恋愛小説集   作:小春春斗

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どうも、小春春斗です!

さて今回から新シリーズです!今回はお互いに秘密がある図書委員の男女のお話です。

早速どうぞ!


図書委員の綴る恋物語
1


 パラ…パラ…。

 

 放課後の図書室、横で彼女—桜明日花(さくらあすか)が本のページをめくる音と時計が時を刻む音だけが響いている。そして、

 

「もうそろそろ閉める時間ですね。準備しましょうか」

 

本を閉じてそう言う。

 

「そうだね。もう誰も来ないだろうし」

 

僕—谷村葵(たにむらあおい)はそう言って彼女と一緒に図書館を閉める準備を進める。

 

 

 そして、廊下に出て図書室を閉めると、

 

「今日はお疲れ様でした。それではまた」

「はい。また」

 

そう言って解散する。

 

 

 これが僕と彼女の日常だ。クラスも違うし、そんなに話すこともない。でも、僕は彼女について、ある”秘密“を知っている。

 

 それは——

 

「みんなー、今日は来てくれてありがとう!楽しんでいってね!」

「「「うぉぉぉぉぉーーー!」」」

「〜〜♪〜〜♪」

 

スマホの中で歌っている女の子—桜花(おうか)。それが図書委員で同じ日の図書委員当番の桜だということだ。もちろん僕も偶然知ったことだし、誰にも言っていない。どうせ誰も信じないだろうから。

 

 

 数日前、

 

「やっぱり、あの声どこかで聞いたことある気がするんだけど、どこだったかな…」

 

朝、学校へ行く道でそんなことを呟いていた。あの声というのは、最近になって人気が出てきたネットアイドルの「桜花」のことで、どうやら地声らしく、最近聞いた声に似ていたので気になって仕方なかったのだ。

 

「んー、でも思い出せないし気にすることでもないか。早く教室に行って本でも読も」

 

考えていたことを振り払うように頭を振って学校に向かう足を少し早くした。

 

 

 そしてその日の放課後、図書室へ一番乗りした僕はカウンターの裏に回って椅子に座ると、持ってきていた本を鞄から取り出して読み始める。僕が本を読み始めて数分したぐらいだろうか、

 

「谷村くん、今日も早いんですね」

 

と声をかけられた。本から顔を上げると、桜さんが横に座ろうとしている所だった。

 

「ここの居心地がいいから。居れるならならずっと居たいくらい。そういう桜さんも早い方じゃないか?」

「私も、あなたと同じようにここが一番落ち着きますから」

 

そう言って座ると、僕と同じように鞄から本を出して読み始めた。それを見届けると僕も本に視線を戻す、が、

 

(ん?今の声どこかで……)

 

何故か桜さんの声に引っかかりを覚え、ちょっと記憶を辿る。

 

(んー、あれ、そういえば桜花みたいな……。いやいや、まさか)

 

何故か桜花のことが頭によぎってしまい、確認するためにスマホを取り出すと、イヤホンを挿して桜花の動画を流す。

 

「——ッ!!」

 

何をし始めたのか気になったのか分からないけど、桜さんがこちらの画面を覗き込んで、ビクっと体を震わせた様な気がしたけど、とりあえず無視だ。そして、動画を見終えてスマホとイヤホンを片付けると小声で、

 

「桜さん、当番が終わってから少し時間ある?」

「は、はい……」

「わかった。それじゃ、今は当番の方をきちんとしよう」

「はい」

 

それで会話が終わり、本を借りたい、返したい人が来たら対応して、それ以外は静かに本を読む時間が続いた。




早速女の子——明日花の秘密がバレました。次回はその話し合いになりそうです。

ということで、また次回!
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