とも慌てて何でも無いと言ってきた。

 

 

 しばらくして二人が落ち着いた頃、フィアが、

 

「優斗よ、ワシの軍を手伝ってくれぬか?」

 

と、俺に言ってきたのだ。フィアがなぜ、俺を軍に誘ったのか理由を聞いておきたかったが、この世界に残ると決めた以上、どうにかして自活しなければ駄目だろうなと思っていたのだ。なら問題ないかという考えに行き着いたので俺は、

 

「それはもちろんいいぜ」

「そ、そうか。ならさっ「けどなフィア、なんか俺に隠してることでもあるんじゃねぇのか?」って、な、な、何を言ってるのじゃ、優斗よ?ワシは優斗が新しい精霊王の候補の一人だからって見方にしておこうなどとは考えておらぬぞ」

「ふーん、てか、俺が精霊王の候補ってどういうことだ!?」

「し、しまった。そ、それはじゃな……」

 

一応承諾して理由について鎌をかけてみたら、とんでもない理由が聞けた。フィアが戸惑っていると、

 

「フィア、今更誤魔化すのは無理じゃないかな?」

 

とティナが言う。

 

「それも、そうじゃの……優斗、おぬしにはまだ話していないことがあったのじゃ」

 

なんだか、嫌なことが始まってしまいそうな気がするが、とりあえず続きを聞くことにした。

 

「本当は、あの神話には続きがあったのじゃ。精霊王は百年に一度交代するのじゃが、それが一ヶ月と二週間後なのじゃ。そして、新しい精霊王のいてた国の土地が豊かになるそうじゃ」

「つまり、今のうちに味方につけておいて、ほかの精霊王の候補を倒したいってことか?」

「う、うむ。そういうことじゃ」

 

フィアは少しばつが悪そうに、

 

「この話の後で悪いのじゃが、優斗は本当によいのか?」

 

と言ってきた。

 

「まぁ、いいさ。一度決めたことを変えるのは、俺の信念に反するんでね」

「そ、そうか。ならば、これからよろしくじゃな」

「あぁ、よろしくな。ところでさ、ここにずっと世話になるわけにもいかねぇし、どっか住めそうなところ探してくれねぇか?」

「ん、わかったのじゃ。とりあえず、安静をしばらくの間言われてるからその間にどこか探しておこう。」

と言う会話の後、ふと外を見ると空が赤くなってきていることに気づいた。「なぁ、もう夕方なんだが時間は大丈夫なのか?」

「「……え?嘘でしょ(じゃろ)?」」

 

といって、窓の方を向いて確認していた。するとティナは慌てて立ち上がり、

 

「やばい……早く帰らないと怒られちゃう……ふ、二人ともまたねー!」

 

と言って、走って部屋を出て行った。そして、フィアが、

 

「優斗、夕食は食べられそうか?」

 

と、何事もなかったように話してくるので、

 

「んー、このままもう一眠りするわ」

 

と、俺も普段通りに返事をした。

 

 そして、フィアがお休みと言って部屋を出ていった。そのあと、優斗とフィアがそれぞれの部屋で笑ってしまったのはティナには内緒なのであった。

 

「あーあ、面白かったわ。一体、これから何が起こるんだろうな?」

 

俺はひとしきり笑って、そう呟いてから眠りについた。

 

 

 優斗が起きて数日後、ワシとティナは、ある喫茶店の隅で話していた。

 

「あの時の優斗君の笑顔は反則だったよね」

「あぁ。そうだな。普段は無愛想で少し怖い感じだからな」

「そうだよね~。笑ったときは凜々しい感じとかわいい感じが混じってたもんね」

「あの時は、何でも無いと誤魔化したが、お前のせいだぞって言ってしまいそうだったな」

 

と言うと、二人とも優斗の笑顔(本人曰く微笑み出そうだが)を思い出してしまい、また顔を赤くしてしまった。

 

「なんか、ドキドキしちゃうよね。何でだろうね?」

「確かにな。何故じゃろうな?」

 

このとき、二人は気づいていなかった。同じ人を好きになってしまっていたことを……。




無自覚ハーレムのスタートです。ちなみに戦闘描写なんかはドが着くほどの初心者なので、今後出ることもありますが何卒ご容赦を……

ということで、また次回!
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