恋愛小説集   作:小春春斗

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「汝よ、先程までの威勢の良さはどうしたのだ?まさか、コレで終わりではないだろうな?」

 

と、ヘルフレイズが俺に尋ねてきた。ヘルフレイズの方にはあまり疲労が見えないが、俺は既に立っているので精一杯なのだ。

 

「こっちの風の攻撃を吸収するとか、反則だろ…」

「ククク、汝の攻撃など痛くも痒くもないわ!さて、もうそろそろ終わりにするかの。後でついてきた女二人にも同じ場所へ行って貰うとするかの」

「っ!そんなことさせてたまるかよ…。あいつらは絶対守って見せるんだ!」

 

と、ヘルフレイズに向かって言った。すると、俺の体が急に光って、何も見えなくなった。

 

 

「お久しぶりです、優斗」

 

目を開けると、れいが俺の前に立っていた。

 

「あぁ、そうだな。まさか、またここに来る羽目になるとはな……」

「ふふっ、今回はどうするつもりですか?」

「どうするってもな……ただ、今の力じゃ、どうにもなんねぇんだよな……」

「となると、優斗は約束を破るつもり「んなこと、してたまるか!」ひっ!」

 

俺がれいの話の途中で大声を出したからか、れいがビクッとした。

 

「……、すまん」

「い、いえ、き、気にしないでください。今回は精霊を与えられませんが、ヒントなら教えられます。知りたいですか?」

「お、教えてくれるのか?」

「もちろんです。……私はそんな存在になってしまいましたから」

「ん、どうかしたか?」

「い、いえ、何でもないですよ!?ヒントですが、“力ある言葉”の例外です」

「はぁ!?あれって、例外あったのか!?」

「は、はい。あの……少し離れて貰ってもいいですか?」

「あ、あぁ、すまん」

 

無意識のうちにれいに詰め寄ってたらしく、言われるまで気付いていなかった。俺は、れいから離れると、

 

「んで、その例外って何なんだ、一体?」

「普段から、力を使う際には制限がかけられているんですけど、それを外して貰います」

「制限なんてあったんだな……。どうやって外すんだ?」

「えっとですね、いくつかの条件を満たして貰う必要があります。一つ目は、相手の攻撃を一回以上受けることで、二つ目は、相手より自分が弱いと自覚しながらも抗う気持ちを持つことで、三つ目は、一人で闘うことです。それらを満たせたとき、精霊を扱う武具が光りますので、“リミッターパージ”と言ってください。もちろん、今の優斗なら使えますが」

「了解っと、んじゃ、とっととあいつを「待ってください!」と、どうしたんだ、れい?」

 

俺が行こうとすると、れいが引き留めてきた。

 

「今更ですが、その籠手を何故使えるのですか?」

「ほんとに、今更だな、それ。使えるも何も、初めからだぜ?」

「それはそうですけど、でも、それでも…」

「それでも?」

「その籠手は、ここにあってはいけないんです!それは、この世界から転移させた物なんですから!」

「れい、それってどういうことなんだ?冗談だよな?」

「いえ、本当です、優斗。私の時にスロットが複数あった装備を持っていたのは、私を含めて二人だけでした。私はまだ持っていますが、もう一つ―今優斗の使っているその籠手は別世界へ転移させたはずなんです!」

「そういや、こっち側に来る前に何か見たような…」

「そうですか……優斗は選ばれてしまったみたいですね、その籠手に」

「それは、どういう……」

 

ことだ、と言う前に意識が遠のいた。

 

「優斗、あなたは必ず最後まで残ります。そして……」

 

そこまでしか聞けなかった。

 

 

 意識が戻ると、やはり何にも変わっていないままだった。

 

「こっからが本番だぜ、ヘルフレイズ!」

「ほぅ、その体たらくでまだ闘うと言うのか?」

「あぁ、行くぞ、シルフ!リミッターパージ!」

 

そういった瞬間、俺の周囲に凍てつくような風が吹き始めた。

 

(何故、使えるのですか?!これは王しか知らないはず……まさか)

(そのまさかだよ。さっさと終わらすぞ!)

「この力は、そうか!王よ、貴様か!こやつの中の違和感は!」

「ごちゃごちゃうるせぇな!これ以上は時間をかけられねぇから次で終わらせるぞ!」

「フハハハハ、よかろう!来るがよい!」

「あぁ、行くぜ!ニブルへイム!」「インフェルノ!」

 

俺とヘルフレイズの攻撃がぶつかり、辺りが白いもやに包まれた。

 

 

 しばらくしてもやが晴れると、ヘルフレイズがいなくて、ヘルフレイズのいた場所に赤い石が落ちていた。

 

「か、勝てたのか?リミッターオン(そういや、今回は契約とかやんなくていいのか…)」

 

と呟きながら石の近くへ行き拾うと、

 

(ねぇ、聞こえてる?)

(……誰だ?)

(ヘルフレイズだよ!)

(ほんとにそうなのか?キャラが違いすぎるんだが…)

(だって、周りからちょっとでも怖く見られて恐れられたいじゃん!)

(そんなものなのか?)

(そんなものなの!それよりも、早く帰りたいんじゃないの?)

(そうだな。それじゃ、帰るか)

(うん!)(はい!)

 

そう思念で話してから来た道を戻っていった。

 

 

 剣君が入っていった部屋で何か爆発音が聞こえてから数分後、剣君が赤い石を持って出てきた。私は剣君に駆け寄ると、

 

「剣君、大丈夫なの?!その手に持ってる石ってもしかして…」

「あぁ、ヘルフレイズのだよ。俺はとりあえず動けるし、大丈夫だな、うん。もう、ここでの用はねぇし、早く帰ろうぜ!」

「うん!ねぇ、そういえばさ、フィアは来なかったけど、外で何をしてるの?」

「あぁ、とりあえず、見たらわかるさ。先行っとくけど、道間違えんなよ」

 

そう言うと、剣君はさっさと行ってしまった。私は慌ててその後ろ姿を、

 

「ま、待ってよ~、剣君!」

と言って追いかけていった。

 

 

 出口が近づくにつれて、外の様子がはっきりと見えてきた。

 

「おーい、フィア~…ってその人たち誰?!」

「おぉ、二人とも戻ったか。その様子じゃと、何とかヘルフレイズの力は手に入ったようじゃの」

「おぅ。んで、そいつらが俺たちをつけてたのか?」

「そのようじゃよ。どうやら、土の精霊使いの差し金らしいぞ」

「ちょ、ちょっと待って!?つけられてたってどういうこと?」

「そのままじゃよ、ティナ。優斗の周辺を調べとったんじゃと。此奴らが馬鹿なおかげで訊きたかったことは全部訊けたわ」

「みたいだな。連れてく意味もなくなったし、面倒だから、ここで解放しとくか?」

「剣君…そこは面倒って言ったら駄目じゃないかな…?」

「いや、ティナ、こっちの情報は与えてねぇんだ、いいよな、フィア?」

「そうじゃな。もう放って帰るかの」

「う~ん…、何がいいのか分からないけど、まぁ、いいよね!早く帰ろっか!」

 

ティナは納得しきってなさそうだったが渋々という感じで俺とフィアが無理に納得させて、そのまま三人で帰ることにした。




ヘルヘイズも無事仲間になりました。そして、前回で出ましたが優斗の持っている籠手の窪みは7つ…さぁ、何を表しているのでしょうか?

次回もお楽しみに!では!
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